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  • イケダハヤト×石川涼×馬場正尊×宇野常寛×吉田尚記 東京再発見――いま、いちばんおもしろい街決定戦(前編) ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.752 ☆

    2016-12-13 18:10  
    550pt
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    イケダハヤト×石川涼×馬場正尊×宇野常寛×吉田尚記東京再発見――いま、いちばんおもしろい街決定戦(前編)
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.12.13 vol.752
    http://wakusei2nd.com


    今朝のメルマガは、2016年7月1日に渋谷ヒカリエで行われたイベント「東京再発見ーーいま、いちばんおもしろい街決定戦」(Hikarie +PLANETS 渋谷セカンドステージ vol.12)の内容を再構成してお届けします。2020年のオリンピックを控えた「東京」という街に、私たちは何を期待すべきなのかーー。ゲストに「VANQUISH」石川涼さん、不動産サイト「東京R不動産」を運営する馬場正尊さん、「まだ東京で消耗してるの?」でお馴染み、ブロガーのイケダハヤトさん、司会はニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんという豪華メンバーでお届けします。
    ▼プロフィール

    イケダハヤト(いけだ・はやと) 
    1986年神奈川県生まれ。2009年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、半導体メーカー大手に就職。11ヶ月でベンチャー企業に転職し、ソーシャルメディア活用のコンサルタントとして大企業のウェブマーケティングのサポートを手掛ける。2011年からフリーランスとして独立。現在はプロブロガーとして活動している。2014年6月から高知県に移住。著書に「年収150万円でぼくらは自由に生きていく(星海社)」「武器としての書く技術(中経出版)」「新世代努力論(朝日新聞出版)」などがある。

    石川涼(いしかわ・りょう)
    1975年神奈川生まれ。静岡育ち。
    2004年よりVANQUISHをスタート。
    a Piece of cake!!!
    http://vanquish.jp/
    http://instagram.com/vanquishceo

    馬場正尊(ばば・まさたか)
    1968年佐賀県生まれ。1994年早稲田大学大学院建築学科修了。博報堂で博覧会やショールームの企画などに従事。その後、早稲田大学博士課程に復学。雑誌『A』の編集長を経て、2003年OpenA Ltd.を設立。建築設計、都市計画、執筆などを行う。同時期に「東京R不動産」を始める。2008年より東北芸術工科大学准教授、2016年より同大学教授。建築の近作として「観月橋団地(2012)、「道頓堀角座」(2013)、「佐賀県柳町歴史地区再生」(2015)など。近著は『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』(学芸出版,2015)、『エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ』(学芸出版,2016)。

    【司会】吉田尚記(よしだ・ひさのり)
    1975年12月12日東京・銀座生まれ。ニッポン放送アナウンサー。2012年、『ミュ~コミ+プラス』(毎週月~木曜24時00分~24時58分)のパーソナリティとして、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。「マンガ大賞」発起人。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が累計13万部を超えるベストセラーに。マンガ、アニメ、アイドル、落語やSNSに関してのオーソリティとして各方面で幅広く活動し、年間100本近くのアニメイベントの司会を担当している。自身がアイコンとなったカルチャー情報サイト「yoppy」も展開中。
    ◎構成:高橋ミレイ
    イベントの動画はこちら。

