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2011年7月の記事 6件

甲斐良治:東北はあきらめない!── 人間はあきらめれば無力だけど、あきらめなければ無力ではない

『大震災・原発災害 東北(ふるさと)はあきらめない! 』[農文協]  甲斐良治さんが編集長をつとめる『季刊地域』が、東北の被災地を独自の視点から編集した『大震災・原発災害 東北(ふるさと)はあきらめない!』を刊行した。いまある「東北の姿」とは何か。また、「大規模化」や「集約化」が声高に叫ばれる現状をどう見ているのか。甲斐良治編集長に話を聞いた。 ────────────────────────── 甲斐良治氏(『季刊地域』編集長)「人間はあきらめれば無力だけど、あきらめなければ無力ではない」 ──「東北(ふるさと)はあきらめない!」というタイトルに込めた思いは なぜ「東北はあきらめない!」というタイトルにしたのかというと、人間はあきらめれば無力だけど、あきらめなければ無力ではないということを、現地の取材を通じて実感したからです。 たとえば特集では、宮城県塩竈市出身の編集部員の、津波の被害を受けた実家のレポートを掲載しています。鉄工所を経営している彼の父親は、30年続 く洋菓子店の生地こね機や製粉機が津波にあい、「修理には業者の見積もりで400万円以上かかる」となかばあきらめて話していた店主に対し、「モーターを 真水で洗えば動くかもしれない。あきらめるには早いよ」とアドバイスしたそうです。そのとおりにしたら機械が動くようになった。店主は「もう1回がんばってみるよ」と喜んで知らせに来たそうです。 実家の鉄工所は笹かまぼこなど魚の練り製品の1次加工用機械を製造していて、得意先 の水産加工会社の8割を津波で失った。でも、工場の旋盤を真水で洗ったら動き出した。いまでは、単発で単価の高い機械の受注製造は厳しくても、修理や整備 などの小さな仕事を「複業」でやっていけるのではないかと考えているそうです。東北の人たちは、こうやって小さな希望をを見つけて、その地域で生きていく ことを「あきらめない」。復興には時間がかかるかもしれないけど、私は、こういった小さな希望をひとつひとつ実現していくことが、地域の復興に一番つなが るのではないかと思っています。 ── 編集作業を通じてどんなことを感じましたか 「がんばれニッポン!」ではなく、どうすれば「あきらめない」でその地域に暮らしていけるか。このことは最初からそう考えていたわけではなく、特集の取材活動過程を通して感じたことで、特集全体にそれがにじみ出ていると思います。 もちろん、あきらめないのは塩竈市だけではありません。  

甲斐良治:東北はあきらめない!── 人間はあきらめれば無力だけど、あきらめなければ無力ではない

陸山会事件:検察が石川議員に禁錮2年を求刑するも、調書不採用で論告は精彩を欠く

 小沢一郎民主党元代表の政治資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、石川知裕 氏ら元秘書3人が政治資金収支報告書の虚偽記載で政治資金規正法に問われている事件で、検察側は20日、東京地裁で論告求刑を行い、石川氏に禁錮2年、大 久保隆規氏に同3年6ヶ月、池田光智氏に同1年を求刑した。  検察側は、「『政治とカネ』をめぐって国民に政治への不信感を蔓延させた」などと被告人を強く批判。水谷建設の裏金疑惑についても「石川氏はアリバイを立証できていない」と、虚偽記載の背景事情について5000万円のヤミ献金があったとあらためて主張した。  一方、6月30日に裁判官が被告人の供述調書を多数不採用にしたことで検察側の論告が難しくなり、「虚偽記入は小沢氏の政治生命を危うくするもの であり、虚偽記入をしたのは理由がある」「大久保氏に知らせないで虚偽記入できないことは明らか」など、客観的証拠や証言ではなく、推論にもとづく論告が 多く見られた。  日本全国を揺るがせた西松建設事件と陸山会事件は、8月22日の弁護側の最終弁論をもって結審する。裁判の焦点は、土地購入の時期の記載を意図的 にずらした「期ずれ」や小沢氏から借り受けた4億円を政治資金収支報告書に記載していなかったことに、裁判官がどのような判断を下すかとなる。判決は、9 月26日の13時30分より言い渡される。  なお、石川氏は閉廷後に本誌編集部の取材に応じた。一問一答は下記の通り。 ▽   ▲   ▽ 石川知裕氏(衆院議員) ──求刑を聞いての感想は  

