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田中良紹:権力のメディア介入はいつでもどこにでもある
2015-04-20 07:06自民党が党本部にNHKとテレビ朝日の幹部を呼び、放送された番組の内容について事情聴取を行った。「真実が曲げられて放送された疑いがある」というのが事情聴取の理由だが、NHKとテレビ朝日の問題には当然ながら違いがある。NHKは「クローズアップ現代」の「やらせ疑惑」で、詐欺のブローカーとして番組に登場した人物が「演技をやらされた」と週刊誌で告発した話である。視聴者を騙す「やらせ」はあってはならないが、制作者は視聴率を意識して番組を面白くしようとするためテレビの世界で「やらせ」は珍しくない。「やらせ」が事実であれば放送番組を監視する放送倫理・番組向上機構(BPO)が調査して「見解」や「勧告」などを公表し、放送局に再発防止策を提出させる。今回の問題はそれが視聴率を意識する必要のないNHKで起きたところに深刻さがある。しかしそうだとしてもこの問題に政党が介入するのは腑に落ちない。放送業界が自主的に解決 -
高野孟:安倍政権の命運握る過激なスピーチライター
2015-04-11 07:44安倍晋三首相が「戦後70年談話」でどこまで村山富市元首相の「戦後50年談話」を引き継ぐのか引き継がないのか、その歴史修正主義の度合いが、中国、韓国のみならず東南アジアや米欧まで含めた世界的な関心事となりつつある。安倍は自ら望んで、4月末の訪米の機会に米議会で演説する予定を立てたが、米国の在郷軍人団体が「かつての戦争への明確な反省を表明するのでなければ、ルーズベルトが立ったのと同じ演壇に立たせるわけにはいかない」とまで言ってロビー活動を行っている状況下で、果たして米中韓をはじめ世界と安倍取り巻きの右翼とを同時に満足させるような巧妙な表現を見出せるのかどうか。 そこで注目されるのが、安倍のスピーチライターである谷口雅彦内閣審議官の能力である。ある自民党議員が言う。「五輪招致のスピーチで福島原発事故が『アンダー・コントロール』だと言わせたのは彼。これで安倍は嘘つきということになってしまった。先の -
高野孟:「主権在民」を蹴散らす安倍政権の「国権的法治主義」
2015-04-08 07:47沖縄県の翁長雄志知事がついに日米両政府に対して公然と反旗を翻した。沖縄防衛局に対して辺野古の「海底面の現状を変更する行為」を停止するよう指示し、従わない場合は海を埋め立てて海兵隊基地を建設するに不可欠の「岩礁破壊許可」を取り消す考えを明らかにした。そしてその際に同知事は、それでも国が工事を強行すれば「日本の民主主義が問われる」と述べた。それに対して菅義偉官房長官は「手続きに瑕疵はない。法律、法令、規則に従って実施しているので引き続き工事を進めたい。日本は法治国家だ」と言い放った。 この問題を原理的なところから考える場合、キーワードは「自己決定権」である。昨年9月のスコットランドの独立住民投票を受けて、琉球新報は同20日付社説で「この地域の将来像を決める権利を持つのは言うまでもなくその住民だけである。……沖縄もこの経験に深く学び、自己決定権確立につなげた」と書いた。そして11月、翁長圧勝を伝 -
田中良紹:世界とは異なるテレビを見せつけられている日本人
2015-04-07 07:09前回の「フーテン老人世直し録」に、安倍政権が前時代的な「放送法」を根拠に言論に圧力をかける実態を書いた。世界は多チャンネル時代を迎えていて、放送に対する考えもそれに伴い変化したが、安倍政権は放送電波が希少な時代の「公平の原則」を持ち出して言論を画一化しようとする。多様な言論を保証する時代に日本政府が逆行するのはなぜか。その歴史的経緯も書かなければならない。多チャンネル時代が到来したのは70年代後半である。アメリカで有線のケーブルテレビ放送が普及した。電波には限りがあり地上波放送のチャンネル数は少ない。一方でテレビ受像機を買えば誰でもが放送を見ることが出来る。そのため放送事業者には「公序良俗に反しない」、「政治的公平を確保する」などの放送の制約が課せられる。ところがケーブルテレビは加入すれば30以上のチャンネルがあり、ただし見るのは有料である。つまり本屋で本を選んで買うのと同じである。自分で
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