空櫁とは、ちょうど2年前に企画展を催していただいてからのご縁。マイロハスでも紹介している福岡彩子さんの器や花器は、日々使い込むうち、初々し表情から少しずつ、貫禄ある顔に変わってきています。
いまに陶房の、やさしい器「こども茶碗」。私が選んだのは、紫がかった下の色。
今回、自分用に求めたのは、ふたつの器。
ひとつめは、奈良県川上村「いまに陶房」の"やさしい器シリーズ"で、スプーンですくうとき、ごはんが器の外に逃げにくい「こども茶碗」。リムが平たく手が添えやすく、広い高台はしっかり安定感があります。茶碗の内側には料理がすくいやすいように段差がつくられ、子どもが自分の手でごはんを食べるのに安心。
小さな子どもを抱きながら離乳食を与えるお母さんの手にも、持ちやすいように工夫されています。「こども」と名前がついているけれど、おとなにだって使い勝手がいい仕様。汁物の惣菜や、朝のヨーグルト、ちょっと卵をかきまぜるボウルとしても、重宝するだろうと気に入って。
聞けば「やさしい器シリーズ」は、いまに陶房・鈴木雄一郎さんの奥さまの、半身麻痺の経験から生まれたそう。子どもや、手や指に不自由さを感じる人でも、美しい器でおいしくゆっくり食事が楽しめるように。背景に潜む物語を知り、選んだ器がさらに愛おしいものに。スタッキングもできるので、少しずつ買い足していきたいなあ。
右下が、私が選んだ生形由香さんの白い器。
ふたつめは、益子にて作陶をおこなう生形由香さんの白い器。内側にほどこされた花の模様は、なんと手彫りなのだそう。「生形さんの器に食べものを盛ると、ちょっとしたものでも、高貴な風景になるんですよ」と、空櫁オーナーの五井あすかさん。本当に。
生形由香さんの白い器。雨の日、普段より暗い家の中では、影をまとい、また違った表情を浮かべていました。
できることなら触れずにただ眺めていたいほど美しいけれど、家に持ち帰ってから、さっそく毎日、フルーツやちょっとし た惣菜を盛りつけ、毎日ざくざく使っています。
友人への誕生日の贈りものに。瀬戸焼のうさぎのブローチを。 友人へのお礼にと求めた、奈良市月ヶ瀬「久保田農園」のフレーバーティー。丁寧に育てられた和紅茶に、数種類のハーブをブレンドしています。
旅から戻った東京は、梅雨に舞い戻ったように雨続き。
空櫁の風景。日本家屋に、陰影が映えます。
お気に入りの器が増えたおかげで、朝晩の食事も、窓を打つ雨さえも、心地よく感じられます。