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記事 192件
  • 「疑惑潰しを許すな! 安倍昭恵夫人を証人喚問せよ」小林よしのりライジング Vol.218

    2017-03-28 16:20 19時間前 
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     首相を侮辱すると、証人喚問される時代。
     首相夫人を批判すると、首相がマジでブチ切れる時代。
     テレビで籠池理事長の発言を「正直に証言していたよね、すごいよね」と評価し、安倍昭恵夫人を堂々と攻撃する人がほとんど現れないが、そんなに憚られることなのだろうか?
     メディアは、「首相夫人は私人」という意味不明な閣議決定に意味もなくビビッて、闇雲に忖度しているところはないか?
     森友学園籠池理事長の証人喚問以降、時間を追うごとに昭恵夫人をかばうような言説が目立って感じられるようになってきた。批判する人間が増えてきたから、「公平性」をとってフォローするような体制も出てきたのだろう。
    「昭恵夫人はピュアでイノセントな方。ご活動の中で、いかがわしい人物が近づいて…」
    「昭恵夫人は、多様性を認める博愛主義者で…」
    「昭恵夫人は、被災者の声に耳を傾け、必要なことは首相に伝える人で…」
     昭恵夫人の人格を誉めそやすことは簡単だ。なにしろ、公的な活動をしてきた 公人 としての経歴が山ほどある人物だから。誰かが昭恵夫人の活動を紹介すればするほど、「どんだけ公人やねん!」としか思わない。
     当の昭恵夫人は、3月24日、北九州市の講演会で 「本当に私は普通の主婦で、普通の女性」 などと強調し、涙ぐんだという。普通の主婦が講演会でマイク握って釈明するかいな? せめて稲田朋美に倣って 「私の自覚に基づきますと、本当に普通の主婦なんです。自覚が間違っていることも推測されますが」 ぐらいのこと言っとけと思う。カマトトぶるのもいい加減にしてほしい。
     驚いたのは、TBS『サンデージャポン』でのテリー伊藤氏の発言だ。「昭恵夫人は人間的に凄いと思う!」と大絶賛。いわく、「普通ならこういう騒動になれば関係を断つのに、籠池夫人を信じてメールの返信をしている。毅然とした人間性が凄い」と。
     どこが「毅然とした人間性」になるのか?
      自分には何の問題もないのに一方的に嘘の疑惑をなすりつけられ、国家的大問題にまで発展しているのなら、「訴えますよ」と通告するのが、毅然とした人間のやることだろう。
     しかし、公開されたメールの内容を読めば、「私も修行」だの「頑張りましょう」だの「(森友学園に寄付宣言した)デビ夫人すごいですね!」だの共感して盟友であるかのような素振りを見せ、おまけに事態打開策として、安倍首相の提灯評論家・小川榮太郎氏を紹介して電話の取次ぎまでしている。
      もともと昭恵夫人と籠池夫妻にはそこまでの深い関係性があり、100万円の寄付についても「記憶から飛んでしまって」など、すっとぼけるのがせいぜいという後ろ暗さがあるから、毅然たる態度をとれずに、このようなやり取りが続いていったと考えるのが常識的な感覚だと私は言いたい。
    ◆昭恵夫人のFacebook反論は官僚作文
     昭恵夫人は、籠池証人喚問からたった4時間後、自身のFacebookに、かなり隙なくすべての問題点をばっちり網羅した完璧な反論文を投稿している。

     まず、籠池氏が偽証罪の縛りのなかで午前と午後、全国生中継されながらの証人喚問という条件であらゆる質問に答弁したのに対して、Facebookという超ミクロ「私」の世界で、好きなことを書いたり書かなかったりできる場所に文書を投稿することで反論するなど、なんの釣り合いもとれていないし、おかしいのだが、この文章そのものも昭恵夫人本人が書いたのかどうかが疑わしい。
  • 「トカゲ本体から目を反らすな! 籠池証人喚問が暴くもの」小林よしのりライジング Vol.217

    2017-03-21 17:50  
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     私はだまされているのだろうか? 籠池のおっちゃんを追い過ぎるあまり、だんだんあの顔に見慣れてきてしまい、問題発覚当初からの急速な面持ちの変わりように、籠池氏が受けている袋叩きの苛烈さと、その中での心境の変化が妙にリアルさを伴って感じられるようになってしまった。おまけに、報道陣に囲まれて自宅を出入りする姿を見ると、常に命の危険に晒されているようにも感じてハラハラする。
     その上、安倍首相の提灯ジャーナリスト・田崎史郎氏がどんどん籠池ファミリーを叩くので、しまいに「いやいや、確かに図々しいし、厚かましいし、独善的やし、在日差別するイヤ~なおっちゃんおばちゃんやけど、そこまで頭の回転する極悪人とはちゃうと思うで?」と言いたくなる境地に至ってしまった。
     確かにあのおっちゃんは、あかんおっちゃんや。あのおばちゃんも、あかんおばちゃんや。そしてあの息子は、だいぶやばい息子や。でも、あのファミリーだけを「悪の根源」と断じる方向に突き進んでしまうと、その悪を支えた「巨悪」「本当の悪の根源」から目をそらされてしまうのではないか?
    ◆「安倍首相から寄付金100万円」証言
     3月16日、籠池泰典理事長は、森友学園の小学校建設費について、安倍首相からの寄付金があったと主張した。
    「我々がこの学園を作り上げようとしたのは、 みなさんのご意思 があってこそだと思っています。そのご意思の中には、誠に恐縮ですが、 安倍内閣総理大臣の寄付金が入っている ことを伝達します」
     籠池氏の『みなさんのご意思』という言葉からは、小学校建設に賛同して寄付金を入れた多くの自称保守界隈の人間の姿、そして、園児らによる教育勅語朗誦を見て感心感激し、熱心に講演を行ってきた人間……百田尚樹、曽野綾子、櫻井よしこ、竹田恒泰、渡辺昇一、田母神俊雄らの顔が次々と浮かんでくるようだった。

