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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】 島本和彦が発見!浦沢直樹の「終わらないクライマックス術」 第88号
2014-06-09 07:00220pt島本和彦先生の『アオイホノオ』は読んだことがありますか? Kindleでダウンロードして読み始めた前田宏樹です。
今週から、全4回にわたり、2012年8月12日に行われた『島本和彦×岡田斗司夫対談「アオイホノオの真実」』をお送りします。『アオイホノオ』は島本和彦先生による、大阪芸術大学の学生時代をモチーフにした自伝的作品です。
『アオイホノオ』には我らが岡田斗司夫も登場しますし、7月からはテレビ東京でドラマ化もされます。この夏は『アオイホノオ』で盛り上がりましょう!
それではハイライトもどうぞ!
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<岡田>
ちょうど僕、島本先生の『アオイホノオ』が、多分そろそろ連載になるだろうって段階で、大阪芸大一緒に行ったじゃないですか。
<島本>
はい。
<岡田>
僕の講義のゲストに来て頂きましたよね。その時に島本先生の学生相手の講演がすごい面白かったんですよ。
”浦沢直樹の秘密”って、覚えてらっしゃいます?(笑) 。
<島本>
また、危険な事を言わせようとしてるね(笑)。
<岡田>
あの頃に島本先生、”あの法則”を発見したんじゃないかなと。つまり、”終わらせない”という方法。浦沢直樹のストーリーラインはこういう作りになっている、という。
何かあったんじゃないですか?
<島本>
ありました。
<岡田>
盛り上がったら、いきなり別の話を始める。永遠にこのクライマックスは続くと。
<島本>
あの、いや――、私の分析ですよ?
<岡田>
はい。
<島本>
浦沢さんの1回1回が、ベクトルがすごい上を向いていて。そのベクトルの矢印の上に、すごい面白い事が待ち受けてるんですよ――。
でも、それ描かないんですよ!
で、次の回に行ったら別の物語が始まってて、またベクトル上向いてるんですよ。絶対これ面白くなる筈だと思ったら、それ描かないんですよ。毎回毎回、上のベクトル。
「いつになったら自分の頭で想像したすごい事が起きるんだろう?」
――と思ったら、いつまでたっても起きないんですよ!
<岡田>
『20世紀少年』とか読んだら、最後はちゃんと(すごい事が)起きてるんですけども、僕らの期待値が余りにすごくなってるから。
<島本>
(すごい事が)起きてる事に気が付かないでしょう?(笑)。
<岡田>
「あれ、お面取ってくれてたんだ?」くらいの感じですよね。
起きてる事に気が付かない(笑)。何げに、とてつもなく酷い事言いましたね!
<島本>
いやいや――、悪口言ってませんよね(笑)?
褒めてるだけですよね?
<岡田>
言ってません(笑)。分析です。
その意味では、海外ドラマの所謂、『24 -TWENTY FOUR-』とか、『LOST』とかを先取りしたような構成にしてる訳じゃないですか。
あるストーリーが始まって、クライマックスまできたら場面転換して、別の話をやってる。だから読んでる人って、マルチストーリーの話を読んでながら、ずっとハイテンションとドキドキ感が続く。
そういう、”終わらせなくてもいい”やり方見たいなものを、ちょうど連載準備中の時に、島本先生が熱く語ってるのを聞いてて。
じゃあ、島本先生もその方法でやるのかなぁと思ったんですよ。
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