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記事 4件
  • [本橋信宏]今週の裏流行語大賞⑧ 『日本製AV』

    2014-06-20 23:00  
    220pt
    本橋信宏寄稿記事
    今週の裏流行語大賞⑧
    『日本製AV』


     拙著2冊が最近、中国語に訳されて海外で出版された。
     ひとつは「新・AV時代」(文藝春秋)、もうひとつは「なぜ人妻はそそるのか よろめきの現代史」(メディアファクトリー新書)。

     前者が新雨出版社、後者が木馬文化事業。

     日本のAVを変えた伝説の男、テレビで放送されたマネーの虎で一躍文化人の仲間入りを果たした高橋がなりソフト・オン・デマンド(SOD)代表も、中国語では高橋雅鳴。高橋がなりが陣頭指揮した世紀の大バカ企画、クレーン車で空中20メートル、透明アクリルボードをつり上げて、その上で男女が交接する「空中ファック」も中国語では「高空ファック」。AVの帝王・村西とおるは「AV帝王村西とおる」とほぼそのまま。その愛弟子のターザン八木は「泰山八木」。なんだか雰囲気は伝わってくる。 

     AV女優は、中国語でもそのまま「AV女優」
     AV(アダルトビデオ)という名称は日本製英語であって、本来の英語ではないのだが、すでに”AV”は世界に通用する和製英語である。日本製AVは世界的にも人気があり、同じアジア人という親しみやすさもあって中国大陸では日本のAV女優、なかでも蒼井そらが大人気だ。ツイッターフォロー数が1380万人!という驚異的数字になり、蒼井そらは、性の師匠・蒼井空老師という中国語で知られているほどだ。

     反日熱にうなされている中国大陸で、ひとりの日本人女性がこれほどもてはやされているのは奇跡的である。いまや日本が誇る対中秘密兵器、蒼井そら。真の日中友好を再構築するのは、蒼井そらにかかっているといっても過言では無い。

     何故に日本のAV女優がこれほどアジア諸国でモテるのかというと、同じアジア人でありながら裸になってなおかつパフォーマンス(肉交)をおこなえる、しかも愛らしいルックス、どんなときでも微笑を忘れない。
     我々日本人は気づかないが、これほど男性に対して文字通り裸のまま癒やしを与える女性というのは奇跡的だという。

     アメリカやスエーデン、ロシアにも裸のモデルやポルノ女優はいるけれど、性格がきつそう、顔もきつそう、下手なセックステクニックでは太刀打ちできそうもない、というような強めの女ばかりだ。
     そこいくと、日本のAV女優は小さな口を開けて男性自身に奉仕するように、至れり尽くせり男に尽くす。外国の男たちにしてみたら、夢のような存在なのだ。

     中国で日本のアダルトグッズ展示会が催されたことがあった。コンパニオンとして、日本のAV女優が参加したのだったが、会場でもやはり人気を集めたのは日本のAV女優だった。中国のカメラ小僧が日本のAV女優のまわりに集まり、シャッターの嵐。1日に何度か彼女たちの出番があり、そのたびにカメラ小僧のせん光が光る。
    「それはもうすごい熱気でしたよ」
     と語るのは、主催者のある日本人。彼はアダルトグッズを製造・流通・販売する大手メーカーの代表者である。

    「あんまり多くの客が集まるんで、中国の公安警察が私たちの近くにやってきたんです。これはまずいな。中止に追い込まれるなと・・・・」
     目つきの鋭い泣く子も黙る中国公安警察!
     日本のスタッフも現地で拘束か・・・・。
     するとーー。
  • [本橋信宏]今週の裏流行語大賞⑦「ホメオスタシス同調プロファイリング」栃木県吉田有希誘殺害拐事件

    2014-06-06 23:00  
    220pt
    本橋信宏寄稿記事 今週の裏流行語大賞 ⑦
    「ホメオスタシス同調プロファイリング」
    栃木県吉田希誘殺害拐事件

