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記事 89件
  • [久田将義]旧車会脅迫事件と不良少年と少年犯罪の傾向【ニコ生タックルズマガジン】

    2018-11-12 20:00  
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    旧車会脅迫事件と不良少年と少年犯罪の傾向




      某テレビ番組から問い合わせの電話があった。10月に起きた、ある脅迫事件についてである。東京・調布を中心に活動している旧車会メンバーが、一般人を脅して三回に分けて15万円取ったというものである。日刊ゲンダイが報じていたので読んでみると、国心会という名前の旧車会で、そこの初代と二代目総長が逮捕されている。
     要約すると、被害者Aさんが国心会と走ったので、それを誰かに言ったところ、初代と二代目総長に調布市内の公園に呼び出され「国心会、かたってんじゃねえ」と脅されたというのである。
     僕は旧車会については、そんなに取材していないが、旧車会が出現した当時は、暴走族0Bがすっかり落ち着いて、走る事だけを楽しみに活動をしているというイメージだった。が、最近は物騒なチームもいるとは聞いていた。
     道路交通法が改正されてから、暴走族は激減した。ほとんどいなくなったと言ってよいくらいだ。とは言え、調布というと暴走族では、ルート20という有名なチームがあったので、国心会というのは、その流れを汲んでいるのかなと想像した。
     道交法が改正されたからと言って、不良少年はいなくならない。人間の歴史がある限り、絶対にアウトローはなくならない。形、名称を変えて存在し続ける。
  • [久田将義]1/15(日)は公式生放送タブーなワイドショー【ニコ生タックルズマガジン】

    2017-01-14 22:30  
    「久田将義責任編集 ニコ生タックルズマガジン」
    《今後の生放送予定》






    15日日曜20時放送『タブーなワイドショー』で吉田豪と久田将義が一月のニュースを斬ります。
     
     15日20時に毎月一回の放送『タブーなワイドショー』。その後はチャンネル放送↓
     今月は10日に講談社朴編集次長が殺人容疑で逮捕されるというショッキングなニュースが飛び込んできました。 朴容疑者は別冊少年マガジンを立ち上げ『進撃の巨人』の担当編集で知られている敏腕編集者。四人の子宝に恵まれ、日本を代表する出版社の編集次長になり、さらに日本漫画史に残るであろう、『進撃の巨人』を見出した人がなぜ、妻を殺害しなければならなかったのか(10日現在、容疑を否認)。 
     週刊文春が各紙の中では群を抜いた形で詳しく報じているところは、他誌記者とも電話で話したのですが「さすが文春」と舌を巻いていました。テレビでは日本テレビが他局
  • [久田将義]東松山市少年リンチ事件を分析してみた【ニコ生タックルズマガジン】

    2016-09-12 18:00  
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    東松山市少年リンチ事件を分析してみた


     
     2016 年8月、井上翼さん(16)の遺体が唐戸という地名の河川敷で発見された。大変痛ましい事件である。去年、二月に起きた川崎市中一殺人事件を思い出したのは、僕だけではないだろう。

     基本、事件の構図は両方ともほぼ同じであると僕は見ている。拙著『生身の暴力論』でも指摘した通り、1980年代後半から続き、また多発していた中途半端な不良少年が起こした残虐な事件である。

     1980年代後半から1990年代前半の少年犯罪は、「綾瀬女子高生コンクリ事件」「名古屋アベックリンチ事件」「市川一家四人殺人事件」「木曽川少年リンチ事件」と多発している。これらに共通するのが、前記した通りの中途半端な不良少年。あるいは不良少年もどきの犯行であるという事だ。

     川崎市中一リンチ事件同様、少年のネットワークはツイッター、フェイスブック、LINEの三つを駆使し、またSNSがなくても地元では大方、この手の噂は広まっていくものである。これは携帯電話がなかった1970年代~1980年代前半についても同様の事が言える。

     地元ネットワークの濃さが、この手の少年犯罪の特徴である。

     
     東松山市の場合。東松山駅にたむろしている「パズル」という赤ギャンのメンバーを中心とした少年たちの犯行であるとして取り調べが進められている。

     井上さんは、「パズル」のメンバーではなく周辺でたまに、顔を出したりする程度の仲だった。僕はまとめサイトや2chを見ないので分からなかったが、今回、検索してみると井上さんもメンバーの一人だという書き込みがあったが違うだろう。

