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中国の習近平国家主席と韓国の李在明大統領が5日、北京で会談。二カ月ぶりの中韓首脳会談である。

 この会談においては、①二国間関係の促進と⓶安全保障問題に対する対応の2側面がある。

 二国間関係の促進に関しては、幾つかの文書に署名がなされ、韓国側は韓中関係は新局面、韓中関係全面修復の元年と述べ、ほぼ満足の意を表明している。

 安全保障に関しては、習主席はこの日の会談で「両国が歴史的に正しい側に立って正しい戦略的選択をしなければならない」とも強調した。これについては、米中競争と日中間の対立の中で韓国が中国と共にすること、台湾問題などで中国の核心利益を尊重することを求める意味が込められているものとみられている。これへの韓国側対応は明確ではない。但し、李大統領は訪中に先立ち、「韓国の李在明大統領が就任後初めての中国国賓訪問を控え、中国国営メディアのインタビューで「一つの中国」について「尊重する」という考えを明らかにした」(中央日報)との立場をとっている。

A-1<朝鮮日報>米中対立の中…習主席、李大統領に「正しい側に立つべき」

 <東亜日報>李大統領「韓中関係は新局面」 習主席「歴史の正しい側に立つべき」 <中央日報>李大統領「韓中関係、全面的な修復の元年に」

 <ハンギョレ>韓中関係修復 首脳会談を毎年開催へ

<京郷新聞>首脳会談毎年開催、文化・コンテンツ交流拡大で一致

 <毎日経済>李大統領「今年を韓中関係全面修復の元年に」

 <韓国経済>李大統領「今年は韓中関係全面修復の元年」

A-2 吴江浩在日中国大使:(X)韓国の李在明大統領:韓国は中国の核心的利益と重大な関心を尊重し、一つの中国を堅持する。

A-3 東亜日報「李大統領「韓中関係修復の元年」…習国家主席「新時代の基礎固めた」

李在明大統領と中国の習近平国家主席は、戦略的協力パートナーシップの発展のため、毎年会うことで一致した。昨年11月の慶州首脳会談に続き、2カ月ぶりに実現した今回の会談を機に、両国は完全な関係正常化に拍車をかけている。

 李大統領は同日午後、中国・北京の人民大会堂1階の東大庁で習主席と会い、「今回の会談が、2026年を韓中関係の全面修復の元年にする重要なきっかけになるだろう」とし、「これからは時代の流れと変化に歩調を合わせて、習主席とともに韓中関係発展の新しい局面を開いていきたい」と述べた。習主席も「友人であり隣人として韓中両国はより頻繁に往来し、活発に意思疎通を行っていかなければならない」とし、「両国の協力パートナーシップが健全な軌道に従って発展するようにすべきだ」と応えた。

 ウィ・ソンラク国家安保室長は会談後の会見で、「(今回の会談を通じて)韓中間の政治的信頼と友好感情の基盤を固めた」とし、「韓中関係の全面的修復にふさわしく、両国首脳が毎年会談を続けていくことで意見が一致した」と述べた。さらに「習主席は会談の最後に、(李大統領の)今回の訪問は意義深いとし、韓中新時代の基礎を固めたと評価した」と伝えた。

 ウィ室長は同日の会談で、両首脳が外交安保を含む多様な分野で戦略的対話チャンネルを復元する一方、韓中自由貿易協定(FTA)第2段階の交渉を年内に推進するとともに、文化コンテンツ交流の強化などにも合意したと伝えた。

 特に「西海(ソヘ)を平和な海にすべきという認識を共にした」とし、「西海の(中国が建設した)構造物や不法(漁船)操業問題についても、慎重だが進展を期することができるという期待を持つようになった」と述べた。そして、「2026年中に海上海洋経済画定の次官級会談を開催できるよう、共に努力していくことにした」と伝えた。

 また、両国間の文化コンテンツ交流に関しては「漸進的かつ段階的に文化コンテンツ交流を拡大していこうということで一致した」と伝えた。このために「囲碁やサッカー分野の交流を推進することにし、その他のドラマ、映画などは実務部署間の協議で進展を模索していくことにした」とも述べた。

