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岡田斗司夫のニコ生では言えない話 そんなに経済成長したければ、脱税したらどうですか?第94号

「何が税務署だよ。くるなら来てみやがれ」『マルサの女』を観返している無銘のマサフミです。 『岡田斗司夫のひとり夜話in大阪Vol.5「全部答える、会場からの一問一答」』も3回目になります。 『アオイホノオ』ドラマ化記念、アマノカズミインタビュー最終回では、アオイホノオ11巻の、あのセリフの真意が聞けます。お楽しみに。 岡田斗司夫も、脱税で経済発展なんて無茶苦茶言いますね。 そもそも脱税する人間は、無駄遣いなんてしませんけどね。 一滴ずつ溜まっていくコップの水をそのまま飲まずに、あふれた分だけを舐めるのが金持ちだって『マルサの女』でも言ってましたし。 せっかく脱税したのに貯めてなかったら、マルサに入られて追徴課税で破産してしまいますね。 もしも生活から日本銀行券への依存を減らせれば、追徴課税も個人破産も怖がることはないんでしょうけれど。 日本銀行券への依存から脱し、私たちの経済を回復させましょう! 脱税党、脱税党に清き一票を! おっとマルサに告げ口するのは止めてくれよな。 ************************************ ●“脱税”問題 「“日本はこれから少子化していく”って岡田先生はおっしゃいましたよね?」  そうそうそう。  だって、人口動態、人口がどういうふうに動くのかって過去のデータを見たら、今の日本のと同じような老人バランスが多くなった国っていうのは、イギリスとか、20世紀初頭の北欧の国とか、いくらでもあるんですよ。  で、そういう国にもう一回子供が増えて人口が増えだすには、やっぱり5,60年間の変換期が必要なんですよね。  なので、日本はこれからどんなこともしようとも、「5,60年ぐらいかけて人口が減っていって、底を打って、そこからもう一回上がる」って道筋を通るしかないと。  そう答えたんです。 「そんなことしたら経済が発展しないじゃないですか! 大問題じゃないですか! 経済が発展しないならどうすればいいんですか!?」 「老人達がいっぱい金を貯めこんでますよね? タンス貯金をいっぱいしていて、“老人に金を使わせなきゃ”いけないんすけど、岡田先生はどういうふうに考えてますか?」 「この国には何千億円、何兆円っていう老人のタンス貯金があって、それを使わせて吐き出させないと経済が活性化しないですよ! どう思いますか!?」  ——って言われて、  なんか僕、カチンときたんですね。  カチンときたのは、その言い方っていうよりも、考え方なんですよね。  その、「老人が金を貯めこんでいるからそれを使わせなければいけない」と言う人はいるんです。  それを言うのは勝手です。  ただ、そういう言説を鵜呑みにしてですね、なんか、いけしゃあしゃあとしてるのは、僕は“嫌い”なんですね。  なんでかっていったら、老人っていうのは単独で老人であるんではなくて、その人にはだいたい家族がおるはずなんですよ。  もちろん、縁のない老人もいますけど、だいたいの老人って、家族が全然おらへんとかではないんですね。  であるならば、本来は“その家族の問題”のはずなんすよ。「老人の財産をどうするのか?」っていうのは。  その家族問題であるはずの、「おじいちゃんおばあちゃんのお金をどうするのか?」っていうのをすっ飛ばして、国とかが「どうにかしてあいつらから吐き出させへんかったら、経済が発展せえへん!」っていう考え方は、これはイヤやなあって。  うちの国っていうのは、“老い先が不安で、お金ぐらいしかすがるものがなくて、タンスに貯金してるおじいちゃんおばあちゃん”から、「金をどうやって盗むのか? 抜き出すのか?」ってのを考えな経済発展ができへんのか。  それやったら、俺、「経済発展なんてせんでもええわ!」っていうふうに思ってしまうんですね。  根がアマノジャクやから、そういうふうに思ってしまうんですよ。  経済発展っていうのは、あくまで“幸せ”のためにあるのであって。  その幸せの話で言えば、少なくとも、おじいちゃんおばあちゃんを騙して金を奪い取るというのが“幸せな国家”のはずがない。  やっぱり、さっきの話に戻るんですけども。  そんなことをやって、“品性”を下げてまで得た幸せっていうのは悪い結果しか生まない、というか。  