不安だらけだった妊娠中から一転、今度は育てていくのに、母親は強くならなければなりません。そんな心強い一歩を踏み出すのに大事なサポートを与えてくれる、一番頼れる身近な人が助産師さんです。助産師はいわば「母親代表」みたいな存在。だからこそいろいろと聞きやすく、教えてもらえるならば、やっぱり男性よりも女性がいい! と思ってしまいます。
また産後のボディ・ケアや授乳指導などを考えると、やはり女性のからだのことを一番わかってくれるのは、経験豊富な女性じゃなければ難しいのでは? という偏見も働いてしまいそうです。しかし実際問題として、助産師さんは自身も子どもをもつ母親であるケースが多く、やはり新米ママたちの細かいケアをするとなると、どうしても限界が来てしまう。体力的にもうまくいかないことも多いことが、助産師不足の原因と見られているのです。
その対策として例えばイタリアのシチリアでは、各病院ごとに一人は必ず男性の助産師さんがいるのだそうで、ちっとも物珍しくないのだとか。ドイツの場合だと現在全国で6名の助産師がおり、これからも増えてゆく見込みだそうです。生まれたてのかわいい赤ちゃんとお母さんをサポートするという夢のある仕事ですが、楽しいだけではやってゆけない力仕事。そんな考え方から、「助産婦=女性」というのは、もはや古い考え方なのかもしれません。
「パパ」の目線で子育てをサポートする狙い男性の助産師さんがいることの利点に、やはり力仕事ができる、というものがあります。お母さんたちを精神的に支えるなどの細かい女性ならではのケアに始まり、出産の手伝い。搾乳のサポート。これらは助産婦さんがおこないますが、それ以外求められるのであれば、基本男性の助産師さんがこなしてゆきます。女性の世界ならではのいざこざも、男性が入ることにより緩和する役割も見逃せません。子育てに不安な新米パパたちのいい相談相手などにもなっているようで、やはり子育ては皆で協力して行うものということを考えさせられます。まるで「パパの目線」から、これから始まる子育てを応援していこうとの狙いがあるともとれるでしょう。
よくよく考えると、産婦人科に男性の医師も多くいますから、助産師さんが男性だって本来ならばまったく不思議ではないのです。けれどママによっては、やはり女性のほうがいいという人もいます。それは「出産・子育ては女性だけの神聖なもの」のように考えている女性も多く、ましてや産後のからだを見られているようで落ち着けない、という人もいます。
自分の娘が男性の助産師さんに沐浴させられるのが嫌、という意見ももちろんあります。しかしそこは、病院側も柔軟に対応している様子。これからのどうなって行くのか興味深いものです。
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