 ただ、習主席はこの日の会談で「両国が歴史的に正しい側に立って正しい戦略的選択をしなければならない」とも強調した。これについては、米中競争と日中間の対立の中で韓国が中国と共にすること、台湾問題などで中国の核心利益を尊重することを求める意味が込められているものとみられている。
 A-:朝鮮日報「激変する世界情勢 李在明大統領に「中国側に立て」と要求した習近平主席
李在明大統領は5日に開催された韓中首脳会談で「国権が奪われた時代に国権を回復するため手を取り合い共に戦った関係」と発言した。中国の習近平国家主席も「両国は犠牲を払って日本の軍国主義に対抗し勝利した。手を取り合い第2次世界大戦勝利の成果を守り抜こう」と述べ、その上で「歴史の正しい側に立ち、正確な戦略的選択をすべきだ」と訴えた。中国と日本が台湾を巡って対立する中、中国は韓国に対して中国の側に立つよう求めたのだ。
 習主席は「国際情勢は一層混乱している。両国は世界平和に肯定的なエネルギーを付与しなければならない」とも述べた。習主席が「東北アジアの安定」にとどまらず「世界平和」にまで言及するのは異例だ。習主席は同日アイルランドのミホル・マーティン首相とも会談し「今の世界は一方的で覇権的な動きが国際秩序に深刻な衝撃を与えている」と主張した。米国のトランプ大統領が軍事作戦によりベネズエラのマドゥーロ大統領夫妻を逮捕したことを批判したのだ。「多国間主義」を強調した狙いも米国優先主義を念頭に置いたものだ。
 今回の首脳会談は世界秩序が激変する中で行われた。米国は自国の利益のためなら関税戦争はもちろん、軍事行動も辞さないことを明確にした。米国は先日公表した新たな国家安全保障戦略で「西半球(南北アメリカ)は米国の勢力圏」と強調したが、ベネズエラはこの地域で代表的な反米、親中の国だ。ベネズエラは石油の80%以上を中国に輸出し、これが税収の90%以上を占めている。マドゥロ大統領を排除することで米中対立がさらに激しくなれば、韓国にとってプラスになることは何もない。
 李在明大統領は「韓半島の平和のため実現可能な代案を共に模索したい」との考えも伝えた。韓国政府は中国に対して南北の仲裁役を果たすよう求めている。韓国大統領府の魏聖洛国家安保室長は「中国に建設的な役割を果たす考えがあることを確認した」と発言した。しかし米国の軍事作戦直後に北朝鮮は複数の弾道ミサイルを発射した。4日には極超音速ミサイルも発射したが、その際に金正恩総書記は「核の高度化がなぜ必要か、最近の国際的事変が説明している」と述べた。マドゥロ大統領の逮捕は金正恩総書記にとっても衝撃であり、恐怖を感じたはずだ。そのため今後も核兵器をさらに重視するだろう。だとすれば韓国は北朝鮮非核化の目標を今後もさらに堅持しなければならない。しかし中国は国防白書で「韓半島非核化」という言葉を静かに消し去った。
A-5 ロイター:韓国大統領、中国国家主席と会談 両国関係「新たな段階」へ
韓国の李在明大統領は5日、就任以来初の中国訪問で習近平国家主席と会談、両国関係の「新たな段階」を開く意向を示した。
大統領は「今回の首脳会談は、2026年を本格的な韓中関係回復の元年とするための重要な機会となる」と指摘。「両国の戦略的協力とパートナーシップを不可逆的な時代の趨勢に発展させる努力は続くと考えている」と述べた。
わずか2カ月で2回目となる首脳会談で、中国が韓国との経済協力や観光面での関係強化に強い関心を示していることの表れだ。
習主席は、中国と韓国は「正しい戦略的選択」をすべきだとし、両国は「地域の平和を守る上で重要な責任を負っている」と語った。
中国と韓国での報道によると、両国は首脳会談で15の協定に署名した
韓国産業通商資源省によると、中国と韓国の企業は9つの協力協定に調印した
李大統領は、韓国と中国は人工知能分野で経済協力を拡大する必要があるとし、日用品、美容、食品などの消費財や、映画、音楽、ゲーム、スポーツなどの文化コンテンツでも協力できると述べた。しかし、大統領府の姜勳植秘書室長は5日のインタビューで、中国政府が韓国文化に対する非公式の禁止措置を近く解除する可能性は低いとの見方を示した。

 

1―1:米国政策の中で何が重要かCBS  As year ends, Americans weigh in on cost of living, Trump, expectations for 2026 in CBS News poll

米国が直面する問題で、何が最も重要か(If you have to choose which of of those issues the most important facing the country ? December 21, 2025

 経済 職        26%

 インフレ        23

 ヘルスケア       17

 移民          13

 政府支出         9 

 犯罪           8

 国際情勢         3

1-2 2025年後半に実施された最近の世論調査によると、2026年の中間選挙に向けて、アメリカの有権者にとって経済(インフレや経済全般への懸念を含む)が最も喫緊の課題として際立っており、回答者の59%が経済を国が直面する最大の問題だと認識している(harvardharrispoll.com

2:経済政策の評価

202512月に実施された最近の世論調査によると、アメリカ人はトランプ大統領の経済政策を主に否定的に捉えており、経済政策に対する支持率は30%から36%、不支持率は57%から61%となっている。
マリスト世論調査(2025128日~11日、、トランプ大統領の経済政策を支持する人は36%、不支持する人は57%maristpoll.marist.edu
AP-NORCの世論調査によると、トランプ大統領の経済政策に対する支持率は、202512月時点で30%となり、20253月の40%から10ポイント低下apnorc.org
3;米国党派支持率(RCP平均)
 
