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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】岡田斗司夫のニュータイプ論 第30号
2013-04-29 07:00220pt2回目の登場となります。秘書室のケイゴです。前号に引き続き、便乗イベント、岡田斗司夫のひとり夜話ex「富野由悠季を語る。」の後半をお送りします。
後半は質問大会です。
・“才能があるダメ人間”、“才能はないけど良い人”にどう仕事を頼むか
・『アオイホノオ』の裏話
・なぜ気軽に宇宙旅行に行ける世界になっていないのか
・恋愛不全をもたらしたA級戦犯アニメとは
など講演にあまり関係がないものも含まれますが、興味深い内容となっております。
なお、『アオイホノオ』の裏話では、岡田斗司夫が登場する予定はないといってますが、その後、思いっきり登場してますね。2010年11月のお話ですので、ご容赦下さい。
ハイライトは皆さん大好きニュータイプ論の質問を選びました。
それでは、ハイライトをどうぞ。
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(質問者)
ファーストガンダムの頃に“純真な高校生”でした。だから、やっぱり富野さんの話をしたいです!
(岡田斗司夫)
はい、富野さんの話。ああそうだね、ずーっと富野さんの話出てこなかったもんね(笑)
(質問者)
富野さんは、『海のトリトン』やって『無敵超人ザンボット3』やって、あの“悲惨な話”ばっかり作ってきて。やっぱりそれと比べて 『機動戦士ガンダム』って何が違うのかっていうと、唯一違うのが“ニュータイプ”だと思うんですよ!
だから僕は、先ほどの富野さんの講演の中で「ニュータイプ」って言葉が出なかったのがすごく悲しくて! ニュータイプっていうのは、あの暗い暗い富野さんの中で“ほんのひとつだけの灯り”なんですよ! 僕はやっぱりあの世代だから。ファーストガンダムが高校生だったから。
ニュータイプについて、今の富野さんはどう思ってるんでしょうか? それを、あの、岡田さんの口から……
(岡田斗司夫)
いやそれは俺、わかんないよ!(笑)
でも、わかんないけども、僕たち “富野の弟子” としては、もう死んでしまった富野さんに変わって何か考えなければいけないっていう。まあ、キリストが死んだあとの十二使徒のように考えるわけです。
あの、 “ニュータイプ”について、僕がすごく面白いと思うのは、当時のスタッフが全員反対してたってこと ですね。
だから、あの今ね、僕は自分の『遺言』って本の中でも書いたんですけど。 安彦さんがですね、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の中にニュータイプを出しているのがイヤでイヤで! 「おまえらあの時、富野由悠季の足ひっぱったじゃねえか!」と。
作画の安彦さんにしても、脚本の星山さんにしても……なんだろうな? ガンダムっていうのを“まともなアニメ”として着陸させたかった。ものすごくいいアニメが出来つつあって、「俺たちは明らかに歴史に残るアニメっていうのをつくろうとしてるのに、ここでヘンなもの入れるのやめようよ!」っていう。
たぶん、それの頂点って、俺が思うに……ドズル・ザビが死んだ時に後ろに“宇宙幽霊”が出てくるじゃん? ドズル・ザビが「やらせはせん! やらせはせん!」って死んだ後で。
ええと、ガンダムを見ていない人は知らないと思うんでしょうけど、ドズル・ザビっていうですね……説明しにくいな。ガンダムの話の中には“悪役三兄弟”みたいのがいてですね。それの次男で、体がゴツイ大男がいるんですよ。で、そいつが死んだ時。
それまで“大まじめな人間ドラマ”だったのに、そいつが死んだ瞬間に、なんかその背後から巨大な悪霊みたいなものが「ワハハハ!!」って出てきて。俺、あの回見た時に真っ青になって。「ガンダム“こっち”に行くの?」、「ジオンの人って頭の中に悪霊が入ってたの?」って思ってたんですけども。