     
     暴走族と違い、チーマー、ギャングなどは縦のつながりが弱く、たまたまチームのパーティに参加したりつるんでいたりするだけで「俺、○○(チーム名)何だけど」という自称が多いのが特徴である。井上さんはそういう自称すらしていなかったのではないかと思われる。

     
     東松山市と言っても読者の方はピンと来ないかもしれない。埼玉県でもさほどの繁華街ではないからだ。「地方の街」ぐらいの認識だろう。不良少年というと代表的なのが暴走族で、その戦闘力や団結力はギャングよりも「強い」とされてきた。が、昨今では少子化と道路交通法により数が少なくなっている。そこで台頭してきたのが暴走族ほどつながりが強くはないが、集団化してきたギャングや愚連隊の存在だ(と言っても警察庁が認定した準暴力団、関東連合や怒羅権のような人脈や凶暴さは見当たらない)。

     
     ギャングはたまにビッグスクーターに乗ったりはするものの、基本、街にたむろっているが、東松山市で言えば、遠出をすれば池袋や近くでは大宮等の街がある。十数年ほど前に池袋でギャング同士の抗争があったが、それぞれのチームは東武東上線等の電車で池袋まで来ていたのが特徴的だった。

     
     東松山の不良少年事情でいうと、暴走族では、戦闘的で右翼的なチーム「A」というのが幅を利かせていた。レディースも有名な「B」というのがあった。両方とも現在は解散している。

     ここからは想像だが、これら暴走族のOBで何人かは地元のヤクザ組織に入ったり、右翼民族派団体に進んだ者がいるだろう。いわゆる半グレ(準暴力団)である。
  • [久田将義]『烈侠 山口組最大の抗争と激動の半生』加茂田重政著制作秘話【ニコ生タックルズマガジン】

    2016-08-30 12:00  
    330pt
    『烈侠 山口組最大の抗争と激動の半生』加茂田重政著制作秘話

    編集者人生で最も緊張した一瞬

     
     
     7月21日にサイゾーから発売された、元三代目山口組組長代行補佐、元一和会副会長兼理事長加茂田組組長加茂田重政氏の自伝の二刷りが上がってきました。

     発売一週間ですでに、アマゾンの在庫がなくなり版元にしかない状態でして、お求めの方には大変ご迷惑をおかけしました。

     
     さて、一部で話題になっている本書ですが、フライデーや日刊ゲンダイに掲載されたように加茂田重政氏と昭和から平成にかけて活躍している(した)芸能人との交友録がフィーチャーされていようです。

     
     他誌に掲載されているように、写真で菅原文太、梅宮辰夫、松平健、鶴田浩二、錦野旦、火野正平らが仲睦まじく写っています。また文集中では島田紳助や明石家さんまらが結婚式等の司会をしていた、と書いてあります(敬称略)。

     これはYouTubeにも上がっていません。これらを見られるのは本書をお買いあげて頂いた読者のみなさんだけの「特権」です。ここでは暴露を目的とするのではなく教科書が教えてくれない昭和の歴史の一部として編集をしました。曰く「こんな時代もあったんだ」と。

    もちろんこれは1980年代の話。暴対法や暴排条例が施行された今、こういったおおっびらな「交際」はできなくなりました。

     
     しかし、映画「仁義なき戦い」シリーズのリアルな演技は、加茂田氏らとの交遊があってこそ、と思うのは僕だけでしょうか。そもそもお上(警察)に「個人的な付き合いを制限され る」という事が、きな臭いと思うのは僕だけでしょうか。
     
     ヤクザも人間です。取材にも応じれば食事もするし、酒も飲みます。特に、芸能界等の興行の世界は江戸時代から続いています。良い悪いは別にして、芸能界や相撲やボクシング等の興行は「そういう世界」なのです。

     
     現在は表向きは禁じられており、また付き合いも絶ってはいますがそこは伝統。今も仲良くやっている人たちはいます。直接ではなくても半グレと呼ばれるような、警察は暴力団認定していなけどやっている事は同じ、というような人々を仲介して、ですが。

