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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】手塚治虫が飢死するほど多様性を好む日本人第55号

「手塚治虫のヒロインの中で一番好きなキャラクターをあげろ」と言われ「ムーピー」と答えたら軽蔑の目で見られたことのある佐藤家清です。 全4回に渡ってお届けする2013年8月10日に行われた出版シンポジウム「電子出版ノススメ〜鈴木みそ×小飼弾×岡田斗司夫〜」の第3回目です。 「copyright」と「著作権」という言葉の違いから、「未来の電子書籍」の話など、興味深い話が飛び出しましたが、今回は日本人が求めてる多様性の欠点とおもしろさを語った部分をダイジェストでお送りします。 ************************************ <小飼>  僕は、 日本の人というのは 、たぶん、 日常に“多様性”を強く求める人 だと思います。  その根拠というのは、電子出版とかと話がずれるんですけども、コンビニに売ってる食べ物。 <岡田>  はいはいはい。ああ、そうですよね。 <小飼>  アメリカのコンビニって、日本と比べてずっと単純なんですよ。  こう言っちゃなんですけども、 コーラとペプシしかないのが彼らの世界です。 <岡田>  コーラとペプシとゲータレイドしかないですよね。 <小飼>  そうそうそう。  だから、それに比べたら、日本の自動販売機の中身ですら、ずっと多様なわけですよ。  それらには「シンプルにしよう!」という圧力は常に働いてるはずなんですよ?  だけど、あんまりシンプルになってないですよね、自販機の中身って。  ましてや、フィクションとかには、もっともっと多様性を求められるんですよ。  アメリカのスペースオペラには、『スターウォーズ』と『スタートレック』しかないわけではないじゃないですか。  でも、 日本ではずっと作品数が多いんですよ。異様なほど作品が多いんですよ。 はい。  だから、たぶん、そういうところはかなり長く残るんじゃないかな?  もしそうでないとすると、日本にもスターウォーズとスタートレックを見る人しか残ってないはずです。  もう席巻されちゃってますよ。とっくに洗脳されちゃってるはずです。 <岡田>  まあ、そうですよね。 <小飼>  でも、今やむしろ逆じゃないですか。  お話に飢えて、ハリウッドはどんどん日本の作品を物色してるわけでしょ。  実は、日本人というのは、お話を創る、絵空事を創る能力がものすごい高い人達で。  それはなんでかって言ったら、絵空事にどっぷり浸かってる人達がものすごく多いからなんですよね。 <岡田>  あとは、その 「国民性として多様性を好むから」 ですよね。 <鈴木>  日本人が国民性として多様性を好むから、そういうチマチマしたいろんなものが好き、と。 <小飼>  そう。  逆説的かもしれないですけど、 社会が割と均一だから、そっちの方に多様性を求める っていうことがあるのかもしれないですね。 (中略) <岡田>  じゃあ、「日本においては」と言うか、電子出版とかネットによる無料化の波が来ても、海外のように単一のものがメガヒットして売れて、残りはもう本当に何もなくなっていくというふうには、たぶんならない? <小飼>  難しいでしょうね。  もしそれが成り立つのであれば、もう日本の自動販売機にはコークとペプシしかなくなってると思います。 <岡田>  それよりも僕らは、面白いかどうかちょっとわからない新作が次々と出て、それをお試しで100円とか50円で楽しめる社会を選んでるわけなんですよね。 <鈴木> 「幕の内弁当的である」ということなんですよね。 牛丼よりも。 <小飼>  そうなんですよ。そういった意味では、すごい商売がキツい国ですよね。  というのも、本来ならば“定番”だけ出してれば良いはずなんですよ。  でも、そうなってないでしょ?  例えば、『カップヌードル』って、醤油味とシーフードとカレーと、あとはチリトマトぐらいが定番になっただけで、あとは毎年新作が出ては忘れ去られというのをずっと繰り返してるわけですよ。  でも、「この部分って本来必要ないんじゃん! もう、オリジナルとカレーだけ作ってろ!」って、なんでならないんでしょう? <岡田>  なるほど。  じゃあ電子出版の価格も、将来か近未来かわからないんですけども、1ドルらへんに落ちつくんじゃないんですか?  