1.使い慣れたベッドの方がよく眠れる
パリのオテル・デュー睡眠センターのデュフォレ博士によれば、10年前にはなかった現象として、睡眠障害に悩む思春期の青少年が挙げられるそうです。それをきっかけに、同センターとヨーロッパ睡眠センターの医師が行った研究で明らかになったのは、使い慣れたベッドよりも新しいベッドの方がよく眠れるという結果です。
眠りにつくまでにかかる時間は、いつものベッドだと19.2分かかるところ、新しいベッドだと平均11.8分。睡眠時間は最も多い被験者で25.7分、平均でも21分増えました。また、特に、深い睡眠状態にある時間は(中略)20分近くも増えました。
「Le Parisien (1)」より翻訳引用
よく知られているように深い睡眠は、心身の回復に役立つものであり、記憶や学習にも必要なものです。この研究は、思春期の青少年を対象としたものですが、睡眠障害を抱えている人は、一度、新しい寝具を試してみてもいいかもしれません。
2.都会よりも田舎の方が睡眠時間は長い
意外だったのが、Current Biology誌に10月発表された研究によると、工業社会に住む現代人は、僻地で狩猟生活をしている人々よりも睡眠時間が長いのだそうです。カリフォルニア大学のシーゲル氏らによるこの研究は、現代欧米人と、タンザニア、ナミビア、ボリヴィアの狩猟・採集民族の生活習慣を比べたものです。
これらの(狩猟・採集)民族は、平均一日6.5時間眠ります。それに対して、工業文化社会での平均睡眠時間は7~8時間です。
「Le Parisien (2)」から翻訳引用
睡眠時間の長さは都会に住む人でしがが、その代わり狩猟社会には、不眠がほとんどないそうです。
彼らの睡眠時間は、温度と相関関係にあります。冬は夏よりも約1時間長く眠るのです。研究者によれば「自然条件の中では、人間は、気温が低いとき、より長く眠る」そうです。(中略)(冷房暖房の普及した)現代社会では、この睡眠自動調整機能はほぼ完全に失われてしまいました。
「Le Parisien (2)」から翻訳引用
暖房の効いた部屋でよく眠れないときは、部屋の気温を1度下げてみてもいいかもしれません。
3.なんといっても長く眠るのが一番の休息
短い睡眠時間の夜と、何度も起こされるものの長く眠れる夜と、どちらか選べと言われたら、どちらを選びますか?
そりゃぁ、やっぱり長く寝たいと思った方。考え直してもいいかも。いくら長く眠れても、細切れに起こされる夜は、短い睡眠よりも悪影響が大きいそう。今年11月Sleep誌に発表された、米バルティモアのジョン・ホプキンス大学の研究によれば、その影響が顕著に表れるのは細切れの睡眠を2晩過ごしたあとだそうで、肯定的感情が31%も減少してしまったという研究結果がでています。
細切れな睡眠をとった被験者グループでは、短い睡眠の被験者グループと比べて、低周波の深い眠りの時間がずっと短かったのです。研究者によれば、深い眠りは、休息にかかせないものです。
「Le Parisien(3)」から翻訳引用
たしかに、私も、仕事や勉強が理由で恒常的な睡眠不足が続いた時期よりも、赤ん坊の夜泣きで、1、2時間ごとに起こされる夜が続いた時期の方が、きつかったように思います。短くても深く眠れる方がいいようです。
4.寝てばかりいると太る
起きていろいろ動き回った方が、眠るよりエネルギーを消費するように思うけれど、足し算や引き算のように単純には計算できないのが人の身体のようです。
フランスの国立睡眠・覚醒研究所によれば、短い睡眠は、体重過多のリスクを女性で34%、男性で50%も増加させます。この研究は、睡眠不足と、つまみ食い(特に甘いものを欲する)の関係も明らかにしています。というのも、疲れると、脳はエネルギーの元になる糖分を必要とするからです。
「Le Parisien(4)」から翻訳引用
American Journal of Health Promotionに発表されたアラバマ大学の研究からも同じ結論が引き出せます。
つまり、
7時間未満の睡眠しかとっていないと、甘い飲み物食べ物の消費が増え、肥満のリスクが増加する
「Le Parisien(4)」から翻訳引用
疲れたときに甘いものが欲しくなる経験は、誰でも覚えがあると思いますが、睡眠不足でも同じことだと言われると納得できます。つまり太らないためには、ちょうどいい睡眠が必要なんですね。
5.自制心と不眠とは何の関係もない
一見無関係に思える自制心と睡眠。ところが、British Journal of Health Psychology誌に発表されたスウェーデンの研究によれば、
感情のコントロールを失った人は、不眠、特に慢性的な不眠に陥りやすい
「Le Parisien(5)」から翻訳引用
ことが判明しました。
言い換えれば、感情をコントロールできるようになれば、不眠のリスクも下がるということで、実際、イギリスのノーザンブリア大学が行った最近の実験によれば、1時間の認知行動療法(心理療法のひとつ)を受けた参加者の73%が、不眠を克服することができたそうです。
単純計算でも人生の約3分の1は、眠って過ごしている私たち。これらの研究をヒントに、良い睡眠を得て、心身の健康を保ちたいものです。
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