まあ、これは「ドズルの中の“悪意”みたいなものが、アムロの中のニュータイプ能力の開花によって見えた」っていうことぐらいなんです。だから大したことなかったんですけど。
たぶんこの辺ぐらいからスタッフが反感を持ち始めたんじゃないかなって、僕は思います。
で、安彦さんの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 に関して言うと。
当時の安彦さんはそんなにイヤだったのに、なんで自分がガンダムのアニメをリメイクしようって時に、「安彦に描かせたらガンダムはこうなる!」ではなくて、何で今更……なんだろうな? “本編の辻褄合わせ”みたいなガンダムやるのかなと。
だから、僕はもう、THE ORIGINってね、ほんっとに評価してないんですよ。 「ああ、安彦さんが描いたらこうなるのかぁ。これだったら別に“トニーたけざき”でもいいのになぁ」って(笑)
で、ニュータイプです。ニュータイプはそういうふうに、当時のスタッフ自体にも「何でこれが必要なのか?」と疎まれたものだったんですけども。
あの、 かなり早い段階から、ガンダムの話っていうのは“ニュータイプ”という概念がなくては成立しないようにデザインされてるんです。
“ガンダムのデザイン”っていう言い方になるんですけども……『機動戦士ガンダム』を、僕はついこの間、ANIMAXで1話からまた見始めたんですよ。この歳になってから見ても、発見がいくつもあるんですけども。やろうとしてたことがかなり複雑なんです。
例えば、ホワイトベースの中にいっぱい避難民が乗っていると。で、避難民が「降ろしてくれ! 降ろしてくれ!」って言うのを覚えてますか? 戦艦から降ろしてほしいんだけどなかなか都合も付かずに避難民が不満を口にする中で、やっと地球に降りていく。そういった船の中での対立が、前半の13話ぐらいまでかなり緻密に描かれてるんですね。
で、そういう対立は後半になってどこにも活きてこないから、今、ガンダムを通して見たら、あそこが全く意味がないように見えるんですね。だから、THE ORIGINでも、安彦さんはそこのところをスルーして描いてるんですよ。でも、あんなに長い時間かけて描いてるということは、富野由悠季の中では意味があったはずなんです。
あれが後半になって『母をたずねて三千里』のジェノバの人々とか、それまでのアルゼンチンとか南アメリカで会った人々とマルコの旅が合体するように。富野さんがやりたかったのは、なんだろう、“世界名作劇場のアニメ”ですから。ベースにしてたのは。全てのキャラクターが関連づけられて最後までいくやつですから。
前半に出てきた避難民ってのは何かっていうと“オールドタイプ”のはずなんですね。つまり、「彼らみたいな存在が地球人であって、そして、で、ニュータイプとして目覚める人たちがいる」っていう話。
で、最終回でそれでも富野さんがなんとかやったのがですね、『脱出』という回で、ランチ、脱出艇の中に乗ってる人たちが「アムロー!」って手を出して、アムロ君がみんなの元へ帰るシーンがあるんですけども。この中のニュータイプの目覚め方がバラバラだっていうことなんですね。
まず、カツ、レツ、キッカって三人の幼稚園児、小学生ぐらいの子たち。まあ、ニュータイプ能力はバリバリでアムロ以上になってます。あえて“度数”で表現すると、アムロがニュータイプ95だとします。で、ララァが100だとします。そうすると、この子供たちはおそらく120ぐらいいっちゃってるんですね。
じゃ、セイラさんはニュータイプ度数どれくらいかっていうと、一応、額のあたりから「パリパリッ!」っていうのが出るから80ぐらいにしよう。で、ミライさん。ミライさんも結構あったんです。でもまあ60ぐらいでしょう。
さあ、ブライトさん。20か、まあ、0かもわかんないぐらいなんですね。で、ハヤト・コバヤシとか全然出てないです。カイ・シデンとかも出てないです。メーターが表記されてないぐらいですね。あのアムロの声が聞こえただろうから、20とか30ぐらいいったかもわかんないです。
