• このエントリーをはてなブックマークに追加

次回配信予定

  • 2026/02/01

    「時間がないから筋トレできない!」って人に向けた時間効率筋トレの話#2「マイクロドーズ戦略」

  • 2026/02/03

    美容の世界は、なぜここまで嘘が多いのか?#11「レチノイド・日焼け止め・ビタミンCの“正しい選び方”」

  • 2026/02/05

    「自分らしく生きる」とは実際にどういうことなのか問題#1自己一致に必要な3つの条件」

  • 2026/02/07

    「自分らしく生きる」とは実際にどういうことなのか問題#2「自己一致を手にする3つのステップ」

  • 2026/02/09

    その悪癖、もしかして自然に治るかもよ?#1「自然回復とはなにか?」

b0038f938fda1397b9549f7af9a0e2fdb1d2138e.png

 

「美容の世界は、なぜここまで嘘が多いのか?」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7,#8,#9)

 

このシリーズでは、とかく「正しいもの」を選ぶのが難しい美容の世界において、

 

  • なぜ美容の世界にはヤバい情報があふれてしまうのか
  • その情報をかいくぐって良いものに到達するにはどうすればいいのか

 

といったあたりを掘り下げております。でもって、前回は「ヘアケア」の話を掘り下げましたんで、今回は女性からよく尋ねられる「ネイルやメイクが体に悪いって言われるんですけど……問題」を見ていきましょう。

 

というのも、ここ数年ネイルやメイクに対して、一部から批判がでてまして、

 

  • ジェルネイルは、UVライトで皮膚がんの確率が上がる!
  • マニキュアの成分には、体に悪いものが入っている!
  • 「10フリー」って書いてあるものじゃないと安心できない!

 

みたいな意見をチラホラ見かけるんですよ。このあたりは、美容好きなら一度は耳にした批判じゃないかと。

 

とりわけここ数年、ネイルやメイクの“安全性”に関する話題が増えた印象でして、「自然派ネイルじゃないとヤバい!」とか「発がん物質がどうたらこうたら!」とか、やたらと不安を煽る話が多く出回っているんですな。というわけで今回は、ネイルやメイクは本当に体に悪いのか?というテーマをチェックしていきましょうー。

 

 

 

「ネイル=危険」説はどこから出てきた?

まずネイルが問題視されるようになったのは、こいつに使われる成分の中に「有害」とされる化学物質がいくつか含まれている事実が指摘されはじめたからです。ネイルポリッシュやジェル製品に含まれる一部の成分は、過去に「人体に有害かもしれない」とされたケースが多いんですよ。

 

代表的なのは以下の3つであります。

 

  • ホルムアルデヒド(Formaldehyde)
    • 用途:ネイルハードナー(強化剤)などに使用
    • 問題視:発がん性があるとされる(IARCグループ1)
    • 実態:ネイル製品における濃度はごく微量(〜0.2%以下)

 

  • フタル酸ジブチル(DBP)
    • 用途:可塑剤(ポリッシュの柔軟性保持)
    • 問題視:内分泌かく乱物質(ホルモンに似た作用の可能性)
    • 実態:EUでは使用禁止、米国では使用制限あり

 

  • トルエン(Toluene)
    • 用途:ポリッシュの溶剤
    • 問題視:吸入時に中枢神経系への影響の懸念
    • 実態:揮発性が高く、換気された空間であればほぼ問題なし

 

ということで、これを読むとなかなか恐ろしい印象があるわけですけども、ここで問題になるのが「動物実験の結果が一人歩きしているぞ!」ってところです。多くの「危険成分」は、動物実験(ラット・マウス)で「高用量を継続摂取した場合」の結果に基づいて議論されてまして、たとえば、

 

  • DBPをネズミに1日あたり数百mg〜g単位で与え続けたら生殖機能に影響が出たよ!という研究(R)は確かに存在するが、これをもとに「ネイルに使うDBPも有害!」と主張する。

 

みたいな感じっすね。しかし、人間がネイルポリッシュから経皮吸収する量はごく微量であり、しかも一時的な使用がメインなんで、同じような影響が出るとは思えないってのが実際のところです。

 

さらには、一部のアレルギーや皮膚炎のケースが「全体のリスク」と混同される例もよく見かけたりします。ごくまれに起きる問題が、「絶対的な危険」に拡張されちゃうパターンですな。これについては、たとえば、

 

  • メタクリレート系モノマー(ジェルネイル)による接触皮膚炎

  • ホルムアルデヒド系成分によるアレルギー反応

  • 染料・溶剤による局所的かゆみや発赤

 

