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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第十一話(最終回)「青春とは何だ!?」のひみつ」
2014-09-29 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/29
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第十一話(最終回)は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 **************************************・ダイコン号の操縦席
モユルが見ている「ダイコン3オープニングアニメ」のラストカット近く、船長服の女の子が微笑んだら、操縦席のデブがスイッチを入れる。この手前のロン毛デブが当時の岡田斗司夫だ。奥に座ってるデブは武田康廣。
**************************************・「僕の所で仕事手伝って欲しいぐらいです」
これは手塚治虫がダイコンの楽屋で実際に言ったセリフ。「ぜひ東京に来て、24時間テレビのアニメを手伝って欲しい」と言った。24時間テレビのアニメ、とは日テレの「愛は地球を救う」特番で流される『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』のことである。
しかし、このセリフが手塚から出たのは1981年8月22日。そして「手伝って欲しい」という『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』のオンエアは翌日8月23日。もちろん間に合うわけがない!!
この手塚の恐るべきオファーに、当日は全員が凍り付いた。「手塚伝説はウソじゃなかったんだ・・・」と思い知らされた一瞬だった。
ちなみに、『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』は大幅に未完成のままオンエアされ、翌年の24時間テレビのアニメは別会社に移された。
**************************************・「なにか・・・ (手塚) ・・・足りませんよね?」
岡田斗司夫演ずる手塚治虫は、「なにか」と「足りませんよね?」の間に声ナシで「手塚」というセリフを入れている。もちろんシナリオにはないアドリブだけど、福田監督はこんなバカな演技にもOKだして、本編で採用してくれた。
この一事をもって、岡田斗司夫は福田監督を「生涯の監督」と呼び、以後は福田作品には「ノーギャラ・ノー出演NG」で望むことを誓ったのである!
**************************************・「本当にそんなことなのか!?」
もちろん、本物の島本和彦はこんな勘違いはしない。あの1981年の夏、当時の少年ジャンプ編集者・堀江信彦氏が指摘した「お前のマンガは、熱血に照れてギャグでごまかそうとしている。少年読者を舐めちゃダメだ。作者は恥ずかしくても全力で描け!」というメッセージを送ったのに、当時の島本はどうしても自分の作風にこだわって「ベタな熱血」が描けなかったのだ。
ところがなんの運命のいたずらか、島本はけっきょく、初の連載『風の戦士ダン』でベタな熱血を描くように強要される。しかしパロディやギャグしか描いてなかった島本は、原作者・雁屋哲を激怒させるようなパロディやオリジナルを入れてしまった。両者は2009年のパーティーの席上で和解するまで、延々と「気まずい関係」だったという。
かようなまでに、焔モユルにベタな熱血は無理だったのだ。
**************************************・「なんて言ったんすか?」
これを聞く若手編集者は、おそらく鳥嶋和彦。つまりDrマシリトこと、鳥山明の担当編集者にして、現在は集英社・小学館の取締役だ。
この役者さん、若い頃の鳥嶋にものすごく似ている。キャスティングの人の遊び心がうかがえる。
ちなみに実際の関係では、鳥嶋は堀江の3年先輩なので、こういう言葉づかいはあり得ない。
しかし熱血好きの堀江は熊本出身で早稲田。クールでマニアックな鳥嶋は新潟出身の慶應。そしてパロディ好きの島本は、吾妻ひでおを生んだ北海道出身というのも面白い。
**************************************・部屋を荒らしまくるモユル
第5話でサンデーまんがカレッジに落ちたモユルは、やけくそになりながらも部屋を荒らせなかった。積み上げた別冊サンデーを崩しただけ。つまり第5話のモユルは「失望したけど、絶望していなかった」わけである。
しかし今回のモユルは絶望している。マンガだけでなく、部屋のあらゆるものをひっくり返す。つまり「これまでマンガやアニメが好きだった自分」までも否定しているのだ。
その絶望は短絡的だけど、昏く果てしなく、やるせない。
おじさん、このシーンでちょっと泣いちゃったよ。
**************************************・「彼氏やがな、見たらわかるやろ?」
とミノコ先輩は言うけど、実は視聴者にはよくわからない。
このシーン、台本では
「横から男があらわれて・・・マスミの肩を抱いた。照れくさそうにその手をはねのけるマスミ」
とある。つまり、ややイチャイチャしてるシーンのはず。
しかし実際の演技ではマスミ、なんとなくちょっとイヤそう・・・
これは演技の解釈違い? ひょっとしてAKB48ゆえの事情?
**************************************・「違うぞ若者!」
という原作者・島本和彦の怪演技。
というか、これ演技ではない。実際の島本も、いつも話し言葉がセリフ口調だからだ。
「なるほど~と言うワケか!」とか、日常生活で使う人はこの人ぐらいである。
**************************************・「あえて寝る!」
このシーン、夢オチのように見えなくもない。つまり功成り名遂げてマンガ家となった作者が、辛かった青春時代を思い出してる、という読み方もできる。
しかし、よーくシーンを吟味してみよう。
マンガ家になった焔モユルは、〆切りの限界をとうに過ぎている。しかし体力もすでに限界を超えていて、眠くてしかたない。
ではどうする?
モユルは「あえて寝る!」と叫ぶ。土壇場でまず逃避する彼のクセは、大学時代からなにひとつ変わっていない。唯一、変化したのは「それでもプロか?」と聞かれたときに「オレはプロだ!」と言い返せるようになった、ということ。
ずっとずっと自己正当化→自己欺瞞→自己嫌悪を繰り返してきたモユルは、作家になってついに自己を肯定でき、なおかつ「作品」という結果を出せるようになった。
しかし「あえて寝る!」というモユルの本質はなにひとつ変わっていない。
庵野も、モユルも、自分の生き方を変えなかった。ベタに徹すれば売れる、というジャンプの誘いを断り、自分の信じる「シリアスな絵でバカをやる」にこだわり抜いたモユルは、なにひとつ妥協せずに自分の夢を貫いた。
だから、このラストは大ハッピーエンドなのである。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第十話「見えてきた光」のひみつ」
2014-09-20 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/20
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第十話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 **************************************・「あしたのジョーを参考にした動き」
モユルが独白するとおり、かなり上手く真似ている。
「なんだとこの野郎」のカットで、主人公の目線だけが移動するカットや、キックの流線とのけぞる背中、アッパーカットの表現など、たしかに「あしたのジョー」と完全にわかる動きをしている。
この時代の自主アニメ、それも1人で作り上げた作品としてはかなり非凡な域に達しているのだ。
**************************************・「ホルスを知ってる奴、本物を思い出して感動してくれ!」
よくここまで痛いセリフが描けた!その勇気に感動するなぁ。後に出てくるダイコンのオープニングアニメも、モユルが打ちのめされた庵野のウルトラマンも、実は作り手はみんなモユルのようなことを考えている。
だからこのシーン、99%の視聴者はその愚かさや自意識過剰に笑っているだろうけど、1%のクリエイターや元クリエイターの視聴者はいま、「たしかにそんなこと考えた!いまも考えてます!」「モユル、オレの心の奥を暴くのはやめてくれっ~!」と叫んでいるはずだ。
たとえばいまこの瞬間、映画「寄生獣」の作業しなければいけないはずなのに、テレビの前で奥さんといっしょに正座して見ている山崎貴監督!恥ずかしいでしょうそうでしょう。もちろん僕も恥ずかしい!
