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記事 9件
  • 田中良紹:二枚舌外交のアメリカとすり寄るだけの安倍外交

    2015-01-31 10:08  
    日本人人質事件で、安倍総理の中東訪問が「イスラム国」に付け入る隙を与えたと批判する向きがある。それは甘い認識だと私は思う。安倍政権は日本人の人質がいる事を知りながら中東訪問の外交日程を組み、昨年12月には「イスラム国」に対する敵意の表明を訪問の目的と発表した。リスクを想定しなかったのではなくリスクを想定して行動したと判断するのが妥当である。何故なのか。アメリカすり寄り外交をもっぱらとする安倍総理にとって、アメリカが主導する対「イスラム国」攻撃の有志連合に日本も参画する意思の表明が人質よりも重要だったからである。平和憲法を持つ日本が空爆に参加する事は出来ない。そこで「イスラム国」と戦う国々に「人道支援」という名の資金援助をする意思を表明した。「人道」であろうがなかろうが「イスラム国」と戦う国を特定して資金提供するのは、「イスラム国」から見れば敵対行為である。従って日本は安倍総理の思惑通り「イ
  • 高野孟:農協を潰せば農業がよくなるという妄言の裏にあるもの

    2015-01-28 15:11  
    11日投開票の佐賀県知事選で、自公両党が推した樋渡啓祐前武雄市長が大差で敗れ、自民党県議の過半数はじめ県内市町村長、それに農協が担ぎ出した元総務官僚の山口祥義が勝利した。マスコミはこぞって「農協改革難しくなる」(朝日)「農協改革慎重論も、自民火消し図る」(毎日)などと、「自民対農協」の構図でこの結果を解説しているが、旧知の地元記者に聞くとちょっと違う。「確かに、JA佐賀は全農会長も出している大拠点で、それが山口に付いたのは大きいが、選挙戦では別に農協改革が争点になったわけではないし、それが多くの県民の関心事であるわけでもない。むしろ、菅義偉官房長官が地元の意見を聞かずに上から命令して候補者を決めたやり方、それで候補者になった樋渡がまた、やり手の“改革派”ではあるけれども、上から目線もはなはだしい強引な行政手法や暴言癖で有名な人物だったので、とくに市町村長たちは県政が大混乱に陥るんじゃないかと心配した。結局、中央直結で、国の意向を県民にどんどん押し付けるような“上から知事”がいいか、県民の意見をよく聞いて政策を決める“下から知事”がいいか、という選択だったんでしょう」。
  • 高野孟:知事選で勝てないのに中央政治は安倍一強のアブノーマル

    2015-01-20 07:00  
    11日投開票の佐賀県知事選で、自公両党が推した樋渡啓祐前武雄市長が大差で敗れ、自民党県議の過半数はじめ県内市町村長、それに農協が担ぎ出した元総務官僚の山口祥義が勝利した。マスコミはこぞって「農協改革難しくなる」(朝日)「農協改革慎重論も、自民火消し図る」(毎日)などと、「自民対農協」の構図でこの結果を解説しているが、旧知の地元記者に聞くとちょっと違う。「確かに、JA佐賀は全農会長も出している大拠点で、それが山口に付いたのは大きいが、選挙戦では別に農協改革が争点になったわけではないし、それが多くの県民の関心事であるわけでもない。むしろ、菅義偉官房長官が地元の意見を聞かずに上から命令して候補者を決めたやり方、それで候補者になった樋渡がまた、やり手の“改革派”ではあるけれども、上から目線もはなはだしい強引な行政手法や暴言癖で有名な人物だったので、とくに市町村長たちは県政が大混乱に陥るんじゃないかと心配した。結局、中央直結で、国の意向を県民にどんどん押し付けるような“上から知事”がいいか、県民の意見をよく聞いて政策を決める“下から知事”がいいか、という選択だったんでしょう」。
  • 篠塚恭一:身動き取れない地方での足 ── 高齢者大国の前線から(14)

    2015-01-19 11:23  
    私達の暮らしに欠かすことができない生活交通にかかわる法案が、昨年「交通政策基本法」として国会で可決されました。少子高齢化社会や環境への配慮、さらに観光立国への国際対応などその内容は広範にわたっていますが、目的は国民生活の安定向上および国民経済の健全な発展を図るとありました。 東京で働き週末は田舎で過ごすという、いわゆる二地点居住をはじめて十年になります。地方で暮らす年寄りは、夜の8時を過ぎれば床に入るのが習慣で、都会に働く者には暮らしの違いに戸惑うこともあるのですが、一方で便利ではありますが仕事ばかりの都会暮らしから少し距離を置くことは、心身のストレスを和らげ、休み明けには仕事の効率が上がっているのに気づかされます。 こうした暮らしをはじめた頃は、老親もまだ70歳代だったので、多少帰りが遅くなっても駅まで5kmの道のりを車で迎えに出てくれました。しかし、歳を重ねるにつれ、夜の運転を嫌うようになり、最近は日中でも周囲が車で出かけることを心配するようになりました。どこにでもあることですが車社会の地方に暮らす年寄りは、こうして徐々に生活圏が狭くなり、外出の機会が減ることで社会との接点を失い、だんだんと身体も弱っていくのがわかる気がします。
  • 田中良紹:安倍政権の盗人猛々しい言い訳は通用するか

