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記事 1件
  • 語り処_2023.11.18

    2023-11-18 20:30  
    330pt
      1. ひとことオピニオン

    「 団結」して日本社会の底力を発揮しよう!?
    今の米国は、共和党も民主党も極端な方向に向かっており、それが国内の混乱と分断を引き起こし、その状態が日に日に酷くなっているように思います。そうしたことから囁かれているのが、米国の民主主義の「健康状態がよろしくない」という診断です。しかし米国に限らず、この「民主主義の健康状態」は世界的に悪化しているように思います。その原因の一つは、非常にデリケートな問題で伝え方がとても難しいのですが、一般論で言うと、一般大衆の多数をないがしろにして、少数の問題を全てのことに優先して議論しようとする風潮にあるのではないか、と私は思っています。私は、それは大きな間違いであり、社会の分断をますます加速させていくのではないかと思います。もちろん、少数派の人たちを国民みんなの力でカバーしていかなくてはならないのは当然のことです。しかし、それはまず、社会が「団結」していなくては実現できません。その「団結」の環境をつくるのが政治の役目だ、と私は思っています。政治とはまず、多くの人たちが当たり前に食べていける社会、つまり「民の竈(かまど)」の考えを最優先にして執り行うべきものです。いわゆる「最大多数の最大幸福」を実現するのが政治の基本であり、多数が幸せになることを第一の目標にしていかなくてはいけません。そして、その余勢を駆って、社会の団結力でいわゆるマイノリティの人たちをバックアップしていくというのが本来の筋道だと思います。日本には米国と違い、良きにつけ悪しきにつけ、社会が持つ古くからの底力があります。日本は戦後、欧米の後ろ姿を追いかけて経済も民主主義も成長させてきました。しかし、新自由主義の台頭に代表されるように、その欧米自体がここにきて少しおかしくなってきています。それにもかかわらず、無自覚に相変わらず欧米に追随している日本もまた、同じように「健康状態」がおかしくなってきているのではないでしょうか。大衆が極端な方向に走ってしまうと、社会が機能しなくなってしまいます。日本には伝統的な社会の調整弁もあるのだから、ここは一度冷静になって立ち止まり、少し方向転換をして、社会が団結して底力を発揮していくためにはどうしたらよいのかを考えてみる必要があるのではないでしょうか。
    2.季節の話題
    李克強前首相を悼む
    若いころから秀才として知られ経済学博士の称号を持つ中国の李克強前首相が、10月27日に68歳の若さで死去しました。僕の岩手の自宅にホームステイしていた縁もあり、知らせを聞いてすぐに在日中国大使館に連絡して、弔問に行きたい旨を申し出ました。そうしたら3、4日経ってからようやく返事が来て、「今回はどの国の弔問も全てお断りしています。小沢先生、今回はすみませんがご理解ください」との返事でした。そこで仕方がないので、せめてもと思い、中国大使館へ行って記帳してきました。ところが、行ってみてびっくりです。本当に酷いものでした。だだっ広い部屋に小さな机が一つポツンと置かれ、その上に李克強氏の小さな写真と芳名帳があるだけでした。部屋にも机上にも、どこにも李克強前首相の名前が印されておらず、花の一輪も手向けられていないのです。この殺風景な部屋を見て僕は愕然とするとともに、改めて習近平政権はそう長くないのではないかと思いました。かつては二人三脚で中国を牽引し、議院内閣制で言えば李克強氏は内閣官房長官みたいなもので、習近平国家主席の女房役のような存在だったはずです。しかも、実質的に中国経済を牽引して今の繁栄に導いた立役者です。その李克強氏が死んだというのに、これほど酷い仕打ちをするとは、死者に対して本当に失礼な振る舞いだと思います。
    3.Q&A
    日本経済復活の処方箋
    世界が分断され、貿易も政治的友好国同士へと縮小傾向にあり、それに伴いグローバル経済も縮んでいます。私はそうした状況を悲観するより、むしろ自国生産・自国消費による内需の好循環をつくり出す絶好のチャンスと捉えるべきだと思います。それをきっかけに、行き過ぎたグローバル化に歯止めをかけ、日本が経済的自立を果たすよい機会なのではないでしょうか。私はそのための大きな柱になるのが、食糧の自給とエネルギーの自給だと考えています。2つの自給のうち食糧の方はそれほど難しいことではないと思っています。強力な政府が本気になって実行すれば、必ず実現できるはずです。そのためにはもちろん、種子法の復活や、農業競争力強化支援法、種苗法等の改正も必要です。それに対して、多額の投資をして精力的に取り組んでいかなければならないのがエネルギーの自給です。日本のエネルギー自給率は10数%で、OECD諸国の中でも最下位レベルです。しかも、島国であるため陸続きの国のように隣国同士で融通し合うということもできません。そのエネルギー自給をどうしていくか。それは風力、太陽光、地熱、小規模水力などを組み合わせていく以外にないと思います。なかでも、私は地政学的に見た時に、やはり太陽光エネルギーがメインになると思っています。しかもメガソーラーではなく、建物の上に設置する屋上太陽光発電を推進していくのが、当面はよいのではないでしょうか。すでにドイツでは、建物に太陽光発電システムを設置することを義務づけています。今の日本で経済成長の議論をすると、やれDXだ生産性の向上だ、雇用の流動化だなどと欧米の猿真似ばかりが話題になります。それは大都市の大企業を中心にした考え方であり、中小・零細企業や地方はそこから滴り落ちるしずくで成長しろという無責任な話なのです。私は、それでは本当に強靭な経済システムを日本につくることはできないと考えています。そもそも、大都市にある大企業に何もかも集中させてGDPを稼ごうというのは、非常に効率の悪い国土の使い方です。経済成長は特定の都市や企業が稼ぐのではなく、日本の国土全体を有効活用して成し遂げていくべきことです。

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