    ■「東京」という都市にいかにして関わってきたか
    吉田 今日は司会進行をさせていただきます。ニッポン放送の吉田と申します。よろしくお願いします。では、今日の主催者たる宇野常寛さんにまずお話をしていただいてから、各登壇者の方の言葉をいただきたいと思います。
    宇野 皆さんこんばんは。評論家の宇野です。今日は東京についてもう1回考えてみたいと思ってこの集まりを開催しました。2020年の東京オリンピックが4年後に迫っているんですけど、はっきり言って嫌な予感しかしないわけですよね。例えば新国立競技場の問題もみっともないし、エンブレムのパクり問題もあった。こんなに予算かけてやる価値あるのかという話ばっかりじゃないですか。その上、誘致のときの賄賂疑惑まで出てきて、あわや返上かって話になっている。
    でも、よほどのことがない限り2020年ってやってきますよね。東京に住んでいる僕らは4年後のオリンピックに向けて街がガラッと変わる直撃を受けるわけですよ。そのなかで、この街に住んで暮らしている僕らが東京という街をどう再発見していったらいいのか。どう面白く楽しく、そして快適にクリエイティブに暮らしていったらいいのかっていうビジョンを持つタイミングなのかなと思っています。よろしくお願いします。
    吉田 次はお兄系ファッションをリードし続けているブランドVANQUISHの代表、石川涼さんです。よろしくお願いいたします。
    石川 よろしくお願いしまーす。
    吉田 VANQUISHについて少し説明していただけますか?
    石川 VANQUISHは2004年から始めたブランドです。今年109 MEN’Sが10周年を迎えましたが、そこをふくめて全国に10店舗くらいと海外にも店舗があります。僕は今年で41歳になりますが、20歳のときに上京してから20年ぐらい東京で暮らしています。
    吉田 東京に来るまでは、どんな住み替えをなさっていらしたんでしょうか?
    石川 神奈川で生まれたんですけども、幼稚園のときに引越しをして富士山の麓で20歳まで過ごしました。
    吉田 ありがとうございます。続きまして、不動産メディア、東京R不動産を運営するオープン・エーの代表馬場正尊さんです。
    馬場 こんにちはー。よろしくお願いします。俺だけ圧倒的に年上でアウェイな感じが……。47歳なんですけど。
    吉田 これまで、どんな住所遍歴をたどってきましたか?
    馬場 僕は九州の佐賀の伊万里市の商店街の煙草屋で生まれて、小さい頃はそこで育ちました。父親の都合で西九州、佐世保や福岡久留米とかをうろうろしていたので、九州から出たことがなかったんです。大学で初めて東京に出てきましたね。
    吉田 そこから20年前後ずっと東京にお住まいになっていらっしゃると。最初から不動産サービスをやってらっしゃったのですか?
    馬場 いや、僕の専門は建築の設計なんですよ。今でも収入のほとんどはオープン・エーっていう設計事務所の収入ですね。13年前にふとした理由があって、改造できそうな味があるボロ物件を自分で借りようと思ったら、探すすべがなくて探せない。だから自分で調べて、自由に改装できる古い物件ばかりを集めたブログを書き始めたんです。すると、「それを借りられないか?」ってメールがくるようになったので、東京R不動産っていう不動産仲介サイトを気まぐれに作ったら、どんどん皆が使ってくれて今に至ります。

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  • 渋谷ヒカリエで、イケダハヤト×石川涼×馬場正尊×宇野常寛×吉田尚記が東京再開発の未来を考えるトークショー開催!☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 号外 ☆

    2016-06-20 15:00  

    渋谷ヒカリエで、イケダハヤト×石川涼×馬場正尊×宇野常寛×吉田尚記が東京再開発の未来を考えるトークショー開催!
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2016.6.20 号外
    http://wakusei2nd.com


    【イベントのお知らせ】
    きたる7月1日(金)19時から渋谷ヒカリエにて、
    東京の都市開発の未来を考えるトークショーを開催します!
    2020年のオリンピック開催を見据えて、
    再開発が盛んな東京。
    「いま、東京でいちばんおもしろい街はどこか?」
    「本当に地方よりも東京は魅力的なのか?」
    を正面から語り合います!
    チャンネル会員様向け割引や
    お得なペア券などもあります☆
    ぜひチェックしてください。
    今回は、東京の街にゆかりの深い、
    もしくは、むしろ地方に可能性を見出した、
    豪華ゲストを迎えることができました。

    1人目は、ゼロ年代のギャル男・お兄系ブームをリードしたファッションブ
  • 「ネット時代のストリート」はありうるか?――「VANQUISH」でお兄系ブームを先導した男・石川涼が語るファッション文化の未来 ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.193 ☆

    2014-11-04 07:00  
    220pt

    「ネット時代のストリート」はありうるか?――「VANQUISH」でお兄系ブームを先導した男、石川涼が語るファッション文化の未来
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2014.11.4 vol.193
    http://wakusei2nd.com


    ▼プロフィール
    石川 涼/RYO ISHIKAWA(Ceno. Company.)
    1975年、神奈川県生まれ、静岡県育ち。2004年、ファッション・ブランドVANQUISHをスタート。06年に、渋谷109MEN’S館にショップを出店、ほどなく“ギャル男”の象徴ブランドとして、絶大な支持を得る。株式会社せーのは、現在はVANQUISHを含め6つのメンズブランドと、レディースブランド3rd by VANQUISH、マスクブランドgonoturnの合計7ブランドを展開する。
     

    ▲スウェットプルオーバーパーカー 19,440円
    http://vanquish.jp/

     
     

