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記事 3件
  • 働く女性が〈子どもを産む自由〉を得られる日は来るのか?――社会学者・水無田気流インタビュー(PLANETSアーカイブス)

    2019-06-07 07:00  
    550pt

    今回のPLANETSアーカイブスは、「PLANETS vol.8」に掲載され好評を博した社会学者・水無田気流さんへのインタビュー「『産める自由』を獲得するために」を掲載します。これからの若者の〈働き方〉と〈結婚・家族〉の問題を考えるヒントになるかも――?(インタビュー:宇野常寛、構成:中野 慧) ※本記事は2014年3月28日に配信された記事の再配信です。
    ▲『PLANETS vol.8』
     水無田気流(本名:田中理恵子)は二つの顔を持つ。気鋭の現代詩人としてのそれと、女性問題や少子化、世代間格差などについて精力的に発言する社会学者としてのそれだ。そして僕がこれまで付き合ってきたのはおもに詩人としての彼女だ。僕らは東京工業大学と朝日カルチャーセンターのコラボレーション企画としての連続講義「Jポップと現代社会」を一緒に担当し、SMAPについて、ドリカムについて、ミスチルについて、あるいは浜崎あゆみについてひたすら語り合った。
     僕にとっての彼女、つまり詩人・水無田気流は乾いた言葉を好んで用いる、少し感傷的な詩人だった。そして言葉に対して驚くほど敏感な批評者だった。そんな彼女のもうひとつの側面、つまり社会学者・田中理恵子と付き合うようになったのは、そのしばらくあとの話だ。トークイベントやテレビの討論番組で顔を合わせる彼女は、「〜しなければならない」という義務感に全身を震わせながら発言しているように見えた。僕はその怒れる彼女の姿と、そして彼女の書く詩の言葉の裏側には同じものが渦巻いているのだと思った。それは何かを決定的に失ってしまったということへの「怒り」なのだと思う。それが静かな喪失感として表現されているのが詩人・水無田気流の仕事であり、少しでも間口を広げようという粘り強い局地戦への意志になって表われているのが社会学者・田中理恵子の仕事なのだ、と思った。
     彼女にはひとり男の子がいる。好奇心が旺盛で、甘えん坊な子だ。仕事の打ち合わせや対談収録に水無田さんはよく彼を連れてきていて、そしてよく退屈しては駄々をこねて彼女を困らせていた。そんなとき、僕は仮面ライダーやアンパンマンの似顔絵を手元のメモ用紙に描いて彼に見せたりしたものだった。水無田さんはそのたびに「ごめんなさい」と本当に申し訳なさそうに言った。僕は謝る必要なんてまったくないじゃないですかと毎回口にしながらいつか社会学者・田中理恵子とがっつり仕事をしたいな、と思っていた。
     僕と彼女が共有しているものは確実にある。でもそれがなくしたものの数を数えることではなくて、一緒に何かを積み上げていくものにつながればいい。そんなことを考えながら、僕は話していた。(宇野常寛)
     
     
    ■〈上野千鶴子的なもの〉の射程
     
    ――水無田さんは、2009年に出した『無頼化する女たち』(以下『無頼化』)を上野千鶴子さんに献本して感想をもらったんですよね。
    水無田 そうですね。お手紙でお褒めの言葉をいただいた一方で、上野さんの『おひとりさまの老後』について私が書いた部分に関して、「高齢者って格差も大きいし、とくに低年金・無年金高齢者は大変なのよ。あなたたちの世代にはわからないでしょうけど」というニュアンスのことを暗におっしゃっていました。上野さんたち団塊世代は、戦後の日本社会で家族が負担にならなくなった最初の世代です。それまでは、都市部に働きに出た子どもは、「実家への仕送り」義務を負っている人も珍しくなかった。それが、年金制度の確立などにより、必ずしも家族の相互扶助だけでやっていかなくても済むようになりました。もちろん、背景には高度成長により日本社会全体が豊かになったことがあげられます。
     ところが、私たち世代はちょうど社会に出るときに日本社会が低成長時代に突入し、先頭を切って就職氷河期を経験しただけではなく、「家族が負債化する」という問題に最初にぶち当たっている世代です。特に子育て世帯は扶養控除が廃止されたりと、すでに実質的に重税化していて負担が大きいですよね。もちろん、世代会計の問題も大きく、社会保障費の負担は重い。そのうえ、老親の介護の声も聞こえてきている。今後は非正規雇用者や未婚で、企業福祉や家族のケアの恩恵に与れないまま、親世代の介護をせねばならなくなる人も増加するでしょう。なので、「そんなこと私たちは(恐れながら)わかってらぁ!」というお返事を出してしまいました。
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  • 本当に"意識が高くなければ生き残れない"のか?――20代のための"キャリアとお金"のぶっちゃけ話 秋山進×小室淑恵×竹内幹×水無田気流×南章行×宇野常寛×堀潤 現場レポート☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.048 ☆

    2014-04-09 07:00  
    220pt


    本当に"意識が高くなければ生き残れない"のか?