**************************************・「ここはトンコさんに似たキャラをわざと出した」
このシーンに限らず、島本作品の女性キャラはすべて「その時に島本が惚れていた女性」そっくりだそうだ。森高千里にハマった時は、マンガ内にむりやりそっくりなキャラを出してしまったエピソードは、島本ファンには有名な話。
宮崎駿監督はいつも身近に「お気に入り」の女性がいて、やはりスタッフから見ていると「ああ、このキャラは彼女だな」とわかる場合もあるという。
ピカソも、多数の愛人の肖像画を描いた。作家というのはみんな同じだ。だからみんな、このドラマを七転八倒しながら見てるのだ。
**************************************・「ごめんなさい、アニメなんか作っちゃって・・・」
土下座するモユル。いま山崎監督だけじゃなく、おそらく日本中の作家・クリエイターが悶絶しているシーン。
なにかを作るときは、思いきりうぬぼれないと作れない。実績のまだない若者は、うぬぼれとプライドだけを燃料に高みを目指す。
「高みを目指して作品を作る」というのは、ムリ目な女の子に告白するのと同じだ。だから99%は失敗する。すると「告白なんかしなきゃよかった」「好きになってごめんなさい」と深く、とてもとてもふか~く落ち込むことになる。
**************************************・「トンコさんはオレのメーテルだ」
機械人間に母を殺されたは、機械への復讐を誓う。鉄郎の前に現れた謎の美女メーテルは、鉄郎に「機械の体をあげる」と誘って、銀河鉄道999に乗せる。
メーテルとは「すべてを認め、癒やし、励ましてくれる理想の女性」である。
しかしメーテルの目的は「機械化惑星メーテル」に鉄郎を連れて行くこと。そこで彼は人間でも機械の体でもなく、ただのネジに改造されようとする。メーテルの目的は未来を信じる若者たちを騙して、惑星メーテルの部品に改造することだった・・・。
その目的を知ったとき、鉄郎は絶望する。しかしメーテルの手を取り、その機械化惑星から逃亡。惑星メーテルはすべての「ネジ化された元・若者たち」が氾濫して分解してしまう・・・。
メーテルには、このように「導いてくれる聖女」「破滅させる悪女」の二つの解釈が存在する。ホノオにとってトンコさんとはなんだったのだろうか?
**************************************・「岡田さん、大変です!」
このカットに登場する女子大生、おそらく雰囲気からして近畿大学か大阪大学かな?彼女には特定のモデルはいないんだけど、なんだかもう、とんでもなく「80年代の女子大生風」である。
前髪ぱっつん、ポニーテールというか単に頭の後ろでゴムで括った髪型、よく見るとなにげに隠れ巨乳。このあたりの再現率の高さはお見事!いや、こういう子、当時のスタッフにいるかと思って思い出そうとしちゃったよ~(笑)
ただし、服装がオシャレすぎる。カーディガンの肩掛けなんか当時、見たことないよ!
**************************************・「サッポロポテトバーベキュー味と牛乳」
これは当時の山賀君と赤井君から聞いた庵野ヒデアキ取り扱いマニュアル。しかしこのマニュアルには重大な「抜け」があった。庵野の主食は「酒と魚肉ソーセージと餃子」だったのだ!
たしかにサッポロポテトバーベキュー味と牛乳は、よく消費する。しかしそれだけでは栄養素不足か、庵野は動かなくなってしまう。
この時、餃子を与えれば、ものすごく元気になる。魚肉ソーセージがあれば、ゴキゲンだ。そしてなにより好きなのが酒だった。
**************************************・風呂でウルトラセブン再現
実際には風呂ではなく、水風呂だったそうだ。庵野に聞いたら「風呂じゃありませんよ。水風呂ですよ。僕は常識人ですから」と語っていた。
庵野と赤井はこういう「ウルトラ再現芸」が好きで、その他には「シーボーズ&シーゴラス対帰ってきたウルトラマン」というのもある。この時は山賀も「ウルトラバーリアーB型」役で参加する。
**************************************・寒そうな赤井
岡田斗司夫の部屋には当時、ダイキン製の業務用エアコンが装備されていた。夏場はいつも、そのエアコンがフル稼働!25畳の部屋で、100畳でも余裕で冷やせる業務用エアコンを全開にしたらどうなるか? 答え:とてつもなく部屋が冷える。
当時、エアコン前のテーブルに置いてたコップの水が凍ったのを何人もが目撃している。
Googleやfacebookのサーバは極地など常時、氷点下の場所で稼働している。同じく、真夏でも息が白くなる部屋でないと、岡田斗司夫の脳は充分に動かないのだ。!**************************************・「無事、岡田の意見は却下され」
この天野和美の「ウンコの早食い競争」には、一発で負けた。自分が主張している「誰もやったことがない」「とにかくインパクトが強い」という条件に合致し、なおかつ「なぜオ○コマークではダメなのか?」を一発で論証してるからだ。
この日より、「岡田さんがムチャを言いだしたら和美さんに頼め」がスタッフの合言葉になった。
なお、岡田斗司夫のアイデアはとにかく数が多く、しかも大部分が「誰も思いつかないオリジナリティ」に溢れている。しかし同じく、その大部分は発想が奇天烈すぎて使い物にならない。庵野秀明は後にこういう岡田のアイデア群を「岡田斗司夫の却下事典(百科事典のダジャレ)」と呼んだ。
**************************************・「大丈夫です。音なんかでなくても大丈夫」
いや、実際は庵野を含めて全員パニック(笑)
僕は舞台の下手袖。武田さんは反対の上手袖。庵野たち3人は、会場中央の8ミリ映写機横にいた。
映写機の操作ミスでは無く、会場の音響さんの勘違いだったが、それがわかったのは映写の後。とにかくその場ではなにも出来ず、ただパニックになるしかできなかった。
しかし、音なしでもこのアニメはバカウケ。あまりに受けたため、「一回限りの上映」のはずが、二日間のSF大会で6回もアンコール上映することになった。**************************************・「決めたぞ。オレはワンダーマスミの愛を受けとめよう」
ここまで勘違いしたかどうかは知らないけど、原作者の島本和彦は当時、本気でワンダーマスミに惚れていたらしい。なんと翌年のミノムシミノコ先輩の「ワンダーマスミ2」にもちゃっかり出演している。そして、なんか映画内でマスミにカッコいいとこ見せようと不自然な演技してるらしいのだ!
このあたりは監督・福田氏の証言を聞いてみよう。
「島本先生、もう本気で惚れちゃって、ワンダー2に出てるらしいんですよ!で、『見せてくれ』って言ったら、なんか異常に嫌がるの!とにかく無理やり見たら、もう恥ずかしいのなんの。演技はもちろん0点だけど、とにかく臭いセリフ言ってマスミに好かれようとしてるのが画面からムンムン伝わってきて、みっともねーったらありゃしない!」
吉祥寺の中華料理屋で座談会の終盤、思い切り暴言を吐く福田監督。それに「わー、みっともねー」「恥ずかしい」「バカ」と同調する山賀。もうね、奴らは鬼畜の極みですよ。
この「ワンダーマスミ2」、ミノムシ先輩のOKは貰ってるので、DVDボックス特典に入れるかどうか、いま検討中らしい。**************************************
番外 アメトーク
先日、アメトークで「タッチ芸人」がオンエアされた。マンガ「タッチ」をこよなく愛する芸人たちが集まって魅力を語り合う、という企画だ。テレビ朝日の番組なのに、フジテレビのアニメ「タッチ」映像をちゃんと使用していた。
これを見ていて思ったんだけど、たぶん半年以内にアメトークで「アオイホノオ芸人」やるよなぁ。いま芸人さんが一番見てるドラマだもん。たぶんペナルティのヒデさんあたりが「アメトークでアオイホノオ芸人するの、すでに予言されていました」というカンジで、この解説も紹介されるんだろうなぁ・・・。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第九話「最後の聖戦」のひみつ」
2014-09-13 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/13
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第九話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 **************************************・「岡田トシオの頭のおかしさに驚愕する庵野たち」 岡田の学生時代のニックネームは完全な放送禁止用語だったから、オープニングのナレーションでここまで言われても仕方ない。ただし、本人的には「君ら常識 的なことしか考えてへんから、常識的なことも出来へんねん。常識以上のこと考えて、はじめて常識程度のことが出来る。頭のおかしいこと考えて、はじめてす ごいモンが出来るねん」と考えていたことを付け加えておこう。**************************************・「15ページじゃなくて、31ページにしよう」 週刊少年ジャンプに限らず、売られている雑誌や本にはすべて法則がある。それは「8または16または32の倍数でページ数が決まる」ということだ。 雑誌には「4色カラー折り」「2色折り」「モノクロ折り」が混在している。折り、とは大判の紙を2回とか4回とか折った状態のこと。大判用紙を1回折れ ば、表裏で4ページ、2回折れば8ページ、3回で16ページになる。これを印刷業界では「折り」と呼ぶ。雑誌の目次を決めるときは、モノクロやカラーペー ジの順番を決めるために「折り」で考えることになる。 モユルが最初に描いたマンガは15ページ。これに広告やお知らせの1ページを足せば16ページ折りになる。ホーリィが提案したのは、もっと大きな32ページ折り(広告1ページをマイナスして31ページ)をモユルに描かせようということ。**************************************・諸星大二郎とか星野之宣 どちらも手塚賞を授賞した作家。 諸星は「誰の影響も受けてないような、上手いのかヘタなのかわからないけど、異常なまでの作家性と世界観」でマンガ界に衝撃を与えた。いわば水木しげるタイプの作家。 星野は「マンガなのかデザインイラストなのか見分けつかないほどの端正な画風と、複雑な設定」でマニアを唸らせた。いわば士郎正宗タイプの作家。 1974年に諸星、75年に星野がそれぞれ手塚賞を取ったので、しばらくは手塚賞は「あれぐらいすごい新人でないと取れない」と怖れられた。**************************************・作画している赤井 実際にアニメを作画している人間は、このように「座って黙々と描く」場合は少ない。自分の描いている動きを脳内で確認するため、「作画しているキャラと同じ動き」をする。 つまりこのシーンの場合、赤井は「コップを持って、ニッコリ笑う」という動作を何度も自分で繰り返しながら、作画しているのだ。 隣で見ていると、実はかなり気持ち悪い(笑)