僕は、なんとなく、昔話的な正義と悪というのを信じてますんで、「それは良くないもんだろ?」というふうに思っちゃうんですよ。  だから、その中国のおじさんにも、「いや、別におじいちゃんおばあちゃんから無理やりに金取らんでも、経済が回らんでもかまへんやないですか」って言ったんですね。 「でも、そこで経済が回ってきいへんかったら、国が活性化しないじゃないですか!」 「経済が動けへんかったら、物の値段がどんどん下がっていって、みんなお金がなくなっていきますよ!」  うん。まあ、そんな感じもわかるから、あえて反論はせえへんかったんですけど。  で、「どうするんですか!?」っていうふうに言われたんで。  僕、いきなりですね、 「ほんなら、国民全員が“脱税”したらエエん違いますか?」 って言ったんですね。  僕らはだいたい自分の収入の半分ぐらいを国に税金として納めているんすよ。  まあ、一番少ない人で8%ですか?  消費税の分しか納めてないっていうのはあるんですけども。  それ以外の人は、だいたい自分の収入の3割から半分ぐらいを。  さらに、会社が儲けてたら、会社が儲けたお金の4割ぐらいを。  さらにそこから給料貰ったら、給料の中から半分近くを。  色んな形で国に納めてるわけですね。  で、 「経済が活性化せえへんのは、僕らが“日本国”という国をたいして必要としてへんのに、こんなに金を使いすぎてるからや!」 というのが僕の考え方なんですよ。  そんなに経済発展させたいんやったら、国民全員が脱税すればええだけでしょ?  国民全員が示し合わせて脱税したら、彼らは絶対に摘発しようがないよ。  そら、もちろん何人かは“見せしめ”のために捕まえられて、拷問にかけられるなり、死刑にされるかもわからへんけども。  国民全員が脱税したら、なんの抵抗もできずに、あっという間に日本という国は潰れてしまうと。  その潰れるときに、たぶん、国の人らは、「こんなやり方で日本政府が潰れたら、持ってる日本円の価値が0にまで暴落していって、国債価値がなくなって、困るのは皆さん方ですよ!」というような、嘘みたいなことを山ほど言うはずやけども。  貨幣というものには“粘着性”があるということは、あらゆる経済学者が言ってるんですね。  「国債が暴落する」とか「日本円が暴落する」っていっても、ゼロになることは絶対にないんですよ。  ひょっとしたら一時的に、今、1ドルに比べて100円ぐらいの“円”が、200円まで落ちてしまうことはあり得るんですけども。  200円まで落ちた円は、必ず翌日には140円ぐらい戻るんですね。  これが、通貨の粘着性というやつで。  僕らの世界っていうのは、巨大な慣性、“はずみ車”が持ってるような、それまでの勢いとか質量っていうのがあるから、絶対に劇的に変わったりせえへんのですよ。  特に経済は。  だから—— 「国民全員が脱税して、国にお金を全く払わなくなって、それを自分の無駄づかいとか生活費とかに充てたら、経済は活性化するし、無駄な国家公務員の数は劇的に減らされるし、ええことばっかりですよ」 「そんなに日本経済の将来が心配なんやったら、“今すぐみんなで脱税しよう!”という政党を立ち上げて、政治活動をされたらいかがですか?」  ——というふうに言ったらですね。  なんかすごい目で睨まれてしまって、その話はおしまいになってしまいました(笑)  というのが脱税についての話です。

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著者イメージ

岡田斗司夫

作家、評論家 1958年、大阪生まれ。株式会社オタキング代表。FREEex主宰。常に時代の先を読み、ユニークな創造をし続けるクリエイター。アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスを創業、社長時にはアニメ『王立宇宙軍オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』、ゲーム『プリンセス・メーカー』などを手がけ、ブームを巻き起こした。その後、東京大学非常勤講師に就任。作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越え、人々は尊敬の意味をこめてオタクの神様「オタキング」と呼ぶ。

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