 民主党     46.2%
  共和党     42.2%
4:上記格差があったとすると中間選挙(11月)はどうなるか
  下院(全議員対象)  民主党の勝利
  上院(半数が対象)  共和党勝利
 予算審議では下院が案を作成。
5:対中政策との関係
  トランプとしてはこれら傾向を意識して今後の政策運営に当たる。
 これ等は対外関係、就中対中政策に影響を与える。今日米国民にとって、米国の最大の敵はロシアではない。中国である。これを背景にトランプは中国に対し一時100%を超える関税を課した。これに対し中国は農産品などの輸入制限、レアアースの輸出規制に踏み切り、米国経済に打撃を与える姿勢を取った。米国経済の円滑な推移を望むトランプは方針を切り替え、「ディール」を志向した。「ディール」は敵対関係ではない。トランプは4月訪中を予定している。ベネズエラという不安定要素が加わったが、訪中が実現すればトランプは「ディール」を図る。
 これら情勢は高市政権に影響を与える。高市政権は①トランプとの良好な関係を最優先する、②国内対策上対中強硬政策をとることを軸としている。トランプの政策を見れば両方の成立は無理だ。

 

朝日「(社説)ベネズエラ大統領拘束 国際秩序を揺るがす米国の暴挙」
法を通じて秩序を守るのではなく、力による秩序の破壊行為に等しい米国のふるまいは、いかなる理由であれ正当化されることはない。最大限の非難に値する。
・世界最大規模の原油埋蔵量を抱えるベネズエラは、1990年代に社会主義国になった。人気を誇った故チャベス前大統領から2013年に政権を引き継いだマドゥロ氏は、一貫して国民に反米感情をあおってきた。
 だが、特権層の腐敗と経済の不振で国民は困窮。野党やその支持者に対する苛烈(かれつ)な迫害や人権侵害もあり、人口のほぼ4人に1人にあたる約800万人が国外に逃れた。
 3選を主張した24年の大統領選は、不正が強く疑われている。国民に不自由と苦難を強いて独裁体制を築きあげたマドゥロ政権は、厳しく批判されてしかるべきだ。
・だからといって他国による力ずくの政権転覆が正当化されるわけではない。
 国連憲章は国家主権と武力不行使を国際秩序の基礎にすえる。例外は自衛権の行使か安保理決議に基づく行動に限られ、今回の軍事行動が国際法違反であることは明白だ。
読売「ベネズエラ攻撃 米の武力行使を深く憂慮する」
国益確保のために他国への武力行使も辞さない強引な手法には、深い懸念を抱かざるを得ない。

国連憲章は原則として他国への武力行使を禁じている。国連安全保障理事会の決議に基づく軍事行動や、武力攻撃を受けた国などが自衛権を行使することに限り、例外的に認めている。
 今回の攻撃について、トランプ政権は国連はおろか米議会にも事前に通告していない。自衛権を行使すべき差し迫った脅威について十分な説明があったとは言えず、攻撃は権力の乱用にあたるとの指摘が米国内でも出ている。
 特にベネズエラは原油埋蔵量が世界一で、トランプ氏は、反米政権下で失われた米国の石油権益を取り戻す、と公言している。
 「力による平和」を掲げるトランプ政権が、自国の権益拡大のために実際に軍事行動に出た影響は中南米にとどまらない。中国やロシアによる一方的な現状変更の動きを助長させかねない。
 米中露などの軍事大国が勢力争いを激化させ、国際法より軍事力を優先して他国の主権を脅かすことになれば、国際秩序は崩壊する。日本は欧州とも連携し、国際法を順守する立場を訴えるべきだ。
 日経「[社説]秩序壊す米のベネズエラ攻撃を非難する」
トランプ米政権が南米ベネズエラへの大規模な攻撃に踏み切り、マドゥロ大統領を拘束した。米国への麻薬流入を食い止めるためと主張するが、国際法上の正当性を欠く疑いが強い。法の支配を損ない、国際秩序の瓦解を助長しかねない今回の軍事行動を非難する。
反米左派のマドゥロ氏の独裁的な政権運営に問題があったのは確かだ。2024年大統領選での「3選」は不正の疑いが大きい。反体制派への弾圧も目に余る。だからといって米国の武力行使を正当化することにはならない。
政権移行にも不安がある。
英国やフランスなど欧州の西側諸国にはマドゥロ氏の拘束を前向きに評価する声があるが、軍事行動への批判も出ている。世界の安定に逆行する動きを強める米国とどう向き合っていくのか。同じ難題を日本も突きつけられている。

 

孫崎享のつぶやき

元外務省情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享氏。7月に発行された『戦後史の正体』は20万部を超えるベストセラー、ツイッターのフォロワーも13万人を突破。テレビや新聞が報じない問題を、日々つぶやいている孫崎氏。本ブロマガでは、日々発信。週1回別途生放送を発信。月額100円+税。【発行周期】日々。高い頻度で発行します。

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孫崎享

孫崎享(元外務省・国際情報局長)元外務官僚で、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て2009年まで防衛大学校教授。『戦後史の正体』は8刷20万部の売れ行き。ほかに『日本の国境問題-尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)、『日米開戦の正体』『日米開戦へのスパイ達』『日本国の正体』『朝鮮戦争の正体』などがある。ツイッターのフォロワーは13万人を超えた。

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