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記事 2件
  • 長谷川リョー『考えるを考える』 第2回 21世紀の空海・石山洸が構想する新たなメディア・レボリューション「AIが色即是空を実現する」

    2017-11-29 07:00  
    540pt

    編集者・ライターの長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。前回は思想家の山口揚平さんに「意識をコントロールし、情報を有機化する方法」についてお伺いしました。今回登場いただくのは、僕のリクルート時代の大先輩である石山洸さんです。石山さんはリクルート時代にAI研究機関「RIT(Recruit Institute of Technology)を立ち上げるなど、リクルート社員であればその名を知らない人はいない人工知能のトップランナー。現在はエクサウィザーズの代表として、超高齢化社会に代表される数々の社会問題をAIの利活用によって解決することに取り組まれています。 「実は、人工知能の父であるマービン・ミンスキーも『考えるを考える』を考えていた」ーー。取材の冒頭でそう教えてくれた石山さんは、「シングルイシューは本質的に複雑系である」といいます。また、最近モデル化したという「4S理論(SENSE-SCIENCE FICTION-SHARE-SHIFT」のフレームワークもご説明いただきました。石山さんが”現代の空海”と呼ばれる所以に迫っていきます。
    長谷川 この連載『考えるを考える』では、日本のような問題が複雑化した社会のなかで、「いかにシングルイシューを見定めるのか」、「そもそも思考とは何か」について探っています。まず初めに、石山さんにとっての「考える」とはどのような営為かお教えいただけますか?
    石山 「人工知能の父」と呼ばれるマービン・ミンスキー先生が、実は私たちの会社の前身であるデジタル・センセーションで長らく顧問を務めていたんです。そしてミンスキー先生が人間の特徴としてよく言っていたのが、まさに「Thinking about thinking(考えることについて考える」。まさにこの連載と同じテーマですね。
    長谷川 数ある社会問題のなかでも、石山さんが代表を務められる会社「エクサウィザーズ」ではAIの利活用を通じた超高齢化社会に付随する課題解決に取り組まれています。石山さんがなぜこのイシューを選んだのか、その背景から教えていただけますか?
    石山 「超高齢化社会」は何も日本に固有の社会問題ではありません。時間軸として先に日本に来るのはたしかですが、やがて他の国にも訪れる現象です。そのため、先に日本でこの問題を解決しておけば、必ずグローバルでも役に立ちます。
    それこそミンスキー先生が提唱されていた「ダンベル・セオリー」という概念にも通じることですが、人間の思考はすぐに「先進国/途上国」のように二元論でモノを捉えようとします。実際には、両者の間に共通する課題もあるでしょうし、もっと複雑な構造の場合もあります。
    長谷川 石山さんが「超高齢化社会」を選ばれた理由は、解決したときのインパクトが大きいからでしょうか?
    石山 「超高齢化社会」と一口にいっても、認知症の方の問題なのか、それを支える社会的な保険制度の課題なのか、イシューはシングルではないのです。個人がいかにケアされるのか、介護拒否をどうするのか、社会保障費をどうコントロールするのか。ミクロからマクロまで極めて複雑系の様相を呈するのが「超高齢化社会」に他なりません。
    長谷川 一つの大きなイシューは複雑に枝分かれする問題群を内包しているということですね。
    石山 その問題を捉える視点によっても見え方が変わるでしょう。例えば、ライフネット生命の出口治明会長と対談させて頂いた際に、出口さんが女性登用についておっしゃっていたことですが、消費を牽引しているのは女性なので、女性ウケする商品を開発するために、プロダクトマネージャーに女性を登用することが必要だと。女性が登用されないことには、そもそも消費が増えないので、マクロ経済が停滞する。ダイバーシティの問題よりもマクロ経済学的な視点で語られていました。一つの問題には必ず複数の視点があるという事例ですね。
    長谷川 あるシングルイシュー一つをとっても、人それぞれで違う思考体系や認知の仕方で見え方が全く異なるということですね。
    石山 あるシングルイシューも内実は、複数のイシューが重なりあっています。その重なり合ったイシュー同士の間にいかにコミュニケーション可能なトレーディングスペースを作り、全体として複雑な問題を解くのかが鍵になるということです。
    マービン・ミンスキーは「考えるを考える」をどう考えたか

