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TPPで国民健康保険が崩れていく仕組み
2013-02-18 06:3120TPPで国民保険の崩壊が心配される。どの様な形で、国民健康保険が崩れていくか。勿論、TPPであからさまに、国民健康保険が消滅するというものではない。問題は、実質的に機能しなくなっていくことである。流れは次が予測される。① 現在でも米国は日本の医療改革を官民で激しく要求している。それは2012年11月の日米財界人会議などで明確になっている。② TPP参加の下においてはこの米側要求が一段と“正当性”を持つ。③ この中、日本の経済界、政治家、官界等で国民健康保険を実質的に崩壊させていく改革への動きが強くなる。④ 最終的にはISD条項という裁判の形で要求を担保する。日米の企業経営者らが、政治や経済情勢を討議する日米財界人会議が2012年11月8日、都内のホテルで開幕した。ここでは「日本がTPP交渉に参加することを強く支持する」とした共同声明を採択した。では米側議長は誰であっ -
TPP関連:米国、富める人は医療保険加入、貧しい人は入ら(れ)ない
2013-02-17 07:2321pt2TPP参加で最も危惧されるのは、米国進出医療施設の実施する高額医療も国民健康保険の対象とされ、国民健康保険が実質上機能しなくなることです。 今日米国国内の医療保険状況はどのようになっているでしょうか。 GALLUPは2月12日、世論調査で、医療保険に入っていない人のデータを発表しました。問「貴方は健康保険でカバーされていますか。「NO」の比率、2012年 18歳から25歳― 22.7% 26歳から64歳―18.8% 65歳以上―2.4% 18歳以上でカバーされていない人の比率―16.3% 各グループでカバーされていない人の比率 ヒスパニック系―40.1% 年収3万6千ドル以下―30.7% 黒人―20.8% 18-25歳―23.5% 女性―15.2% アジア人―15.2% 9万ドル以上―5.0%。 このデータの年収3万6千ドル以下―30.7%で、9万ドル以上―5.0%はある意味ショック。 -
TPP推進派の嘘と詭弁
2013-02-16 08:1021pt2環太平洋パートナーシップ協定への参加は、唐突に出てきました。2010年菅首相が第2回 新成長戦略実現会議で、総理指示という形で出してきました。「環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討する」というものです。それから、一斉にTPP賛成論が展開されます。・前原誠司外務大臣「1.5%(農業)を守るために、98.5%が犠牲になっている」(2010年10月19日「日経・米戦略国際問題研究所共催シンポジウム」・菅直人首相「今年は『第三の開国』を実現する」(2011年1月29日世界経済フォーラム)・米倉弘昌経団連会長「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」(2010年10月26日。富山市で記者会見)・岡村正日本商工会議所会頭「早期に参加してルールづくりに加われ」(2011年11月1日。商工会議所臨時議員総会後の記者会見)・桜井正光同友会代表幹事「内需型産業も農林水産業も世界に打って出ろ -
米国は日米同盟基軸から中国重視に移る可能性が高い
2013-02-15 01:3921pt国際政治で、今、最も重大な課題は、①米国と中国のバランスはどうなるか、②中国の大国化で国際秩序はどうなるかである。 私自身、『これからの世界はどうなるか』で、議論を整理した。 この中、米国の国際政治学者ブレジンスキーが2月13日ニューヨーク・タイムズ紙に「大国、しかし覇権国でない(Giants, but Not Hegemons)」を寄稿した。その主要点を下記に紹介する。 ブレジンスキーは2008年大統領選挙の際、オバマ大統領の外交顧問をしていた人物であり、かつ同人は東アジア情勢においては日米同盟を基軸に考えるべきではない、中国と融和の枠組みを軸に考えるべきと主張していることは極めて重要な意味を有している。・今日、多くの人が、米中という2大大国化は紛争に進むのを避けられないのでないかと懸念している。しかし、ポスト・覇権国時代(米国)で、世界の支配をめぐり戦争が起こるとは信じていない。 ・ -
鈴木邦男と重信房子とイスラエル大使館
2013-02-14 08:5721pt1鈴木邦男氏は行動右翼であった。左翼や、右翼内部と戦ってきた。自宅が焼打ちにあってもいる。 少なくとも45歳まで戦っていた。45歳というと1988年、国際的にはゴルバチョフ時代でソ連が米国と戦うことを放棄した時、中曽根政権で、左翼がまったく力をなくした時期にあたる。 行動右翼であるから、左翼の行動にも、独特の評価をする。 最近、重信房子の『革命の季節』が出版された。 鈴木邦男氏は1月28日付AERAでこの本の書評を書いた。タイトルは「“賊軍”の娘・八重と重なる”サムライの娘“の戦い」である。 題材は「テルアビブ空港乱射事件」である。 事件は、1972年5月30日にイスラエルのテルアビブ近郊都市ロッドに所在するロッド国際空港(現・ベン・グリオン国際空港)で発生した、後に「日本赤軍」によるテロ事件。1972年5月8日に、パレスチナ過激派テロリスト4人が、ベルギーのブリュッセル発テルアビブ行 -