    塚本幼稚園教育講演会の記録。あのボスも、あの魔王も! 自称保守キャラクター、オールスターそろい踏み!
    参照:http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/lecture/
     そして、『安倍内閣総理大臣からの寄付金』――この言葉の衝撃力は凄まじかった。
     籠池氏によると、2015年9月5日、塚本幼稚園にて行われた安倍昭恵夫人名誉校長就任講演の際、昭恵夫人から「どうぞこれをお使いください」といって、現金100万円が手渡されたという。記名はなく、「どなたからですか」と聞くと、 「主人(安倍晋三)からです」 。領収書については「いや、まあ、それは結構です」と断ったという。
     籠池氏の長女・町浪氏は、この時の様子について 「塚本幼稚園三階の和室『玉座の間』で、安倍昭恵夫人と籠池理事長、時間帯によっては、副園長の籠池婦人が加わった3人で懇談が行われており、その場において、封筒に入った100万円を手渡された」 とした。
    籠池町浪氏(塚本幼稚園教頭)の証言要約
     2015年9月5日の安倍昭恵夫人名誉校長就任講演会の日、塚本幼稚園3階の和室「玉座の間」(!)で、籠池理事長と安倍昭恵夫人が2人きりで、時間帯によっては、そこに籠池諄子副園長が加わった3人で懇談をしていた。
     懇談を追えて和室から出てきた諄子副園長が、現金100万円を示しながら、町浪氏に対して、 「小学校を建てるにあたって、安倍晋三さんからいただいたよ」 ということを言った。100万円は封筒に入っていた。その日は土曜日で、郵便局がしまっており、すぐに入金できないため、その時は(大金を持っているのが)怖いので、いったん金庫に入れた。
     現金受け渡しの場面は自分は見ていないが、安倍昭恵夫人から籠池理事長に手渡され、それを、処理するために諄子副園長の手に渡り、そして、金庫に入った。
     その後、諄子副園長が、安倍晋三小学校寄付金払込票(↓)の

    (↑)左側のご依頼人欄に「森友学園」と記入した。右側の受領証の部分は、空欄だった。
     週明け、9月7日月曜日に、幼稚園の職員が、空欄にされていた右側に「安倍晋三」と記入して、もらった現金100万円とともに、この払込票を持って、淀川新北野郵便局の寄付金口座へ振り込みに行った。

     しかし、郵便局では左側の払込票と、右側の受領証の名義が違うので受け付けられないと言われて、その場で、修正テープを使って「安倍晋三」と書いたものを消し、「匿名」と書き換えた。だが、それもだめだと言われた。
     そこで、幼稚園職員が、携帯電話で塚本幼稚園の事務室に連絡した。連絡を受けた事務室の職員が顧問会計士に連絡をとって相談し、受領証の名義もそろえて「森友学園」にするほうがよいということになった。その旨を、郵便局にいる職員へ連絡し、「匿名」と書いたものをさらに修正テープで「(学)森友学園」に変更した。修正部分に淀川新北野郵便局長の修正印が押され、100万円が寄付口座に入金された。

    受領証の名義欄。修正テープの下には「安倍晋三」⇒「匿名」という文字が隠れている
     本来なら、寄付を受けた際は、寄付者名簿に名前を記入するようにしている(安倍晋三小学校の寄附者銘板に名前を刻印して顕彰するという約束もしている)。
     しかし、安倍晋三首相からの100万円に関しては、籠池理事長夫妻が、 「これは名前を伏せてほしいというご意向があった」 と、職員らに指示した。そのため、教頭である自分も、その後の処理を行う職員に対して「そういうことでお願いね」と指示した。
     結果、官庁に提出されている寄付金名簿では「安倍晋三」の名は伏せられ、この時の100万円は、「森友学園」によるものと記載されている。ただし、寄付金口座への入金については、学園側の記録のために「安倍晋三」の名義にしようとした。しかし、それは事務処理上叶わなかった。
     残された払込票は、「安倍晋三からの寄付」という証明はできない。しかし、籠池氏側の証言を裏付ける証拠ではある。修正テープには郵便局長の修正印が押されているのだから、この話を裏付ける取材も可能ということだろう。
  • 「森友学園問題2~安倍首相の言い訳を否定した鴻池会見と、疑惑の3日間」小林よしのりライジング Vol.215

