長崎といえば有田焼がまず語られるけれど、波佐見焼も歴史は長くそのはじまりは江戸時代にさかのぼります。
染付と青磁を中心とした手頃な日常食器は海外へも輸出され、庶民の食文化を支えてきました。いつか産地を訪ねてみたいと思い続けていたところ、長崎出身の友人に「好きだと思うよ」と写真を見せてもらったのが、波佐見焼の工房「京千」の陶器ブランド「sen」の品。
普段使いの食器から、愛らしい動物のオーナメントやアクセサリーまで、伝統を守りながらも新たな感性や感覚でものづくりがおこなわれているのに感動。
夏に京千の工房を訪ねたイラストレーターの杉浦さやかさんからプレゼントにいただいた小皿。
京千に所属する川原佳子さんの作品。
聞けばsenのデザイナー・長岡千陽さんは私と同世代。型作りから焼成までをおこなう制作行程の中、おもしろいと思ったこと、失敗や脱線からあらたなひらめきが生まれるそう。
senのプロダクトでなにより印象的だったのが、鳥のオーナメント。もともとはクリスマスオーナメントとして作られたそうですが、壁掛けやプレゼントの包装、紐を通してアクセサリーとしても使うことができます。
焼き上げられる前の、たくさんの鳥。
青い鳥のオーナメントはこうして生まれます。
その鳥を眺めながら浮かんできたのが、私の故郷にある富士山。末広がりの美しい山に向かって、幸せの青い鳥がはばたく風景。
小規模な工房だからこそチャレンジできることがあるとおっしゃってくださった長岡さんにそのイメージを伝え、私が商品監修をおこなうフェリシモ内の企画で、富士山型のフラワーベースと、青い鳥のオーナメントをオリジナルで制作いただきました。
フラワーベースの裏側にスタンプされた、「HASAMI」という文字を用いたメッセージも秘密めいたお楽しみです。
京千の工房で、富士山のフラワーベースが作られているところ。
フラワーベースは手のひらサイズ。草花を挿すと、富士山のてっぺんに花が咲いたような風景に。
フラワーベースの裏側には「HASAMI」という文字が隠れたメッセージをスタンプしました。
(甲斐みのり)