以前、どんな食材でも等しく扱うことについて『典座教訓 赴粥飯法』の一節からご紹介しました。物事を差別しないで平等に扱うことについて書かれていますが、食材だけでなく、食べ手の差別もしない、ということだと思うのです。
特に、自分で自分のために作る場合は、手抜きをしたり、まあ自分だけだからいいか、と盛りつけが適当になったりしませんか? でも、たまにでもいいので、自分のために自分が喜ぶ料理を心を込めて作ってみることをおすすめしたいと思います。それには、自分自身を自分の親友だと思って接するのが分かりやすいかもしれません。親友が家に遊びにきたら、どんな料理を作るでしょうか? 好きなもの、そして身体にいいものを心を込めて作るのではないでしょうか。親友が料理をしてくれる、という場合に、もしあまり気乗りがしなそうであれば外食に行くかもしれません。また、体調の悪い親友になにか料理を差し出すなら、どんなメニューにするでしょうか?
自分が自分を扱うように、他者は自分に接します。自分をどんなふうに扱っているでしょうか。もし、現状に満足できないことや変えたいことがあるなら、まずは1日に3度の食事から、自分を大切なもの、かけがえのない存在として扱ってみるのをおすすめしたいと思います。
今日食べたもの:栗のリゾット
いよいよ八百屋さんに栗が並ぶ季節になりました。甘味があって栄養価の豊富な栗は、秋にぴったりの食べものです。意外にも鮮度が落ちるのが早い栗は皮を剥いてさっと茹でて冷凍しておきます。
栗のリゾットは、栗のやさしいおいしさがしみる、大好きなメニューです。鍋にオリーブオイルとヒン少々を入れ、白米か分搗き米を研がずに炒めます。お米が透明になったら昆布出汁か野菜出汁と栗、ローリエを加えて強火にし、沸騰したら弱火で10分程度加熱します。塩とお好みのチーズで味をととのえてできあがり。お皿に盛ったら、胡椒とパルミジャーノレッジャーノをたっぷり挽いて召し上がれ。