料理は子どもたちや父兄からのリクエストに応える形でメニューを決めます。この日は、出産したばかりの奥さんを抱える(?)だんなさまから「3食作ってたら、同じものしか作れなくって。どうしてもお稲荷さんをマスターしたいから教えて欲しい!」と熱い要望をいただきました。
何を隠そうわたしも、回数でいうとそれほどお稲荷さんは身近ではありません。ちらし寿司ならよく作るのですが......。でもせっかくなので、子どもたちといっしょにお稲荷さん作りを体験しよう、ということになりました。この日は2種類のお揚げを用意して、まずは油抜きしてから、口を開きやすくするため綿棒や空き瓶をコロコロとお揚げの表面を転がす作業を始めました。
「あんまり力を入れると破れるからね」と慎重に「その次は、口を開きます」と、みんなでいちばん重要な工程に取り掛かりました。子どもたちの小さな手が、見るもたどたどしくもぞもぞとお揚げの口を開けようとしています。しかし、なかなか上手くいきません。破けるお揚げの続出で、結局4分の3がちらし寿司用に刻まれました。どうやら揚げの種類も重要らしく、やりやすいものとやりにくいものがありました。「難しい!もういやだ〜」と言う子もいれば「なんとなーくわかったような。次回はきっとうまくいきそう」と期待する子も。気をとりなおして「お稲荷さんとちらし寿司の両方を食べられることになってラッキーだね!」と説得。
ちらし寿司には、お揚げの他に人参や筍、椎茸などもいっしょに煮て味付けし、彩りの絹さやを混ぜました。錦糸卵や海苔も忘れずに、飯台にたくさんこしらえました。
お稲荷さんの中につくったちらし寿司を詰めて、ちょっと豪華に仕上げました。甘辛く煮付けたきつね色のお揚げ。味が染み込んでおいしそうです。
さて、試食。
「うーん、うまい!」と大好評。よかったよかった。結局、リクエストをした本人は急用で来られず「また作って〜」ということになりました。今度はきっと、失敗せずに作れるはずね。