2月20日は歌舞伎の日。最近ドラマや映画で、片岡愛之助さんや尾上松也さんなど歌舞伎役者の活躍が目立っています。芝居力と存在感で注目度があがっているのでしょう。
歌舞伎役者は知っていても歌舞伎の演目はわからない。そんなイメージを持っていたらもったいない! 歌舞伎には、奇想天外なストーリーや男前のヒーロー、笑える小悪党が大集合。知れば知るほどおもしろいのです。今回は歌舞伎キャラクターのなかから、女性のお手本になるような「女前」のヒロインを2人ご紹介します。
歌舞伎のヒロインの女前なセリフまずは、『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』から。ヒロインの桜姫は、とんでもない恋の道に足を踏み入れてしまい、高貴な身分からどん底の生活にたたき落とされます。そんななか、彼女を一方的に慕って命を落とした男が幽霊となって「死んでこっちに来い」と誘惑してきて......。
恐ろしい幽霊を相手に、彼女はきっぱりとこう言います。
体をはって恋人を守り、自分をつらぬく消えなさい、私はあなたに祟られる理由などない! 私が落ちぶれたと思っているかもしれないけど、これは私が選んだ道。同情されるいわれはないわ!
次は、『助六所縁江戸櫻(すけろくゆかりのえどざくら)』から。
親の仇打ちのために人生を賭けている男、それがこの物語のヒロインの恋人です。ヒロインの揚巻は、恋人のために金持ちの男からの求愛を袖にしたばかりか、恋人の急場となっては体をはって守り抜くのです。
古い物語だからといって、か弱く男に守られるばかりの女性が出てくると思ったら大間違い。歌舞伎には道ならぬ恋があり、それをまっとうするためにとてつもなくかっこいい行動を見せるヒロインが登場するものがいくつもあるのです。
お手本の女性像は、歌舞伎からみつかるかもしれません。
[歌舞伎への誘い]
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