子どもたちに新しい体験と見聞を
キャンプ、サイクリング、登山、海・川遊びから、インドでのトレッキングなど、「夢のたね」の野外活動は、日本だけでなく世界中を遊び場にして繰り広げられます。野外活動中、子どもたちは、青山さんと数人のスタッフのサポートのもと、自身で衣食住にかかわることをほとんど行い、自活力を養います。また、野外活動だけでなく、青山さんの世界一周の体験談から成るトークイベントもプログラムに組み込まれています。
実体験と見聞を通して、子どもたちに新たな世界の扉を開くようなワクワク感を届けます。
野外活動では、食にもこだわり
生きていく上で、必ず食べるという行為は欠かせない。ということから、野外活動のなかでも「食」にはこだわりがあるのだそう。
献立は、自然食レストランで調理の経験もある栄養士の資格を持ったスタッフが考案、子どもたちの調理をサポートします。基本的には子どもたちが買い出しから調理までを行いますが、買い出しの際は、生産者がみえる食材を購入するように心がけているそうです。
「何かを買う時に『どういったモノが本当に良いものなのか?』ということを子どもたちに考えてもらえたらと思っています。ひとりひとりが、どういう基準でモノを選び、消費するかで社会のあり方は変わる。だから、真心を込めて作られているようなものを子どもたちと一緒に考えて、買い物するように心がけています。」(青山さん)
「その地の良いものを使い、楽しく記憶に残る食」が夢のたねの食事のモットーだと言う青山さん。いくら良いものを使っても、食事は楽しい雰囲気でなければ意味がない、とも話してくれました。
「可能性のたねを蒔く」というテーマ
Photo by Masashi Yoneda
青山さんは若干26才の若き冒険家。約2年をかけて旅をした世界一周中、ケニア山(4985m)、キリマンジャロ(5895m)、ワイナポトシ(6088m)に登頂し、さらには南米最高峰アコンカグア(6962m)に単独登頂も果たしています。しかも登山だけではなく、サーフィンにMTB、クライミング、バックカントリースキー、スノーボードなど、一年を通して自然と触れ合い、その行動範囲は海外にまでおよびます。そんな青山さんが「夢のたね」を立ち上げた動機は、幼少期のころの経験にあるそう。
「僕は長野の田舎で育ったんですが、小学生の頃、周囲とうまく付き合えず、学校が本当につまらないと思っていた時期がありました。休み時間は、図書館に行っては本を読んでいるような子どもでした。しかしそんな時、『ロビンソンクルーソー』という本に出会い、僕の世界観が変わりました。この本は、遭難した主人公が無人島に流れつき、そこで生活していくという有名なストーリーですが、それが子どもの僕には大冒険に思え、ものすごくワクワクして。『学校と家だけではない。世界は広く、面白いことがたくさんあるんだ』ということを知ったのが衝撃的でした。生きる喜び、新しい世界への扉をひらいてくれたのは、僕にとっては一冊の本でした。 『夢のたね』も今苦しんでいる誰かにとって、そんな存在でありたいと思っています。
大自然の中での野外活動を通し、新しい世界に触れ、家や学校にはない面白い場所がある、ということを子どもたちに伝えたいと思っています。そして、僕の経験や生き方のすべてが、子どもたちの生きていく糧になってほしいと願っています。」(青山さん)
子どもたちが自然を通して、何かしらを学んで帰ってくれることが嬉しい、と青山さんは言います。
キラキラと真っ直ぐな瞳で語ってくれる青山さんがとても眩しくて、お話を聞いているうちにすっかりファンになってしまいました。子どもたちはきっと、「夢のたね」での体験と青山さんの生き方を通して、自らと可能性と世界観を広げていくことでしょう。
[夢のたね]