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  • 全ての場所を遊び場に。愛すべきシュライヒの動物たちーーシュライヒジャパン株式会社 清水英明インタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.043 ☆

    2014-04-02 07:00  
    220pt


    全ての場所を遊び場に。愛すべきシュライヒの動物たち
    シュライヒジャパン株式会社 清水英明インタビュー
    ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
    2014.4.1 vo.042
    http://wakusei2nd.com


    ときどき雑貨屋さんや本屋さんで見かける、リアルな動物フィギュア、「シュライヒ」。ドイツの有名なフィギュアブランドですが、その実態はあまり日本では知られていません。そこで大のシュライヒファン揃いのPLANETS編集部で、表参道にあるシュライヒジャパンのオフィスにお邪魔しました。
    ■78年の歴史を誇るシュライヒ
     

     
    今回、取材に応じてくださったのは、シュライヒジャパン株式会社セールスマネージャーの清水英明さん。
    とっても穏やかな雰囲気の清水さんに案内していただいたお部屋は、なんとシュライヒの動物でいっぱい!
    そんな素敵な空間で、シュライヒの魅力、そして今までとこれからについて、お話を伺いました。
     
     
    ◎構成・池田明季哉
     
     
    ■シュライヒ78年の歴史
     
    ――そもそもシュライヒって、どこからスタートしたんでしょう?
    清水 シュライヒという会社は、最初はおもちゃの会社じゃなかったんですね。1935年、ドイツでフリードリヒ・シュライヒという人が立ち上げた会社で、当初はプラスチック成形品を作っていたんですね。そこで戦争があって、ドイツが負けて、進駐軍が金属などの材料を全部持っていってしまった。それで工場に残ったのは、ベルベットの布だけだったそうです。たったこれだけで何ができるだろう? と考えたときに、針金と布の人形を作ったのが、はじまりと言われています。
     

     

     
    ――そこからおもちゃメーカーとしてのシュライヒの歴史がはじまったと。
    清水 はい。戦争の後で「これからは子供が笑顔になる仕事をしていきたい」ということだったそうです。それから60年代、70年代はキャラクターものを作っていたんですが、浮き沈み、流行り廃りが激しくて続けるのは難しいということになりまして。次に白羽の矢が立ったのが動物だったんですね。動物は景気にも左右されませんし、流行り廃りもないですから。それが80年代のことです。それから2000年代までをかけて、恐竜、海洋生物など少しずつバリエーションを増やし、妖精や騎士のシリーズなども入ってきて、ヨーロッパからアメリカ、アジアと世界中に広がっていきました。

     

    ――日本に入ってきたのはいつ頃になるのでしょうか?
    清水 10年ぐらい前でしょうか。日本には雑貨店や書店経由で入って来たので、インテリアだったりとか、高級なフィギュアというようなイメージがついてきました。そこである程度市場も成熟してきたということで、2年半前に日本のオフィスとして立ち上がったのが、シュライヒジャパンということになります。
     
     
    ■デフォルメされているからこそ、リアルで魅力ある造形。
    ――世界に広がっていった原動力には、どんなものがあったのでしょう?
    清水 キャラクター中心の玩具が多かった中にあって、動物のような普遍的な基礎玩具に舵を切って、かつ品質が高いものを提供したことでしょうか。それがわかっていただける方にはわかっていただけて、年々認知度が上がっていった形です。
    ――確かに日本でも、このサイズでこの品質のリアルな動物フィギュアってあまりないですね。日本人がやると、本当に図鑑っぽいものになってしまいがちだと思うんです。静的なポーズで、細部をとにかく細かく作る、という方向にいってしまうと思うんですが、シュライヒの動物は微妙にディフォルメされているところが魅力ですよね。
     

     
    清水 本当にそこなんです。あまり語られないのですが、私はそこがシュライヒの一番の特徴だと思っているんですよ。リアルなだけではなくて、愛嬌というか、表情が豊かだったり動きがあったり、そういうことは心がけていますね。
    ――人間って、本当にリアルな縮尺だと、リアルに感じないことってあるじゃないですか。例えばGoogle Mapが出たときって、みんな驚いたと思うんですよ。新宿と高田馬場ってこんなに近かったんだ、みたいな(笑)。自分が主観で見ているものと全然違う。実はリアルなフィギュアっていうのは、主観で歪んだ肌感覚を感じるものだと思うんです。シュライヒに感じるしっくりくる感じって、そのデフォルメの具合が素晴らしいのではないかと思います。
    清水 はい。同じゾウ、同じライオンを作っていても、どこか違うというのは、まさにそこだと思います。
    ――だから写真も撮り甲斐があるんですよね。今って、日本では可動フィギュアが全盛じゃないですか。でもなまじよく動く分、あれっていいポーズを取らせようと思うと、すごくセンスがいるんですよ。でもシュライヒはすごくいい表情がすごく考え抜かれて、簡単にとても情景的な写真が撮れる、というのは好きなところなんですよね。
     

     
    清水 ポーズはいろいろな写真を見たりスケッチを描いたりして、ドイツの本社で原型を作っています。そのあたりで日本のフィギュアと少し違ったものになっているのかもしれません。
     
     
    ■どこにでもあって、自由に子供に遊んでもらえるおもちゃ。
    ――小物や人物も充実していますよね。
    清水 はい。やはりごっこ遊びが基本ですから。並べるだけで世界観が感じられるようにしています。
    ――僕(宇野常寛)、サファリトラックの荷台にゾウ載せてますよ(笑)。あれとても載せたくなるんですよね。飛行機も事務所に飾ってます。
    清水 ありがとうございます(笑)。乗り物以外にも木なんかもあるんですが、変わったところではこんなものもあります。
    ――これは...サボテン!?
    清水 サボテンのフィギュアって珍しいですよね。でもこの隣にロバを置くととてもいいんです。