     2005年12月1日に発生した栃木県今市市の吉田有希ちゃん誘拐殺害事件は、誘拐現場から70キロ近くの山林で有希ちゃんの全裸刺殺体が発見された悲惨な事件であった。

     翌年夏、私は畏友・苫米地英人博士とともに有希ちゃん誘拐現場と死体遺棄現場を訪れた。
     苫米地英人博士は、様々な未解決の殺人事件現場に立ちプロファイリングをおこなってきた認知学者である。彼を有名にしたのは、オウムの女性信者の洗脳を解いたときであろう。オウムの凶悪な洗脳は、満員の地下鉄車両にサリンをまき散らし大量殺戮することになんの痛痒も感じないことからもいかに強いかがわかる。

     人類史上もっとも強い洗脳を解除した苫米地博士によれば、人間は変性意識に強く支配されているという。変性意識とは、簡単に言えば、こころここにあらず、の状態である。
    「アナと雪の女王」を映画館で観たら、まるで自分もすっかりその世界の住人のような錯覚に陥るが、映画館から出たら現実世界にひきもどされる。変性意識とはまさしく映画館にいて現実世界よりも「アナと雪の女王」にリアルな世界を感じる状態である。

     オウムは強い変性意識をおこさせて、現実の生活よりも麻原が唱える世界に真実みを感じさせたのであった。

     人間の心はこのように変容を遂げる。
     人間には天候が暑くなり体温が上昇すると汗をかいて体温を下げたり、寒くなると体温が下がるのを防ぐために毛穴が閉じるように、均衡状態を保つ能力が備わっている。苫米地英人博士によれば、実は身体だけではなく精神にも人間のホメオスタシスは存在しているという。環境に同調しようとするのは身体だけではなく精神もまた同調する。

     このホメオスタシス同調を利用したプロファイリグが、ホメオスタシス同調効果によるプロファイリグであり、認知科学として次世代プロファイリグと言われている。
     できるだけ事件発生当日の季節、時間帯、気候に近い状態で事件現場に立ち、苫米地英人博士はスコトーマ(盲点)を無くすことに専念する。そして犯人と同じ状態に同調する。このとき、自我は消し去る。自我が強いと、見えているものが見えず、見えないものを見てしまう。

     苫米地英人博士によれば、よく刑事が言葉にする「現場百編」(何度も現場に訪れ捜査することが大事)という捜査の基本も、腕の悪い刑事、と断言する。

     思いこみで、無実の人間を逮捕してしまうのも、刑事の思いこみ、すなわち自我であろう。苫米地英人博士は自我を無くし、変性意識を無くし、犯人と同調したプロファイリグをおこなう。このプロファイリグは過去の似た事件から統計的に類推するものではない。苫米地博士によれば、それは一世代古いプロファイリグだという。

    「ドクター苫米地が真犯人を追う! 11大未解決事件」(苫米地英人・本橋信宏共著・2012年刊・宝島SUGOI文庫)では詳細に今市市の有希ちゃん殺人事件のプロファイリングを報告している。
     苫米地英人博士による真犯人像ーー
  • [本橋信宏]今週の裏流行語大賞⑥「サイコパス」PC遠隔操作事件を受けて

    2014-05-26 12:00  
    220pt
    本橋信宏寄稿記事 今週の裏流行語大賞⑥「サイコパス」 PC遠隔操作事件を受けて


     パソコン遠隔操作事件によって、「サイコパス」という言葉が久方ぶりにメディアに踊った。

     この言葉、ここしばらくの間、取り扱い注意になっていたものだ。
     サイコパスとは”反社会性人格障害”という意味である。
     心を扱う用語は、差別を引き起こしかねないので、たとえば、精神分裂病という専門用語は統合失調症という用語に取って代わられることになった。「分裂」という言葉のもつマイナスイメージが、人々に不安を与えることが変更の理由であろう。たしかに心が分裂するのではなく統合できなくなる、というほうがこの病の実態に近い。