**************************************・核シェルター 岡田邸の核シェルターは、実際には放射能には対応していない。放射能に対応する核シェルターには「1.衝撃と熱に耐える装甲」「2.電源用の発電機と燃 料」「3.空気循環フィルターとポンプ」「4.備蓄の食料と飲用水」が必要。岡田邸のシェルターには2と3がなかった。これは岡田の父・博が「核戦争で一 番怖いのは暴徒。ウチみたいに外から見ても金持ちまるだしの家は暴徒に襲われるのが一番怖い」と考えたため。**************************************・期限切れの保存食 ちなみに実際に備蓄されていた食品で、庵野と岡田が盗み食いしていたのは「ポッカ缶コーヒー」「ハーシーの業務用特大チョコ」「とよすハイサラダ」。 業務用チョコはタテ30センチ横60センチ厚み3センチぐらいあって、備蓄棚には木槌が常備されていて、それで叩かないと割れなかった。**************************************・「君はほんま描くだけの人間やなぁ」 庵野は「アニメのみに打ち込む人間」だけど、「描くだけの人間」ではない。 アニメの上映会があると遠くても出かけるし、しょっちゅう作画をサボってビデオでアニメを観ていた。マンガも大量に読むし、SF小説だって読んでいた。**************************************・「筆で描いて動かすっっ!」 TVアニメ「タイガーマスク」「カムイ外伝」や「佐武と市捕物控」などから影響を受けまくった焔モユルの「荒い画風でダイナミックに動かしまくりたい!」という狙いは、けっきょくこの時代のアニメ界では主流にならなかった。 僕が庵野たちと作ったアニメ会社・ガイナックスから独立したスタッフたちが2013年にアニメ「キルラキル」を作り、ようやっとモユルの目指したアニメは完成した。 もちろん原作者・島本先生は「キルラキル」に狂気。札幌まで打合せに行った岡田にいきなり第一話を見せる、という「おもてなし」をしてくれた。**************************************・「アニメ用紙を使っていない!」「次からはその方法を真似させて貰うがな!」 このシーンのウラ話、先日のスタッフ座談会で赤井孝美本人が語っていた。 「島本君が僕の絵を覗きながら聞くんですよ。『そのやり方だったら、下の絵が透けて見えちゃうんじゃない?』って。たしかに透けるけど、それが”前の絵の残像が見えてる”ぽくなるから逆に効果的だ、って説明してあげたんですよ」 「そしたら島本君、次回のファーピク作品で真似してきて、なんと”止め”シーンでも下の絵が透けてるんです!止めシーンに残像あるわけないじゃないですか!あいつ、本当にアホでしょー!」 その場の福田監督も武田さんも山賀君も大爆笑。ああ、島本和彦ってなんて可愛くてバカなんだろう!!**************************************・にゃんにゃこタイガース 冒頭のネコの作画は「セリーグAクラスに上がろうとするけど、すぐにずり落ちてBクラスになるタイガース」という意味。当時のタイガースファンの挨拶は「今年のタイガースはひと味違うで!」だった。つまり「昨年は弱かったけど、今年は強いぞ」と毎年、言い続けるわけ。 春先は優勝を夢見て、夏前はAクラス残留を希望し、でも夏が終わる頃にはBクラスに落ちている。このタイガースの哀愁を描いているわけだ。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第八話「歴史の幕あけ?」のひみつ」
2014-09-06 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/6
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第八話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 **************************************・第7回注釈の訂正
評論家の氷川竜介さんから前回注釈の勘違いについて訂正いただいた。
(1)松本零士の「さらば宇宙戦艦ヤマト」→「宇宙戦艦ヤマト」(『宇宙戦艦ヤマト2』冒頭部分に相当する第2巻頭)
※松本零士の漫画版はすべてタイトルが『宇宙戦艦ヤマト』なんです。そして「さらば」にはあのアンドロメダのシーンはなく『宇宙戦艦ヤマト2』のシーンを漫画化したのが、あの一連。
(2)「宇宙戦艦ヤマトは博物館行きとなっている。」なっていません。廃艦処分が決定され、ドックで待機中のところを、古代たちが勝手に持ち出す展開です。
(3)「新型戦艦アンドロメダ」→「新造戦艦アンドロメダ」
氷川さん、ありがとうございました!
**************************************・入り口に鹿
これら岡田邸に関する描写は実話だが、実際はどうだったか?
当時の岡田邸は敷地面積50坪に、タテヨコ高さすべて同じく10メートルのコンクリート製の立方体だった。側面には1~6個の窓が開き、まったく同じサイズの「岡田刺繍」本社が隣に建っていた。つまり巨大なコンクリート製の「二つのサイコロ」。
二つのサイコロの間に、それぞれを繋ぐエレベーター塔。外からは回り階段で2階の玄関に上がらないと入れない。玄関には奈良の人間国宝作家の彫った「一刀彫りの鹿(実物大)」がお出迎えしてくれた。
**************************************・エレベーター
岡田の母は椎間板ヘルニアを患い、足が不自由だったので、父は新築した家にエレベーターを設置した。もちろん家庭用エレベーターなど存在しない時代だから、普通の業務用のエレベーターだった。
**************************************・「おれってスゴイやろ」
当時の僕が放っていたオーラだと言うけど、本人にはいたって自覚無し。いまだに「不当な表現」だと思っている。プンプン。
**************************************・「ウチが金持ちやからちゃうかな?」
岡田の両親は刺繍業で一儲けしたが、その儲けの大半を税金で払わされたことを極端に悔しがっていた。そのために潰れかけていた宗教法人を買収し、母を教祖とする新興宗教を設立した。この宗教のために岡田邸にはきゅうきょ、4階が増築され、そこには巨大な神棚が設置された。
宗教組織だが、あくまで節税目的なので家族以外の信者はゼロ。古代神道の流れを汲む、山岳神をあがめる宗教だった。
**************************************・「下は核シェルターやで」
実際の岡田邸構造は、
2階・・・玄関(鹿アリ)と台所、リビング
3階・・・岡田の姉の部屋と岡田斗司夫の個室がある。それぞれ25畳の広さ。姉の部屋には天井中央から下げられたブランコが一つあるのみ。当時、姉はすでに嫁に出ていたから、岡田3階を独占していた。
1階・・・半地下の核シェルターであり、エレベータでのみ降りることが出来る。階段がないので、エレベーターの電源を一階から封鎖すると中に進入するのは不可能。岡田夫妻(両親)の寝室と、豪華な隠しリビング、食料備蓄庫がある。
1階には窓は一つだけ。隠しリビングのソファー横にあるスイッチ一つで鋼鉄シャッターとカーテンが電動で操作できた。
**************************************・「ここが僕の部屋や」
実際はこんなに天井が高くないし、もっと本棚だらけ。電車や木馬も実際には無い!(笑)
ソファーなど余計なモノもなく、25畳の部屋全てが本棚のみ。全員、じゅうたんの床の上に座って話した。
**************************************・「タチワニ」
岡田斗司夫の両親がやっていた岡田刺繍は、その初期にはゴルフウェアブランドのパチモン(ニセモノ)を作っていた。ワニが寝そべる”ラコステ”、ペンギンの”マンシングウェア”、日傘の”アーノルドパーマー”がその代表的なブランド。岡田刺繍はそれらのパチモンを作り続けたが、その代表作の一つが「ラコステのワニをむりやりマンシングのペンギンそっくりに立たせた”タチワニ”」。
Tachiwaniと筆記体で流暢なロゴまでいれると、なんだか本物っぽく見えた。
しかしその技術力は高く、後に本物の各ブランドから下請け製作を依頼されるようになり、一気に儲かりだした。
**************************************・「原秀則はマイナスがないけど、内容もない!」
これはモユルの思い違い。ラブコメは「心のすれ違い」を描くんだけど、「心」は絵として描けない。だから「噛み合わないセリフ」「言えない独り言」などのテキストや、情景描写や遠景などを重ねるモンタージュ的手法でマンガを描くしか無い。
しかしヒーローものばかり描いていたモユルには、「世界征服」「挑戦状」「甲子園」などの”事件”が起こらないマンガを「内容がない」ように思えてしまうのだ。
**************************************・「宇宙学園にも教室、ありそうだよね?」
まさに永井豪が当時「スペオペ宙学」というマンガを描いていた。いろんな宇宙人が通う宇宙の中学校だけど、ちゃんと校舎も教室も、机も椅子もあった。甘いぞ、モユル!