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  • 【新連載】長谷川リョー『考えるを考える』 第1回 思想家・山口揚平に聞く、「意識をコントロールし、情報を有機化する方法」

    2017-09-13 07:00  
    540pt


    今回より始まる新連載『考えるを考える』。あえて、テーマは設けず、僕、長谷川リョーが今一番会いたい人に話を伺っていきます。「会いたい」の基準は一つ。ただ情報を持っているだけではなく、思考をしている人です。第一回目にご登場いただくのは、貨幣論・情報化社会論を専門とする思想家であり、事業家の山口揚平さん。今回取材をさせていただいた僕とは東京大学大学院の同級生でした。 トランプが大統領に当選したとき、改めて気づかされたフィルターバブルの厚み。毎日のように誰かに取材をし、記事を書く私ですが、その営為は決定的にある情報系の枠内に限定されているのではないかと危惧を持つようになりました。それ以来、「そもそも」と考えるメタ思考の重要性について考える機会が増えています。 「20代から本や新聞を読むのを止めた」という山口さんにお話を伺うため、今回は軽井沢のご自宅へ。情報と思考の違い、シングルイシューの見つけ方、お金よりも大切なクレジットとクリエイティビティの育み方まで、普段なかなか議論することの少ない抽象的な問いに答えていただきました。

    長谷川 日本のような成熟した先進国の場合、社会問題が複雑化していますよね。働き方がどうとか、子育てがどうとか。一方で、発展途上国の場合は、「明日食べる米がないこと」がシングルイシューになります。本日はシングルイシューを見定めるための視座や、考えることについて考えるメタ思考についてお話を伺えればと考えています。
    山口 たしかに、日本における問題は有機的なのでシングルイシューを特定するのは難しいですね。でも本質にメスをいれれば問題は氷解します。いずれにしてもまずは、問題に切り込む強い視点を持つことが重要でしょう。そこから広範に広げてゆく。僕の場合は、大学に入る前から「お金とは何か?」、つまり貨幣論について考えてきました。7年ほどかけて書き上げたのが、『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』です。
    経済のツールである「お金」を切り口に、「社会とはなにか?」、「テクノロジーとはなにか?」、「人間とはなにか?」を辿って行きました。自分が関心を持っているものから周辺のテーマを見通し、多面的に捉えていくことで、同じ現象もいろんな角度から入っていけるはずです。なので、入り口はなんでも良いと思います。
    長谷川 ご自身のキャリアも「お金」に密接に関わるものですよね?
    山口 はい。20代の頃はコンサルティング会社でM&Aの仕事をやっていました。その当時のコンサルティング会社は今の業務改革や統計解析とは違い、情報や知恵を売るのではなく、「考えること」を提供していたんです。いわば、たった一つの本質解を出すための「思考労働者」。この頃に「考えることについて」すごく考えました。それが今につながる根本的な自分の哲学につながっています。
    M&Aをやるということは、会社を丸ごと見なくてはいけません。しかも限られた時間で。会社には人事、財務、税務、プロダクト、歴史があり、複合的な存在です。それら全てを俯瞰的に見通した上で、その会社を動かす本質を特定するのがM&Aのもっとも重要な仕事でした。てこの原理のように、本質に小さな力を加えることがもっとも生産性が高まることをこのときに理解したんですね。
    よく、「PDCA(plan-do-check-act)」といいますよね。このなかで、9.5割重要なのは「Plan(計画)」です。残りの0.5が「Action(実行)」。M&Aの場合は、一度しかAction(実行)のボタンを押しません。このボタンのことを「ホットボタン」や「コアバリュー」といい、そのボタンを的確に押すために有機的なつながりの中から本質を特定するのです。ですから3ヶ月の仕事のなかで、2.5ヶ月以上は情報調査やインタビューをやりながらも、頭の中では考えごとをしていましたね。

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