会場は、カフェ山がめ跡地。知る人ぞ知る、このびっくりするくらいの山奥にあったカフェは、目を凝らせば私でも精霊が見れるんじゃないか!? ってくらい緑豊かな場所。すぐそばに清流が流れ、巨大なシダ植物「へご」がレースのような葉を茂らせている。
この日、この森に奉納される音は七尾旅人さん。それからROVOの勝井祐二さんはバイオリンを携えて。高江在住のギタリスト、石原岳さんはこの祭りの主催者でもある。踊りは「高江フラ」。高江近郊に住むメンバーが寄り集まった大人と子どものフラチームだ。歌と踊りがある夜は、いつでも心踊る。
私はこの日、賄い係をかって出た。昼ごはんと夕ごはんの2食を作った。
昼はお弁当。麩イリチー(お麩とニラの炒めもの)、野菜パパイヤと豚ひき肉のタイ風炒め、ナーベラー(ヘチマ)の味噌炒め、四角豆の天ぷら、いりことヘンプナッツの田作り、クワンソウ(オレンジ色の花)の甘酢漬け、黒米と緑豆の五分づき米。沖縄の旬の食材を使った、家庭のお惣菜。夜はカレーに。バターチキンカレー、レンズ豆と島かぼちゃのカレー、ひよこ豆のサラダ、オクラのスパイス炒め、白米。
この日は朝、5時半起きだったので、七尾さんのライヴが始まる7時過ぎには、もうふらふら。おまけに久しぶりの高江の森の湿度が心地よくて、すでに「夢なの? ここはどこなの?」という状態だった。
秘境とも呼べるこの場所に集まった、100人はいただろうかオーディエンスの熱気もさることながら、地元の子どもたちの奔放さはゆうに大人を超えていた。止まらない、子どもパワー。昨今、高江は何かと騒々しい。ヘリパット建設を巡って、民間人、そしてそのカウンターとして機動隊や警察が日々、大勢押し寄せる。渦中に身を置く人は、心労が絶えないだろう。
でも、この音楽祭はつかの間かも知れないけど、普遍的な平和を感じることのできるお祭り。みんな同じ歌を聴き、踊りに目を細める。じつに、賑やかでたのしい夜でした。