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語り処_2022.02.27
2022-02-27 20:20330pt1. ひとことオピニオン
世界は「秩序なき時代」に入った
今回のことを目にして、人類はこういう歴史をまた繰り返すのかと暗澹たる気持ちになると同時に、本当にやったのかという驚きの気持ちも隠せません。 戦争はまだ起きたばかりで現在進行形のため今後どうなるか余談は許しませんが私は少し長い目でみれば、これはロシアにとって、決してよいことではないと思います。今回のことが容認されるなら、「武力」をもってして何をやっても構わないということになってしまいます。 背景にどういう理由があろうとも、国際ルールを無視して軍事行動により他国の主権を侵害することがまかり通るのであれば、歴史の針を逆回転させていくことになります。 プーチン大統領は今回のことを、クリミア併合のときから画策していたのだと思います。国際社会は ウクライナの領土とされているクリミア半島がロシアに侵略されるのを阻止できず事実上容認してきました。そうしたある種の宥和政策が今回の戦争を招いたともいえます。 プーチン大統領は演説の中で「ロシアは核保有国の一つだ。われわれに攻撃を加えれば不幸な結果となるのは明らかだ」という趣旨のことも言っています。本来なら自由民主主義陣営は「そんなことしたら、こちらも徹底して戦う」と毅然とした態度を示すべきなのです。 しかし、その代表格である米国が何も言えない弱腰なわけですから、ロシアはますます増長してプーチン大統領はやりたい放題になるのは当たり前です。人類の歴史は平和なときよりも戦時のほうが長く、常に殺し合いの連続でした。 世界は第二次世界大戦を終え、双方に大きな犠牲が出たことで、いい加減にこうした不毛な争いに終止符を打とうということで国際連合を発足させたはずです。ですから、私は日本が国際社会に復帰し国連に加盟したときから一貫して、国連の機能を強化しなければいけないと言ってきました。 今回のように 安全保障理事会 常任理事国のうちの一国が当事者になった場合、国連は完全に機能不全となってしまいます。こういうときは国連総会で決議し、それを尊重して国連として行動を起こしていくべきだというのが私の主張です。 その中には、経済封鎖だけでなく、国連軍による派兵も当然含まれます。そういう連帯を図っていかないと、武力に勝るものはないと各国が武装独立に走り、世界は武力競争になっていくのは目に見えています。 今回の最大の問題点は、自由民主主義陣営のリーダーである米国が弱腰だということです。こういう横暴に対しては、リーダーを中心にみんなが結束して阻止しなければいけないのです。そのための民主主義であり、国連であり、国際的連帯のはずです。 現在ではまだ不確定要素が非常に多くありますが、秩序なき道義なき時代に歴史は後戻りしてしまったといえます。大変な時代に突入したことは間違いありません。
2.季節の話題
小松 帯刀のお墓をつくり直したい
260年以上続いた幕藩体制に終止符を打ち、1871年(明治4年)7月に「廃藩置県」が発令されて昨年で150年になりました岩手県に関しては1872年1月に「盛岡県」から「岩手県」に名前が変わったため、今年が「岩手県」誕生150周年となります。 日本は黒船の来航により開国し、早急に近代国家の体制をつくらねばなりませんでした。そのため明治政府は日本という国を一つにまとめるため廃藩置県を行い中央集権化急ぎました。 このとき初めて、日本に中央集権国家が生まれたと言われます。しかし、実は明治を遡ること1200年以上前の645年に、 日本は初めて統一政権・律令国家をつくっています。大化の改新です もちろん近代国家か否かという違いはありますが、ある意味でそれをまたやり直したのが明治維新です。この明治維新絵でたいへんな活躍をしたのが小松 帯刀です。 彼は明治維新直後に36歳の若さでて病死したため、同じ薩摩出身の西郷隆盛や大久保利通のほうが有名ですが、薩長同盟や大政奉還などの幕末政局を事実上動かした中心人物です。 その早すぎる死で維新後の活躍が果たせなかったことを惜しみ、「幻の宰相」とさえ呼ばれていると地元出身の人に聞いたことがあります。 僕は彼がいなかったら明治維新は実現できなかったのではないかとさえ思っています。 大久保利通、坂本龍馬、西郷隆盛、木戸 孝允、 井上馨や伊藤博文 ・・・。とにかく、明治維新で活躍する人々を育て、それらの人たちをつなげていったのが 小松 帯刀です。 その小松 帯刀の墓参りに以前行ってきました。 明治の廃仏毀釈で小松家の菩提寺は廃寺となり跡地の一角に 小松家歴代の墓が集められ所狭しと並べられています。その中のひとつに 小松 帯刀の墓もあるのですが、 あれだけの功績を残した人にしてはあまりにも寂しい。 からもし地元の人も望んでくれて、僕に少し時間的余裕ができたら、ぜひ 小松 帯刀の功績に相応しい お墓につくり直したいと思っています。
3.Q&A ウクライナ戦争と台湾有事
今回のプーチン大統領のふるまい、そしてそれに対する国際社会の反応を習近平国家主席は冷静に観察していると思います。 プーチン大統領の一線を越えた行動に対して欧米が何もできないとなれば、台湾のためにも米国が戦うことはありえないでしょう。また、日本の尖閣や沖縄についても同様だと思います。そういう 米国の本心を見透かしたら、中国もそう遠からぬうちに、ロシアと同じようなことをしてくる可能性があると私はみます。 現在の中国は多くの内政問題を抱え、経済的にも不動産バブルが弾け、国民に不満が高まっています。そういうなかで、2期10年までとされていた国家主席の任期制限を撤廃し、不文律の「68歳定年」も無視して3期目を目指す習近平国家主席にとって、対外問題に国民の目をそらすことは大きなメリットがあります。私は習近平国家主席が決断するのも、そう遠くないような気がします。 その場合、沖縄には米軍が駐留していますし、中国も当面は日本を直接的には刺激したくないので、日本を牽制する意味で台湾の金門島などの離れ小島に目をつけてくるのではないでしょうか。 中国は尖閣諸島を台湾の一部と規定しており、台湾有事がそのまま尖閣有事、さらには沖縄有事へと発展してくる可能性があります。ずばり中国が尖閣を実効支配したらどうなるか。日本は相当困難な立場に追いやられると思います。 そのとき、日本の世論はどうなるのでしょうか。「日本は平和主義だから、憲法9条があるから勘弁してください」と白旗をあげることになるのか、それとも民族派の意識が強くなるのか。日本人の心の中には反中思想が根強くあり、私はどちらかというとそれが歪んだナショナリズムに高まっていくのではないかと危惧しています。 今回のウクライナ問題では、日本国民はまだ直接一撃を食らっていないのでボーッとしていますが、尖閣有事で覚醒すると、今度は一転してパニック状態になってしまう可能性もあります。 いずれにしろ米国は当てにならないのですから、日本政府の責任は重大です。しかし、今の岸田政権では頭の中が真っ白になって何もできないでしょう。おそらく、全て容認して「尖閣諸島を差し上げます」ということになってしまうのではないでしょうか。その体でいくと、沖縄も、九州も差し上げます。ロシアが攻めてくれば北海道は差し上げますという話にもなりかねません。 こういう乱世になると、中国だけでなく北朝鮮も何かしてくる可能性があります。中国、北朝鮮、ロシアと、日本周辺はきな臭い状況がしばらく続くのではないでしょうか。
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