    20代のための"キャリアとお金"のぶっちゃけ話 現場レポート
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2014.4.09 vol.048
    http://wakusei2nd.com

    去る3月31日、多くの企業が入社式を控える中で行われたPLANETSならではの働き方についてのイベント。ワークライフ・バランス代表の小室淑恵さんから詩人の水無田気流さんまで多様な登壇者を迎えて、皆様の仕事にまつわる悩み相談に回答していきました。

    本イベントは4月1日(月)、東京・芝浦の「SHIBAURA HOUSE」にて開催されました。現在若者を取り巻く労働の状況は、問題が山積みです。元エリートサラリーマン、起業家、研究者、人材コンサルタントから元ハゲタカ(?)まで、様々なバックグラウンドを持つ登壇者に、参加者のみなさんからキャリアや子育てについてのリアルな質問が寄せられました。この記事では、2時間に及ぶイベントから、登壇者のみなさんの解答をピックアップしてお届けします。
     
    ◎文:池田明季哉
     
    当日の動画はこちらから。
    http://www.nicovideo.jp/watch/1396932194
    http://www.nicovideo.jp/watch/1396932254
    http://www.nicovideo.jp/watch/1396932432

     
    まず最初に宇野常寛から、このイベントの趣旨が説明されました。
    宇野「ここ2年ほど、ノマドブームや新卒一括採用批判が盛り上がっていましたが、僕は「こういう議論に参加していた若者たちが本当に知りたかったのは、本当にそういうことなのだろうか?」とずっと疑問に思っていたんです。こうした議論が気になってしまう人に、本当に必要な言葉はほかにあるんじゃないか、という思いがずっと拭えなかった。だからひととおり議論が出揃った今、いろんな立場のいろんな経歴の人を集めて、若い人たちの質問にひたすら答えていきたいと思っています」
    続いて登壇者のみなさんが、個性的なこれまでのキャリアや、現在のライフスタイルを通じての自己紹介をしてくれました。イベントでは事前に来場者やニコ生視聴者のみなさんから質問を募集しており、その質問に対するアンサーから議論を深めていきました。
     
     
    ■【質問1】
    会社員(男性 27歳)
    「安定しているけれどつまらない仕事を続けるか、不安定だけれどやりがいがあるNPOのような仕事に行くか、なかなか決断できない」
     
    南「まあ、面白いと思ったら本気になれるし疲れないし、面白い方に行ったらいいんじゃないの? というのが僕の基本スタンスですね。人間、精神的に辛いのが一番きついですから。僕はその上で、なんとかお金をやりくりできる方法を考える、という順番でいつも考えていまね。例えばNPOをやっていたときは、お金が厳しいことはわかっていたので、土日だけでもたくさんの人数を集めようということをやって、その経験が起業に繋がっていきましたから」
    秋山「おそらくこの相談者さんが勤めているのは、すごく大きい会社なんじゃないかと思うんです。で、最初はベンチャーをやってる人の方が元気なんですけど、50歳くらいになると、立派な会社の立派な仕事してるやつって、結構立派になってくるんですよ(笑)。「ポジションが人を育てる」というのは本当にあるんですよね。超大企業って、けっこう捨てたもんじゃないので、無理して辞める必要はないんじゃないかな」
    小室「私、プレゼンテーション講座のボランティアをやってるんですけど、本当にこういう質問をしてくる学生が多いですね。共通しているのは、完全にその会社の仕事一色になっている、ということ。私が「辞める前に一回試してごらん」と勧めているのは、とにかく今所属している会社の仕事は6時になったら上がって、本当にやりたいと思うことを6時以降に毎日やってみるということなんです。一回「辞めよう」という気持ちになったら、会社のなかでの評価も気にならないから、残業も断れるんですよ。それで一旦ボランティアで1年くらい関わればスキルもつくし、本当に欲しい人材だと思われたら声がかかるし、本当に好きなら続くんです。だから、それからでも辞めるのは遅くないよ、と言っています。それで6時に帰るようになると、その会社の仕事が、嫌いじゃなくなる人がすごく多い。そればっかりやるから嫌いになってしまうんです。だからどっちに対してもフルに時間を使えない飢餓感のようななものを持ち続けるのがコツなんだよ、という話はいつもしています」
     
