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田中良紹:歴史の真相を闇に葬るNHKと朝日新聞の罪
2016-08-28 21:37ロッキード事件で田中角栄が逮捕されてから40年目の7月、事件を巡るドキュメンタリー番組の放送や週刊誌報道が相次いだ。一方で出版界は石原慎太郎著「天才」がベストセラーになるなど「田中角栄」ブームである。 しかし「角栄本」がどれほど出版されても、あるいはロッキード事件から40年を経ても事件の真相が晴れることはない。むしろ最近の報道や著作には真相を闇に葬ろうとする意図があるように私には思えていたが、その典型のような本が7月に出版された。『田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と特捜検察「栄光」の裏側』(朝日新聞出版)である。 -
高野孟:「お気持ち」に応えれば改憲戦略は先延ばししかない
2016-08-16 08:00天皇の「お気持ち」表明についての識者コメントで、いちばんひどかったのは2人の憲法学者で、1人は横田耕一・九大名誉教授の「退位を希望する理由が公務負担の重さなのであれば、減らせばよい。極端に言えば、国事行為だけをしていれば問題ない」(9日付日経)。もう1人は浦田賢治早大名誉教授の「憲法に根拠がない公的行為は憲法違反」(同東京)。 一体何を聞いているのだろうか。天皇はメッセージを通じて、被災地慰問、戦跡地慰霊はじめ、国事行為以外の公的行為で全国各地を歩き、人々とじかに触れあうことこそが「天皇の象徴的行為」として最も大切なのであって、「全身全霊をもって」それを果たせなくなるのでは天皇の座にあることに意味がない、と訴えているのである。「国事行為や公務を限りなく減らしていく」ことや、「摂政を置く」ことは、そのことの解決にはならないとも明言している。 -
篠塚恭一:地域のサービス内容を理解し暮らしを自衛する──街へ出よう(31)
2016-08-15 10:10運転免許証の更新にいった母親が、しょげて帰ってきました。 視力があと0.1足りずに更新ができなかったというのです。喜寿を迎える父親と二人、田舎で暮らしているので、日常生活に車は欠かせません。運転は自宅から半径3キロくらいの生活圏を買い物や通院で移動するのに絶対必要で、見通しの悪くなる夕方や夜間、雨の日などは運転をしていません。最近では友達の家には行っても車には乗せないという方針を決めているそうで「自衛する老後」を自でいくような運転ぶりでした。 -
田中良紹:選挙に勝とうとしない野党は野党ではない
2016-08-02 13:04今朝の新聞各紙には軒並み「3分の2」の見出しが躍った。参議院選挙の結果、自民、公明、おおさか維新、日本のこころの4政党と無所属の議員を合わせ、憲法改正に賛成の議員が発議に必要な3分の2を超えたというのである。 しかし昨日投票した有権者は憲法改正の発議を求めて投票したわけではないだろう。選挙戦で憲法改正の発議を巡る議論が戦わされたわけでもない。それが選挙結果を伝える朝刊の見出しになったのは、野党が「3分の2を阻止する」と訴えてきたからである。
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