みたいなものがあります。これらの症例は確かに実在するんだけど、その発生率は非常に低いもんでとても「全員が危険」と言えるレベルじゃなかったりするんですね(R)。

 

もちろん、トルエンもホルムアルデヒドも、ある濃度以上で吸い続けたり、飲んだりすれば確かに有害ではあるものの、ネイルに使う程度では、ほぼ無視できるレベル。実際、現在の市販ネイル製品は厳しい規制のもとに製造されており、EUやアメリカでは「安全域を超える濃度」は基本的に使えないようになってたりします(R)。

 

 

が、近ごろはメーカー側も「ネイル=危険説」を利用する方向にかじを切ってまして、毎度おなじみ 「◯◯フリー表示」をやたらとマーケティングに使うようにもなってたりします。ざっくりと例を挙げると、

 

  • 3-free(トルエン、ホルムアルデヒド、DBP不使用)
  • 5-free(+ホルムアルデヒド樹脂、カンファー)
  • 10-free(さらにパラベン、キシレン、動物実験成分など)
  • 21-free(もはや何が含まれていたのか分からない)

 

みたいな表記がメジャーどころでして、とにかく「有害成分が入っていないから安心!」という意味で使われてるんですな。

 

しかし、実際には上述のとおり、すべては「動物実験+大量使用」って条件を強引にヒトにも当てはめた暴論なので、「◯◯フリー」って表示の大半は、科学的根拠よりもイメージ戦略に依存しているのだと申せましょう。「怖い言葉を消した」こと自体が、逆に不安を増幅させているって側面もありますしね。

 

さらにいえば、たとえば「ホルムアルデヒドフリー」と書かれていても、そもそも現在の製品には最初からそんなもん入ってないのが普通ですし、「カンファーフリー」「グルテンフリー」「パラベンフリー」みたいに、まったく関係ない成分まで排除して安心感を演出するケースもあったりします。

 

結局のところ、“◯◯が入ってない”ってのは別に“安全だ”って意味ではなく、その多くは、実際には含まれていない成分を“わざわざ”排除したと主張することで、他製品を危険に見せてるだけだと申せましょう。いやになっちゃいますなぁ。

 

また、もうひとつネイル製品が危険だと言われるようになった原因に 「におい」があります。ネイル製品ってのは、揮発性の溶剤(アセトン、エタノール、酢酸エチルなど)を多く含むもんで、特有のツンとした匂いがあるんですよね。

 

すると、これが以下のような連想を生んだわけです。

 

  • 匂いが強い → 化学物質が多そう
  • シンナー臭い → 工業用っぽくて怖い
  • 換気しないと頭痛がする → 体に悪いに違いない

 

たしかに、これらの物質を密閉空間で長時間吸い込むのはおすすめできないんだけど、香り=毒性の証明ではない点には注意が必要ですな。

 

 

935305830b4bb03ded7c46472942235b2c6f24e8.png

筋トレに関して最もよく言われるお悩みと言えば、

 

「最近、仕事が立て込んでて全然ジムに行けてないんですよ……」

「忙しいと、やっても意味なさそうだし……」

 

みたいなやつです。「時間がないから筋トレできない!」と落ち込んでいる人は、世の中にめちゃくちゃ多いみたいなんですな。確かに、忙しい日々の中で1時間も2時間もジムにこもるなんてのは普通に無理ゲーでありましょう。

 

が、ここでちょっと問い直してみたいのが、「そもそも筋トレにまとまった時間って必要なのか?」って問題であります。

 

というのも、ここまで行われたトレーニング研究を見てみると、「筋トレは短時間でも効果があるの?」って疑問については実はすでに結論が出てまして、最近の研究レビュー(R,R)を見てみると、

 

  • 筋肥大の決定因子は「週あたりの総セット数」である!

 

って事実が何度も確認されてるんですよ。つまり、本当に重要なのは「1回のトレーニング時間」ではなく、「1週間のあいだにどれだけ筋肉を刺激を入れることができたか」なんだってことですね。

 

が、『週あたりの総セット数が最も大事だ!』と言われても、すぐに納得できない人も多いかもしれません。筋トレの世界には、昔から根強く残っている“精神論”がありまして、

 

「とにかく追い込めば筋肉はつく」

「パンプしてればOK」

「限界超えないと意味がない」

 

みたいな考え方をするトレーナーさんも、今も一部にはいたりしますからね。ただし、これはだいぶ怪しい考え方でして、上記の研究を見てわかるのは、

 