     
     本書では出てこなかったですが、
  • [久田将義]【東京都知事選】ニコ生で放送された「泡沫候補」達の魅力【ニコ生タックルズマガジン】

    2016-08-03 18:00  
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    「久田将義責任編集 ニコ生タックルズマガジン」
    《今後の生放送予定》

    <久田将義企画・新刊情報>
    烈侠 ~山口組 史上最大の抗争と激動の半生

    東京知事選
    ニコ生で放送された「泡沫候補」達の魅力
     この原稿が出るころには、東京都知事選の結果が出ているかもしれません。
    主要三候補と呼ばれている小池百合子、増田寛也、鳥越俊太郎各氏では小池候補が頭一つリードといった報道が目立ちました。選挙の最初の頃は政治記者も「全くわからない」と言っていた人が多かったですが、終盤に来て小池氏を推す声も目立ってきたように思います。
     増田氏は菅義偉官房長官の覚えめでたく、すなわち安倍首相の「お墨付き」と見られており、安倍現内閣に反感を持つ人は増田氏から離れていくでしょう。この場合の「人」とは都知事選での大きなキーを持つ、「無党派層」の事を指します。東京都は人口1300万人の大都市です。地盤が固まっている業界もありますが、だいたいが中小企業のサラリーマン、自営業者が多いとみられています。アベノミクスで「幸せになったー」という中小企業のサラリーマンや自営業者はあまりいないようですから、このあたりがどう選挙に影響するか。
     ところで、無党派層は各候補のテレビでの映り具合、発言、反応で選択する傾向があるようです。
    鳥越俊太郎氏に関しては、僕は十年前に彼がPETでガンを早期発見した直後ぐらいに元週刊現代編集長元木昌彦氏、元噂の真相岡留安則氏と三大元編集長座談会というのを企画しました。
     ガンを克服した後だけあってか、少し元気がないので気になりました。元木さん、岡留さんのお二人は平常運転でした。元気がないというより、初対面の僕に「こいつ何者なんだ?」と警戒心をもっていたからそのように見受けられたのかもしれません。
     鳥越氏は立候補の記者会見で有名な失言「終戦のとき、私は20歳でした」で度肝を抜かれた方も多いでしょう。僕も「あれ? この人何歳だったっけ」と思いました。
     このときの鳥越氏の心境は参院選で自公が三分の二の議席を取ったのに、相当焦り、テンションが上がったのだと推測されます。つい、「戦争を知っている」が「終戦のとき二十歳」発言につながってしまったのでしょう。そこを記者やキャスターに突っ込まれると「それは単なるの間違いじゃない」と開き直っていましたが、間違い過ぎですね。そこから鳥越氏の「健康面」が取りざたされるようになりました。「この人、記憶も頭の回転も大丈夫だろうか」と。
     のちに週刊文春と週刊新潮に「女性セクハラスキャンダル」が大々的に報じられます。この噂は十年くらい前からマスコミの間では浮遊していました。今回はセクハラされた女性の旦那さんの告発ですが、裁判の結審待ちです。
     ついでに言いますと、テレビに出てくる現役の新聞記者はだいたい、心性や言動などロクな噂を聞きません。記者と言えば書くのが仕事なのに、「テレビに出て講演が増えたよ。やっぱり講演は儲かるよ」と得意気に言う偉い立場にいる委員、上司の奥さんと不倫したり、部下に過激にパワハラをしたり、取材に来た女性記者をセクハラ言葉で怒鳴り泣かせてしまった人等々、結構枚挙にいとまがありません。
    「新聞記者は社会の木鐸」というのが皆さんのもっているイメージだと思いますが、意外とこういう一面をもっているという事を念頭に置いてテレビを見ると、クールダウンして彼らのコメントを受けとめる事が出来るのではないでしょうか。
    「舛添前都知事の事をかなり言っていたけど自分はどうなんだよ」みたいな突っ込みを心の中でしても良いでしょう。
     さて、28日にニコニコ生放送で可哀想に「泡沫候補」扱いされている人たちが各自15分間の演説をしました。主要三候補の演説はテレビやYouTube等で確認できますが初めて、演説を見た人もかなりいました。
     