北朝鮮の核兵器にどう対応すべきか抜本的に考えてみよう
2013-02-13 07:0221pt2北朝鮮は12日、3度目の地下核実験を「成功裏に行った」と明らかにした。朝鮮中央通信が伝えた。同通信は「爆発力が大きく、小型化、軽量化し、高い水準で安全で完璧に実行した」と報じた。小型、軽量化が事実なら北朝鮮の核の脅威が一層深刻化した恐れがある(13日共同)。 北朝鮮には日本を射程距離に収めるミサイル・ノドンが200-300発実戦配備されているといわれる。北朝鮮が核兵器を小型化し、ミサイル搭載可能となれば、日本の安全保障に最大の脅威になるかもしれない。① 北朝鮮は核兵器という最も危険な兵器を手にすることとなる② 北朝鮮は先軍思想で、軍事最優先の理念で動いている、③ 北朝鮮には、軍事行動には予測不可能の面があり、核兵器の使用も十分想定される。こうした中で我々はどう対応すべきか、真剣に考える必要がある。ここでの間違いは日本の命取りになる。今制裁強化が検討されている。 -
オバマ大統領は、ある面、安全保障政策でブッシュ以上のタカ派政策を実施してきた
2013-02-12 05:3021pt2008年米国民がオバマ大統領を選んだのは、オバマ大統領に、イラク戦争のような危ない安全保障政策を止めて欲しいとの願いだった。 確かにオバマ大統領はイラク戦争を止めるべしと発言した数少ない議員であった。 その期待が、ノーベル平和賞の受賞であった。 ただ、この受賞演説をみた時、?という気がしないでもなかった。 彼は受賞スピーチで次のように述べていた。 「国民を守り保護することを誓った国家のトップとして、彼ら(マーチン・ルーサー・キング等)の例だけに導かれるわけにはいかない。私は現実の世界に対峙し、米国民に向けられた脅威の前で手をこまねくわけにはいかない。誤解のないようにいえば、世界に悪は存在する。非暴力運動はヒトラーの軍隊を止められなかった。交渉では、アルカイダの指導者たちに武器を放棄させられない。時に武力が必要であるということは、皮肉ではない。 平和を維持する上で、戦争という手段に -
この危機時に、日本のリベラルは、結局、勢力を結集できないのでないか。
2013-02-11 08:5021pt8今日本は歴史的に厳しい時代に入っている。 一気に日本が階級格差を拡大する社会、米国に一段と従属する社会に突入しそうである。 今、日本にはいくつかの政治課題がある。 ①原発の再稼働 ②TPP ③増税 ④集団的自衛権、これによる自衛隊の米国従属化の一段との進化 ⑤中国との対立の恒久化 こうした中で、安倍首相を中心とする自民党の目指すものは明確である。 日本が独立して以来、最も右寄り、格差社会を志向する政権が出来ようとしている。 国民はこれを志向してはいない。 しかし、いま国民の投票の行き場はない。 リベラル政党は完全に政権をつりうる可能性を消滅させた。 日本は民主主義を標榜しながら、国民の望む政策を実現してくれる可能性をなくしつつある。 この中、リベラルは結集できるのであろうか。 悲観的見通しの一つが前回の東京都知事選挙である。 私は立派な候補者が出たと思った。宇都宮氏である。 宇都宮氏は -
米国の無人機殺害は何故容認されるのか
2013-02-09 06:4521pt4
米国は今、パキスタン、イエーメン、ソマリアで無人機からのテロリスト殺害を実施している。 通常はこのニュースは出ない。基本的には一般大衆に対して、「米国は無人機での攻撃で殺傷している」ということは公表していない。 ただここにきて幾つかの報道がなされている。7日付ワシントン・ポスト紙はKaren DeYoungが論評中「パキスタンとイエーメンでの数百回の無人機攻撃で約3000名のテロ活動家と市民を殺害した」と報じた。また8日付ワシントン・ポスト紙は「2004年からパキスタンで347回、2002年よりイエーメンとソマリアは55回無人機攻撃を実施した。この攻撃は圧倒的にオバマ政権になってから実施された。他方、テロリストの逮捕はわずかである。一般には無人機攻撃存在しないことになっている。よって一般人の被害は未発表となっている」と報じた。 この話が今、浮上したのには特別の理由がある。オバマ大統領 -
文藝春秋3月号森本敏×孫崎享の一部紹介
2013-02-08 07:0321pt1
文藝春秋3月号:安倍政権大論争4安全保障・国防軍は中国に勝てるか 森本敏×孫崎享中、私の発言一部を下記に紹介します。国防軍創設の試みには二つの大きな疑念を感じざるをえない。安倍首相の狙いは、国防軍に格上げすることで、北朝鮮からの弾道ミサイルを防衛し、尖閣諸島をはじめとする中国の軍事的脅威に対抗できるという幻想を国民に抱かせることにあるのでないかと思うのです。でも現実はそんなに甘くない。全ての弾道ミサイルから日本の全領土を守ることはできませんし、軍事力を増強し続ける中国に日本が対抗し続けることは難しいと考えます。 第二次大戦後、日本が独自の安全保障体制を構築しようとしたことはほとんどありません。米国が東アジアの情勢を分析し、基本的なプランを考え、その計画に沿った方針が日本の安全保障政策の中心になるという流れが定着しています。安倍政権が唱える政策についても、日本の安全保障に対する寄与は副
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