となると、ウィンタースポーツとして学校の課外授業に取り入れられるのは、スキーとスケート(80年代はまだスノボーはメジャーじゃなかった)。どちらに軍パイが上がるかと問われれば、私は即答で「スケート」だった。
理由は単純で、装備が簡単だから。靴さえ履き替えればすぐに滑れるし、何かと移動距離が少なくていい。それに比べてスキーはモコモコのスキーウェア(当時比)で防備し、ロボットみたいな靴を履いて重い板を担いで歩かなきゃならない。それがほんとに億劫で、隙を見てはロッジで油をうっていた。
さて、スケート。学校で行くスケート場は「塩原スケートセンター」という、名の通り塩原町にある施設だった。真冬のそこは、山に雪がかぶってまるで水墨画のような景色だった。だだっ広い氷面は天然に凍っていて、みな思いのままに滑っている。寒さは格別だけど、ひとりで誰もいない場所をシューシューと滑っては、目の前の作者なき名画に息を呑んだ。
スケートに通ったのはその数回だろうか。中学生になると、スケート、ましてやスキーにもとんと縁がなく、陸上部の部活以外はインドア一色になった。
そう、今回は沖縄に移住して初めての「島」スケート体験(なんでも島をつけてみよう)。「沖縄だから」、とタカをくくって薄着で行ったら、扉一枚隔てたそこは極寒の氷の世界だった。
友人家族、総勢14名が参加。うち、3名が始めからその気なしの棄権で、よって同じ棟にある「岩盤浴」に行ってしまったー。
私はもちろん滑った。当時の記憶より氷がつるつるしていて一瞬ひるんだけれど、しばらくすると、身体が思い出してきた。スケートは、恐怖心があると足に力が入り内股になってまっすぐ進めない。だから、「こわくなーい、こわくなーい」と自己暗示をかけること。というのが、おこがましくも息子たちに伝えた滑れるようになる心得。そしたらみな、「こわくなーい、こわくなーい」と呪文を唱えながら取り組んでいる。いいぞいいぞその調子。
しっかし、寒い。内臓まで冷えてきたので、私も岩盤浴へGO! あがった後は、ボウリングにビリヤードに卓球と、絵に描いたような娯楽をこなしてみた。これ全部、同じ施設内で遊べます。ちなみにカラオケもあるそうな。島スケート、なかなか楽しめますよ。