二十四節気の霜降の期間に入ります。
そろそろ霜の降る話が聞こえてくる、という頃になります。肌にあたっても温かくて濡れても平気、と思えていた雨もいつのまにか冷たくて濡れて風邪をひかないように、と心配になりはじめるのもこの頃です。
心をクリーニングする秋気霜降の約2週間が終われば、次の二十四節気は「立冬」。
いよいよ「冬」の文字があらわれはじめるまでの期間、季節はダイナミックに変化していく時を迎えています。
秋の澄んだ爽やかな空気の感触を「秋気」と呼びますが朝玄関を開けたとき、窓を開け放ったとき、その感触が一日一日変化していくのをはっきりと感じる季節が今。
それまで見えなかった遠くの山々や景色をくっきりと見せてくれるように澄んだ秋の秋気は私達の心にも働きかけてくる力があります。
清く澄み切る秋の気に積極的にあたって疲れと忙しさでできた心のにごりもきれいにするのを手伝ってもらいましょう。
秋を感じる「つるべ落とし」それにしても秋は日が暮れるのが早いです。
「つるべ落とし」ということばがあるようにいつの間にか、すとんと日が暮れて真っ暗になります。
日が暮れるのが早くなり、夜が長くなったからだ、とばかりに思い込んでおりましたがでも実はこれ、そのせいだけではありません。
太陽が水平線に沈む日没してから暗くなるまでかかる時間をそれぞれはかってみると、秋は夏よりも実際に早いのです。時間にしてみればその差は約20分ほど。これは太陽の沈む角度によるものなのですが、これだけ時間が違えばなんだかすぐに暗くなってしまう、と感じるわけです。
夏至の頃、日が暮れてからからなかなか暗くならないなあ、と思った経験が誰しもあると思いますが、それとは逆にあっという間に暗くなるのが晩秋。
なんとなく感じる季節の切なさと一緒に、太陽という天体の動きの織りなす宇宙の営みの中で生きているという事実。
この二つを感じながら大きな懐を育む、それが晩秋の愉しみのひとつです。
(広田千悦子)