そう聞くと、格式ばって敷居の高い印象があるかもしれません。でも、気心の知れた仲間が集まっての、お茶会のような句会は気楽でいいものです。なによりそんな句会には、ちょっとしたギフトがあったりするのです。それは俳句を披露しあうことで「わたしの気づいていない、わたしの心」を、仲間が気づいて教えてくれる、そんな思いがけないメッセージがあったりします。
たとえば......
山の月冴えて落葉の匂かな
(『芥川龍之介俳句集』(岩波文庫)P88より引用)
作り手は「乾いた落ち葉を月光が寒々と照らしている」と、失恋の気持を詠んだつもりだとします。でも、ひとから「枯れた葉から、ふっと匂いたつところに希望を感じる」と言われたら......。
(あれ? 自分はまだ落ち込んでいると思っていたけど、じつはもう私、前を向き始めてる?)
そんな気づきをもらえるのです。
句会はメッセージを贈り合う場一般的な句会の流れは、
【投句】作ってきた句(3~5句)を、一句ずつカードに書く。
ここでカードに名前を書かないのがポイント!
【清句】カードを集めてシャッフルしてから、代表者が全部の句を一覧表に書きだす。
書きだすのは、筆跡から誰の句かわかってしまわないようにするため。
【選句】全句の中から自分の好きな句を3つ選ぶ。まだ、どれが誰の句かわからない。
【披講】選んだ句を発表する。自分の句が読み上げられたら「私の句です」と名乗る。
選んだ人は、なぜ選んだのか、その句をどう感じたのかを伝える。
作者がわからずに選ぶので、この人だからこんな意味よね、という先入観なしに句を自由に感じることができ、だからこそ予想外の解釈が生まれるのです。男勝りを自称していたけれど、じつはフェミニンな視点の持ち主であることを発見してもらえたり、生真面目な人間だと思いこんでいたら、思いがけないユーモアのセンスを見出してもらえたり。句会はそんなメッセージを贈りあう場になれるのです。
最近では、芥川賞作家たちが参加する公開句会「東京マッハ」や出版社が開くものなどがあるので見学をしてみるのも一興です。
[芥川龍之介俳句集 , 句会の方法 , ネット上句会「現代俳句協会」]
【参考図書】
『俳句、はじめました』(岸本葉子)
『句会という遊び』(小林恭二)
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