**************************************・「いますぐ上映会や!」
これも半実話。SF大会をやるようなスタッフたちなら当然、イデオンぐらい見てる。セリフも全員、言える程度の「基礎」は出来ている。
しかしアニメを作っていた当時の岡田邸では毎夜、アニメや特撮のビデオプロジェクター上映会があった。なぜか?それは単調だけど重労働なアニメ作り(鞭)がイヤになって疲れ果てたスタッフたちを逃がさないための飴であった。
大阪府堺市にある岡田邸から、スタッフそれぞれが自宅に帰れる電車のリミットは午後10時前後。そのため、ビデオ上映会は毎晩9時ぐらいから行われた。ビデオデッキすら高価だった時代に、業務用三管式プロジェクターでの大画面上映、それも周囲全員が「基礎」のできているファンばかり!この上映会は本当に楽しく、また庵野や赤井による技術解説も現在の大学講義そこのけの面白さだった。
この上映会でけっきょく徹夜での泊まり込みに引き込まれたスタッフは多かった。のちにこの方式はアニメ専門誌アニメックで「大阪の連中のタコ部屋」と呼ばれた。
**************************************・日めくりカレンダーの名言
「悪」は倒せても「おやじ」は倒せん!「悪」は許さんが「おやじ」は許す!
これらの名言は、島本作品に出てきたり、島本の同人誌「名言集」などから引用されたもの。島本和彦も庵野秀明も、実は「名言コレクター」であり、年がら年中、自分を奮い立たせる「名言」を探し、それをなぜか日常生活で絶叫する。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第七話「激動の一夜」のひみつ」
2014-09-01 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/1
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第七話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 **************************************・トンコさん このドラマに登場するのは、基本的にすべて実在の人物。もちろんトンコさんも実在するし、彼女のバイト先であるお好み焼き屋も実在する。マンガ化の際、原作者・島本はできるかぎりすべての関係者に連絡を取って許諾を得た。 その唯一の例外は、トンコさん。どうしても連絡がつかない。もともとこのマンガを島本が書いた動機のひとつに「トンコさんにもう一度、会いたい。会って、マンガ家になった俺を見て欲しい」(見てもらってどうするか?というのはわかんないけど)というのがある。 しかし、いまだにトンコさんの所在は掴めない。ドラマをご覧諸兄、トンコさんの今を知っていれば、ぜひご連絡ください。************************************** ・トンコの勤めるお好み焼き屋「なんでやねん」 実際にトンコさんが勤めていたのは、富田林駅近くのダイエー内のお好み焼き屋。ドラマ化では一軒家になってるのは、ダイエー内の撮影が権利処理的に難しかったため、と思われる。**************************************・「お好みひとつです〜」 原作者・島本も監督・福田も関西人では無いため、お好み焼きのオーダーの仕方が間違っている。大阪で「お好みひとつ」というオーダーはあり得ない。 「ブタ玉ひとつ」「イカ玉ひとつ」など、必ず具材を指定すべき。あとでトンコがお好み焼きを鉄板に載せるシーンでも、ソースが焼けてないのが不自然。 でも!このシーンはトンコさんの可愛いオーダー声を鑑賞するのが目的なので、許す!************************************** ・自動車教習所の教官 第7話の台本執筆時では、この役は原作者・島本和彦本人がやるはずだった。 しかし実際に演じているのは、この第7話より登場する武田康廣(本人)。 武田は自主制作映画で主役を何度もつとめているので、素人とは思えない演技力がある。もし島本本人が教官を演じていたら、ここまでの迫力はなかっただろう。 もう一つ、武田は大阪南部・河内の出身。夏でも長袖を着ている人がウロウロしている土地柄である。ドラマ内の罵倒表現など日常会話の範囲内なのだ。 岡田は武田の親戚、特に「ちょっとコワイ叔父さん」「ちょっと人には説明しにくいお仕事をされている叔父さん」などにお会いしたことがあるけど、武田など比較にならない迫力だった。************************************** ・岩瀬ジュン 彼女の髪型や革ジャン、アイメイクなど、貴重な80年代風俗。たしかにああいう革ジャンを着た女性、いたよなぁ。************************************** ・あのシーン 説明無しにでてくるマンガは、松本零士の「さらば宇宙戦艦ヤマト」の1シーン。宿敵ガミラスとの戦いの後、宇宙戦艦ヤマトは博物館行きとなっている。 主人公・古代進は輸送船団の護衛係として、小さな艦に乗り込んでいる。 地球はガミラスとの苦しい戦いを忘れ、新型戦艦アンドロメダを作った。その処女航海で、目の前を通る古代の艦に「ジャマだ!どけ!」と言い放つ。 「男なら、理不尽な要求に屈するな!筋を通せ!」というメッセージだけどモユルよ、ここは譲ろうよ・・・。************************************** ・「大阪のSF大会で、ダイコン3(スリー)」 ついにはじまったダイコンのエピソード。ダイコン3とはなにかは、またあとでゆ〜っくり解説します。**************************************・「まだ20分あるよ」 津田ヒロミには「こんなマンガ、ダメだ!」と断言しながら、次第に大友克洋のマンガにはまっていくモユル。これを表現するのが、この「一瞬だけ掛け時計を見て、すぐにマンガに戻る」という演技だ。 コメディとは、こういう視聴者に伝わるか伝わらないかギリギリの表現でキャラを積み上げる。ダメ押しでさらに「シャキーン」という効果音まで入れてみた けど、それより視聴者は津田さんの哀しそうな顔で胸がいっぱいになって、監督の意図はなかなか伝わらない。かようにコメディは難しく、恋愛は強い。 モユルがギャグにこだわろうとも、やはり世間は恋愛モノを求めているのだ。**************************************・「そもそも、SF大会とはなんですか?」 SF大会とは1939年にニューヨークで開催され、戦時中を除いて毎年開催される「SFファンによる年に一度のお祭り」である。 日本でも1962年に東京都・目黒区で第一回日本SF大会が開催され、以後現在までずっと続いている。 最大の特徴は「ファンによるインディーズイベントである」ということ。**************************************・「第3回大阪SF大会、略してダイコンスリー」 SF大会の名称を説明するのは難しい。なぜ大阪SF大会が略してダイコンになるのだろうか? まずSF大会の源流がアメリカの世界SF大会にある、というのを思いだそう。たとえばロサンゼルスで開催されるSF大会はL.A.CONと呼ばれる。 LAはロサンゼルスの略、CONとはコンベンション、すなわち大会の略称だ。このように世界SF大会では「開催地名+CON」と呼称される。 この制度が日本でも真似されて、第一回日本SF大会は目黒区で行われたので「目黒+CON」でMEG−CON、メグコンと呼ばれるようになった。 武田が話しているのは1981年の第20回日本SF大会。大阪での開催は1964年、1971年に続いて3回目。なので 「大阪の大からDAI」+「コンベンションのCON」+「第三回のⅢ」で「DAICON Ⅲ」 と呼ぶのである。**************************************・「金はある、人も集められる、100人や!」 武田はこう語ってるが、金といっても貧乏学生の庵野たちに比べれば、という程度だ。実際のダイコンⅢオープニングアニメの実行予算は20万円弱だった。 しかしそれより大きいのが、ボランティアスタッフの存在。100人というのは大会スタッフの総数だけど、アニメ制作だけでも50人近くが集まった。この規模でアマチュアアニメを作った団体は、当時は世界でも皆無だった。**************************************・気絶する山賀 これも実話。初打合せ時にしゃっくりが止まらず息を止めた山賀は、そのまま気絶してしまった。後にその話を聞いた岡田斗司夫は「そいつも面白いから、絶対にスタッフに入れよう」と力説した。 ちなみにこの会見の場所は京都のSF喫茶「ソラリス」。ソラリスはダイコン3オープニングアニメで、「女の子ににじりよるパワードスーツ」の背景に登場する。************************************** ・喫茶店マスターの、息を呑むぐらいヘタな演技 演じるのは山賀博之の本物。