    2017-03-07 18:30  
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      森友学園疑獄 の新情報は、報道番組のトップニュースとして扱われる事態になり、ついにお昼の主婦・シニア層向け番組でも連日解説されるようになった。教育勅語を暗唱させられたり、軍歌を歌わされたり、「安倍首相がんばれ」と宣誓させられている幼児たちを思うとかわいそうでならないが、出てくる映像がいちいちあまりにも強烈すぎて凝視せざるを得ないようなシロモノだけに、メディアとしては “まだまだ萎縮はしてるけど……でも、どうしても視聴率がとれちゃう案件” になったのだろう。
     それに加えて、 安倍首相の“逆ギレしどろもどろ答弁” の光景も何度も繰り返され、話題に尽きない。
     3月6日の参院予算委では、民進党・福山哲郎議員からのローテンポで粘着質気味(良い意味で)の追及に対して、安倍首相がブチ切れて拳をにぎりしめ、 「印象操作!」「私と妻が、私と妻が!」「そんな事実はあるんですか!」「レッテル貼り」「犯罪者扱い」「決めつけるな」 などと、ほとんど無能なネット民のようにひたすら短文を連打しまくって荒ぶるシーンがあり、しまいに側近であるはずの山本一太参院議長から「総理、簡潔にまとめてください」「総理、おまとめください」「総理、簡潔にお願いします」と何度も制止される始末であった。
     この質疑のなかで、 安倍首相は、土地の売買契約に関してこれまでの答弁について「ストンと腑に落ちる説明ではなかった」と答えている。 それならば、政府の責任として、野党の参考人招致および集中審理の請求を堂々と受け入れ、籠池泰典理事長、安倍昭恵夫人ら関係者に対して、“国民にとって腑に落ちる証言”をさせるべきだろう。
     JNN(TBS系列)が3月4日~5日に行った世論調査によると、 「籠池理事長など関係者の参考人招致を行うべき」との回答が76%、「安倍昭恵夫人の名誉校長就任は不適当」との回答が78% にのぼっているのだ。
    ◆鴻池議員の記者会見で露呈「やはりあった“上からの政治力”」
     3月1日夜、自民党の鴻池祥肇議員(元防災担当相)が緊急記者会見を行った。
     鴻池議員によると、2014年4月17日ごろ、籠池理事長夫妻が参院議員会館にやってきて、小学校建設のための土地取得に関して便宜を図ってほしいと陳情したという。 “大阪のオモロイおっちゃん”風情を醸し出す鴻池議員は、その時の様子をこう語っている。
    「紙に入ったものを、これでお願いしますと、オバハンのほうが。一瞬で金だとわかりましたよ。だからそれをとって『無礼者っ!』と言ったんだ! 男のツラ、銭ではたく、政治家のツラ、銭ではたくような、そんなん教育者と違う、帰れぇ~い! と言って、ワシは委員会室に戻りました。
     ただ、それが金であったか、コンニャクであったか、天ぷらか、カマボコか、ういろうかは知らん。確かめてへんから。だから、あれはコンニャクでしたと言われればそうかなと思わざるを得ないな」
    「カネ貸してくれか、買うとか、安くしてくれとか、そんな話じゃないですかね。オバハン泣いて出しよったよ、それを。おうぉぅぉぅぉぅお~と泣いて出しおった。気持ち悪いやろ」
    (籠池夫妻からの陳情を受けて、財務省・国交省と交渉をしたこと、仲介したことは?)
    「誰が? オレがか? ない!」
    「会ったこともない! だいたい財務省なんか全然知らん。どんな役所かも。どこにあるのかも知らん」
    (2017.3.1夜 鴻池祥肇議員緊急記者会見より)
     この記者会見は個人的に面白くてとっても好きなので、今後もときどきテレビで流してほしい。ちなみに、永田町には「コンニャク」=100万円、「レンガ」=1000万円の賄賂を示す隠語があるそうだ。
     さて、この鴻池議員の記者会見によって、重要な事実がいくつか露呈している。
    ●露呈その1
    現実に、森友学園の籠池理事長夫妻が、現金と思われるものをチラつかせて、 直接、政治家への働きかけを行い、はっきりと口利きを依頼していた。
    ●露呈その2
    現実には、森友学園のシナリオ通りに、超大規模で不自然な優遇が行われた。しかし、鴻池議員は、現金と思われるものを突き返し、財務省にも国交省にも交渉をしていない。
    ならば、 鴻池議員ではない誰かが、籠池理事長の要望に応えて口利きに関与したのではないか? 
    ●露呈その3
    「コンニャク」を、鴻池議員が目視で「現金」と確認していないので、言い逃れの余地が残されているが、籠池理事長夫妻は、賄賂申込罪の疑いで逮捕される恐れがある。 検察が動く事態に十分発展している事案と言える。
    ●露呈その4
    この記者会見によって、鴻池議員は、安倍首相による野党に対する「立証してみろ」「印象操作だ」という答弁を完全に否定している。
     もともと、この記者会見は、3月1日の参院予算委で、共産党・小池晃議員が 「ある自民党議員事務所の記録」として、名前は伏せたうえで、 鴻池事務所における籠池氏と秘書との複数回に渡る「働きかけvsお断り」のやりとりを読み上げたことを受けて行われたものだ。
     鴻池事務所の記録には、次のような記載が残っている。
  • 「森友学園問題“愛国教育”でつながる安倍首相夫妻と省庁共謀疑惑」小林よしのりライジング Vol.214

