フィンランドの人たちにとって、疲れたカラダだけでなく、休むまもない心・疲れきった精神にも癒しを与えてくれ、芯からリラックスさせてくれる場所、それがサウナなのです。
出産も行われた、神聖な場所「サウナ」各家庭や仕事場、工場、スポーツセンターやホテル、ショップなど、約540万人の人口に対して330万以上のサウナがあるとされるフィンランドでは、国民の99%が1週間に1回はサウナに入るといいます。
その昔サウナは、女性が出産する場所として、結婚前の儀式、また死者の遺体をきれいに洗う場所として、サウナは神聖な場面でも使われたといいます。
ヘルシンキ在住のジャーナリスト、マーク・ボズワース氏がBBCに寄せた記事「なぜフィンランドはサウナを愛するのか("Why Finland loves saunas")」によると、サウナ内で、熱く焼けた石の上に掛水をすると噴出す" loyly"と呼ばれる蒸気の特徴を楽しむことが、サウナの醍醐味であるのだそう。
不思議なことに、サウナひとつひとつに固有の蒸気が存在し、同じものはないのだとか。スモークサウナ (savusauna)、木のサウナ(日本のスポーツクラブでおなじみのもの)、電気サウナなど、いろんな種類がありますが、その蒸気の香りやきめ細かさ、動きの違いを肌で感じることができるなんて、非常に興味深いですよね。
アロマオイルをたらして健康にヨーロッパではサウナ内でアロマオイルもよく使われ、のどや鼻の通りが悪いときにはユーカリのオイルを掛け水に数滴垂らし、乾いた石の上にかけて香りを楽しむといったものが人気です。
また最近はエンターテイメント性のあるサウナも登場し、例えばミュンヘン郊外のあるサウナではパンが焼かれ、あるいはマンハイム近くの巨大サウナでは、隣接した大きな池の鯉を見ながら入れる「水族館サウナ」などもあります。
「水着で入る」は邪道!?サウナに入るときは、裸であることが鉄則。なぜならば洋服に含まれるブリーチ剤などが熱にさらされると、アレルギーを引きおこしたりすることもあるのだそう。
また水着を着てサウナに入ると、発汗作用が減少するだけでなく、いやな匂いのためにリラックスできない、という単純な答えも。いずれにせよ、サウナの効果を最大限にうけられるよう、ドイツをはじめヨーロッパでは、サウナは基本的に裸ではいることがルールとされています。
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