つまり、あらゆるお試しが1ドルで出来るという辺りに有料の1段階目が来て。  そっから上のものっていうのが、さっき僕が言った“その作家の生涯”を10万円ぐらいで買うのか、もしくは1年間の作品を1万円で買うのかわかんないですけど、そういうところに来ると。  お試しは、たぶんYouTubeなりePubかなんかに無料のものがまず大量に流れて、その中で、「あ、ちょっとこれ面白そうだな!」と思ったら1ドル、100円ぐらいの流れで。 <鈴木>  それで 消えていく変なジュース みたいな。 <岡田>  だから、Amazonもその1ドルの辺りの98円とか100円辺りの利率を変えてますよね。 その戦略だと思うんですけども。 <小飼>  いや、でも、日本がなんでこんなに、著作みたいなものだけではなくて、やたら新作が出る国なのかっていうのは僕の中でも謎なんです。  諸外国はそうでないから。 <岡田>   こんなにアイドルが量産される国、世界中どこにもない ですよね。 <鈴木>  で、消えてくし。 <岡田>  そう。 「なんで1億3千万人しか人口いないのに、このアイドルの数は何よ!」とか。 「あの“ゆるキャラ”の数は何よ!」っていう(笑) <鈴木>  ものすごい勢いで消えていくところに哀愁を感じてるんじゃないですかね。 <小飼>  アレなんですよ。   普通、コカコーラを発明したら、それで1世紀は食えるはず なんですよ。 <岡田>  ハハハ。そうですね。 <小飼>  コカコーラをパクっても、それで1世紀ぐらい食えるんです。2番手辺りまでは。  それ1パターンで良いはずなんです。 <岡田>  なのに、この国は『ブラックジャック』がヒットしなかったら “手塚治虫”が飢え死にしてたかもわかんないぐらい、実は“古くなるのが早い国”なんです よ。 <小飼>  そう。だからアレなんですよ。   手塚が新作を出し続けるという、恐ろしい国 ですよね。これは。うん。 <鈴木>  だから、過去作品のアーカイブで食ってくっていうのは甘いんだ。  すぐに古くなっちゃうからいつも新作描かなきゃいけないのに、新作を電子で書くって大変なんですよ。 (中略) <小飼>  謎なのは、「なんでそういう作品だけに席巻されてないんだろう?」というところ。新作が出る事そのものなんですよね。  この21世紀に『進撃の巨人』が売れている事なんですよ。 <鈴木>   作者というより、読者が望んでる んですよね。 <小飼>  そう。  だから……なんて言えばいいのかな? 「もう、その世界だけでは物足りない!」という人が常に供給されているというのが、これ結構な謎ですよね。 「一生、美味しんぼで良いじゃん!」って、なんでならないんだろう? <鈴木>  その供給元が出版社じゃなくなって、web漫画になったりとか、PixivだったりLINEだったりに変化する事もありえますよね。 <小飼>  既に確立した世界観を続けるというのであれば、これはビジネスラインにかなり上手く乗るじゃないですか。   (中略) <小飼>   よく出来た物語世界っていうのはそれくらいの価値があるんですよ。  少なくとも、一人の作家どころか、一つの出版社が、もうかなり長い間食っていけるぐらいの価値がある んですよ。  だけども、やっぱそこに甘んじてないっていうのは、日本のすごいところだと思いますよ。

【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】手塚治虫が飢死するほど多様性を好む日本人第55号
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著者イメージ

岡田斗司夫

作家、評論家 1958年、大阪生まれ。株式会社オタキング代表。FREEex主宰。常に時代の先を読み、ユニークな創造をし続けるクリエイター。アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスを創業、社長時にはアニメ『王立宇宙軍オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』、ゲーム『プリンセス・メーカー』などを手がけ、ブームを巻き起こした。その後、東京大学非常勤講師に就任。作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越え、人々は尊敬の意味をこめてオタクの神様「オタキング」と呼ぶ。

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