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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】オフレコお願いします。岡田斗司夫の一人夜話でも言えない話第59号

FREEexに入っていることを誰にも言ってない無銘のマサフミです。 『岡田斗司夫のひとり夜話in大阪「帰ってきたひとり夜話」』最終回は質疑応答パートです。 本放送では流れなかった、ここだけの話をこっそりお楽しみ下さい。 企画が漏れたら潰れてしまう可能性がある。 どんな企画でも最初はオフレコで秘密裏に進んでいくんでしょうね。 そうすると、楽しそうな新企画は、いまもどこかでこっそり進められている。 皆さんにもそんな企画があるんじゃないでしょうか。 発表までは粛々と、漏れてしまっても潰れないように。 真っ先に知りたい人はスタッフになって、一緒に企画を進めていきましょう。 それではハイライトからどうぞ。 ************************************ 「今週の月曜日のツイートで、“言いたいけど、どうしても言えないことがある”というようなことを呟いておられようですが、それのことについて、何か――」(質問者)  アレは言えないですね。  たぶん、ここでそれを言っちゃうと……その、“企画”なんですけどね。ある番組の企画なんですけども。  その、大丈夫かな? どのへんまで喋っていいか。  それはあるテレビ番組の企画なんですけども、「それを喋ると、番組企画自体がが潰れちゃう可能性があるから」なんですね。  よくね、僕、そういう説明を受けるんですけども、わからないんですよね。なんで潰れるのかわからなんですよ。  昔からよく、「こういう番組の企画あるんですけども、絶対にオフレコでお願いします。なんでかっていうと、こういう番組の企画中やという情報が流れると、潰れてしまいますから」っていうふうに言われることがあって。  なんでそんなんで潰れるのか、よくわからなかったんですね。   例えば、「○○って作品がアニメ化される」とか、ようあるやないですか。  なんで、この漫画がアニメ化されるという情報が流れるだけで潰れるのか、よくわからなかったんです。  ガイナックスをやってたときからよく言われてたんですけども。  でも、実はホントに潰れるんですよね。面白いもんで。ホンマに潰れるんですよ。  アニメの場合は簡単で、“スタッフの取り合い”が起こるからですね。  あるアニメが、例えば『進撃の巨人』がまだアニメ化されてない頃に、「アニメ化される」という情報が流れたとしましょう。  そのときには、単に「アニメ化される」という情報だけでは流れないんですね。  ちょっと知ってる人間が聞いたら、すぐに色んなことがわかってしまうんです。  例えば、進撃の巨人がアニメ化するっていう場合、素人はここまでですけども。  聞く人間が聞いたら、すぐに、“局”と“時間帯”を推理しはじめるんですね。あとは“スタート時期”。  番組で大事なのもコレなんですよ、実は。  僕も、テレビを見る側のときにはよくわからなかったんですけども、企画する側とか、作る側に立ってみたらわかるようになりました。 「どの局で?」、「どの時間枠で?」、「いつスタートなのか?」で、その番組の内容がほとんどわかってしまうんですね。  <中略>  だいたい、時間帯は深夜で、スタートが、まあ4月からやとしましょうか。  そうすると、深夜でアニメをやるということは、「おそらく、後でDVDの販売で予算を取り返すつもりだろう」ということがわかります。  っていうのも、もう普通の人は寝てるような時間帯ですから。  その時間にオンエアするっていうことは、逆に言えばクオリティを上げるだけ上げてくるやろうし、あとは、「子供が見たら問題だ!」というようなシーンも平気でやるに違いない。  ゴールデンタイムや朝やらなくて、深夜にもってくるということは、バリバリ、マニアに向けた、超過激な作品っていうのになるだろう。  イコール、「作画スタッフはたぶんこんなヤツらが必要なはずだ」ということがわかります。  4月オンエア開始ということは、作画の一番クライマックスのしんどい頃って、1月〜6月。  となると、その時期に『進撃の巨人』に必要になりそうなスタッフ。  立体機動があるから、空間把握能力があって3D表現みたいなことができるアニメーター。  