A:事実関係「5つの数字が、何故フランス人は(デモ参加に)通りに出たか(These 5 Numbers Explain Why the French Are in the Streets)
1;中間の月収€1,700($1,930)、半分以上がその下。
トップ20%は下層20%の5倍。
上1%が富の20%、
2;1.8%の経済成長
仏経済は欧州で英独に次ぐ。
約10年仏経済停滞。回復あるも部門ごとで差。地方、かつての工業地帯では職減少。
新規職も短期契約、
3:失業率9%、
2009年以降失業率は9-11%。
マクロン誕生時、10.1%。今9.1%と改善、しかしドイツの倍以上。2022年のマクロンは次期大統領選挙までに7%にすると約束。ギャップ。
4:富裕層に対する減税 32億ユーロ(36億ドル)
5:社会セーフティネット7150
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「仏は最も社会セーフテイーネットの厚い国」というところに自民党系の注目が集中しそう。だから、成長も雇用も低迷している、という具合に彼らは考えるのだろうね。そして、マクロンみたいなサッチャリズム信奉者の為政を擁護するだろう。しかし、ここで忘れてならないのはサッチャリズムは英国では成功していないのだ。経済成長は低迷し雇用も伸びてない。イギリス病が癒えたとは言えない。サッチャリズムの本音は伝統的に強い組合を無力化し米国戦争屋の走狗に英国を作り変えることだったに違いない。そして一定の成功を収めた。その証拠に労働党のブレア―はブッシュと共にイラクを侵略したではないか。フランスはイギリスとは違う。例え組合が弱体化していてもアナーキの伝統を持つフランス人民をイギリス人みたいな羊に変えることは出来ないからだ。ということはマクロンも短命に終わると言えよう。
ヨーロッパでは、ガソリンではなく軽油を使うディーゼル車が主流と聞いていたが、ガソリン税の引き上げに、これほど強硬に反発する理由が分からない。
失業率が高いというが、日本の失業者は、デモに行くほどの余裕があるだろうか。
「主権者」という認識の差なのだろう。
フランスは、特色ある社会主義と呼ぶのが適切か、それとも国家資本主義と呼ぶのが適切か。いずれにしろ、国家が経済を主導しており、成長性を求めるか、社会の公平性を求めるかで、国民生活ががらりと変わってしまう。
一番大きな問題は、出生率がかなり先進国では高いし、シリア難民などを積極的に受け入れてきた。また。欧州全般的であるが、若者を中心として失業率が高い。経済成長を図らなければ、国民に職を与えらえない国家資本主義としては、厳しい状況に置かれていることを考慮しなければならない。
マクロン大統領がアメリカ資本主義の道を選択したのは間違いではない。問題の根本は、社会主義国が、資本主義の道を選択すれば、国有企業、公共セクターの比率が高いため、国有企業、公共センターに利益が傾き、中小主体の民間企業がしわ寄せを受けるのを肯定しなければならないのでしょう。格差を覚悟しなければならない。
しわ寄せを回避しようとすれば、中国のように、平均的水準では後進国並みの知的財産の侵害とか、強制的技術移転、非関税障壁の設定など民間企業を守る選択をしなければならないが、先進国のフランスは不可能である。フランス国民の選択であるが、今後かなり厳しい道を覚悟しなければならないのではないか。90日後の中国も同じである。成長を守ろうとすれば、米国の要求をのまなければならない。国民を守ろうとすれば、自由主義国との貿易による経済成長を大きく減速させなければならない。
7年前の「ウォール街を占拠せよ」運動と同趣旨の抗議、つまり、極一握りの富裕層に富が極端に集中している不公平、不公正に対する怒りの爆発だろう。しかし-
> 仏は最も社会セーフティネットの厚い国。経済生産の三分の一がここに注入。
となれば、仏の場合は死活的な困窮に追込まれた層が増大したわけでもあるまい。税金払った分、行政サービスは日本などより遥かに充実していそうだ。だが「なんで本来もっと税金払うべき者の肩代わりをさせられるのだ?!」━この心理が半端でないのか。あるいは「僅かでも釣り銭を誤魔化した相手には厳しく抗議する。金額の問題でない」━そんな気もする。やはり日本は「子供の国」のままか。
Tips:
「孫崎享のつぶやき」-迷惑コメントを非表示にする方法━白癬ども 非表示でも お天道様だけは見てくれている しっかりやれ
http://magosaki-blog-tips.blogspot.com
興味のあるかたは人口ピラミッドをネットで調べてみればすぐ出てくるが、フランスは日本よりもずっと老人比率が低い。しかも、孫崎さんは失業率9%の点しかひいてないけど、若年者に限ればフランスの失業率は20%くらいらしい。しかも消費税は20%だという。
日本の若年者には今の所は雇用があり、社会全体として若くないというのは、日本で暴動的なデモがおきにくい理由になるといえよう。日本の国民性が暴動的なデモに向かないという説は、願望混じりのサヨクの珍説であり、たぶん成り立たない。ほんの数十年前、まだ社会が若い頃は、激しい学生運動・大衆運動をやっていたし、さらに昔は米騒動なんてものもあった。
これから先、日本が移民を入れて若年者を増やし、消費税を20%に近づけ、製造業という大量に雇用する部門がますます少なくなって、そして何らかの原因で若年者失業率が20%になれば、おそらく日本でも暴動的なデモはおきる。20年後くらいか? 高齢者サヨクの方々が元気でその日を迎えることができて、日本人も暴動ができるのだと安心できるといいですね。
なお、関連して、日本の消費税については、自分の最終的結論は増税反対なんだけど、正直ちょっとスッキリしないところはある。
文章考えるのがきょうは面倒なんで、いずれまた機会があれば書きたいが、次の2つの記事を丁寧に読めば、
カンのいい人ならわたしのスッキリしない点は想像つくとおもう。
https://www.asahi.com/articles/ASLD54QJRLD5UTFK00P.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018092700947
もう一度フランスにかえると、フランスは日本より若い国だ。ということは、これ以上移民をいれないなら(そして実際無理だ)、老人医療費がこれからたいへんになる。それをまかなうのは、どういう手段かはともかく、経済成長以外にはありえないだろう。