こんなふうに、あの脱出艇に乗っていた人たちはニュータイプ能力が0から120までバラバラだったんですね。
シャア・アズナブルと、そしてガンダムの話の中で悪者達が言ったことは何かっていうと「ニュータイプ達が新しい世界を作る!」ということなんです。でも、 この最終回のラストシーン、富野由悠季が目指したのはニュータイプによる新しい世界じゃないんです。ここに僕は、ものすごく感動しました。
もし、ニュータイプによる新しい世界を描きたかったのだったら、全員がニュータイプ能力に目覚めてるはずなんですね。で、「俺たちはわかり合うことができた! だから地球はダメなんだ!」みたいな話にすることもできたはずなんです。
でも、そうせずに、 「ニュータイプであろうとなかろうと、彼がもう一回帰ってきたことに心から喜んでくれる仲間がいた」。これを最後に持ってきたところが『機動戦士ガンダム』というアニメの極めて秀逸なところです。
つまり、ニュータイプというのを語るんですけども、それは“人間の才能”みたいなもんなんです。僕らが、何か一緒に作品を作ってきたとして。そこには才能があるやつもないやつも、頑張ったやつも頑張れなかったやつも、病気で休んでしまったやつもいる。でも、打ち上げの時はみんなで「よかった! おめでとう!」と言うのと同じように。
もし、“ニュータイプ”っていうふうなものを愛でる、もしくは「素晴らしいものだ!」っていうふうに語るような作品だったら、それは“ジオンの側の作品”になっちゃうんですね。
僕が面白いと思ったのが、ギレン……さっきの“悪者三兄弟”の長男なんですけども、この人がニュータイプ、人の革新っていうのを信じてるんです。まあ、実は妹のほうがもっと信じてたんですけども。「宇宙に行った我々のほうが、地球に留まった人類より進化しているんだ!」と。「それが人類を制御せずしてなんとする! 人類には一回減ってもらおう!」と言っていた。
これは何かっていうと、ギレンは“ニュータイプ”という言葉、そんな便利な概念自体は信じてないんですけども。「宇宙に行った人間の方が、種として進化している! だから人間を制御しなきゃいけない、征服しなきゃいけないんだ!」と。
後で、なんかシャアも同じようなことを言ってるし、ガンダムのストーリーラインの中でも、ついつい“目指してしまいそうな事”を言ってるんですけど。
これについて、富野さんは“共産主義革命”みたいな考え方をしているんですね。
「より共産主義の思想に近づき、マルクス思想に近づいた人間が、果たしてコミューンを作って平和な社会を作って人類をリードするのにふさわしいのか?」っていうと、共産主義革命自体は失敗したか、もしくは暗礁に乗り上げたからそうじゃない。
ただ一つあったのは、60年安保、70年安保が終わったあと、自分達を迎えてくれたのはなにかっていうと、思想とかに関係なく、仕事で結ばれた仲間たちだったっていう現実がある。
富野由悠季にはそれを描こうとしているところが、すごくあったんだと思うんです。
それを絵として見せるとどうなるのかというと、ニュータイプ能力がある人間もない人間も、全員同じポーズでアムロに対して手を広げて、「帰ってこい!」って言ってる。
それに対して アムロが、ニュータイプの能力があって戦闘能力があるから迎えられてるんじゃなくて。一人の人間、一人の仲間として帰ってくるというとこがガンダムのすごかったところだと思います。
だから、僕らが“ニュータイプ”っていうのを考える時には、“あったかもしれない理想”ですね。共産主義革命とか、もしくはバブルって言ってもいいですし、オタクブームって言ってもいいです。 僕たち自身がかつて信じていて、そして「そこに人の革新があるかもしれない!」と思ったものを思い描いて。
そして、「でも、人はそのために生きていっていいのか?」ってふうに考えることが“大人っぽいガンダムの見方”だと思います。
こんな感じで。よろしいでしょうか?