  • [久田将義]「AV強制出演」は本当にあったのか【ニコ生タックルズマガジン】

    2016-06-23 17:00  
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      「AV強制出演」は本当にあったのか
     この問題がヒステリックにならないよう、AVユーザーの立場からまずは祈るばかりです。

    「今どきのAV業界は、無理やり出演させたりはしない。クリーンになった」。
    何人かのAV関係者に話を聞くと口をそろえて皆さんおっしゃいます。「皆さん」の中には、匿名を条件に話して頂いた有名監督もいます。

     こと、AV業界になるとどうしても「SEXを他人に見せて収入を得る行為」が、他の職業と比較して一段低く、という表現が宜しくないならば一歩引いて見てしまいがちなのは止むを得ないでしょうか。「女性の裸体を商売」とする行為――ストリップ、風俗――などがやはりキャバクラ嬢あたりからも「一緒にしないで」と言われる(少し前、歌舞伎町のキャバクラで言われました)事も事実です。

     が、原則論として、「職業に貴賤なし」。この、人類が長い歴史から勝ち取った素晴らしい言葉を頭の中にインプリントしておく必要があります。それを踏まえてのブロマガです。ここまでは前置きになります。

     今回の「AV強制出演はあったのか問題」は大きく、二つに分けた方が、マスヒステリアに飲み込まれずに済むと思います。

     まずは、マークスジャパン元代表らが労働者派遣法違反で逮捕された件。要するに、派遣先がAV現場だとは知らずに行ったとされる女性が渋谷警察に被害届けを出した事件です。
  • [久田将義]「ゆとり世代批判」を批判する【ニコ生タックルズマガジン】

    2016-05-25 20:00  
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    「ゆとり世代批判」を批判する


     昨今、ゆとり世代批判がSNS上などで散見されます。結論を先に言いますと、無意味な議論にほかなりません。どのくらい無意味かと言うと、朝のワイドショーの「今日の血液型占い」や「今日の干支占い」のレベルです。

     これは古今東西、ず――っと繰り返されてきた世代感ギャップから生じる年配者が抱く違和感にすぎません。 例えば、団塊世代というものがあります。 居酒屋などで議論をふっかける「熱い世代」だとも言われていますが、当然全員ではありません。 新宿歌舞伎町・ゴールデン街というバーが密集した地域があります。メディアの人間の情報交換の場としても使われていた手前、僕がよく足しげく通っていた街です。 そこでは数十年前の全共闘華やかりし頃、夜な夜な議論を交わす当時の若者がいたといいます。 けれど、そういう熱い時代を過ごしてきた人でも、今ではおだやかに議論をする人を僕はたくさん知っています。 一慨に世代論では人間という存在は語れません。

    「ゆとり世代」とは、だいたいが悪い意味で使われているようです。今の20代中半から後半の人たちに向けて揶揄する表現な訳です。
     曰く
    ・誘っても酒の席に来ない
    ・仕事の話も全部メール、直接対話がない

    等の特徴があげられています。 僕はバブル後期世代の雑誌・単行本編集者ですが、上記のような事は僕もします。 体調が悪いときには上司や仕事仲間や取材先の酒席の誘いは断ります。 相手側も顔色が悪い人間とは飲みたくないでしょうから。
    またデザイナー、ライターとのやり取りもメールで済ますことも多々あります。 それでも、雑誌一冊、単行本一冊出来上がります。仕事上、問題はあません。

    世代間の違和感は永遠のテーマです(悪い意味で)。何の意味も成しません。 かつて、「ゆとり」などという表現よりももっと、ヒドイ、ある意味すさまじいネーミングの世代が存在しました。 元巨人の江川卓投手の世代です。江川氏が大学卒業後プロ野球入団のときの記者会見。大人の記者たちに向かって20前半の若者(江川氏)がこう言い放ちました。

    「そう、興奮しないでください」

     それが原因かどうかはわかりませんが、この年代は「新人類世代」と呼ばれるようになりました。このネーミングは僕は今でも強烈だと思っています。 なぜなら「人類」ではないのですから。「新しい人類」が生まれたかのように言われてしまいました。「ガンダム」に例えればニュータイプの誕生です。 「ゆとり」どころではありません。 ネーミングした人は江川氏世代に敵意すら抱いていたのではと感じさせます。
  • 【ニコ生タックルズ】ニコニコ超会議2016の詳細

