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田中良紹:前総理の敷いた地雷原を後継総理は行く
2020-11-03 10:35昔、親しくしていた外交官がこんなことを言った。「日本の総理もアメリカ大統領のように辞めたら故郷に引っ込むようにすれば、政治がどれほど良くなることかと思う。日本の政治がおかしくなるのは、元総理たちが現役でいて政治に影響力を行使するからだ」。 確かにアメリカ大統領は退任するとホワイトハウスの庭からヘリコプターに乗って故郷に帰るという儀式をやる。そして故郷に自分の図書館を作り、大統領任期中の公務に関する資料や書物、写真などを展示して一般に公開する。そうすることで生臭い政治には関わらない姿勢を示す。 しかし日本では総理を辞めても議員まで辞める人はいない。現役の議員でいる限り生臭い政治と縁は切れない。しかも政権交代がなかった「55年体制」の時代は自民党の派閥同士が権力闘争をしていたから、元総理が派閥抗争の前面に立つこともあった。
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