(質問者)
ありがとうございます。 -
【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】岡田斗司夫はいかにして富野由悠季の弟子になったか第29号
2013-04-22 07:00220ptはじめまして、奇人変人研究がライフワークの秘書室のケイゴと申します。
自らを「の男」と言い切る不遜な男、岡田斗司夫が、師と仰ぐ数少ない人物が富野由悠季監督。
少し前の話となりますが、2010年11月に大阪で富野監督の講演があると聞きつけた岡田は、大阪まで講演を聞きに行くのみならず、講演直後にその解説イベントを企画します。どう考えても完全な便乗イベントですが、それが今回のコンテンツ、岡田斗司夫のひとり夜話exです。
富野監督の話を面白おかしく解説する岡田の話も面白いのですが、富野監督と岡田の関係は、もう一人の師匠、内田樹のいう「学び」のための「師匠と弟子」の関係である点を踏まえて読むとより楽しめるのではないでしょうか。
それでは、ハイライトをどうぞ。
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あと、面白かったのがですね、「サブカルチャーのバブル」という言葉を富野さんが使う、これも面白かった。
そんなふうにおっしゃってはいないんですけど、たぶん、これが富野さんの「オタクの定義」なんです。
オタクっていうのは何かっていうと……日本にはバブルが二つあった。1980代と90年代。
一つ目は“経済のバブル”でそれは僕たちの社会にいまだに尾を引いて被害を起こしている。被害と言ったら悪いことだけに聞こえるかもわかんない。
僕たちは豊かさを経験することによって色んなものが見えるようになったんだけども、やっぱりそこで「儲けなければいけないような気がする」とか、「お金がなければ幸せになれない気がする」とか、あとは農業から急激に人が引いてるとか、色んな被害を受けたはず。それがバブル経済の被害です。
同じように「“サブ・カルチャーのバブル”もあったのではないか それが“オタク”なのではないのか」ていうふうに、おそらく富野さんは考えています。
それについて、僕は楽屋では聞けなかったんですね。
聞けないのには理由があって。あの、富野さんの講演を聞きたかったのは純粋に「聞きたかった」だけであって、終わった後で楽屋に入れたのはほんとに偶然だったんですね。
富野さんの知り合いにたまたま会って、で「中入りますか」って言われて、ご挨拶してってことで。
僕はあんまりそこで“答え合わせ”したくなかったんですね。
っていうのも、昔、僕が富野由悠季さんに初めて会った時に、「僕、ガンダムが大好きです」って言ったら、富野さんは間髪入れず「 あなたはガンダムなんかが大好きなの 僕はガンダムなんか大嫌い 」ていうふうにですね……まあ、あの、いまも時々出てくる“ オネエ喋り ”です笑 それでビシっと返されてですね。
で、その時に「 この人なんなんだろう 」って思った疑問がいまだに僕の中でずっと続いている。 これが「富野由悠季をわかりたい」っていう原動力 なんです。その時から僕は勝手に「 俺は富野由悠季の弟子だ 」っていうふうに自分自身に言ってるんですけど。今日も、まあ、本人の前で「いや僕はあなたの弟子ですから」って言って。
僕は昔、富野さんにそういうふうに言われて、「この人なんでこんなこと言うんだろう」って。「もし強がっているんだとしたら、なんで僕みたいな若造の前で強がらなきゃいえないんだろう なんでこの人はこんなに“ねじれちゃってる”んだろう」っていうのが謎で。
その謎っていうのを解き明かすでもなく、本人から教えてもらうのではなく、僕は勝手に解釈して。「あ、富野さんてこういう人なんだ」イコール「人間てこうなんだ」イコール「ガンダムってこうやって作られているんだ」イコール「人間にとって物語とは何なんだ」……っていうふうに、富野さんを起点に色んなものが解きほぐれていく。
これが“ 師匠と弟子の関係 ”だと思ってるんですね。
なので、あんまり答え合わせみたいなことはしたくなかったんですけども。
富野さんが一生懸命言っている「中国がいますごいんだ」「そしてそのすごいっていうのは何かとんでもないことで、僕たちにとっては怖いことなんだ」っていうのを、「富野さん、それはかつての日本のトリニトロンテレビがアメリカに与えた衝撃みたいな話ですか」て言ったら、「それそれそれ」って楽屋で言われた。
