中根千枝氏(1926年生まれ)は社会人類学者。中根千枝著『タテ社会の人間関係』(講談社、1967年より。
・日本人が外に向かって(他人に対して)自分を位置づける場合、好んでするのは、資格よりも場を優先することである。記者とか、エンジニアであるということよりも、A社、S社の者ということである。(中略)「会社」は個人が一定の契約関係を結んでいる客体としての認識でなく、私の、また我々の会社であると認識されている。
・日本社会に根強く潜在する特殊な集団認識の在り方は「イエ」(家)の概念に代表される。
・「家」よりも大きい集団としては、中世的な「一族郎党」の集団がある。
・「資格」の異なる者に同一構成員としての認識、その妥当性をもたせる方法としては、外部に対して、「われわれ」というグループ意識の協調で、それは外にある同様なグループに対する対抗意識である。「同じグループ成員」という
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「日本的社会構造の発見」として説かれ,女性だから書けたとも言っている。
結論的には、タテ関係を認めつつ、少し柔軟性を持たせたシステムにしていけば望ましい社会集団になりえるといっている。
集団に参加した時期が問題であり、先輩後輩という呼び名がついて回る。英国では、先輩後輩などという呼び名はない。
資格(属性=職業)がインド、英国では重視されるが、日本では、資格より、場(属する組織=会社)が重視される。
社会が上昇期にあるとき、安定期にあるときは、タテの組織は、効率性が高く素晴らしい機能を発揮する。
逆に、組織にリスク(危機)が起きたとき、優秀な人材がトップとは限らず,混乱を引き起こす。
明治維新や戦後の復興期に、若くて立派なリーダーが活躍したといっているのが印象的だ。
コンドリーサ・ライス(ブッシュの特別アドバイザー)が防衛問題で日本の官僚と協議するとその官僚が在日米軍司令部が自分らの直接の上部機構に存在しているかのように振る舞うから困ってしまうと嘆いていた。
日本の官僚の上部機関は官僚にとって日本政府ではなく在日米軍司令部なんです。そのことを証明したのが民主党の鳩山政権の崩壊だった。安倍政権が長期安定しているのはこの政権が在日米軍司令部の指揮下にあって恭順しているからだと私は思っています。
中根さんが発見した日本社会の根本原理は在日米軍司令部を頂点にいただく今の政治状況を説明するのにも十分通用して余りあります。マッカーサーが日本の占領政策はEASY JOBだと占領前に判断したのは、ラフカデオ・ハーンの著作やベネデイクトの菊と刀が判断材料になったと言われていますが、中根さんの「たて社会の人間関係」はラフカデオ・ハーンやベネデイクトの著作を見事に一般化したものとして私は高く評価しています。
今、我が国のタテ社会のトップには残念ながら天皇ではなく星条旗をいっただいているのです。自民党系の多くの人が今も尚米国を信奉してやまないのはこのタテ社会のトップに星条旗があるからなんです。私が怖いのは、在日米軍司令部から「SHED YOUR BLOOD」と号令がかかった場合、どうなる?残念ながら、従うだろうな。もし、平和憲法があれば、RESISTする日本人が出て来るでしょう。自衛隊を憲法に追加明記すれば、もう駄目だ。抵抗の根拠がなくなり、逮捕、反逆罪で牢獄にぶちこまれるのです。
ただでさえ、崩壊直前のインカ帝国のインデイオに日本人が似ていると言われているから、ずばり、日本人は白人の命令には弱いんじゃないかな。15世紀後半のインデイオは馬に乗って鉄砲を撃つスペイン人を神として敬ったらしいのです。マッカーサーが厚木に降りた時、当時の日本人の殆どがマッカーサーを救世主と観たのは事実なんです。その後、それを証明するかの如くマッカーサーに毎日多くのファンレターが日本女性から来たのです。勿論、インデオのタテ社会ぶりは徹底していたのですから、共通性ありますよね。
中根さんの著作から我々は上のように理解する目をいただかねばならないと思います。
>私たちは序列の意識なしでは席につくこともできないし、
しゃべることもできない。
日本人どうしが早朝の公園で出会っても、しぱしば無言なのは
そのせいかもしれない。
相手の社会的属性がわからないと日本人はあいさつもできない。
おはよう、かそれとも、おはようございます、かは大問題。
それなら無言でやり過ごそうとなる。