この人がいまや武田康広の上司としてガイナックス社長三代目、というのも面白い。 先日の「アオイホノオ」打ち上げでは、武田康広は出席したがったのに、山賀が「お前は仕事していろ」と命令して参加させなかったそうだ。まさに下克上、山賀おそるべし。**************************************・喫茶店の紙ナプキンに描いたパラパラマンガ 山賀の騒動の影で、いつのまにか庵野が描いていたパラパラマンガ。これを見て武田は「パワードスーツが走ってるやないか!」と絶叫する。 パワードスーツとはSF作家 ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」に登場する強化服。ロボットのように見えるけど人間が着込み、中の人の筋力を数百倍に増幅する戦闘服だ。 実際には庵野はダイエーの計算用紙を使い、あっというまに8枚ほどのリピート(繰り返し)でパワードスーツの走りを描いてしまった。 しかしドラマ内で紙ナプキンに画を描いたのは、マンガ家の一本木蛮さん。彼女はおそらく、1990年以降の設定を見て描いたため、当時のパワードスーツとはカタチが違っている。 具体的には庵野が描いたのは「80年代にスタジオぬえ・加藤がデザインした箱っぽいデザイン」。しかし一本気さんが描いたのは「90年代以降にフィギュア化などを想定して、丸みを帯びたデザイン」。 背中のY字型の対人地雷射出機(Yラック)などのデザインが当時のものと違うのでマニアにはわかるのだ。**************************************・押し入れに籠もる赤井 これまた実話。当時の赤井孝美は情緒不安定で、なにかというと「叫んで逃げて隠れて」いた。 後にエヴァンゲリオンで碇シンジを見たときの岡田斗司夫の感想は「まるであのころの赤井君みたい」だった。**************************************・「まずはヒロインのイメージからだ」 そう言ったモユルは、紙の上に大きな丸を描いて、中央に十字を描く。 これは「昭和の時代のマンガ描き方」であり、現代のマンガ家なら、まずこういう描き方はしない。 現場で演技指導した島本和彦または一本気蛮が、石森章太郎や川崎のぼる直伝の「古典的マンガの描き方」を伝授したのである。**************************************・「本当にアタマのおかしい奴、そいつの名は岡田トシオや〜!」 さすがにテレビの前で「やめて〜!」と絶叫した。過去、いろんな恥ずかしい思いもしたけど、ここまで恥ずかしかったのは空前であり、できれば絶後でありますように。**************************************・「ここが、岡田トシオの家や〜!」 まさかの翌週またぎ。 先日、TVの楽屋で打ち合わせしたときに「第8話の岡田トシオ登場シーンはすごいですよ!」とプロデューサーさんは大笑いしていたので、きっと超絶ウルトラ恥ずかしいに違いない。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第六話「学園か?SFか?」のひみつ」
2014-08-23 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/23
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第六話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 ************************************** ・久々に登場の矢野健太郎 ヤノケンが登場すると、画面の華やかさが一気にUPする。ドラマ内で唯一「芝居口調」で発声するキャラだからだ。いつもまっすぐに姿勢良く立ち、今回も増刊少年サンデーを「台本持ち」して、読みあげる。この瞬間、テレビドラマらしさは消えて、演劇空間が発生する。 ヤノケンは他のキャラとの集団演技やモブシーンは向いていない。この点、トンコと同様である。 なぜかというと、このドラマ版アオイホノオではトンコとヤノケンは「対称的な二つの役割」をしているから。 モユルを無理やりな屁理屈で励ますトンコと、理性的に問い詰めるヤノケン。 マンガ版ではモユルのモノローグのみで内面として描かれるシーンも、トンコとヤノケンというキャラを使うことによって、よりドラマチックに構成できるのだ。************************************** ・「どう見ても俺のマンガがこのマンガに負けているとは思えない」 増刊サンデー・マンガカレッジに入賞した『ガリベンくん』を睨みながらモユルはつぶやく。視聴者としては、そろそろこの『ガリベンくん』が気になってしかたないところ。これを描いて投稿した人も、まさか30年後にこんなカタチで世に問われるとは想像してなかっただろう。 そろそろTwitterとかで名乗り出て、ノーカット版の『ガリベンくん』、読ませてくれないかなぁ。 先日の2014年夏コミケで原作者・島本和彦は当時サンデーに実際に持ち込みした『トータス1号』を同人誌として復刻した。岡田斗司夫も作者よりプレゼントされて一読したが、そのレベルが当時としては高いのか低いのか、正直わからない。 『ガリベンくん』と対比できれば、当時のモユル=島本和彦になにが足りなかったか、よくわかるのになぁ。************************************** ・「学園マンガだからさ!」 これは監督・福田雄一自身の心の叫び。 「トンコさんと津田さん、どっちが好きか?」とかチンタラやってたほうが、よっぽど楽だし視聴率も取れる。それはわかってる! でもオレ(福田)はヒットするとわかり切ってるその学園ラブコメに、あえてアクションやSFやわけわかんないクリエイターの葛藤を乗っけてメガヒットさせてみせる! アオイホノオを福田雄一作品として見ると、監督のこういう気概が伝わってくる。************************************** ・「学園マンガだ・・・」 偉い、モユル!よく気がついた! 時は1980年、当時のマンガ編集部には大きな悩みがあった。 「持ち込みマンガのほとんどがSFマンガ」ということ。 少年・少女マンガの読者大部分は「普通」のマンガを読みたい。すなわち恋愛マンガとかスポーツマンガとかだ。 しかし、読者の中のマニアックな層だけがSFを読みたがる。そういうマニアックな層は作品を体系的に読むし、他の作品とも比較する。また、そういうマニアックな読者「だけ」が投稿作品を持ち込むような「マンガ家の卵」になる。 結果として、編集部にはマニアックなSFものばかりが持ち込まれる。 一般読者が読みたいマンガと、マニアックな読者が描きたいマンガ。このギャップに当時の編集部は悩んでいたのだ。************************************** ・「それだけは避けたい・・・」 この庵野のセリフ、いったい何度聞いたか(笑) 庵野は人のアイデアをそのまま使うことを嫌う。なので自分でワンアレンジしないと、なかなか納得しない。 でもそのアレンジを思いつかないとき、延々と「それだけは避けたい」と悩む。 逆に言えば、彼が「それだけ使えるアイデアなんだけど、悔しい」と悩んでいる様子なのである。************************************** ・山賀の妹 僕は見たこと無いけど、山賀本人にソックリ、と聞いたよ。************************************** ・コーヒー牛乳 当時の庵野のエネルギー源。 糖分と蛋白質をすべてここから補給していた。**************************************・「男は風呂に入らなくても死にはしない」 当時、庵野だけでなく僕も風呂に入らなかった。 僕は2週間ぐらい平気だったけど、庵野は桁違いの半年とか1年とか風呂に入らない。 僕も庵野も主張は同じで「風呂に入らなくても死なない。死なないことを毎日、習慣でする奴は時間が余ってるからだ。オレにはやることがあるので、余ってる時間などない。ゆえに風呂になど入らない」 それでも当時の僕は、2週間で髪が痒くて入ってしまった。庵野に聞くと、一ヶ月あたりで「痒くなくなる」らしい。 庵野が数ヶ月に一度、風呂に入ったときは「身体を洗ったお湯が灰色になった」などの伝説がある。 ちなみにマイクロソフト創業期の話。ビル・ゲイツが25歳、1980年頃だからアオイホノオとちょうど同時期。 ビル・ゲイツも風呂に入らないので有名で、秘書兼広報のおばちゃんが記者にこう言ったそうです。 「ビルは風呂が嫌いなのではありません、風呂よりももっと大事なことがあると言っているんです」 聞いたか、島本和彦! 風呂とかトンコさんとか、お前は学生時代にリア充すぎるんだよ!**************************************・「ガンダム漬けだ」「庵野の最高のおもてなしだ」 テレビシリーズの機動戦士ガンダムを、第一話から順にぜんぶ見せる!もちろん庵野自身が隣に座って、見どころ解説を副音声でやってくれる。 これ、別に庵野だけじゃなくて赤井も同じ事をしていた。赤井の場合はNHK人形劇版「三国志」だけど。 このように、当時のオタクはありあまる熱量で「全話解説」など当たり前のようにこなしたのだ。 僕なんか、いまだにやってるよ、コレ。