だから、「俺は答え合わせができて、おまけに富野さんは今後、講演する時にこの言葉を使ったら楽だろうなあ」っていう。お互いにいい取引きだったんです笑
そういうことがあるんで、あんまり答え合わせしたくないんです。話はズレますけど。
だから、講演とかでですね、よく質疑応答をするんですけど……あとで質疑応答大会やるから、こんな話をしたらやりにくくなるかもわかんないんですけども。質問っていうのは、「自分に対する質問だ」と思ったほうがいいですね。
「これを聞きたいんですけど」と聞く時っていうのは、前に立っている人が答えてくれるんではなくて。
前に立っている人が、なんだろうなあ “ヒント”みたいなものをくれるから。「 それを元にして、5年がかりか10年がかりで自分で答えを見つければいい 」っていうぐらいの考え方が一番楽しいと思います。
ごめんなさい、ちょっと話が横に流れました。 -
【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】岡田斗司夫に問う!もっと占いについて答えてくれたまえ第28号
2013-04-15 07:00220pt普段にはない嫌なことがあると、「運のない物を持っていたからだな」と持ち物のせいにする無銘のマサフミです。
前回に引き続き「岡田斗司夫講演会 占いのことを語るよ!」後編の模様をお届けします。
後編は客席の皆様との質疑応答パートです。
岡田斗司夫がその場から出る質問に事前準備なしで答えていきます。
この質疑応答が一番面白いと、質疑応答だけのイベントを行ったこともありました。
講演が質問によってどんどん面白くなっていくのを御覧ください。
皆様が岡田斗司夫の講演にお出かけの際は、おひとつ質問を持っていくのが吉でしょう。
では後編の模様をハイライトでどうぞ。
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「月刊FREEexで占い師のユウコさんが“占いはオカルトではありません! ツールです!”と言ってました。ツールだからオカルトではないと言い切る理由はなんでしょう? ちなみに、オカルトを否定する気はありません。使うことで少しでも楽になるならそれはそれでよいことだと思ってます」
ツール。 「オカルトではない、ツールだ」というのは、たぶん、“社会学一般”でですね、ツールなんですけど根拠が無いんですよ。なんでかっていうと、追加試験できないんですから。
心理学もそうなんですよね。例えば、社会学もそうなんですけども、心理学っていうと、「こういう人がこういう傾向がある」とかよく言うじゃないですか。で、あんなもの僕らはですね、まともに信じてないと思うんですけども。それでも使えるときは使えるんですね。
つまり、「こういう人にはこういうふうな傾向がある」と言われりゃそんな気もするし。使えると言われれば使える気もするし。たぶんね、その「使えるものは使いましょう。で、根拠に関してはあれこれ考えてもしょうがないですよ」っていうのが僕の回答なんですよ。
すみません、ユウコの回答じゃなくて。
で、オカルトって何かっていうと、「根拠はないけど信じれる」のではなくて、「とことん変な根拠を求めること」なんです。
つまり、この世界に「なんでか?」っていう理由なんてないんだけど、「理由なんかないっていうと変だろ? 何か理由があるだろ!」というふうに、とことん突き詰めていくと、“物理”になるか“オカルト”になるかどっちかなんですよ。
物理でフォローしきれないことってやっぱオカルトでしかフォローできないんですね。 なので、占い師が扱えるものっていうのは、心理学的なこととオカルトの両方になっちゃうんですけども。でも、たぶん、現代の占い師っていうのは“カウンセラー寄り”がすごく多いんですよ。オカルトよりも。
なので、「占いっていうのはオカルトではありませんツールです」っていうのは……自分たちが使っている占いの技法をネタもとにして、それで相手の本音を探りだして、自分が「こうだ!」と思ってる言葉をぶつけあって徐々に徐々に合意を果たし作っていくという、たいへん心理学的な手法というのを現代の占い師は使っています。
だから、彼女たちはその“オカルティックな部分”を信じてはいるんだろうけども信じてはいない、ということなんですね。
なんでしょうね。それは僕らが友達と話すときに、その人達との“友情”を信じてるんだけども、人間は友情だけではなくて“実利”で動いたりもする。微妙なバランスの中で生きているのと同じように。オカルトっていうのを完全に否定して合理性だけだと考えちゃうと、解決不可能なことがいっぱい出てきちゃうんですね。