  • 極端な話「1回15分だけの筋トレ」だろうが、週3回に分けて合計30セットやれば、十分な筋肥大効果を得られる。
  • トレーニングボリュームが従来の1/3になっても筋肉は維持できる。

 

みたいな話でして、運動の時間が取れない人には、なんともうれしい結果になってるんじゃないでしょうか。もちろん、これは「サボってもOK」という話ではなくて、「短時間でも筋トレの設計次第でなんの問題もなくなるよ!」ってことですね。

 

つまり、簡単に言えば、「時間がないから筋トレできない」って人は、単に「時間がない時のやり方を知らない」だけなのだと申せましょう。ここを勘違いして、「どうせ中途半端になるから今日はトレーニングを止めておこう」とか「まとまった時間じゃないと意味ないし」みたいに思い込んじゃうのは、めっちゃもったいないわけですな。

 

にも関わらず、多くの人は「今日は30分しか時間がないし、ちゃんとできないからやめておこう」みたいに考えてしまうのは、心理学で言うところの「全か無か思考(All-or-Nothing Thinking)」が原因だと考えられてます。これは完璧主義の一形態で、私たちに「時間も、集中力も、やる気も100%そろってないと、ちゃんとやったことにならない――」などと考えさせる働きを持っております。

 

そのせいで、トレーニング科学の研究では「ちょっとの筋トレでも効果はある!」って結果が出てるのに、ついつい「今日は完璧にできないから、やらない!」みたいな気持ちが発生。この状態が続くと、「昨日もサボったし、もう今週はいいや」→「やらない日が続いてしまった……もう意味ないかも」って感じで、いよいよ筋トレが続かなくなったするんですよね。

 

もちろん、これは「週のセット数だけ稼げばいい!」という話ではなくて、実際には、

 

  • 各セットをしっかり限界近くまでやってるか?
  • 正しいフォームでできているか?
  • 筋肉への張力・負荷が抜けない工夫をしているか?

 

みたいなポイントも大事ではあるんですけども、いかに重いバーベルを振り回したところで、刺激が少なければ意味が薄いのもまた事実。逆に言えば、

 

  • 軽めの重量でも
  • 回数が多くても
  • フォームが地味でも

 

「限界近くまでのセットを、週トータルで一定数やる」ってところを守っていれば、筋肉はちゃんと育つわけです。

 

 

7ccd693fd5df27b1ab70dc6330894650e5c94c64.png

 

「美容の世界は、なぜここまで嘘が多いのか?」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7,#8)

 

このシリーズでは、とかく「正しいもの」を選ぶのが難しい美容の世界において、

 

  • なぜ美容の世界にはヤバい情報があふれてしまうのか
  • その情報をかいくぐって良いものに到達するにはどうすればいいのか

 

といったあたりを掘り下げております。でもって、前回は「アンチエイジング成分の“当たり”と“ハズレ”」を掘り下げましたんで、今回は「髪のケアはどうすべきか問題」を見ていきましょう。

 

 

 

トリートメントは何をしているのか?問題

さて、シャンプーとトリートメントの話をするにあたり、まず押さえておかねばならないのは「髪は死んでいる」ってポイントです。「死んでいる」ってのは「細胞レベルでの“生命活動がない”」という意味でして、というのも髪の毛の主成分ってのはケラチンという繊維状のタンパク質なんですよね。これがどういう性質を持っているかと言いますと、

 

  • 爪、角、羽、うろこなどと同じ「構造タンパク質」

  • 非常に丈夫で、水にもある程度耐性あり

  • 一度形成されると、代謝しない=再生しない

 

みたいになります。なので、このケラチンでできた髪の本体(毛幹)には、血管がないし、神経もないし、細胞活動がないわけです。つまり、髪の毛ってのは、ケガをしても出血せず、切っても痛くない状態だってことですな。

 

というと、「えっ?髪って伸びるじゃん?死んでたら伸びないでしょ?」みたいに思うかもですが、正確には、

 

  • 髪の毛そのもの(毛幹)は死んでいる

  • 髪を生やしている部分(毛包の毛母細胞)は生きている

 

みたいな仕組みになっております。毛母細胞は髪の“生産場”みたいなもんでして、髪の根本にある「毛包(hair follicle)」が髪を生み出す工場だとしたら、その中にある「毛母細胞(matrix cells)」が分裂・増殖して角化し、最終的に細胞は死んでケラチンの“死体”だけが外に押し出されるイメージっすね。つまり、髪は「生きた細胞の死骸が外に出てきたもの」でして、それゆえに“死んでいる”と表現されるわけです。

 

重要なポイントとしては、私たちの皮膚ってのは生きている細胞で構成されているので、

 

  • 傷ついても再生する(ターンオーバー)
  • 栄養や薬が“効果を及ぼす”可能性がある

 

って特徴があるんですが、その一方で「髪の毛」ってのは、

 

  • 細胞が死んでいるため、再生しない
  • 傷ついたらそのまま。元には戻らない

 

って性質を持つので、熱で変性したケラチンや、カラーやブリーチで痛んだ部分や、摩擦で剥がれたキューティクルは元通りにはならないんですよね。

 

 

 

 

髪のダメージは“不可逆”ってどういうこと?