    2017-03-01 18:25  
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    「ああ悠遠の神代より! 轟く歩調うけつぎて! 大行進の往く彼方! 皇国つねに栄あれ!」
     学校法人森友学園(大阪府淀川区・籠池泰典理事長)が運営する幼稚園・ 塚本幼稚園幼児教育学園 の園児が、大阪護国神社の「同期の桜を歌う会」に参加したときの様子だ。
     園児たちは、「五箇条の御誓文」と「教育勅語」を暗唱したあと、足を開いて踏ん張り、両手を後ろ手に組む姿勢をとって、声高らかに『日の丸行進曲』『愛国行進曲』など軍歌を歌い上げた。境内に集まった老人達の背後には 「七生報國 尊皇」 などと書かれた紫色ののぼり旗などがはためいている。
     園児らとともに笑顔で軍歌を歌う教諭の女性は、マイクを握りしめ、感極まった様子で声をつまらせ、こう語った。
    「平成29年度、(森友学園は)まもなく、 瑞穂の國記念小學院 を開校いたします。この中にいらっしゃる皆様にも、たくさんのお力添えをいただきまして、誠にありがとうございます」
    ◆安倍首相夫人が名誉校長「安倍晋三記念小学校」
     瑞穂の國記念小學院――森友学園が大阪府豊中市の国有地をタダ同然で取得し、新規建設している小学校だ。別名“安倍晋三記念小学校”。名誉校長には安倍昭恵首相夫人が就任し、理事長をつとめる籠池泰典氏は、日本会議大阪支部の役員でもある。また、籠池氏は差別団体「在特会」幹部が立ち上げた「日教組に解散を求める会」のメンバーであることも確認した。同団体には桜井誠ら在特会の人間も多数参加している。
     さて、感極まった女性教諭が老人達に感謝した 「たくさんのお力添え」 とは、この 籠池氏が理事長をつとめる小学校建設のために集まった寄付金 を指している。森友学園は、園児不足の塚本幼稚園を借金経営しており、新たに小学校を建設する自己資金に不足していた。そこで、“愛国教育”に共鳴する人々に寄付を求めたのである。 寄付金は、「安倍晋三記念小学校」の名で募られた。
     
    「安倍晋三記念小学校の寄附者銘板にお名前を刻印し、顕彰させていただきます」
     当初、この小学校を『安倍晋三記念小學院』という名前で開校しようと安倍夫妻に打診していた籠池氏は、週刊文春の取材に応じ 「安倍首相本人に内諾を得ていた」 と答えている。打診したのは野党時代だが、2012年12月の政権交代で総理になって「それは出来ない」と辞退されるという経緯があった。
      だが、この寄付金振込用紙は、2014年、首相として「アベノミクス」だの「三本の矢」だの連呼していた時期に何度も保護者に配られていたものだ。
     さらに、2015年9月、塚本幼稚園内で行われた安倍昭恵夫人の小學院名誉校長就任演説で、昭恵夫人がこう語っている。
    「籠池園長、副園長の、本当に熱い熱い思いを何度も聞かせていただいて、この瑞穂の國記念小學院で、何か私も役に立てればいいなと」
    「 こちらの教育方針は、大変主人も素晴らしいと思っている 」
      森友学園の愛国教育を、安倍首相が「大変素晴らしいと思っている」と強調している のだ。
     さらに、「瑞穂の国安倍晋三記念小學院」という名前については、安倍首相自身が 「総理大臣というのはいつもいいわけではなくて、時には批判に晒されることもある。むしろ名前をつけていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたい」 と語ったことも話している。
     つまり、いまは現役首相だから問題があるけど、辞めてからなら、愛国教育を行う幼稚園に自分の名前を冠してもよい。安倍首相は、それほど森友学園の教育方針に共鳴している、という意味である。
  • 「オルタナティブ・ファクトを巡る戦い」小林よしのりライジング Vol.212