だから、カウンセリングみたいな話をする上でオカルト的な結果、たとえば「こんなカードが出ました」といったら、あくまで出たカードにこだわることによって見えてくるものがいっぱいあるという手法だと僕は思ってます。
もし違うと思ったらあとでフォローします。
「占いが必要なときと必要でないときの大きな違いはなんでしょう? 私自身は必要でない人間だと思ってます」
占いが必要でないという人間は僕と同じく、“科学”という占いを信じているので必要でないだけなんですけども。つまり、 この「なんで?」、「どうしたら?」というものに対する中間解、“途中の答え”というものにどれくらい心が安心するかですよね。
「突き詰めないとダメだ!」っていう人はオカルトのほうに行っちゃうし、「とりあえず今日何すればわかればいいや」っていう人は、占いの段階で納得できる。 そうじゃなくて「合理的な根拠を!」という人間は、バランスが悪いことに毎日抗わなきゃいけないんです。だから、突き詰めてオカルトにいってもダメだし、占いの結果をあえて信じちゃってもダメなんですよ。
中国の孔子が、あそこまで合理者でありながら占いというものを一切否定しなかった理由は、「そういうわけのわからないものをアリとしたほうが人間社会の説明がうまくいく」と考えたからですね。 全て合理的に説明できると考えるほうが変になる。
これは“料理人の勘”のような非科学的なものをあえて残しておくことで、料理というのが美味しくなるのと同じですね。
もし、料理人の勘っていう怪しげなオカルティックな言い草を料理の世界に入れなかったら、すべての料理は同じ材料から同じような調理法で同じような味が引き出せることになってしまうんです。
でも、例えば小麦粉の産地によって、その麦が育った場所の暖かささ寒さも、その日の温度も湿度も違うから、絶対に同じ味になるはずがないし。食べる人が違えば、その人が子供のころから食べてたものが違うから、味覚にも微妙に差ができるし。おまけに、その人が風邪気味か健康かによって感じる味の範囲も違うんですね。
つまり、 “完全再現性”、“完全分解”っていうのは幻想なんですね。なので孔子は、そういうことに関しては「わからない!」というでっかいブラックボックスを一個用意してそこに入れたほうが、おそらく、全てうまく行くと考えたんです。
なので、占いっていうものがあるかないか、信じるか信じないかの大きな違いはなにかというと、「そのブラックボックスを使えるか使えないか」だと思うんですよ。
僕は割りと、なんでしょうね、物分かりが悪いというかですね、往生際の悪い人間なんで。「できるだけそういうことは考えずに、合理的に考えられるところまで考えてみようか。暇だしね」と言って、こういうふうに分解できるとこまでとことん分解するんですけども。
あんまこういうことやってると、頭に熱が出ちゃう、適当な部分で止めればいいと思います。 -
【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】占い師に一言物申す!もっと○○の勉強をしたまえ第27号
2013-04-08 07:00220pt星占いに血液型占い。占いコーナーは複数確認して都合のいいほうを採用する蟹座のA型無銘のマサフミです。
今回は2012年3月に福岡で行われた「岡田斗司夫講演会 占いのことを語るよ!」前編の模様をお届けします。
「占いなんて信じない」と公言している岡田斗司夫のもとに、現役の占い師の方からお招きがあってこの講演は実現しました。
岡田斗司夫が占いの歴史を遡り、その分析から占い師の今後について助言をしていきます。占い師が今後勉強すべきこととは何なのか。果たして占い師の将来を明るくすることができるのか。
参考になりましたら皆様もお近くの占い師の相談に乗ってあげてみて下さい。
では講演の模様をまずはハイライトからどうぞ。
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で、こっから先がですね、さっきも言ってました、現役占い師さんたちに対する説教で、マーケティングの助言なんですけども。
「神→シャーマン→まじない師→錬金術師→宗教→将来を心配する人→昭和の占い師→21世紀型占い師」
こういうふうに構造図を書いたら、やることは明らかなんですね。君等は“21世紀型占い師”という立場に安心してるからまずいんだよ!