    2015-01-18 23:41  
    佐賀県知事選挙は滋賀、沖縄に次いで自公の推す候補が敗れた。安倍政権は「統一地方選挙や農協改革に影響はない」と平静を装い、敗因は候補者だった樋渡前武雄市長の政治手法にあるとして自らの責任に頬かむりをしている。盗人猛々しいとはこのことだ。 敗れた樋渡前武雄市長の政治手法を高く評価して候補者に推薦し、それに異を唱える者の政治生命を断とうと懲罰的な対応を取ってきたのは誰なのか。地方の声に耳を傾けず中央が強権的に行う安倍政権の政治手法が、沖縄に続いて「NO」を突き付けられたのである。この結果は決して軽くない。
  • 高野孟:節目の年の訪米が簡単には実現しない深層

    2015-01-15 08:35  
    戦後70年の節目となるこの年、安倍は、5月連休明けから集団的自衛権解禁のための法整備を一気に進めると同時に、それを前提とした日米防衛協力ガイドラインの改定も行って、「海外で武力行使をできる国」に日本を変えようと夢見ていて、その流れに勢いをつけるべく、すでに12月17日のオバマ大統領との電話会談で、5月連休までに訪米したいと申し入れている。オバマの返事は、1日付日本経済新聞では「TPPの進展などを念頭に『懸案の道筋がたった時に来てほしい』という趣旨」とされているが、3日付朝日新聞では「ガイドラインを協議が続いていることを念頭に『ある程度のめどがついた段階で来てほしい』といった趣旨」とされていて、どちらも、「道筋」なり「めど」なりが立たないのに来てもらっても困るというニュアンスであることは共通しているが、その際にオバマが「念頭」に置いているものは違っている。私の理解はこうだ。 第1に、オバマは
  • 【本日1.13 20:00〜公開!】新春特別放送 高野孟のほろ酔い談義2015

    2015-01-09 01:17  
    本当に久々の「ほろ酔い談義」の放送です!ジャーナリストでTHE JOURNAL主宰の高野孟さんが一杯飲みながら、政治や国際情勢、最近の地方の動きなどあれやこれやを「ほろ酔い談義」してもらいます。今回は「カタチだけで中身が伴っていない民主主義社会」の中で、佐賀県知事選と沖縄県知事選が突きつけたものは何なのか、高野孟が“国民主権”“地域主権”をキーワードに語ってくれました。また、後半は高野孟自身が書き続けてきた雑誌「インサイダー」が40週年を迎えるにあたり、ともに歩んできたジャーナリスト たちとのエピソードや、自分がジャーナリストとしてどのように歩んできたかなどたっぷり話しています。当日に限り無料公開します。翌日以降は、毎月540円お支払いいただいている会員のみなさま(またはチケット購入者/216pt)のみの視聴になります。みなさん、どうぞお楽しみに!【20時になると以下のリンクから視聴可能に
  • 官僚頼みの「地方創生」でビジョンは描けるかー「処方せんづくり」を担う専門家を地方へ派遣

    2015-01-08 19:44  
    政府は4月から全国100程度の小規模市町村に、国家公務員や研究者らを首長の補佐役として派遣する「地方創生人材支援制度」を開始する。石破茂(いしば・しげる)地方創生相は、昨年「人材確保が困難な市町村に対しては人的な支援を行うのが重要」「地域に応じた処方箋作りに役立ててもらいたい」と述べた。     対象自治体は原則人口5万人以下の1180市町村だが、この制度に手を挙げたのは145自治体。派遣された人材は、副市町村長や幹部職員として原則2年程度勤務する。その派遣先での待遇について、疑問を投げかけるのは当サイトでもお馴染みの農文協の甲斐良治(かい・りょうじ)さんだ。
    「彼らの給与形態は『当該自治体から支給』となっています。しかも職種は『副市町村長、幹部職員』です。本当になりたい人のなかには、それなりの人もいると思うのですが、国家公務員だからといって、いきなり『副市町村長』はあまりに地域に失礼では
  • 中央集権型の「地方創生」に未来はない(2)─「消滅可能性自治体」より緻密な実態把握から

    2015-01-01 05:01  
    「消滅可能性自治体」では地域を把握できない 「地方創生」の議論は、増田寛也元総務相らが5月に人口推計(日本創成会議・人口減少問題検討分科会)を発表してから急速に進んだ。 日本創成会議は、2040年に若年女性人口が半分以下になる自治体を「消滅可能性都市」として市町村リストをセンセーショナルに発表した。増田氏がまとめた『地方消滅』(中央新書)もベストセラーのようだが、このレポートを鵜呑みにすると、「自分の地域に将来はない」という危機感や悲観論が広がり、非現実的な目標値を設定したり、場合によっては小さな地区町村は生きられないといった「市町村合併論」へとつながりかねない。2040年に若年女性(20〜30代)の77.5%が減少すると名指しされた津和野町はもっとも減少率の高い紫色となっている(「消滅可能性自治体」とともに発表された『人口減少地図』より) それとは一線を画す緻密でユニークな調査が、石破茂