    2017-02-14 21:50  
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     トランプ米政権発足後、 「オルタナティブ・ファクト」 という言葉が話題になっている。 既存の事実に取って代わる、もう一つの事実という意味だ。
     大統領報道官ショーン・スパイサーが会見で「就任式を目撃したのは、過去最大の聴衆だった」と発言したのに対して、アメリカのメディアが実際にはガラガラだったと報道した。
     オバマの大統領就任式には2009年に約180万人、2013年には約100万人が集まったのに対し、トランプの就任式は「25万人」としているメディアもある。航空写真で比較して見せているものもあるが、トランプの方は確かにスカスカだ。
     これについて、NBCの番組でキャスターから「報道官はなぜそんなことを言ったのですか? これは初日からホワイトハウスの広報全体の信用性を損なうものですよ」と追及されたケリーアン・コンウェイ大統領顧問が、「ショーン・スパイサーはオルタナティブ・ファクトを述べた」と擁護し、ここからこの言葉が広がったのである。
     トランプ自身も、CNNは嘘ばかり流していると非難し、オルタナティブ・ファクトが存在するようなことを言い続けているが、これは不都合な事実を認めようとしない、マスコミ陰謀説のようなものである。
     とはいえ現実に、大統領選の際には大手マスコミが、トランプの支持者が全米の半数にも及んでいることを一切報道せず、結果の予測を完全に見誤ったという実例もあるわけで、「オルタナティブ・ファクト」が全て「嘘」であるとは言い切れないわけだ。
     同様の言葉に 「ポスト・トゥルース(脱・真実)」 があり、これは英オックスフォード英語辞典が昨年の流行語大賞に選んでいる。 それが本当に真実かどうかはもはや関心がなく、自分の価値観に近ければそれを「真実」としてしまうというものだ。
     何が事実か、何が真実かはもう誰にも見分けがつかなくなってしまい、各々が自分なりの「オルタナティブ・ファクト」やら「ポスト・トゥルース」やらを見出す時代が来たのだ、というようなことを知識人は言う。
     だが、あの「ファクト」もこの「ファクト」も何でもありということにしていいとは思えない。 むしろ、真実・トゥルースは必ずあるのだということで、戦わなければならない時代になっているのだとわしは思う。
     そもそも「オルタナティブ・ファクト」というものは別に「トランプ現象」によって新たに生まれたものでも何でもなく、日本でもずっと昔からあったことだ。
  • 「『SAPIO』に出てきた幼稚な逆賊」小林よしのりライジング Vol.211

    2017-02-08 14:00  
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     皇統問題を巡る八木秀次との「激突対論」の後半戦を掲載した、「SAPIO」3月号が発売された。
     その概要は、既にライジングVol.204「いると言い張るカルト信者と会った」
    http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1154872
    に書いているが、八木本人の発言が活字になったことで、改めてそのイカれ具合も露わになったと思う。
    「政府はまだ把握していないかもしれませんが、旧宮家のトップクラスが、皇籍復帰の意向を持つ方を把握していると聞いています」
     誰に聞いたんだ? 「旧宮家のトップクラス」って、どこの何者? 証明が一切ない!
    「ご結婚を機に旧宮家の男性を当主とする宮家を創設し、眞子さまや佳子さまが妃殿下となる。これは過去にも例があります」
     男系宮家創設のためだけに、眞子さま、佳子さまを本人のご意思と関わりなく、旧宮家の男性と結婚させる? 呆れかえる。勝手に妄想しているだけなのだ。
     それで、本当にそんなことができるのならさっさと実現しろと迫ったら、八木はこう言う。
    「まあ、政府がちゃんと検討すると思いますよ」
     たちまち「他人事」になってしまうのだ!
     他にもツッコミどころは山ほどあるが、とにかくここまで底抜けのウルトラ馬鹿が、この世に棲息していることが信じられない。こんな発言に、説得力を感じる者などいるのだろうか?
     この「激論」を含む特集のタイトルは「安倍首相は天皇陛下の逆賊か」である。タイトルは大変良い。
     もちろん高森明勅氏の「いまだ『譲位』に反対する者よ 陛下の責任感への感謝はないのか」も非常に良い。
     だが、生前退位に関する他の記事の質は、恐ろしく劣悪だった!
     元TBSワシントン支局長・山口敬之の文章は、完全に陰謀論で書かれたトンデモ文だ。
     何しろこの男、「譲位」ではなく「生前退位」という言葉が使われたことまで 「この耳慣れない言葉に、この問題を巡る官邸と宮内庁、皇族との長年にわたる交渉と軋轢が見え隠れしている」 と勘ぐり、こんなムチャな深読みをする。
    「譲位」という言葉が、「生前退位」という言葉にすり替わっていた。「皇位を譲る」という政治的ニュアンスを極力少なくする為に、「自ら皇位を降りる」という個人的行為に寄せていく工夫が垣間見える。それはひとえに天皇の国政不関与という壁を乗り越える工夫であり、見方を変えればなかなか譲位への動きが始まらない状況に対する皇室並びに宮内庁幹部の苛立ちを映してもいた。
      映してません!!
    「生前退位」は、法学的用語として既に70年以上、憲法の注釈書などで普通に使われてきた言葉だ。
    「譲位」の方が歴史的用語として一般的になじみがあるが、「生前退位」もそれなりの由緒と根拠がある言葉であり、特別な意図のために「工夫」された造語ではない。
     今回は、「退位」は天皇の崩御と一体というのが一般的な認識になっているから、わかりやすくするためにあえて「生前退位」の語が使われただけのことだろう。
     山口は、「譲位」には「政治的ニュアンス」があり、憲法に定められた「天皇の国政不関与という壁」に抵触すると思い込んでいるが、これは完全なる無知である。
  • 「配偶者控除は低賃金の原因ではない」小林よしのりライジング Vol.209