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第五話「嗚呼、東京」のひみつ」
2014-08-16 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/16
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第五話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 ************************************** ・「女の子が可愛く描けているよね」 実は当時の漫画界、特に少年サンデーでは最大の誉め言葉。それまでの少年マンガでは「女の子が可愛いかどうか」などどうでもよかった。 しかし細野不二彦の登場以来、新人マンガ家の条件として「可愛い女の子が描けるかどうか?」はほぼ絶対の条件になった。 この条件は サンデー>マガジン>ジャンプ>チャンピオン の順に要求された。 サンデー=絵がキレイで女の子が可愛い マガジン=マンガに迫力がある ジャンプ=誰も描いてないマンガである チャンピオン=ヤンキーまたはヤクザが主人公(ブラックジャックも無免許医=ヤクザな医者) これが当時噂されていた、各編集部が求める新人マンガ家の条件である。************************************** ・「これ、僕の名刺だから」 これは横山氏が担当になってくれた、というサイン。 要するに今回のマンガは「なにか言うレベルではない」ということになる。「このまま掲載」とか「この部分を直してくれたら掲載」というレベルのマンガで はない。しかし持ち込みに来る積極性と、なにより32ページを最後まで完成させた執念ややる気はすごく評価してくれている。 これ以上の言葉を横山氏が語らないのは、「あと2〜3作、完成してみないと才能なんかわかんない」と思ってるから。マンガ家に必要なのは、才能よりも 「何度も持ち込む」という執念と欲望である。だからこの段階であきらめてしまうような「繊細な若者」はある意味、必要としないのだ。 もちろん、一発OKで採用される場合もある。しかしモユルの場合はそこまでの超A級ではなかった。普通のA級〜B級の上、というところか。だから励ましてくれて、名刺までくれたわけ。 しかし、舞い上がった次は過剰に落ち込んだモユルには、横山氏の真意は伝わらない。************************************** ・「ジャンプに行こう。あそこは絵の下手な新人に優しいから」 これはモユルの言うとおり。ジャンプで新人としてデビューした小林よしのりやえんどコイチなどは驚異的な絵の下手さで読者すら驚かせた。 しかし連載を半年も続けると、みるみるそのヘタさも味になる。サンデー=小学館が当時、「デビュー時の絵の完成度」を求めてたのに対して、「これからの可能性」を求めるジャンプは、当時のマンガマニアからこう言われていたのだ。************************************** ・「いま、江口先生の原稿があがらなくてさー」 マンガ家・江口寿史は原稿が遅い・落とすので有名。詳しくはwikiとかで各自調べるように。************************************** ・「腹へったろ?好きなモン、頼んでいいよ」 ジャンプ編集部マッド・ホーリィはこう語った。他の編集部に比べてジャンプ編集部は接待が豪華なので有名。 岡田斗司夫が、まだ朝日新聞社から単行本一冊しか出していない物書きの時代に、いきなり編集長から「会いたいんですけど」と丁寧な電話で誘われて「山の 上ホテルの天ぷら」「六本木のキャバクラ」と謎の接待を受けた。別に仕事を頼まれるではなく「なにかあれば、なんでも相談してください。できることはなん でもやります」と言われた。 たぶん、将来があると思った作家や物書きには片端からこう言って声をかけていたんだろうと思う。帰りは黒塗りのハイヤーを呼んで、自宅までの行き先を告げた上で「大切な先生だから、安全にお願いします」と運転手に念を押した。まさに「物書き殺し」の名セリフ。 こういう第一印象で作家やマンガ家はクラッと来てしまうのだ。************************************** ・インベーダー喫茶 集英社の編集者に原稿を見てもらった喫茶店のテーブルは、ちゃんと当時の風俗どおりのゲーム機。おそらくインベーダーゲーム。************************************** ・名画座の「ロッキー」 まさかの再現フィルム! TVドラマ内で実在の映画映像とか使うのは権利処理がたいへん難しい。特にハリウッド作品など不可能に近い。だから普通、そういうシーンは シナリオに入れないし、あったとしてもプロデューサーがカットする。 しかし!「アオイホノオ」では敢然とこの問題に立ち向かった! その成果が、このまさかの「再現フィルム」である。 結果は・・・ 僕は好きだ。 このドラマの、こういう「マジメに悪ふざけして、その上で感動させるところ」が大好きだ。第一話の庵野のセリフ「受けようと思って作ったんじゃない!感動させようとしたんだ!」を地でいく名シーンである。 ---------------------------
岡田斗司夫のイベント案内
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当日券あります。お時間のある方、遊びに来てください。アオイホノオの気になることも質問できますよ。●8月16日(土)「岡田斗司夫のひとり夜話in大阪vol.7」
大阪産業創造館 (OPEN) 13:30 (START)14:00
http://peatix.com/event/46118
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第四話「いざ!東京出撃」のひみつ」
2014-08-12 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/12
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おはよう! 岡田斗司夫です。 大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第四話は見て頂けましたか? 東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。 その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj ドラマを見ながら、僕が解説したツイートのまとめをお届けします。 今回は」第四話「いざ!東京出撃」に関するツイートです。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。 ************************************** ・トンコを抱きしめないモユル 宮崎駿初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』のラストシーンより。「おじさま!」と抱きつくクラリスを、逆に抱きしめられないルパン。アニメ史上 に残る名シーン。宮崎は後に「抱きしめてくっついても、どうにもならない。男はやがて女に飽きて、女はやがて男に幻滅する」とクールに語っている。 宮崎にとってルパンはロマンチストだけど徹底的にろくでなしであり、そのろくでなしが数日間だけ恋をしたから美しいのである。その美しい数日間も、一時 の激情に流されたら「当たり前の男と女の話」になってしまう。だからルパンは抱きしめないのだ。目の前のクラリスよりも「クラリスの恋心」を大事にしたい ために。 ************************************** ・「ウルトラセブン45話のフクシン君」 TV特撮シリーズ・ウルトラセブン第45話「円盤が来た」 主人公のフクシン君は、昼は騒音まみれの鉄工所で働き、夜は星空を望遠鏡で見るのが唯一の楽しみ、という心優しい青年。しかしフクシン君のアパート向か いには、夜中も騒音を出す自動車修理工場がある。すっかり現実がイヤになったフクシン君は、夜空に円盤群を発見する、というストーリー。 赤井が「このアパートは騒音がうるさい」と嘆くのに対して、庵野は「この騒音はセブン45話のフクシン君の工場と同じ騒音だからいいじゃないか」と反論したのだ。 ************************************** ・赤井の部屋の特撮セット 単にミニチュアセットがあるだけではなくて、ちゃんと70センチほどのテーブル上に配置されているのに注目。小さいミニチュアを撮影するときに巨大感を 出すため「アオリ構図」で撮影するのは当たり前。