中世の風景みたいなものが描ける背景スタッフ。  あとは、リズミカルでテンポのいいアクションが描けるアニメーター、ですね。そういうふうな人間が必要となってくるだろう、と。  であれば、「その時期、彼らの仕事が忙しくなるに違いない!」と思って、他のアニメ屋さんが先行してそのスタッフを一斉にに押さえだすんですね。  もう、「進撃の巨人のアニメがはじまる」というウワサをもし聞いちゃったら、「それは何月からか?」ってのがわかるわけですよ。  だって、みんな、アニメの関係者は、自分たちの番組が何月からやるか知ってるわけですからね。  っていうことは、「ちょっと待てよ、と。フジテレビの来年の4月からの深夜、空いてるぞ!」と、「埋まってへんぞ!」と。  そこに「進撃の巨人が〜」ってウワサが入ってきたら、「そらもう、あの深夜枠の4月しかないやろ!」というふうに特定できちゃうんですよね。  これがその、業界とかに、あらかじめ番組の情報が流れたら、潰れちゃうということの、アニメの場合の実際ですね。 「どのアニメが企画中や」とか、「作るそうや」という情報が流れてしまった瞬間に、局と時間とスタート時期が、ほぼ自動的に伝送されてしまう。  そうなると、潰されちゃうわけですね。  スタッフを確保されてしまったり、同じような時間帯で、少し早いスタート時期に似たような企画を持ってこられるとかです。 “進撃の巨人潰し”っていうのも、他の局にしてみたら可能なわけですね。  具体的に言うと、あと一ヶ月早く、アクションもので、ちょっと残酷なものをはじめられてしまうと、『進撃の巨人』ってのは潰されるわけです。  もし、そういうのが先に制作発表されてしまうと、“先に発表したもん勝ち”ですから。 『進撃の巨人』を作るスタッフは、それでも作りたいと思うし、プロデューサーもやりたいと思うんですけども。  テレビ局にはですね、番組を作る人らより偉い“編成”っていうのがいます。  編成っていうのは、「どの時期にどの番組をどの時間帯でやるのか?」っていう、スケジュール管理の人たちですね。  テレビ局で一番偉いのは、もちろん社長とか経営者は別にして、この編成なんです。  テレビ局の頂点は編成。  なので、その編成の人たちは、どんなにそのアニメが面白くなりそうとも、“編成的に不利”とわかったら変えちゃうわけですね。 「じゃあ、4月からスタートと思ったけども、じゃあもう10月からにしましょうか」とか、「ああ、もうこの企画流しましょうか」みたいに。  編成にしてみたら、ヒットしそうな企画はナンボでもあるわけだから、ある企画が潰れようが、潰れまいが、全然関係ないわけですね。 <中略>  月曜日に僕が得た情報……というか、僕が得たわけではないんですけども。  その、関係の人からあることを聞いて、ホントに僕「スゴイな!」と思ったんですけども。喜んだんですけども。  それもやっぱり、「どんな番組か?」っていうのを断片的にでも言っちゃうと。   ここにいる皆さんはわからないかもしれないんですけども、それをどっかで書いたり呟いたりしてしまうと、そういう情報でも“わかってる人”には自動的に当てられてしまうんです。  なので、ちょっと怖いと。  そういうことで、「言えません」と。  勉強になりますね、ハイ(笑)

【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】オフレコお願いします。岡田斗司夫の一人夜話でも言えない話第59号
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著者イメージ

岡田斗司夫

作家、評論家 1958年、大阪生まれ。株式会社オタキング代表。FREEex主宰。常に時代の先を読み、ユニークな創造をし続けるクリエイター。アニメ・ゲーム制作会社ガイナックスを創業、社長時にはアニメ『王立宇宙軍オネアミスの翼』『ふしぎの海のナディア』、ゲーム『プリンセス・メーカー』などを手がけ、ブームを巻き起こした。その後、東京大学非常勤講師に就任。作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越え、人々は尊敬の意味をこめてオタクの神様「オタキング」と呼ぶ。

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