    2017-01-25 00:25  
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     政治学者の三浦瑠麗氏が週刊新潮1月19日号の連載コラム「週刊『山猫』ツメ研ぎ通信」で非正規労働者について論じていて、その中でこんなことを言っている。
     実際のところ、労働者の四割を占める非正規のうち七割は女性です。多くは、「専業主婦」であるパートさん。残り三割の相当部分が定年退職後の高齢男性。若い男性の非正規というのは案外少ないのです。  昨年12月、ゴー宣道場のゲストに招いた時にも同じことを言っていて、その時も、直感的に違和感を覚えた主張である。
    「パートさん」という軽い呼び方にも、わしは違和感を覚えるのだが、非正規労働者とは、専業主婦や定年退職者がせいぜい「家計の足し」か「小遣い稼ぎ」のために片手間で就業しているものではない。真剣に生活がかかっている人たちなのだ。
     言っておくが、わしは三浦氏を個人的には応援していて、天皇退位問題では「天皇の人権」を配慮するリベラルな立場から、常にわしの側についてくれ、男系固執派に打撃を与えてくれたので、感謝している。
     井上達夫氏と同様に根本的な思想が違う部分があるが、権力の暴走を防ぐための徴兵制の効用など、三浦氏には共感するところも多々ある。
     さて、昔は確かにパートは主婦の副業にすぎないという感覚はあった。だから主婦は配偶者控除の「103万円の壁」を超えない程度に、そこそこ働いておけばいいという意識だったのだ。
     だが今は違う。中間層の家庭の主婦が、夫の将来に不安を持ち、子供を貧困層に落としたくなくて、なんとか大学まで行かせたいと願っている。そのための塾を含む膨大な学費を捻出するためにも、主婦が少しでも多く稼がなければならない。
     いったん貧困層に落ちたら、子の世代、孫の世代まで「貧困の連鎖」が続くから、親たちも必死なのだろう。主婦も決して「パートさん」なんて軽い立場じゃないのだ。
     定年退職後の高齢男性にしても、悠々自適だけれどヒマだからちょっと働いているという状態ではない。老人の貧困化は現在急速に進んでいる最中だ。
     60歳で定年退職して、65歳から年金が支給されるとして、その間食いつないでいかなければならないし、65歳を過ぎても、病気の不安や高齢化に伴う不安もあるから、稼げるうちに稼いでおかなければ危ないと、誰もが必死なのである。
     
     そもそも「非正規のうち七割は女性」という事態は、就労環境に男女差別があると考えなければおかしいはずだ。非正規の七割が女性という状況は、専業主婦の片手間仕事の「パートさん」が多いから当然だということではなかろう。
     これでは、結果的に男女差別の存在を黙認することになってしまう。わしの方が「リベラル」なのだろうか?
     なお、残り3割の男性非正規について 「相当部分が定年退職後の高齢男性。若い男性の非正規というのは案外少ない」 という主張も、本当なのかどうか調べてみた。
  • 「共謀罪は独裁への道」小林よしのりライジング Vol.208

    2017-01-17 20:40  
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     安倍政権が今月20日召集の通常国会で「共謀罪」法案の成立を目指すという。
     共謀罪とは、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となるもので、過去には小泉政権が2003年、2004年、2005年の3回にわたって法案を提出し、いずれも野党や世論の反対によって廃案となっている。
     安倍政権は10年以上前に3度も否定された法案を、何としても通そうとしている。その意図は、しっかり見抜いておかなければならない。
      そもそも日本の刑法は「既遂」、すなわち実際に犯罪が行われ、具体的に被害や危険が生じた場合にのみ処罰を行うのが原則である。
     実行行為に及んだものの「未遂」であれば刑を軽減でき、さらに例外的に殺人や放火などの重大犯罪については、実行行為がなくても準備や計画をしただけで罪となる「予備罪」「準備罪」などの規定がある。
      ところが「共謀罪」は犯罪の実行行為はおろか、準備も具体的計画もなく、ただ犯罪計画を話し合っただけで罪に問えるのであり、これは日本の刑事法体系を根本からひっくり返しかねない暴挙なのだ。
      しかもそれを、懲役・禁固4年以上の600以上にも及ぶ犯罪を対象にする方針らしい。
     そしてさらにいえば、実行行為はおろか、準備も、計画の立案にすらも至らない、 「計画を話し合う」だけで処罰の対象になるということは、要するに「内心で考えていること」が罰せられるということであり、憲法で保障された思想信条の自由に対する侵害となるのである。
     菅官房長官は記者会見で、テロ対策のために「国際組織犯罪防止条約」の締結が必要不可欠で、「共謀罪」法案はそのための法整備だと説明している。
     だがこれは、小泉政権下で3度持ち出され、3度論破された理屈なのだ。
     国連総会で2000年11月に採択された同条約は、マフィア対策のため、国際犯罪が多いマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬の密造・販売を取り締まることを目的としたものである。
     同条約は世界180以上の国が締結しているが、その中で条約締結のために新たに国内法を整備した国があるかという国会質問に対して、政府はノルウェー、ニュージーランド、オーストラリアのたった3か国しか挙げていない。
     そもそも国連では同条約については「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」と説明しており、 実際には現行法のままでも「国際組織犯罪防止条約」には十分対処でき、締結は可能なのだ。
     条約締結のために日本の刑事法体系をひっくり返し、600以上もの犯罪に関わる大幅な法改正となる「共謀罪」が必要という説明は、圧倒的に説得力を欠いている。だからこそ法案は3度も廃案になったのである。
  • 「安倍政権の失政総まとめをしておこう」小林よしのりライジング Vol.207

