ニューヨーク街あちこちに転がる、人間たちの食べこぼし。そのゴミを狙うようにしてアリやゴキブリといった害虫が集まってきます。けれども、害虫とよばれる虫が、人間の出すゴミを片づけ、害虫が増えないようにしてくれていたことが判明したのです。
アリはニューヨークの掃除屋さん驚きの研究結果を公表したのは、ノースカロライナ州立大学のエルザ・ヤングステッドさんたちのチーム。彼らの研究によると、害虫と呼ばれる虫たちのなかでもアリは、「大量のゴミをエサとして消費し、街をキレイにしている」のだといいます。
彼らがおこなった実験はこう。アリのようなちいさな生物がすり抜けられる金網の籠をつくり、なかにクッキーやポテトチップス、ホットドックなどを入れ、市内あちこちに設置。となりには、アリだけでなく他の生物も食べられるように、籠が開いている籠に同様の食品をいれて、設置します。
そうして、24時間後に籠2つを持ちかえり、食べ残しの量からアリのゴミ消費量、街の生物たちのゴミ消費量を計測するのです。
その結果、
とくに道路のちかくに生息するアリは食欲旺盛で、大量のゴミを食べていることがわかりました。ブロードウェイ通りの中央分離帯に住むアリたちは、年間ホットドッグ6万個分ものゴミを消費することができるのです。
「The Washington Post」より引用
しかも、アリが路上のゴミをエサにすることで、ネズミやその他の害虫が街に寄りつかないようになるのだといいます。
ちいさな命の大きな貢献けれど、残念なことにニューヨーク市民でこの事実を知っている人は少ないよう。「アリは駆除すべき」と考える人が大部分を占めることを、ヤングステッドさんは嘆いていました。
私がアリの研究をしていると知った通りすがりの人が、「いい駆除方法がみつかるといいね」なんて言うのです。(中略)けれど、調査結果からアリたちはエコシステムのなかで私たちが気づかないような重要な役割を果たしていることがわかりました。
「The Washington Post」より引用
とヤングステッドさん。どんなちいさな命でも、その存在に意味があること。ちいさな命が大きな貢献をしていることを、私たちは忘れてはいけません。
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