• このエントリーをはてなブックマークに追加
たった17文字。透明な五感にかえる魔法の言葉
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

たった17文字。透明な五感にかえる魔法の言葉

2014-10-21 21:00
    ふと気がつくと、日は短くなり、見上げる空は高く、木々は色づいたり葉を落としはじめて、季節はいつのまにか移りつつあります。 透明な五感をもって、今この瞬間を大切にしよう

    大人になるとめまぐるしく時間が過ぎてしまって、季節をしみじみ感じるよりも「いつもの繰り返し」と思いがちでした。そんな時、ふと目にしたのがこの俳句です。

     月光のただ針がふる針がふる

    (『現代の俳句』より引用)

    冷えた空気の中で、月の光がまるで針のように鋭い光を帯びて降ってくる。そんな光景がありありと浮かんでくる句です。変わらず満ち欠けを繰り返す月を、ごく当たり前のものとしか感じ取っていなかった自分。でもこの17文字の中に、はっと眼が覚めるように鋭い当たり前じゃない月があったのです。ありきたりだと思っていた風景が、がらっと違うものに感じられた瞬間でした。

    この句を作ったのは富沢赤黄男(とみざわかきお)。明治35年に愛媛県で生まれた俳人です。

     夕焼けのやうな魚をさげてくる

     かなしさはきみ黄昏のごとく去る

    (『現代の俳句』より引用)

    これらの句を読むと、ただの夕焼けや黄昏の風景が、すっと自分の生活に寄り添ってくるように感じられます。時間は生きていて、同じ時間は二度と巡ってこない。だから今をもっと十分に味わいつくそう。透明な五感をもって、今この瞬間を大切にしよう。そんな気持ちを、この赤黄男の俳句からもらえた気がしました。

     稲光り わたしは透きとほらねばならぬ

    (『現代の俳句』より引用)

     

    [現代の俳句赤黄男百句]

    moon via Shutterstock

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2014/10/041551kakio_tomizawa.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。