    2017-01-10 21:15  
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     平成29年、最初のライジングである。
     新年にふさわしい、めでたい話題を扱おうと思ったのだが、残念ながら何も思い浮かばない。
     それよりも、いま書いておかなければならないことは、昨年安倍政権が犯した失政の数々である。
     とにかく次から次へとムチャクチャなことをやらかすから、ライジングで取り上げきれなかったものもあるし、もう覚えきれないほどだ。だが忘れてしまえばどんな失政も「なかったこと」にされ、さらなる失政を積み重ねられてしまうのだから、一度列挙しておかなければならない。
    ◆アベノミクス
     第二次安倍政権の最重要政策として位置づけられてきたアベノミクスだが、4年目に入った昨年も、何の成果も挙げられなかった。
     そもそも昨年元旦の「朝まで生テレビ」で、政府の産業競争力会議の一員である竹中平蔵が「トリクルダウンなんてありえない」と断言した時点で、アベノミクスの失敗は確定したのだ。
     アベノミクスとは、「大規模な金融緩和」「拡張的な財政政策」「民間投資を呼び起こす成長戦略」という「3本の矢」によって企業収益を向上させれば、一般市民の所得向上につながるという「トリクルダウン効果」を根拠とした経済政策であった。
     特に日銀による異次元の金融緩和で、「脱デフレ」を目指す予定だったが、それも成らなかった。
     昨年5月、安倍は消費増税の再延期を決定した。
     消費税率は2014年に5%から8%に引き上げられ、当初は2015年10月から10%に引き上げられる予定だった。しかし経済が増税後の落ち込みから回復せず、安倍は税率引き上げを2017年4月まで延期していた。それをさらに2019年10月まで、2年半再延期するというのだ。
     再延期をすれば2014年の増税が失敗だったことを意味するため、安倍は一貫して「再延期はない」と断言していたが、それを撤回したのである。
     ところが安倍は自らの失敗を認めるどころか、こう言ってのけた。
    「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」
     こんな言い草が通用するなら、どんな公約違反をしようとも、「これが新しい判断です」と言えば許されてしまう。ところが実際のところ、なんとなくそれで許されたような形となってしまった。
    「新しい判断」は新語・流行語大賞にノミネートされたが、年が明ければこの言葉も、それを言い放った安倍の非常識もすっかり忘れ去られている。
     アベノミクスが成功していると言い張る人は、「企業収益が増えた」「求人倍率が改善した」という点を挙げる。
     だが、円安によって企業収益が拡大したといっても、その分輸入インフレによって実質賃金が下がり、GDPの6割を占める個人消費が大幅に落ち込んでしまっている。求人倍率の改善は、単に団塊世代の大量退職によって生産人口が減ったからに過ぎない。
     いくら金融緩和でお金を降らせても、庶民には落ちてこない。資産を持っている者は投資も消費もせず、貯蓄するだけだ。ついにタンス預金が日銀の発表で約78兆円にも上っている。そうなる原因は、将来不安に尽きる。
     国民の将来不安を全然払拭しないで、経済がうまくいくわけがない。だが安倍は失敗を認めたくないだけの理由で、 「今こそ、アベノミクスのエンジンを最大にふかす」 などと言い続けたのだ。
    ◆カジノ法案
     一向にアベノミクスが成果を見せない中で、安倍が新たな「成長戦略の目玉」と言い出したのが、なんとカジノなのだからあきれ果てる。
     カジノ法案については、政権べったりの読売新聞までも含む、主要全新聞の社説が一致して反対するほどだったのに、安倍政権はほとんど議論もさせずに強行採決してしまった。
     そもそもカジノの収益とは、「バクチに敗けた客がすった金」に他ならない。
     カジノ法案は、正式名称を「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」という。例によっての言葉のごまかしで、あくまでもカジノは「統合型リゾート施設(IR)」の一部に過ぎないように見せかけたいのだ。
     カジノ推進派は決まって「カジノの面積は全敷地の3%で、メインではない。残りの97%はホテルや劇場、ショッピング街などで、あくまでもカジノを含む統合型リゾートだ」とか言う。
     だが海外の実態を見れば、IRの売上高の大半は「面積3%」のカジノが挙げており、「ギャンブル依存症の父親が大損する傍らで、母親と子供が“格安ディズニーランド”で楽しむという構造」だという。
     さらに今回の異常な「暴走審議」の陰には、日本の富裕層の個人資産を狙った、海外カジノ企業の要請があるのではという疑惑もささやかれている。もしそうなら、安倍は日本の国富を海外流出させるために尽力した売国政治家に他ならないし、そうでなくとも、賭博で経済成長などという輩には、二度と「美しい国へ」などと言う資格はない。
    ◆年金カット法案
     安倍政権は昨年、公的年金改革法案という名の「年金カット法案」も強行採決している。
     これにより年金支給額は現在より5.2%も減少。国民年金は年間約4万円減、厚生年金は年間約14.2万円も減る。
     既に安倍政権はこの4年の間に公的年金を3.4%減らし、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げている。
     生活保護受給水準以下で暮らす高齢者は5年間で約160万人増え、高齢者全体の25%を占めている。そこへ年金カット法が施行されれば、間違いなく貧困高齢者は急増していくことだろう。
     安倍政権は2014年12月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直し、国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、リスクの高い株式投資の比率を50%まで高めた。
     株価を操作して好景気を偽装し、消費増税の口実を作るためであり、要はアベノミクスの「成果」を捏造するために、国民の年金をバクチにぶっ込んだのだ。
     そしてその結果、たった15カ月間で公的年金積立金が10.5兆円も運用損失で消えてしまった。
     年金カット法案とは事実上、この株式運用の失敗のツケを国民に回し、年金支給額を減らすことで帳尻を合わすための「制度改革」なのである。
  • 「思わせぶりなロシア蝶に騙される安倍オヤジ」小林よしのりライジング Vol.206