    ■「モノからコト(体験)」の時代に何を売るのか
     
    宇野 このインタビューのきっかけは石川さんのインタビュー(「ファッションは終わり、感動するものだけが残る」)なんですけど、「モノ」としてのファッションが機能しなくなり、感動という「体験」が残るという考えに至ったのはなぜだったんですか?
    石川 僕はここ数年、1年の半分ぐらいは海外にいるんですけど、日本人と海外の人たちでは大事にしているものの順番がまったく違うと思ったんですね。海外の人たちってまず自分の宗教やアイデンティティが一番大事で、日本人と比べるとファッションとか格好は二の次なんですよ。
    それに加えて、僕自身が長いあいだ家を空けることが多くなって、生活用品はAmazonで買っておくようになっていた。日本に帰国して荷物を受け取ったら、コーヒーの砂糖までネットで買っていることに気づいて「あれ!?」と思ったんですね。「このままだと買い物をしに行くという概念自体が無くなっちゃうんじゃないか?」と。今でさえネットは便利だけど、これからはスマホの画面上で自分にフィットしたものが、家にいながらにして安く手に入る仕組みにもっともっと変わっていくはずです。ただ洋服を並べて売っていくだけのビジネスは絶対にAmazonに勝てないから、存在価値が無くなっていっちゃうんじゃないかな。
    今後どうしていくかはずっと考えていて、5、6年前から方針を変えていったんです。お店のディズニーランド化というか、お客さんに「お店に足を運んでみたい」と思わせる何かを作らなくてはならないわけです。
    たとえばVANQUISHの渋谷店を9月に改装してスタジオを作ったんですが、そこでライブやニコ生の放送があったりとか。そういう、モノを買うだけではない、「VANQUISHが今面白いことやってるから、行ってみようよ」という価値を付けたいんです。
     
    ▲VANQUISH渋谷店のスタジオ
     
    宇野 VANQUISHスタジオ、面白そうですね。小売店はもうモノを売っているだけでは勝てない、コト(=体験)を売らないと成立しないのだ、と。今でこそ、「モノからコトへ」はネットビジネスの常套句になっていますが、5、6年前の、しかもアパレルの小売でそれをやろうとしたのはかなり早いですよね。
    たとえば音楽ソフトって、映像や音声情報はデジタルコピーが可能だから、もう握手券のようなイベント参加券としてしか売れなくなっているわけです。コピー不可能な体験にしか値段はつかない。この趨勢は明らかなんだけど、石川さんはそれがモノの領域にも当てはまると思っていたわけですよね。
    石川 そうだね。「体験」ということで言うと、かつては渋谷が特殊な街だったというか、そこに行くこと自体にちょっとした「悪っぽさ」みたいなものがあったように思う。
    宇野 その「体験」については、渋谷という空間=ストリートが保証してくれていて、店舗は個性的なアイテムを売っていればよかったわけですよね。でも今はその「ストリートの魔法」が切れかかっていて、ストリートではなく店舗の中をテーマパーク化しないとけなくなった。
    石川 これは渋谷に限った話ではないと思うんだけど、世界が均一化されている気がするんですよ。昔は街ごとに個性を持っていたような気がしたんだけど、2010年くらいから、どの街に行っても、H&Mやユニクロが目に入って、買えるものも一緒で変わり映えがしなくなったと思います。それは別に日本だけの話ではなくて、ヨーロッパや、アメリカでもそうなんです。
    モノがどこでも買えるようになったとき、価値を持つのはもうロケーションしかない。だから僕は東急というか「109」に何年か前から提案しているんだけど、「渋谷駅を出るとスクランブル交差点があって109が建っている」というロケーションはあそこにしかないわけだから、その体験性をきちんと演出してあげないといけないと思う。例えばあの交差点が、ニューヨークのタイムズスクエアのように世界中の人が来て写真を撮っていく場所になったとして、そこにある看板広告をデジタル化したら世界中のCMが取れるわけです。そんなふうに街を観光地化していくしか、生き残る道はないんじゃないかと思う。
    でも、そういった提案をしても「じゃあそこの看板をデジタル化するのに投資する価値があるんですか?」という話になってしまう。新しいことにコミットしてくれないんですよね。でも、僕はやっぱりそういう場所を作るべきだと思う。
    今は世界中の人たちが「ここに来たよ」といろんな場所の写真を撮ってFacebookとかでネットにアップしていますよね。最近、若い女の子と遊んでいても「ブランド物のバックが欲しい」なんて言う子はほとんどいないんですよ。でも彼女たちは「旅行に行きたい」とは言う。要するに自分の持っているコミュニティに対して「人気のお店に食べに来ました」「話題の場所に行きました」ということを言いたい。みんなモノを買うよりも「それ」をやりたいんだよね。
    宇野 今、「モノ」と「コト」のパワーバランスが大きくコトの方に傾いていると思うんです。皮肉な話なんですけど、これはものづくりが進化したためだと思うんですよね。20世紀後半におけるモノの優位性って、大量生産されたモノがあって「みんなが着てるこの服を着たい」と人々に思わせるところに発生していた。要するに、人間がモノの方に合わせることに、不自由だけれどもある種の快楽があったわけです。
    今は逆にものづくりのマーケットが進化しすぎて、人間の方にモノが合わせてくれるようになった結果、みんなモノを一生懸命に追いかけなくなってしまった。ネットでカスタムメイドのものが簡単に手に入るし、石川さんが今この場で持っているような大人向けのライダーベルトも、プレミアムバンダイで買えるじゃないですか。自分に合ったものがすごく手に入りやすくなった結果、コト(体験)の方が力が強くなっている。
     