     
    ■【質問2】
    出版社営業マン(男性 25歳)
    「スーパーブラック企業に就職してしまいました。①私が一番得な辞め方はどんな辞め方でしょうか? ②働く先に待っている「辞める」ということについてはみなさんどうお考えでしょうか? ③中途、あるいは第二新卒の採用に当たって、職歴が短いのはどの程度マイナスになってしまうのでしょうか?」
     
    宇野「これは明日失踪ですね(笑)。出社しない、電話も出ない。もう得られるものはないので明日失踪してください」
    南「いちばん大事なアセットって時間だと思うので、できるだけクイックに辞めた方がいいです。世の中には成功と学びしかなくて、失敗は学びなので、「こういう会社はダメだな」ということをサッと学んで次に行った方がいいですね。採用する側の立場からいうと、生き方とか選んできたものが一貫していればいいだけの話なんで、1社目がたまたま短くてもぜんぜん関係ないです」
    小室「私が採用するときに、前職がブラック起業だったのでそこから抜け出てきたかったんです、っていう子は不採用なんです。それは自分が逃げたいだけだし、しかも解決できてない。そこで、何を学んでどうしていったのかということが大事です」
     
     
    ■【質問3】
    大学院生(男性 21歳)
    「研究職に行きたいんだけれども、学閥やヒエラルキーのようなもので気後れしてしまいます。学歴ロンダリングってどうなんでしょう?」
     
    竹内「私は経済学者なので経済学の場合で言うと、数学上の定理があって、仮説が証明できたら学歴は関係ないです。それでノーベル経済学賞取ったりということも、本当にあります。でも、工学系や実験系はマジで体育会系のところがありますね。結局ピラミッド構造なので、上に教授がいて、自分がそこに行きたいんだったら、ピックアップしてもらうしかないわけなんですよ。だから気後れしてる場合じゃないですね。好きなら絶対になんとかなります。もちろん能力があればいけるし、能力がなければいけないという厳しい現実は待っていますが」
     
     
    ■【質問4】
    会社員(女性 29歳)
    「考えれば考えるほど、夫婦共働きなら子供を作らない方が得なように思います。女性が働きながら子供を作るのはクソゲーだと思うんですが、お子さんをお持ちの方は、どうして子供を作ろうと思ったんでしょうか? 子供を産んでみて良かった点があったら教えてください」
     
    ここで「子供を作るのはクソゲー」という言葉を受けて、水無田さんの準備していたプレゼンテーションが炸裂、会場を大いに湧かせました。なぜ女性が働くことは困難なのか? ということをクソゲーに例えてわかりやすく解説。ここではダイジェストでお送りいたしますが、その熱いプレゼンテーションの全容は、ぜひとも動画でご確認ください。
     

     
    水無田「クソゲーとは「誰も勝てない=幸せにしないゲーム」であると言えますが、女性が働くこと自体がクソゲー化しているんですね。どうしてクソゲーかというと、 
  • 働く女性が〈子どもを産む自由〉を得られる日は来るのか?――社会学者・水無田気流インタビュー☆ほぼ日刊惑星開発委員会・号外☆

    2014-03-28 07:00  

    働く女性が〈子どもを産む自由〉を
    得られる日は来るのか?
    ――社会学者・水無田気流インタビュー
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2014.3.28 号外
    http://wakusei2nd.com


    今回の「ほぼ惑」号外では、「PLANETS vol.8」に掲載され好評を博した社会学者・水無田気流さんへのインタビュー「『産める自由』を獲得するために」を無料掲載します。新年度を前に、これからの若者の〈働き方〉と〈結婚・家族〉の問題を考えるヒントになるかも――?
    ▼【イベント情報】
    本記事の水無田さんも登場!『本当に「意識が高くなければ生き残れない」のか?
    ――20代のための「キャリアとお金」のぶっちゃけ話』
    秋山進×竹内幹×小室淑恵×水無田気流×南章行×宇野常寛×堀潤【司会】
    チケットのご購入、ニコ生タイムシフト予約はこちらから。
    http://wakusei2nd.com/archiv