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『作家のおやつ』(平凡社)なる本を開くと、故郷・静岡のお菓子が、作家・三島由紀夫の好物として紹介されていました。それは、大正11年に伊豆下田で創業した「日新堂菓子店」のマドレーヌ。作家が「日本一のマドレーヌ」と絶賛したというそのお菓子を食べてみたくて、数年前に取り寄せしたことがあります。
そうして下田を旅することになったとき、どうしてもとお店に立ち寄り、素朴だけれど品のよいあの味に再会。三島由紀夫とのお付き合いについても伺うことができました。
三島由紀夫は昭和39年から、亡くなる昭和45年まで、夏のバカンスを家族と下田で過ごしていたそうです。穏やかな下田湾で海水浴や執筆活動をおこない、下田が舞台の短編『月澹荘綺譚』や、遺作の『豊饒の海』の最終巻「天人五衰」を書き上げています。
三島由紀夫が愛したマドレーヌ
そんな中、週に一度は日新堂菓子店を訪れ、好物のマドレーヌをどっさりと買い込み、ホテルの部屋に持ち帰ったそう。今でこそ甘いものはどの町でもたやすく手に入るけれど、昭和40年代はまだまだ品のよい洋菓子は貴重で、作家を訪ねて下田までやってくる来客用のおもてなし菓子としても喜ばれたことでしょう。
華美なおやつに溢れた今、昭和の時代から変わらず地元で愛される洋菓子は珍しいくらい。高校生の頃に読んだ『三島由紀夫レター教室』を本棚から取り出し、久しぶりにページをめくりながら、おやつの時間にマドレーヌをいただきました。
MYLOHASさん(@mylohas_official)が投稿した写真 - 2016 4月 25 11:13午後 PDT
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