    2016-04-27 08:00  
    「久田将義責任編集 ニコ生タックルズマガジン」
    《今後の生放送予定》
    <iframe width="312" height="176" src="http://live.nicovideo.jp/embed/lv258585539" scrolling="no" style="border:solid 1px #d0d0d0; background-color: #f6f6f6;" frameborder="0"><a href="http://live.nicovideo.jp/watch/lv258585539">【裏超会議2016】久田将義×吉田豪【総会屋+出張居酒屋タックルズ】</a></iframe><iframe width="312" height="176" src="http://live.nicovideo.jp/embed/lv260645258" scrolling="no" style="border:solid 1px #d0d0d0; background-color: #f6f6f6;" frameborder="0"><a href="http://live.nicovideo.jp/watch/lv260645258">久田将義×吉田豪「今夜も下世話に斬ってきます!」居酒屋タックルズ4月号</a></iframe> <久田将義・新刊情報>


    【ニコ生タックルズ】ニコニコ超会議2016の詳細
     
    こんにちは&こんばんは! ニコ生タックルズは今年もニコニコ超会議にでます! 2日目の4/30(土) です!   <iframe width="312" height="176" src="http://live.nicovideo.jp/embed/lv258585539" scrolling="no" style="border:solid 1px #d0d0d0; background-color: #f6f6f6;" frameborder="0"><a href="http://live.nicovideo.jp/watch/lv258585539">【裏超会議2016】久田将義×吉田豪【総会屋+出張居酒屋タックルズ】</a></iframe> <スケジュール>


    12:00 テスト配信を兼ねて放送開始
              ※久田さんのご出演はありません。
              アシスタントの石村のみです。
    14:00  久田将義×吉田豪【出張!居酒屋タックルズ】
    16:30 終了 <場所>
    超トークステージ HALL5 http://www.chokaigi.jp/2016/booth/cho_talk.html 今年もご来場の 会員様 に ニコ生タックルズオリジナルステッカー と 記者名刺 あと第一回オフ会で配布した 缶バッチ (20名様限定)を差し上げます! 超会議でお会いしましょう!!!! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  久田将義責任編集 ニコ生タックルズマガジン 2016/04/27 ─────────────────────────────────── 企画編集:久田将義      メディウム
    発  行:久田将義 ─────────────────────────────────── Copyright(C) MasayoshiHisada. All Rights Reserved. ─────────────────────────────────── ■お問い合わせ  要返信のお問い合せは>info@medium-p.com 有料メルマガの購読、課金、メール未達に関するお問い合わせは、 『ニコニコヘルプ』のページよりお願いします> http://goo.gl/p63ZZ
  • [久田将義]すぐ身近にある暴力の恐怖~『生身の暴力論』~「はじめに」全文掲載

    2015-10-09 18:00  
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    すぐ身近にある暴力の恐怖~『生身の暴力論』~ 「はじめに」全文掲載

      『生身の暴力論』(講談社新書)が発売されました。なぜ、このような本を出したのか。僕たちは、幼い頃から「暴力はいけない」と教わってきました。けれど、毎日のように大小問わず、暴力沙汰が記事になっています。暴力は人間の負の部分と言えます。また、ここでは暴力とは「強者が弱者へ振るう卑怯な手段」と定義づけて語る事にします。「弱者が強者に振るう」のは反骨であり反抗であると考えます。
    と、ここで色々書くより読者の皆様には『生身の暴力論』の「はじめに」の部分をご覧頂こうと思います。それを読めば本書のコンセプトがお分かりになるかと存じます。宜しくお願い申し上げます。また、初校の段階で削った箇所を会員に向けて掲載しています。(筆者より)

     
     