     
    ■ライフスタイルに紐付いたものづくりへ
     
    宇野 でも、そんな世の中になった時に、まだ残っている「モノの力」ってなんだろうと思うんです。石川さんご自身は、すごくモノが好きな人ですよね。
    石川 僕はいま、自分のラインで「FR2(FXXKING RABBITS)」という新しいブランドを始めたんです。これは「旅行」がテーマ、つまり「旅行先で写真を撮りやすい服」を作っているんですね。パンツにはパスポートとマネークリップが入るポケットが必ず付いていて、シャツの片側もパスポートポケットになっているので、カメラ一つで世界中を旅できる服なんです。
    ここで目指しているのは「特定の何かの行動に紐づいたブランド」なんです。例えば「キャンプにいくならここの服だよね」と思われるようなブランドにならない限りは、ただの服屋と変わらないと思っているんで。
    宇野 なるほど。「モノの力でコトをプロデュースしていく」という方向に切り替えることによって、モノの価値を担保している、ということですよね。
    石川 「ブーム」とは少し違うかもしれないけど、僕らが若い頃に「服が欲しい」と思っていたのと同じくらいに、今の若い子たちは「良い写真を撮りたい」という欲求を持っている。ファッションがそっちに寄っていくのは必然的なことだと思うんですよ。
    宇野 10年前の石川さんって、90年代の渋谷のストリートから派生していった「ギャル男」というニッチな文化を拾い上げて「ファッション」というモノに込めていたと思うんです。彼らの頭のてっぺんから爪先まで全身をトータルプロデュースしていましたよね。
    けれど、今の石川さんがやっていることは違う。「カメラでいい写真を撮りたい」という欲求は、ヤンキーからオタク、ブルーカラーからホワイトカラーまで、もしくは中国人からアメリカ人まで国や性別を問わず共通している。つまり、かつて石川さんは「モノ」の力で少数民族の美学を総合的に提案していたんだけれど、今は普遍的なライフスタイルの一部を提案しているように思うんです。
    石川 もちろん自分が10年前よりは海外に出る機会があったから、そういう新しい指向になっている部分もあると思うんです。どうせ同じ時間をかけて作り出すんだったら、日本の中だけで売れるモノよりは、世界の人が欲しがるモノを作りたいという思いがあるわけです。
    そもそも自分がずっと何をしたくて仕事をしてきたかというと、たぶん世の中の需要を満たしたいんですよ。2004年にギャル男くんたちをターゲットにした服を作ったのは、彼らが欲しいモノが市場になかったからなんです。ギャル男くんというニッチなセグメントに対しての提案だったわけです。それから10年経って、今はその洋服自体の需要がなくなってしまった。そうなった時にカメラや旅行というテーマで、セグメントされたマイノリティに対して服を売っている。
    まあ、そうは言っても実はグローバルというか、マスに向けて提案しているわけで、絞ったのか広げたのか自分でもわからなくなってきたというのはありますよね(笑)。
    宇野 つまり対象はグローバルになっていってるけど、用途はむしろ狭まっているわけですね。
    石川 そうだね。ただ、ギャル男くんの時は日本の人たちしか理解できなかったけど、今は世界の人が理解できるものを作っているはずなんですよね。
    宇野 僕の考えでは、10年前のお兄系ファッションのブームは国内における最後の男性ファッションムーブメントだった。要するに東京の都市部のローカルなストリートがあって、そこから出てきた変わったカルチャーが日本中にインパクトを与えたのは、あれが最後の波だったんじゃないかと。
    石川 僕もそう思っていて、「ストリートから生まれたドメスティックブランドはVANQUISHが最後だよ」って言っているんです。でもそれ以降は細分化しすぎてしまっているし、今の若い子たちは物心ついたときからネット社会を生きているので、彼らが洋服(モノ)を買わないのはよく理解できるんですよね。だからファッション業界からはもう、日本中を巻き込めるようなパワーのあるムーブメントは生まれてこないんじゃないかな。もちろん20代ですっげえ元気のある奴にも出てきて欲しいし、ブームも生まれてきて欲しいんですけど、その気配もあんまり感じないなぁ。
     
     
    ■次のストリートはどこにあるのか?
     
    宇野 90年代からゼロ年代前半ぐらいまでは、渋谷のようなストリートにある種の力が宿っていて、そこから文化が生まれてきたと思うんです。石川さんは、そういう「ストリート」にあたるものは今の時代にどこにあると考えていますか?
    石川 まぁ、今の若い人の興味があるものはほとんどネットの中にあるよね。