そのためにはミニチュアセットは床の上では無く、テーブルなどに並べて地面より下の位置にカメラをセット する必要がある。 赤井が作ったセットは、そのまま「映画を作る」という意思と準備がうかがえるのだ。 ************************************** ・赤井の作ったゴジラ このミニチュアセットでもっともすごいのが、ゴジラ本体。岡田斗司夫が赤井孝美の才能をはじめて実感したのは、このゴジラを見たときである。 自在に曲がる針金で骨格を作り、その上に台所スポンジをちぎって貼ってカタチを作り出す。さらに皮膚として表面に風呂場用充填剤バスコークを塗って独特の皮膚感を出した。 当時の特撮や怪獣好きのマニアたちの作るフィギュアなどより、あきらかに数ステージ上の「撮影用ミニチュア」を、当時の赤井は独学で完成させていたのだ。 ************************************** ・息を吹きかけて作る夜空 まるでモユルのオリジナル技法のように語っているが、これ岡田は中学校の時にすでにやっていた。当時からも各種の技法「筆を吹く」「筆を振り回す」「割り箸にホワイトつけて垂らす」などがあったように思うのだが・・・。 ************************************** ・夏休みに持ち込み マンガ編集部では、毎年夏休みになると地方から上京した学生の持ち込み原稿が寄せられる。その中にはモユルのようにペン入れ・仕上げ済みのものもあるけど、中には「ペン入れのみ」「下書きのみ」「構想を口で語る」などさまざまな中途半端作品がある。 そういう中途半端なしろものに貴重な編集者の時間を割くわけにはいかない。なので出版社に持ち込み電話したら、かならず「原稿は完成しているの?」と聞かれるのだ。 ************************************** ・喫茶店でマンガを描く 「東京では全員、喫茶店でマンガを描いてる」とホノオは断言する。 もちろん間違いだが、これ当時のマンガファンは、たしかにそう信じていた。特にマニア人気の高いマンガ家・吾妻ひでおは、大泉学園前の喫茶店カトレアで毎日、仕事しているという噂があった。 これに憧れて、80年代のマニアたちは必要もないのに喫茶店で同人誌の原稿を書いたりした。ドラマ版「アオイホノオ」には登場しないDAICONスタッ フ澤村タケシは、梅田の喫茶店でプラモデル一式を作り上げた伝説がある。喫茶店のテーブル上にカッターやヤスリ、塗料や筆を並べて半日がかりで作ってし まったのだ。 もちろん、こういうことをしてはいけないので真似は厳禁。 ************************************** ・エンディングのマンガ 原作者・島本和彦が当時、持ち込みに行った原稿の実物。 これを見ると矢野健太郎の「石森章太郎に永井豪をプラス。それに松本零士も入ってる」と分析したのもよくわかる。 しかし見逃してはならないのは、関西の同人出身作家・聖悠紀の影響。メガネフレームの大きさや線の細さなど、当時のマンガマニアは聖の影響を強く受け た。島本の原稿は、ギャグのリズムや画風など、本当に80年代初頭の「マニアが描いたマンガ」としては100点満点のサンプリング具合なのだ。---------------------------
岡田斗司夫のイベント案内
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●8月16日(土)【大阪】「岡田斗司夫のひとり夜話in大阪vol.7」
大阪産業創造館 (OPEN) 13:30 (START)14:00
お盆休みは一人夜話!「ゴジラ」を読み解き「ジブリの今後」を語る!?
http://peatix.com/event/46118
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第三話「アニメーターへの決定打」のひみつ」
2014-08-02 06:00220pt━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/2
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おはよう! 岡田斗司夫です。 今日、明日は『解決ズバッと!』はお休み。 ドラマ『アオイホノオ』 http://goo.gl/YM9YwQ 見て頂けましたか?ドラマを見ながら、僕が解説した昨夜のツイートのまとめをお届けします。 今回は第三話「アニメーターへの決定打」に関するツイートです。 これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。───────────────────────────────────
【第2話解説の訂正】 >正式にはグループCAS。カスではなくキャス、と発音する。 これは矢野健太郎先生直々のツイートで間違いだったと判明。矢野さんたちが創立した当時はカス、と発音したそうだ。それがいつのまにかキャスに切り替わった。僕が大阪芸大で教えはじめた2000年代では完全にキャスが定着していた。 ********************** 学食で南たちに誘われるモユル 背後を通る男子達は、やはりシャツをパンツに入れている。設定、細かいなぁ。 ********************** ・寝転んで、机に向かって、また寝転ぶモユル 妄想だけで仕事しないモユル。モユルは自分と庵野たちの差がよくわかっていない。才能ではなく作業時間の違いだ。パラパラマンガも、モユルの作品より庵 野の作品が10倍以上も時間を要する。モユルが落ち込むべきは、「自分が口と妄想のみ達者な怠け者だ」という事実なのである。 ********************** ・庵野の使っているアニメ用紙 庵野が使っているのはダイエーの計算用紙。単価が安くて、おまけに紙が薄くて下の絵が見えやすい。・・・と本人が語っていました。 ********************** ・津田ヒロミと飲むポカリスエット テーブルの上に、切り取ったプルタブが残っている。山賀が食べている「赤いきつね」だけでなく、今回登場する小道具のパッケージは1980年当時のもの。鉛筆や消しゴムも当時、本当に発売したモノばかりで統一している。 ********************** ・お好み焼き 近畿圏以外の地方から大阪に来た者ほど、自宅でお好み焼きをやりたがる。大阪人は、お好み焼きは外で食べるもの、と割り切っているから。自宅で食べる場 合は、ちゃんと専用の「鉄板つきテーブル」を使う。ちなみに、岡田家にも近所の鉄工所で作ってもらった厚さ10ミリ、タテヨコ60×90センチほどのガス 式鉄板テーブルがあった。 ********************** ・ライリー8ミリホームムービー 当時、まだ生き残っていた8ミリ映画。「大阪万博」「鉄腕アトム」などのシリーズが有名。ビデオやDVDの手軽さは無いけど、部屋を真っ暗にして8ミリ映写機がカタカタと音をたてながら、白い壁面に「映画」を上映するのはイベント性抜群だった。 これ、80年代オタク男子の「女子ナンパ術」の典型でもある。つまりこのシーン、モユルは完全に津田さんを墜とす気マンマンなのである。 ********************** ・アニメショップ「ベロ」 正しくは「アニメポリス ペロ」。東映直営のアニメショップであり、当時のアニメファンやマンガファンの聖地の一つ。大阪・梅田の東映会館3階にあった。ペロとは、東映長編アニメ「長靴をはいたネコ」の主人公ネコの名前。 ショーケースに並んでいる「マジックインキ」の初期パッケージなど、とにかく小道具さんご苦労さまでした。 モユルや庵野たちが見ているのは、そのペロ名物の「東映アニメオープニング集」の45分間エンドレス上映。 ********************** ・マジンガーZオープニング 当時のアニメファンと、庵野や赤井達との差は「アニメを読み取る読解力」の差であった。モユルが「ど迫力」などという抽象表現で自分を納得させているのに対して、赤井や庵野は「なぜこのシーンはど迫力なのか?」という疑問を持って見ている。 たとえばマジンガーが光子力ビームを撃つシーン。本編では直線的な光線なのに、OPでは同心円状の効果で「光が集中してチカラになる」という光線兵器の 本質を表現している。ビームを撃った瞬間、Zのコクピットにいる兜甲児が口の端で笑う。つまり彼はこの「無敵のチカラ」を使うことに快感を感じていて、そ れは見ている視聴者の子どもたちにも伝わるのだ。 ********************** ・羽根さん、お見事! 東映の天才アニメーター羽根章悦さん。詳しくはwikiで見ればわかるけど、1964年の「風のフジ丸」から「火垂るの墓」「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」などの作画の最前線で活躍し、いまだ現役のアニメーターという怪物。 庵野が感動するマジンガーZでの作画演出や新しい表現は、だいたい羽根さんが作り出したもの。 ********************** ・グレートとゲッター 庵野や赤井が「グレートもいい」「ゲッターもいい」と言っているのは、作画演出を含めて「アニメとしてのメカニック、SF表現の新しさ」を切り開いたから。 対してモユルがグレートやゲッター(ロボ)の評価が低いのは、マジンガーほどのオリジナル性がない、と感じているから。 つまり、実はモユルの方がアニメファン的なのに対して、庵野・赤井はすでに「作り手の目」で作品を見ているのだ。 ********************** ・どうしてこいつら、調べようがないようなコアな情報を持っているんだ? 「アオイホノオ」には登場していない重要な人物がいる。名前は永山竜叶(たつと)。彼は庵野と同郷の山口県民であり、庵野が所属していたアマチュアグ ループ「SHADOW」の代表でもあった。永山の交友範囲は広く、実際に後の岡田斗司夫などのDAICONグループに庵野たちを紹介したのも永山である。 この永山が当時、東京のアニメ同人誌を取り寄せたり、サークルに手紙を出したりしていたので、庵野や赤井はコアな情報を手に入れることができたのだ。 ********************** ・手塚治虫も言ってたじゃないか 有名な「手塚語録」の一つ。声の出演は、まだ秘密らしい。 ********************** ・「こいつらは俺より先を行ってるかもしれません。でも俺より上を行ってるわけじゃない」 ********************** 出た!これが島本マンガの魅力である「屁理屈と詭弁」! 「先を行く」というのはあくまで抽象的な喩えなのに、そこに「上ではない」という別の抽象概念を持ってきて、その語感のみで優劣や勝った負けたをこじつけようとしている。 「逆境ナイン」「無謀キャプテン」など、島本作品にはこういう屁理屈や詭弁が目白押しだ。しかし!この屁理屈の言葉のチカラで登場人物達も読者も勇気を貰って、明日に立ち向かうのだ。 かつてBSマンガ夜話で島本作品は「寝る前に読むと、やり場のない元気が出て困る」と評されたが、そのチカラいまだ健在なり! ********************** ・「他人の能力が自分より上でも、けっして認めない」 この矢野健太郎の言うことは徹底的に正しい。他者を認めるとか、客観的になる、というのはクリエイターにとって別に必要な才能ではないからだ。 いまは認めなくてもいいんだ。いずれ、自分が彼と同じ高みに立ったとき、ライバルを超える作品を作り上げたときにはじめて、クリエイターは「過去の自分の未熟さ」を知り、恥じることができるようになるから。 これを松本零士先生の言葉に翻訳すると 「今は勝てなくても、歯を食いしばって耐えろ。それが男だ」ということになる。 庵野たちの才能を認めてしまい、もしモユルが苦しまなくなった時、その時こそがモユルが「何者かになる道」をあきらめてしまう瞬間なのだ。 頑張れモユル、苦しめ、モユル!
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第二話「残念な毎日から脱出せよ」のひみつ」
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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/1
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おはよう! 岡田斗司夫です。 今日、明日は『解決ズバッと!』はお休み。 ドラマ『アオイホノオ』 http://goo.gl/YM9YwQ を見ながら、僕が解説したツイートのまとめをお届けします。 今回は第二話「残念な毎日から脱出せよ」に関するツイートです。これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。
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庵野のTシャツ 初代ウルトラマンのカラーパターン柄Tシャツ。 あの模様が「ウルトラマンという宇宙生物の体表の模様」なのか、それとも「戦闘服の模様」なのか、公式な設定はない。 もちろん、あんなステキなTシャツを当時の庵野は持っていなかった。 ********************** 宮崎ルパン 庵野が山賀の部屋で見ようとしてるのは、TVシリーズ「ルパン三世(第2シーズン)」の第145話「死の翼アルバトロス」。宮崎駿が偽名を使って演出・脚本をつとめた。 超大型の飛行艇や、主翼内部の構造など、宮崎最後の長編アニメ「風立ちぬ」の前哨となってる部分もある。冒頭の「フライパンで作るすき焼き」シーンはアニメにおけるグルメ名シーンの1つ。 クライマックスの「飛んでいる飛行船上での格闘シーン」は後のナウシカにおけるトルメキア巨人機の戦闘シーンでさらに進化した。 ********************** 二代目バルタン星人の重力波攻撃をくらってる初代ウルトラマン ウルトラマン16話「科特隊宇宙へ」の回に登場した2代目バルタン星人。「~代目」というのはウルトラマンシリーズで同じ怪獣や宇宙人が登場したときに、見分けを付ける目的で付けた愛称。 TVシリーズでは一度使った着ぐるみは分解したり流用したりする場合が多いので、二回目以降に登場するときは最初の印象とかけ離れている場合もある。そのためにも特撮ファンはこういう「見分け用の愛称」を使うのだ。 ********************** 有馬兵衛の向陽閣 大阪の有名ローカルCMのひとつ。当時の関西人はみんな「有馬兵衛の向陽閣へ~」という歌を歌えたが、そこに行った人はほとんどいない。 CMソング作曲は「浪速のモーツァルト」(自称)ことキダ・タロー。 ********************** 「石森章太郎はなにもわかっちゃいない」 年若いファンは「石森?石ノ森じゃないの?」と思ったかも知れない。 天才マンガ家・石森章太郎は1985年、作家生活30年を機に「石ノ森」に改名した。なのでドラマ上では「石森」で正しいのだ。 ********************** サイボーグ009(新)のオープニング アニメ界には「伝説の」「名作」と言われるオープニングが数々ある。 エヴァンゲリオンや進撃の巨人などは一般にもヒットしたから知られているが、その昔は「知る人ぞ知る」という曲ばかりだった。 この「誰がために」もそういう名作OPの一つ。本編での熱い解説で触れていない箇所をひとつだけ解説しよう。 サビ部分「夢見て走る血の荒野」で、伴奏のハープがひと撫で入る。映像は拡がる同心円からこちらに向かってくる008。このハープ音と同心円だけで「ここは水中」「008は水中能力を持ったサイボーグ」という設定が伝わるのだ。 ********************** この映像センス!このアニメ感覚!(モユルの声で読むこと) 80年代とは、こういうアニメーターの挑戦や技術を読み取るファンがいて、彼らがいっせいにプロを目指していた時代であったのだ。 ********************** 「俺もブライガーのオープニングをコマ送りで見たい!」 当時のビデオデッキの最高峰SONYのβマックスJ-9。それを見たモユルがつぶやいた言葉。 「銀河旋風ブライガー」とは、本編はいささかアレだけどオープニングだけは圧倒的にカッコ良かった。サイボーグ009と同じ金田伊功が作画した映像は、一度見ただけでは画面を読み取ることは不可能。 たとえばひとつの画面内で中央と右でレンズが「標準~広角」と違うのは、現在のCG映像でも誰も再現ができていない。 ********************** 想像の高橋留美子は巨乳 当時、少年サンデーの読者の間では「高橋留美子は巨乳らしい」「美人らしい」という噂が絶えなかった。「うる星やつら」が大ヒットしたのちに発売された少年サンデー増刊では、なんと高橋先生のビキニの水着姿を披露!噂が本当であることを実証した。 色モノ以外のマンガ作家で水着グラビアやったのは、後にも先にも高橋留美子ひとりである。 ********************** 本屋のオバチャンにストーリーを聞かれる 「伝説巨人イデオン」がどんなお話なのか、オバチャンに教えることなどできない! ********************** 下宿に現れるハーロック ドラマ化の時に、どう映像化するのか楽しみだった箇所の一つ。 「役者さんのコスプレ」「マンガの絵の中にモユルをはめ込み合成」などいろんなパターンを考えたが、まさかの「書き割り」だった。 マンガのキャラが現実に登場して主人公に語りかける。この「動く書き割り」はその表現としてまさに1億点! ********************** ハーロックの歩き方 モユルや庵野たちが再現したのは劇場版「銀河鉄道999」のハーロック登場時の歩き方。 画面上で見ると肩が揺れて、スリムで長身なハーロックの体型を1万パーセント活かしたカッコよさ!でもじっさいに人間がやると、やたらカッコ悪いことこの上ない。
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