結城登美雄:被災地から考える食の未来──古い大規模価値観から脱却を

未曽有の被害を出した東日本大震災は11日、発生から4カ月を迎えた。漁港や魚市場 など少しずつインフラの復旧は進んでいるものの、岩手県では9割の漁船が喪失し、漁師は仕事を再開する目処すらたっていない。いっぽう、中央目線で発せら れる被災地「復興」プランは本当に被災者への支援策になっているのか疑問が残る。東北地方をすみずみまで知る民俗研究家の結城登美雄氏に、農漁村の再興の ために必要なことをうかがった。 ※ 写真は3月11日以前に結城登美雄氏によって撮影されたものです。 *   *   *   *   * 結城登美雄(民俗研究家) 復興のターニングポイントは6月18日、震災から100日目でした。 漁師町が広がる宮城県の唐桑半島では、海難事故が起こると"百か日"の供養をします。事故から100日目に薪を焚いて火を灯し、花と供物をそえて沖からの霊を迎えます。事故で身内を失ない、心にさまざまな思いを抱える人たちが集まり、"死"を心に受け止めるのが東北漁村の供養の仕方です。 ちっとも漁村の視点をもたないNHKをはじめとする報道機関は、現場のレポートを延々とやっていました。津波被害の大きかった浜の風習では、身内の人は「区切り」まで被災者との時間につきあいうため隣人、知人、肉親を気にして調子のいい話を一切しません。今回の震災でいえば、6月18日までは死者の ための100日なのです。区切りを境に、これからは生きる人間の時間だと立ち上がるタイミングが復興へのターニングポイントです。 ──漁村地域の被害が甚大でした 阪神淡路大震災が都市型災害だとすると、地震と津波による今回の震災は農漁村型でした。もっとも被害が大きかった地域が半農半漁の生活を送っていた 海辺の町や村でした。彼らは死と隣り合わせになりながら魚をとり、そこで収穫されたものがわれわれの食卓にのぼっていました。今回の震災はそれらを根こそぎさらっていったのです。 水産庁の発表によると、福島県の全漁船数1,068隻のうち、8割にあたる873隻の漁船が被災したといわれます(7月5日現在)。全国第2位の水揚 量を誇る宮城県、第5位の岩手県の被害はいまだに調査が終わっていないのだろうか、「壊滅的被害」とあるだけで実態はわかりません。岩手県野田村の友人に 話を聞いたところ、3つの小さな漁港にあった220隻の船のうち、残ったのは3隻だけだそうです。宮古市では700隻あった船がほとんど全滅。被害額は100億円を超えると言います。宮城県荒浜港では80隻のすべての漁船が陸に打ち上げられ、7人の漁師が死亡しました。岩手、宮城の両県でおそらく9割以上の被害があったのではないかと思っています。 ──結城さんが被災地と連絡を取り合ったのはいつごろですか 被災から2週間が経とうとしたころ、浜の仲間と電話で連絡が取れました。みんなは被災したときの悲惨な状況だけでなく、「もう二度と、あの海のそばには戻りたくない」という言葉を口々に言いました。家と船を失い、漁業を辞めていく漁師たちが出てくるだろうと思いました。 4月に入って初めて被災地を訪ねて歩きました。  

結城登美雄:被災地から考える食の未来──古い大規模価値観から脱却を

石川知裕:最後に特捜部にエールを送って、この事件を終わりにしたい

東京地裁は6月30日、陸山会事件で検察から証拠請求されていた調書を大量に不採用にした。調書が不採用となったことで検察側の立証が困難になるのは必至で、判決にも大きな影響を与えることは確実だ。調書の不採用を受け、被告人の一人である石川知裕議員に話を聞いた。 ※インタビューの最後に、7月7日に発売された石川知裕議員の新著『悪党 ── 小沢一郎に仕えて』の紹介コメントも掲載しています。 ────────────────────────────石川知裕氏(衆院議員) ──東京地裁は6月30日に陸山会裁判で石川議員ら3人の被告の調書を却下しました 裁判官は公正中立な立場で判断をされるわけですが、決定を聞いてうれしかったです。 ──調書はどの程度の数が不採用になったのでしょうか 大久保、池田、石川の3人で38通の調書があり、私の調書については15通のうち10通が完全に不採用、残り5通が一部不採用となりました。 やはり大きかったのは、聴取を録音をしていたことによって水掛け論にならなかったとです。この点に関しては、録音をすすめていただいた佐藤優さんに 非常に感謝しています。また、取り調べの可視化にも一つの前進になり、特捜部の手法そのものも今後問われてくるのではないかと思います。 ──被告の主張によって、これほど大量の調書が不採用になったのは異例ですね 東京地検特捜部が証拠請求をした調書が、これだけの数で不採用になるのは例がないと聞いています。いままでは検面調書の特信性が絶対的な信頼を裁判所に与えていたわけですけが、近年の特捜部の手法が裁判所に不信感を与えたのではないでしょうか。 私は、検事ひとりひとりが不正を行っているわけではないし、立派な方々だと思います。正義感に燃えて、国家にのために巨悪をのさばらせないために働 いているのだと思う。私自身も、検察官個人に対して恨みはありません。しかし、組織体として動くと、特捜部長をはじめ配属された検事が、特捜部に在籍して いる約2年間で「何か成果を出さなければ」となる体質に問題がある。佐藤優さんはこれを「集合的無意識」と話していましたが、全体の意思として動いてきた ことを変えなければいけない。そのきっかけとなる調書不採用だったのではないでしょうか。  

THE JOURNAL

2008年9月に創設され、月間数百万ページビューを出してきた独立系メディア《THE JOURNAL》が「ニコニコ」で再出発!テキストと映像、音声を駆使した情報をお届けします。

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THE JOURNAL編集部

活動フィールドを政治、社会、国際から地域、農林漁業にまで広げて日々奮闘中。著書に『震災以降 東日本大震災レポート』(三一書房)、『自由報道協会が追った3.11』(共著・扶桑社)ほか。

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