毎朝10分の「褒める習慣」
彼の担当生徒はみな、自閉症やアスペルガー症候群、脳に障害を持つ子どもたち。小さな8人のクラスを受け持っています。
動画では、ホームルームらしき様子が。生徒が一人ずつ名前を呼ばれ、先生の前へ。皆の前で「褒められる」ことから一日が始まります。名前を呼ばれた生徒は緊張しつつ、でも毎朝繰り返されるその習慣に少々ニヤニヤ。
「君はとってもスマートだ」「人に優しくしてくれるね」「ジョークを言ってみんなを和ませてくれてありがとう」「君は特別なんだよ」......。
優しく心から様々な言葉をかけられ、そして最後はハイ・ファイブ、手をパチン。どの子もとってもうれしそうです。
驚くべきことは、この「朝10分の習慣」を初めてから、とくに子どもたちのコミュニケーション能力が言語的・非言語行動(ボディランゲージ)ともに飛躍的に伸びたのだそうで、生徒間においてもお互いのいい部分を見つけては褒めるようになったそうです。
また、はじめは一言も話さなかった生徒も、自らすすんで音楽やダンスに取り組むなど、様々なことに意欲的にチャレンジするようになったといいます。
ありのままを受け入れ、たくさん褒める教師が彼らにとってのノーム(社会標準)となり、他人のいい点に目をむける相乗効果を生みだす。
「人を阻害するということは、誰かに植えつけられた悪習慣によるものです」。そんなクリスの言葉が響きます。
環境が人間を育ててゆく
学校で何かを学ぶという目的はもちろん、その前に人として一番大事なものを子どもたちに与えてくれるクリスは、その人間性から、親たちも大ファン。
彼の生徒たちがいかに特別な存在であるかを世の中に知ってもらいたい、そして社会をもっとより良いものに変えていきたいとの願いから、フェイスブックで日記をしたためています。
「(クリスの信条)褒めることにより、自己肯定力が育つ。自分ができないものにフォーカスするのではなく、自分ができるものに目を向けるようになるのです」
(MIGHTYより翻訳引用)
平和や愛・調和を、願うだけでなく態度で示すことの大切さ。そして誰かを褒めるということは、自分自身を褒めるということ。改めてその大きな意味を感じました。
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