今の占い師って“勉強”するんですよ。やたらと占いの方法を。「占いの方法をどんどん勉強すればするほどいい占い師になれる」って思ってるんですよ。違う!
いい占い師、これからの21世紀型の占い師の進化形というのは、それまで失った機能を取り戻すことなんです。オカルトに詳しいとかカウンセリングの技法を持ってる。ここまでは当たり前なんです。
だから、現代の占い師っていうのは、人のどうしようもない衝動とか疑問に関して、責任持って付き合ってあげる。これが最低限の仕事です。(21世紀型占い師)次に、そん時に使う手法の一番と二番はカウンセリングとオカルトです。(→昭和の占い師)これは手法の一つにしか過ぎない。一番と二番にしか過ぎない。
その後、 勉強すべきことは“占いの勉強”じゃない。まず経済の勉強(→将来を心配する人)であり、思想の勉強(→宗教)であり、科学技術の勉強(→錬金術師)であり、医学の勉強(→まじない師)であり、政治の勉強(→シャーマン)なんです!
これらをやらないと、元の力強い状態に戻らないんですね。 こっから先もどんどん占いの勉強なんかしちゃったら……もう既にキリンの首は伸びきってるから、更に伸ばしてもしょうがないんですよ!
やっぱねえ、“商売”として占いを真面目に考えてほしいんですよ。
「宗教→錬金術師→まじない師」って、上に行けば行くほど売上は上がるんですよ。なんでかっていうと、対応できる問題が多いから。
たぶん、現役の占い師でも、遺産相続の相談とかがあったときに、法律とか経済の知識があれば、「あなたの運がこう出てるけど、それは多分……“登記簿”をもう一回見てごらんなさい」とか、色々言えるはずなんですよ。これらの知識は絶対に無駄にならないですよ。
これらの知識があってこそ、“カウンセリング”とか“オカルト”っていう、今持ってる2つしかない武器が、ものすごく有効になるんですね。この武器をこれ以上研ぎ澄ましてもしょうがない。
それよりは真面目に、経済の勉強しましょう。『日経新聞』読みましょう。思想の勉強しましょう。サンデル教授の本読もう。科学の技術ですね、『ニュートン』読もう。医学ですね。これは当然、「体の調子が悪いんです」と言われたら、「それは、なんか枕のこっちの向きが〜」とかいうのもアリなんですけど、同時に、ちょっと医学的な知識があったらその言ってることに説得力が出るんですね。
さっき言った“金色の財布”というのも、ただ信じさせるだけじゃなく、「その人がお金儲けに邁進するためにはどういうふうにさせたらいいのか?」っていうのを、これらの知識を総動員して助言することで、はじめて機能するんですよ。
だから、「中国では昔からそういうことに〜」とか言っててはダメなんですよ。あと、成功例だけ持って来るのもダメ。この世の中に“金の財布を持ってもダメだったやつ”は“金の財布を持って成功したやつ”の10倍いるに決まってるんですから。そういうのはダメなんです。
ちゃんと真面目に政治の知識、医学の知識、科学の知識、思想、経済っていって、その後カウンセラーとオカルトの知識にいったほうがいいと思います。
「それなら占い師である意味は? 法律家や医者になったほうがよくないですか?」(会場からの質問)
ほうほう。法律家や医者になったほうがよくないですか。“信じてなくて”、“金儲け”ですね。(質問の書かれたポストイットを、先ほどのボードの左上に貼る)
いえいえ。政治家や医者は単機能しかないから、実は使い勝手が悪いんですよ。
僕らは所詮、「なぜ?」とか、「どうしたら?」という悩みの解決、回答しか求めてないんです。これらの問題を因数分解した果てにこの専門家に聞くことはあるんですけども、専門家に聞いても満たされないんです。
