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中井祐樹、「QUINTETの面白さ」と「グラップリングのあり方」を語る
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中井祐樹、「QUINTETの面白さ」と「グラップリングのあり方」を語る

2018-06-16 11:13
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    旗揚げイベントに続いて今回も大好評だったグラップリング団体戦QUINTET。中継の解説者を務めた中井祐樹先生がその面白さを語っていただきました〜(聞き手/橋本宗洋)


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    ――QUINTETの旗揚げイベントに続いて、2回目となる「QUINTET FIGHT NIGHT in TOKYO」でも中井先生は解説を務めました。試合後の総評コメントで「日本人同士だと見合っちゃうんじゃないかという人もいたけど、ボクは絶対に面白くなると言ってたんです」とおっしゃってましたね。実際、旗揚げイベントに負けず劣らずの白熱とした内容になりましたが、どうしてそこまで確信が持てたんですか?

    中井 まずですね、QUINTETというイベントを生み出した桜庭(和志)さんと運営の皆さんが凄いんですけど。誰もやったことのないアプローチでしょ。誰も見たことがなかったグラップリングの団体戦。最初は不安だったと思うんですよ。それはお客さんも含めて。

    ――ルールとかシステムでどこまで面白くなるのかなっていうのはありました。

    中井 でもボクは絶対に面白くなると思ってました。終わったから言うわけじゃなくね。抜き試合の団体対抗戦は絶対に盛り上がると。実際にそういう試合をボクはやってきたので、QUINTETがどういう盛り上がりを見せるかは想像がついていたんです。

    ――中井先生は大学生時代、15vs15の団体対抗戦・七帝柔道をやられてましたね。

    中井 じつは運営側で00年代前半にも柔術の団体対抗戦をやってるんですよ。QUINTETのルールは亀になったりしての引き分け狙いは難しいんですが、そういう専守防衛のルールでも大の大人な泣くようなドラマが生まれていたんです。

    ――QUINTETはアタックしないと「指導」が入りますね。

    中井 「指導」がないルールでももの凄く盛り上がった。昔の高専柔道はあまりにも熱が上がりすぎて勉強しなくなるから、学校側から「もうやめろ」と言われましたからね(笑)。

    ――人生を懸けちゃうんですね(笑)。今回優勝したCARPE DIEMは強豪柔術家集団ということで勝っても涼しい顔かなと思っていたら、優勝直後は目頭を抑える選手もいたり。

    中井 そういうもんなんですよ。桜庭さんがいみじくも「甲子園」と言ったように、そういったドラマが生まれるんですね(笑)。なぜ盛り上がるか、面白くなるかといえば、団体戦なので、チームのためにより頑張れるから。たとえば「柔術家はガチガチに抑え込んで動きが固いんじゃないか……」という心配の声も事前にあったんですが、ボクは「絶対に面白くなるから大丈夫ですよ」と言ったんです。それはチームを背負って抜きに行くからです。

    ――妥協しそうなところでも仲間に背中を押されるというか。

    中井 必ずアタックしますし、取られたら取り返さないといけない。なおかつQUINTETは「指導」のあるルール。今回は「指導」が生んだ一本もあったと思うんですよ。「指導」を取られたらアクションをしなきゃいけない。小見川(道大)選手が杉江(“アマゾン”大輔)選手に取られたのは指導の後。もちろん杉江選手もうまいんですけど。

    ――ただでさえ面白くなる団体戦が「指導」というルールで白熱したという。

    中井 引き分けも見ごたえのある内容でしたよね。今回の大将戦も見応えのある引き分けだったじゃないですか。試合後の反応は「ああ、一本じゃないのか……」というネガティブなものではなかったですし。

    ――3試合中2試合が大将戦でドローでしたね。でも、不満の声は聞こえませんでした。

    中井 それは抜き試合なのに大将対決に持ち込まれたという興奮もあるんですね。

    ――そこはあらかじめ組まれた試合じゃないですもんね。やっぱり団体戦はマインドが違ってくるんですね。

    中井 ありますね。結局ボクは「団体戦の人」なんですね。その意識がずっとあるんですよ。「チームのために引き分けてみせますよ」という考え方をするタイプ。一本を取りたい欲望を抑えてでも引き分けに持っていく。微妙に「会社人間」っぽいところはあるんですけどね(笑)。そこが人生観につながっちゃってるんで。骨の髄まで七帝。

    ――骨の髄まで七帝(笑)。役割に殉じるというか。逆に何がなんでも一本を取りに行かないといけない局面もあるわけですよね。

    中井 そういうことですね。判定がないからポイントゲッターの存在は大きいんです。そういう意味ではシビアなんですけど、人間って自分のためだったら諦めちゃうけど、他人のためなら頑張れるというところがあるんですよ。それがよく出るところもあるし、悪く出るところもある。つまりドラマが生まれるわけですよね。見てる方も「ああ、もう大将が2人抜かなきゃ勝てない」なんて考えるわけじゃないですか。

    ――役割を共有して観戦できるから面白い。

    中井 順番だって「たら・れば」ですから。「サトシがこの順番だったらどうなっていたんだろう?」と想像できるんですよ。

    ――今大会の目玉だったTEAM HALEOのホベルト・サトシ・ソウザ。決勝戦でCARPE DIEM副将・岩崎正寛選手が、2人抜きを果たした中堅サトシを引き分けに持ち込みました。CARPE DIEMにとってはそれでも1人分のアドバンテージを背負ってましたが、引き分けという結果に喜んでいましたね。

    中井 サトシ選手は全員抜ける力を持ってるので。今回見どころをあえて一ヵ所に絞るなら「サトシ選手を止める人間はいるのか?」ということだったんです。それぐらいの選手なんで。彼は世界チャンピオンじゃないのが不思議なぐらい。

    ――中井先生は解説で「これはめったにできることじゃない」とサトシ選手の一本勝ちシーンを絶賛されてましたね。

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