    はじめに

     
     世の中、暴力に満ちている――。

    最近新聞、テレビ、雑誌、ネットを見てそんな想いに駆られる時がある。読者の皆さんは、暴力をふるわれたことがあるだろうか。あるいはふるった事があるだろうか。ない人が多数だと思うし、当然ふるうべきではない。それが健全な社会生活の送り方だ。出来れば、一生、暴力とは無縁の世界で生活を送るのが理想である。ただし、ニュースで毎日のように、暴力沙汰が報道されているのを見れば分かるが、残念ながら暴力はこの世の中に存り続けている。それも時には、僕らの近くに存在したりする。

     

     それでは僕なりに、暴力を定義してみよう。

     
     まず、暴力とは弱者へ向かうものをここでは指す。

    反対に自分より立場が上の者や、肉体的に強者へ向かうのは、暴力ではない。反抗であり反骨だ。弱者へ向かう暴力はイジメと同義である。暴力の本質とは「ダサい」にある ( 「ダサい」の論考は本稿で詳しく述べる ) 。

     
    さらに、暴力には大きく分けて二つある。

    肉体的にダメージを与えるやり方。言ってしまえば、殴り合いの喧嘩などである。もう一つは、精神的にダメージを与えるやり方。罵倒・中傷など行き過ぎた言論であるところの言葉や文字の暴力はこのパターンだ。

    言論の自由という言葉がある。近代国家において、まず第一に守られなければならない原則だ。しかしその言論の自由に甘えた、暴力的言葉がネットを中心に増え過ぎてはいないか。言論の自由とは肉体的暴力がない事を前提にした約束事だ。

     
    ヘイトスピーチに代表される、言葉の暴力は「言論の自由」に甘え、寄りかかっている。言論の自由は「言論には言論を」という、人の良識・善意を担保としたものとも言える。しかし、その良識に寄りかかり、行き過ぎた言葉・文字の暴力が存在する。言論の自由をナメているとも言える。「もしかしたら『言論には言論を』の延長に暴力が存在するかも知れない」という想像力の欠如がそこに見える。そして、その暴力が体験した事のない恐怖を覚えるような圧倒的なものだとしたら……。

     
     最近、言葉の力を軽く考え過ぎている人が増えているのではないか。言葉は人の口から出ると言霊となる。そして時にはブーメランのように自分に返ってくる。覚悟がない言葉を吐く人は自分の言葉に復讐される。

     
     言論の自由を軽く考え、人を傷つけたりするような言葉を発したとしよう。それは相手が、こんな事で「手は出してこないだろう」という憶測での言動だ。ところが「それがどうした。罪に問われる事など全然かまわない」という人間もいる、という想像力を働かせて、言葉は吐くべきだ。

    極論を言ってみる。

     
    言論の自由とは何を言っても構わない。

    その代わりに何を言われても構わない。

     
    そして、その延長線上に「何をされるか分からない」が在るかも知れない。そういう危機感を持つべきだ。「何をされるか分からない」の内容とは具体的には暴力を指す。

     
    言論の自由と暴力はコインの裏表のようだ。例えば「殺す」「死ね」等の言葉がネット空間を中心に浮遊している。もちろん、全て真に受けている訳ではないが、本当に殺せるのか。殺せないなら、そういう言葉を吐くべきではないと、僕は考えている。これは個人の信条だが。

    言論の自由を語る事は、暴力を語る事にほかならない。逆説的に言えば、暴力を語る事は言論の自由の大切さを語る事になる。(※以下に初校で削った文章を掲載します)
  • [久田将義]東京オリンピックロゴ問題を出版業界から見た感想

    2015-09-21 18:00  
    330pt
    東京オリンピックロゴ問題を出版業界から見た感想  
     佐野研二郎氏が「もう耐えられない」と言い残して、2020年東京オリンピックのロゴ使用を取り下げました。 ただ、発端となった、ベルギーのデザイナーさんのロゴと佐野氏のロゴは僕は「似ているっちゃあ、似ているけど」ぐらいの認識でした。

     その後「これもそうだったんじゃないの?」という類似例が発掘されてしまい、炎上。 結果、自ら取り下げる事になったのですが、実際盗作かどうかという判断は、実は僕らが判断するより裁判が一番手っ取り早い。 しかし、芸術系の裁判は判断が難しいので、かなり長期間にわたって公判が開かれる事になるでしょう。そうすると佐野氏の仕事にも支障をきたすでしょう。