ということで、私たちの髪ってのは、一度ダメージを受けたたら元には戻らないわけですが、それでは続いて「髪のダメージはどこに起きるのか?」ってのもチェックしておきましょう。髪ってのは、主に3層構造でできてまして、

 

  1. キューティクル:表面のうろこ状バリア。ツヤと手触りを左右する

  2. コルテックス:髪の“芯”の部分。強度・弾力・色(メラニン)を決める

  3. メデュラ:中心部。役割は不明瞭で、細くて柔らかい髪には存在しないことも多い

 

みたいになります。この3層構造ってのは、それぞれ異なったダメージを受けるようになってまして、

 

  1. キューティクルの損傷(表面の破壊):摩擦・ドライヤー・紫外線・シャンプー・ブラッシングなどにより、キューティクルが剥がれる → 髪がザラザラ・ツヤがなくなるといった問題が起きる。これは完全に不可逆なダメージで、トリートメントで擬似的に埋めることはできても、本来の構造には戻らない。

  2. コルテックスの損傷(内部構造の破壊):ブリーチ・パーマ・熱・カラー剤などにより、タンパク質が変性し、S-S結合(シスチン架橋)が切断 → ハリ・コシ・強度が低下といった問題が起きる。こちらもダメージは不可逆で、結合が元通りになることはない。プレックス系処方(ジマレイン酸ビスアミノプロピルジグリコールなど)は一部の結合を補助してくれるんだけど、再構築ではなくあくまでも補助的な感じ。

  3. メデュラの消失(中心の空洞化):加齢・過剰な化学処理・脱色などにより、髪の中空化 → 髪の強度低下・パサつき・光の乱反射でツヤがなくなるといった問題が起きる。こちらも構造的に修復は不可能。

 

といった問題がよく起きるんですな。つまり、「トリートメントしたらサラサラになった!」「ダメージ毛が生き返った気がする!」みたいな話は、「錯覚」に近いものでして、あくまで一時的な処置によるものであり、構造的な修復ではないのだとお考えください。

 

「一時的な処置」の主な例としては、以下のようなものがあります。

 

成分役割実際に起きていること
シリコン(ジメチコンなど) 表面をなめらかにコート 手触りとツヤが改善されたように感じる
カチオン界面活性剤 静電気の抑制・くし通り向上 摩擦減少で「傷んでない感」が出る
ポリクオタニウム系 疑似皮膜形成 光の反射で“ツヤ”を演出
加水分解ケラチン 空洞部分に入り込む 一時的に質感を改善、洗えば流れる

 

ご覧のとおり、これらはすべて「見た目・触感の改善」であり、内部からの再生ではないとこに注意しましょう。実際のところ、多くの毛髪研究者は以下のように明言しておられます。

 

髪は自己修復できない。タンパク質構造が損傷すれば、それは元に戻らない。

 

ついでに、毛髪科学の教科書『Robbins Basic Hair Cosmetic Science』でもこう述べられてたりします。

 

キューティクルやコルテックスが受けたダメージは蓄積して元に戻らない。改善できるのは、あくまで見た目を整える化粧的な処置だけである。

 

ってことで、最大のポイントとしては、髪の毛は古くなるほどボロくなり、傷が癒えずに積もっていくだけってことですな。なので、化粧で肌をきれいに見せるのと同じで、トリートメントはメイクアップの一種とお考えください。

 

 
パレオなチャンネル

アラフォー男がアンチエイジングについて考える「パレオチャンネル」が ニコニコチャンネルとして開始!

著者イメージ

鈴木祐

1976年生まれ。新宿区在住のライター/編集者。パレオダイエットにくわしい人。普段はチャイナ服ではありません。ライター歴は18年ぐらい。科学の知見を自分のカラダで試していくのが趣味で仕事。

メール配信:あり更新頻度:不定期※メール配信はチャンネルの月額会員限定です

月別アーカイブ