    2016-12-27 23:15  
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     12月15、16日に行われた日露首脳会談は、合意内容を「共同声明」「共同宣言」で発表せず、「プレス向け声明」になり、しかも日ロが別々に発表した。
     これだけ見ても国家間の重要な合意や契約がなされたものではないと、マスコミは本来、分かっているはずなのだ。
     完全なる日本の外交敗北なのだが、マスコミは官邸にとって不都合なことは書かないようにした。いかにマスコミが安倍政権に操縦されているのかよく分かる。
     北方領土については歯牙にもかけられない全くの「ゼロ回答」だったのに、「共同経済活動」の名の下に3000億円規模ともみられる「経済協力」をするという。それが領土返還への新しい第一歩だと言うのだから、馬鹿も休み休み言えという話だ。
     この会談の前、メディアには今度こそ北方領土が帰って来るという怪情報が乱れ飛んだ。
     きっかけは9月23日の読売新聞のこんな記事である。
    政府は、ロシアとの北方領土問題の交渉で、歯舞群島、色丹島の2島引き渡しを最低条件とする方針を固めた。平和条約締結の際、択捉、国後両島を含めた「4島の帰属」問題の解決を前提としない方向で検討している。  従来、日本政府が条件としてきた「4島の帰属」、すなわち4島を日本の領土だと認めさせることにはこだわらず、まず2島返還を優先させるという。要するに、鈴木宗男が唱えてきたやつだ。
     ムネオは最近安倍首相と頻繁に会い、ロシア問題の「ブレーン」的な存在になっている。その入れ知恵で官邸は 「帰属先送り・2島先行返還」 に舵を切り、それを読売にリークしたのだろう。
     ムネオは9月28日に行われた日本外国特派員協会の会見でも、日露首脳会談で安倍が北方領土問題について「大きな決断」をし、プーチンも「必ず答えてくれる」と大風呂敷を広げた。そして先の読売新聞の記事についても、確度が高いと評価していた。
     これによってメディアは加熱したが、特にすごかったのが小学館の「週刊ポスト」と「SAPIO」だった。
     
     週刊ポスト10月14・21日合併号は「北方領土が、本当に、戻ってくる!」という特大タイトルで、 「…どうせ戻ってきやしないと諦めていなかったか。だが戦後70年を過ぎた今、いよいよ本当に戻ってくる可能性が現実味を帯びてきた」 とぶち上げた。
     SAPIO12月号は「北方領土返還で日本が変わる 世界が動く」と題し、「いま我々は、歴史の目撃者になろうとしている」と興奮し、捕らぬ狸の皮算用で返還後のシミュレーションまでしていた。
     両誌に登場して、今度こそ北方領土交渉は進展するだろうと煽りまくったデマゴーグが、鈴木宗男の子分の佐藤優だ。結局のところ両誌とも、性懲りもなく鈴木・佐藤に騙されたわけだ。
     こうして期待値だけがやたらと釣り上げられたにもかかわらず、大山鳴動して鼠一匹すら出て来なかったものだから、安倍は今さら何もナシでは引っ込みがつかず、せめて「経済協力」だけでもと突っ走り、結局はカネだけ持って行かれるという惨憺たる事態となってしまったのだ。