僕らが医者に聞きたいのは「これでいいですか? これでダメですか?」であって、「医学的にどうか?」ということは全く聞いてないんですよ。僕らが原発の専門家に聞きたいのは、「安全ですか? どうですか?」なんです。その人を信じられるかどうかを聞いてるんであって、「このような条件下で、このような前提で、このデータが正しいとすれば、こうです」なんて話はタルくて聞いてらんないです。
なので、それらの単機能しか持ってない人たちっていうのは、勉強するものに専門的なものが多すぎる割に、潰しがきかない。
それよりは、人の悩みは所詮「なぜ?」「どうしたら?」にしかないんだから、今現在、占い師でそこそこ売上があるんだったら、政治や医学などを勉強したほうが絶対にいいです。
それが僕が考える占い師のこれからのことです。機能ですね。
なんでかっていうと、所詮、人は「誰を信じるのか?」で考えるからです。
もちろん「その人が言ってることが正当かどうか?」って部分もあるんですけども、言い方がどうかとかですね……例えば、「美味しいパスタ屋さん知ってるんだけど」と言われた時。僕らは「その言い方がどうか?」とか「本当に美味しいパスタ屋さん知ってそうかどうか?」、「総合的な人格、総合的なキャラクターでその人を信じるに足りるのかどうか?」で考えちゃうんですね。
なんでかっていうと、 常に問題は解決不可能で、誰にでも答えられないのが当たり前で、そしてどんなに愚かに見えるお客さんであっても消費者であっても、「この問題は本当は誰にも答えられないんだろうな」って腹の底で知ってるからです。
だから占い師は全力をあげてその人に“信じてもらう”しかない。それはなんだろう? 「私を信じてください!」って言うしかないんです。
だから僕は、自分の仕事も占い師の系譜の末裔だと思ってるんです。 -
【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】春のブロマガ・大アンケート実施!!
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岡田斗司夫のニコ生では言えない話 アンケート号 2013/4/1
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【今週のコンテンツ】春のブロマガ・大アンケート実施!
【岡田斗司夫なう。】そう。いまのクラウドシティ、4タイプが熱い!
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◆【今週のコンテンツ】春のブロマガ・大アンケート実施!
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この『岡田斗司夫のニコ生では言えない話』(以降、『言えない話』)は毎週月曜日の朝、私のところにも届きます。
自分の書いた記事を確認するために、ブロマガに入会したのです。
皆さんに面白い記事をお届けするために、毎週、みんなで工夫しています。
ところがある月曜日、届いた『言えない話』に読んだ覚えのない記事が!
自分が作ったのよりおもしろそうな気がして、必死で読もうとしているうちに目が覚めました。夢だったのです。
こんにちは、のぞき見のミホコです。
今回は、『言えない話』を、そんな理想(?)のメルマガにすべく、アンケートを行うことになりました。
このアンケートに答えてくださった方には、岡田斗司夫からお礼の特別メールが届きます。
みなさま、ぜひ、積極的にご協力ください!
以下は、アンケートの記入の仕方です。
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<以下は会員限定ページで>
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