実際に落ちた食べものと付着するバクテリアの数との関係について、ニューヨークタイムズが記事にしました。調査を行ったのは、ラトガース大学のドナルド・W・シャフナー教授の研究チーム。2年間の研究により、5秒とは言わず、どんなに早く物を床から拾い上げたとしても、サルモネラ菌のようなバクテリアは付くのだとか。だから一度落ちただけですでに清潔とは言えないことを、細胞生物学研究の権威ASMに発表しました。
実験の中では4つの床を用意。ステンレス、セラミックのタイル張り、木とカーペットです。そこへ4つの食材(スイカのスライス・パン・バターを塗ったパン、イチゴ味のグミ)を5インチ(約13センチ)の高さから落とし、バクテリアの付き方を調べたのです。落下後の放置時間の長さは4種。落ちてからすぐさま拾った場合(1秒)・5秒後・30秒後・300秒後の比較を行いました。
何より興味深かったのは、付着するバクテリアの量は床に落ちた時間の長さとは相関しないということ。バクテリアの量の多い・少ないは、その落とした食べものの種類と、落ちる床の種類(つまりは食べものが床に接触した面積の広さにもかかわってくるから)の2つのファクターに大きく依ることが判明したのです。さらに、カーペットに落とした場合、ステンレスやセラミックに比べるときわめてバクテリア量が少ないことがわかりました(木の床については木の種類によるので、一概にバクテリアの量については言えない)。また、水分量の多いスイカには多くの菌が短時間で付着、グミのような水分が少ないものには菌はあまり付着しなかったのは想像通りだったでしょうか。
子どもの頃から何度も耳にしたことのある「噂ばなし」や「都市伝説」の信ぴょう性。何でも鵜呑みにするのでなく、自分で一度考えてみる必要があるかもしれません。
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