    ※裁判で思い出しましたが、佐村河内守氏がゴーストライター新垣隆氏に、名誉毀損で訴えるという話があったのですが、どうなったのでしょうか。

     ロゴ問題は実は、出版業界では結構ゆるいです。恐らく憲法21条の表現の自由の方が、著作権違反より説得力があるとみられているのではないでしょうか。

     周りを見回してください。例えば週刊誌。表紙制作はデザイナーが担当するのですが、当然雑誌のタイトルロゴもデザイナーが考えます。で、例えば週刊現代と週刊ポスト。週刊文春と週刊新潮。アサヒ芸能と週刊大衆。漫画誌でしたサンデー、マガジン、ジャンプなど真似という訳ではないけれど、「雰囲気」は似ています。

     発注側が「読者層はこうこうで、こういう店に置かれるから読者が手に取りやすい感じで」と指定するのですから、自然と似たような表紙デザインになってしまいます。

     表紙デザインと言えど、著作物でありデザイナーに著作権があると思っていたのですが、裁判でも認められなかった例があったはずです。僕がミリオン出版に在籍していた頃。『実話ナックルズ』の編集長を務めていた時、コアマガジンの某編集が来て、「同じような雑誌を作るのでよろしく」とあいさつに来ました。「律儀だなあ」と感心しつつ「頑張ってください」と言って別れました。で、その後出た雑誌『実話ダイナマイト』というのですが、見てびっくり。表紙デザイン、タイトルロゴがかなり似ていたのです。が、弁護士曰く「こういうのは(裁判は)難しいんだよ」との事でした。

     僕としても「わざわざ挨拶に来てくれたし、ま、いっか」とそのままにしておきました。しかし、本気で怒ってしまう編集者もいます。同じミリオン出版から刊行され、一時代を作ったギャル雑誌『egg』というものがありました。この時も似たような表紙デザイン、タイトルロゴの雑誌が他社から出版されました。当時の中川元『egg』編集長は怒りのあまり、編集後記で「厳重抗議する」というような事を発言されていました。

     出版業界としては、あるジャンルの雑誌がヒットしたら似たような雑誌が出るのは自然の事として、黙認しているような現状です。僕は、中川元編集長の怒りも分かりますが、結局は出版の自由・表現の自由という思考にまかせても良いのだろうと考えています。

     佐野氏はアートディレクターでした。僕が広告業界にいた時分と違っているかも知れませんが、アートディレクター(AD)は全体を見渡し、クリエイティブディレクター(CD)に指示します。そこから、カメラマンやイラストレーターな発注されていきます。

     例えればクリエイティブディレクターは現場監督で、アートディレクターは総監督のようなものでしょうか。ですから、現場の責任と言い逃れをする事も出来るかも知れませんが、やはりデザインチームのトップである総監督は問題が起きたら責任を取らざるを得ないでしょう。「部下がやった事」「スタッフがやった事」では、どんな仕事でもそうですが、済まされない訳です。

     デザイナーがデザインする自由度が、ある程度狭いケースは前記した雑誌の表紙のように似る場合が多々あります。というより、「似せてもいいからから」「(先発誌と)同じような感じで」と発注されますから、当然似てしまいます。タイトルロゴのフォントも何となく似てしまいます。その方が無難だからです。その方が売れる可能性があるからです。

     つまり、商業ロゴと今回のオリンピックロゴの徹底的な違いは、商品であるかないかが最も大きい。オリンピックを象徴しようとすれば、アートディレクターの色々な想い、思考がロゴに反映されます。抽象的なものが多いかもしれません。商業ロゴは、一目で食品の場合「美味しくみせようとしているんだな」とか、デニーズやサイゼリアなどのお店の場合「遠くからでも目立つ」ようにデザインされています。

     が、商品ロゴにデザイナーの「心」が入っていなという事ではありません。デザイナーも「自分の作ったロゴで一人でも多くのお客さんに手に取って欲しい」と思って制作しています。従って、商品ロゴも今回のオリンピックロゴも作り手の「心」が入っているはずなのです。

     問題は、心は模倣出来ないという点。佐野氏がもしも、他にもロゴをトレースしたとしたなら、それは罪深い事になります。作り手の心を土足で踏みにじったように僕には見えます。