     サイコパスもまた安易に使うと差別を引き起こしかねない、というメディア側の判断で、発言や記述においてしばしば自粛されてきた。

     日本を代表するある著名作家のエッセイで、「*****」という伏せ字があったが、これも実は「サイコパス」という言葉をおそらくは編集部で自主規制したのだろう。
     パソコン遠隔操作事件で無罪主張していた片山祐輔被告が「おそらく真犯人はサイコパスでは」と発言していたことで、一時的にメディアが解禁した形になった。

     あちこちで爆破予告、殺人宣言をした件で4名の逮捕者が出て、そのうち2人が無実なのに、取り調べの過程において”自白”してしまった。今回の事件はえん罪問題を声高に叫ぶジャーナリスト、メディアにとって、えん罪の怖さを訴える格好の事例となった。
     やっと逮捕された片山祐輔被告は、獄中から無実を訴え、釈放されてからも、真犯人サイコパス説を主張してきた。

     片山被告の公判中に真犯人と名乗る人物からメディアにメールが来たことで、片山被告もまた誤認逮捕の被害者かとジャーナリスト、メディアが騒ぎ出した。
     片山被告を弁護する加藤博史弁護士もまた、彼は絶対にやっていない、と断言していた。

     ところがーー
     警視庁捜査員が5月15日夕、片山被告が荒川河川敷で何かを埋めている様子を確認し、現場からスマートフォンを発見、真犯人とされる同じメールが送信されていることが判明した。スマホから片山被告のDNA型も検出され、メールが自作自演と確定した。
     それでも弁護士は、真犯人によってハメられた可能性があると主張していた。またあるジャーナリストは、河川敷にスマホを埋めたというが、実は警察関係者が埋めたのではという警察工作説を主張しだした。

     果たして真犯人はーー。
     何度呼び出しても来ない片山被告が実は真犯人だった。
     弁護士に彼が言ったサイコパスという定義ーー「平気で嘘をつける人間」は、サイコパスという意味を見事に解析している。
     この世には、平気で嘘をつける人間が存在する。彼らにとって、人前で嘘をつくことは、なんの痛痒も感じず、むしろ快感ですらある。

  • [本橋信宏]今週の裏流行語大賞⑤ 「NTR」

    2014-04-23 01:00  
    220pt
    本橋信宏寄稿記事 今週の流行語大賞⑤「NTR」


     NTRと書いて「寝取られ」と読む。
       自分の女房が他の男に・・・・。
     その昔から、男たちの秘めた性欲求として、自分の女房が他の男に言い寄られたり、抱かれてしまったりすることに興奮する世界が存在してきた。

     嫉妬は最高の前戯である。

     駅の帰り道で見ず知らずの男に口説かれた、なんてことを女房が打ち明けると、それまでくすんで見えた古女房が急にいい女に見えたりするものだ。
     男には所有欲求があり、自分のものが他人に獲られてしまいそうなことで急にオスに目覚める本能がある。

     古くは「源氏物語」に寝取られシーンがあるし、文豪谷崎潤一郎「鍵」も寝取られ文学の傑作である。貴族社会の国、フランス,イギリスでは寝取られ文学が発達し、「ボヴァリー夫人」「チャタレー夫人の恋人」のように、人妻たちの不倫を題材にした傑作が生まれた。

     寝取られは、貴族社会のように高貴な人妻が下々の男に奪われてしまうところにより興奮度が増す。寝取られ男を意味する「コキュ・cocu」はもともとフランス語から来て、隠語として広まったものだ。

     古いことわざに、「一盗二婢三妾四妓五妻」というのがある。男にとって最も興奮するのは、他人の奥さんを寝取ることであり、次にメイド、3番目に愛人、4番目に娼婦、そして最後は女房、というランクだ。

    「寝取り」は男の狩猟本能を刺激するが、その一方でいつ女房が寝取られるかハラハラドキドキする「寝取られ」もまた男の狩猟本能と抱き合わせとしてある。

     私は以前、ネットで知り合った教育関係者の寝取られ亭主(40代後半)から、奥さん(30代後半)がマッサージ師に寝取られるシーンを隠し撮りしたものを見せられたことがあった。