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2007年7月の記事 2件

運動と政治の緊張関係のなかで

今朝(7月31日)の毎日新聞朝刊生活欄に、これまでこのコーナーで何度もご紹介してきた宮城県大崎市旧鳴子町の「鳴子の米プロジェクト」が「米をあきらめない」という見出しでほぼ全面にわたって掲載された。  そして経済欄には「参院選:農村対策見直しか 自民惨敗で農水省」の記事。「栃木選挙区で落選した自民党の国井正幸副農相は『自民党農政を根本から見直してほしい』」とまで語ったと言う。  にもかかわらず、2面「総合 ニュースの焦点」欄には「経済財政諮問会議『公共事業3%削減を 民間メンバーが提言』」。  同会議議長は安倍シンゾー首相。明日(8月1日)に予定されている同会議では公共事業3%削減のほか、年金、医療など社会保障関係費についても 2200億円規模の抑制が提言されるとのことで、さすが「改革実行力」を掲げて続投宣言したシンゾー氏だと思っていたら、昼過ぎasahi.comに「経済財政諮問会議、異例の延期 首相多忙で」のニュースが流れた。 「首相が選挙後に多忙になり、議事内容の事前打ち合わせが困難になったため」で「諮問会議が直前で延期されるのは極めて異例だ」とのこと。だが自民党内か らさえ出ている「あまりに言いなり」の声に同諮問会議と距離をとり始めたのは明らか。「多忙」を言い訳にしたドタキャンでしょう。  だが前号でも書いたように、私は民主党の農業政策についても信用できるとは思っていない。信用できるのは、というより自らを託すことができるのは、「国家に中心化され得ないような自律的な政治経済空間の構築を共同体単位で進める新たな社会運動」(廣瀬純氏)としての「鳴子の米プロジェクト」のような、そこに暮らす人びとが当事者となってすすめる運動のほかにはないと思っており、こと農業に関しては、そうした運動と政権の緊張関係のなかで、住民が真の主役の座を取り戻す段階に入ってきたとさえ考えている。  

運動と政治の緊張関係のなかで

甲斐良治:対立するかのように見える民主・自民の「農政」主張だが

あさっての参院選。一人区をめぐる民主・自民のたたかいで、めずらしく「農政」が争点化している、と、新聞などは伝えている。 ▼民主党パンフ http://www.dpj.or.jp/special/bira/seisaku_01.html ▼自民党パンフ http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2007_seisaku/nogyo/pdf/nogyo_c.pdf この両者、鋭く対立しているかのように見えるけれど、じつは、これまでこのコーナーで何度かお伝えしてきた「経済財政諮問会議」―「グローバル化改革委員会」―「EPA・農業ワーキンググループ」の議論を、ともに踏襲しているように、私には見える。 ▼経済財政諮問会議 EPA・農業ワーキンググループ議事要旨など(とくに第4回は必読) http://www.keizai-shimon.go.jp/special/global/epa/index.html 自民党のパンフが第4回ワーキンググループ(WG)会合に農水省が提出した資料を転用したものであることは明白で、「民主党のいう貿易自由化をすす めると」―「農業生産の減少3兆6千億円」「GDP減少9兆円」「食料自給率の低下40%→12%」とあるのは、もともとWGが国境措置撤廃の立場で「そ うなったらどうなるかを試算しろ」と農水省に求めた結果、出された数字。 民主党の方は明白にそうだとは言い切れないが、唐突に「米がたとえ一俵5千円になったとしても」というあたりがアヤシイ。そこを自民党が「民主党の 政策は、農産物の貿易自由化が前提」と突っ込んでいるけれど、「お前が言うかよ」という感じで、どっちもどっちの感は否めない。 申し遅れたけれど、私は基本的にアナキスト&ペザンチストで、政治的代理制反対の立場であり(でも選挙には行く)、下記のような代理制批判に激しく同意する。  

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THE JOURNAL編集部

活動フィールドを政治、社会、国際から地域、農林漁業にまで広げて日々奮闘中。著書に『震災以降 東日本大震災レポート』(三一書房)、『自由報道協会が追った3.11』(共著・扶桑社)ほか。

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