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記事 12件
  • 「『SAPIO』に出てきた幼稚な逆賊」小林よしのりライジング Vol.211

    2017-02-08 14:00  
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     皇統問題を巡る八木秀次との「激突対論」の後半戦を掲載した、「SAPIO」3月号が発売された。
     その概要は、既にライジングVol.204「いると言い張るカルト信者と会った」
    http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1154872
    に書いているが、八木本人の発言が活字になったことで、改めてそのイカれ具合も露わになったと思う。
    「政府はまだ把握していないかもしれませんが、旧宮家のトップクラスが、皇籍復帰の意向を持つ方を把握していると聞いています」
     誰に聞いたんだ? 「旧宮家のトップクラス」って、どこの何者? 証明が一切ない!
    「ご結婚を機に旧宮家の男性を当主とする宮家を創設し、眞子さまや佳子さまが妃殿下となる。これは過去にも例があります」
     男系宮家創設のためだけに、眞子さま、佳子さまを本人のご意思と関わりなく、旧宮家の男性と結婚させる? 呆れかえる。勝手に妄想しているだけなのだ。
     それで、本当にそんなことができるのならさっさと実現しろと迫ったら、八木はこう言う。
    「まあ、政府がちゃんと検討すると思いますよ」
     たちまち「他人事」になってしまうのだ!
     他にもツッコミどころは山ほどあるが、とにかくここまで底抜けのウルトラ馬鹿が、この世に棲息していることが信じられない。こんな発言に、説得力を感じる者などいるのだろうか?
     この「激論」を含む特集のタイトルは「安倍首相は天皇陛下の逆賊か」である。タイトルは大変良い。
     もちろん高森明勅氏の「いまだ『譲位』に反対する者よ 陛下の責任感への感謝はないのか」も非常に良い。
     だが、生前退位に関する他の記事の質は、恐ろしく劣悪だった!
     元TBSワシントン支局長・山口敬之の文章は、完全に陰謀論で書かれたトンデモ文だ。
     何しろこの男、「譲位」ではなく「生前退位」という言葉が使われたことまで 「この耳慣れない言葉に、この問題を巡る官邸と宮内庁、皇族との長年にわたる交渉と軋轢が見え隠れしている」 と勘ぐり、こんなムチャな深読みをする。
    「譲位」という言葉が、「生前退位」という言葉にすり替わっていた。「皇位を譲る」という政治的ニュアンスを極力少なくする為に、「自ら皇位を降りる」という個人的行為に寄せていく工夫が垣間見える。それはひとえに天皇の国政不関与という壁を乗り越える工夫であり、見方を変えればなかなか譲位への動きが始まらない状況に対する皇室並びに宮内庁幹部の苛立ちを映してもいた。
      映してません!!
    「生前退位」は、法学的用語として既に70年以上、憲法の注釈書などで普通に使われてきた言葉だ。
    「譲位」の方が歴史的用語として一般的になじみがあるが、「生前退位」もそれなりの由緒と根拠がある言葉であり、特別な意図のために「工夫」された造語ではない。
     今回は、「退位」は天皇の崩御と一体というのが一般的な認識になっているから、わかりやすくするためにあえて「生前退位」の語が使われただけのことだろう。
     山口は、「譲位」には「政治的ニュアンス」があり、憲法に定められた「天皇の国政不関与という壁」に抵触すると思い込んでいるが、これは完全なる無知である。
  • 「いると言い張るカルト信者と会った」小林よしのりライジング Vol.204

    2016-12-13 19:05  
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     12月7日、八木秀次と2時間半にわたる、決して交わることのない激論をしてきた。
     その前半は天皇陛下の生前退位、後半は女性・女系天皇についての議論となり、これは「SAPIO」の2月号と3月号に掲載される予定である。
     しかしあれだけの議論を限られた紙面でまとめるのはかなり無理がありそうだし、後半部分が読者の目に触れるのは相当先のことになってしまう。わしは対談して気になったこと、感じたことはすぐ表明しておきたいと思ってしまうので、実にもどかしい。
     以前、対談して思ったことをすぐブログに書いたら、香山リカが「まだ発表されていない対談について発言するのはルール違反だ!」とか言って噛みついてきたことがある。そんなルールが本当にあるのかどうかも知らんが、この「ライジング」なら読者も限定されているから書いてもいいだろう。読者諸君は「SAPIO」が発売されたら、これがどういう記事にまとめられたか確認してみるといい。
     八木はあくまでも「Y染色体」を信奉しており、旧宮家子孫の男系男子国民を皇族にすれば、男系男子限定による皇統維持は可能だと言い張った。
     そこでわしは、そもそも皇族になってもいいという旧宮家系国民男子が実在するのかと問い質した。
     すると八木は、戦後に皇籍離脱した11宮家のうち4家が存続していると言う。竹田恒泰のように、「11宮家」が今もあるかのようなウソを平気で言うよりはまだマシだが、これでは話にならない。
      旧宮家系の男系男子は、確かにどこかにはいる。だがそれだけではダメで、その中に皇族になってもいいという者がいなければならないのだ。
      宇宙人は、必ずどこかにはいる。宇宙には無限の星があるのだから。しかし宇宙人が地球に来ていると言われたら、わしは信じない。いるなら見せてみろと言うしかない。
     それと全く同じことで、皇族になる旧宮家系国民男子がいるのなら、記者会見して見せろとわしは八木に迫った。
     すると八木は、「できない」と言うのだ。
     八木は、記者会見なんかしたらその人をバッシングするだろうとわしに言った。
     バカ言っちゃいけない。わしにその人物の素性を調べる時間なんかあるわけがなく、バッシングなんかやれるはずがない。だが、わしがやらなくても週刊文春がやるだろう。マスコミは必ずその人物の素性を徹底的に洗うはずだ。
  • 「我々は天皇陛下に従うのみである」小林よしのりライジング Vol.203

    2016-12-06 21:40  
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     天皇陛下の生前退位(譲位)について、政府の「有識者会議」による、16人の「学識経験者」に対するヒアリングが終わった。
     このヒアリングに登場した安倍晋三お抱えの言論人をはじめとする、自称保守派の者たちは口を揃えて、天皇陛下の譲位には論じるべき問題が非常に多く、大変な時間がかかると言っている。
     だがそれは、完全なウソである。
     複雑な議論など必要ない。
     論点はたった一つ。そしてその答えは、二つに一つである。
      天皇陛下のご意思に従うのか、刃向かうのか。これだけだ!
      わしは断固として、天皇陛下に従う!
     8月8日のお言葉で、天皇陛下のご意思はもう疑う余地はなくなった。
     陛下は譲位を望まれており、摂政や臨時代行を完全に否定されている。
    そして一代限りの特措法ではなく、皇室典範改正による制度の恒久化をお望みであり、それを平成30年には実現させたいと願っておられる。
     わしはこのご意向に従う。
     逆にこのご意思に従わないということは、たとえどんな理由をつけようとも、ただ天皇陛下に刃向かっているだけである。どんなにもっともらしいことを言おうとも、その者は単なる反逆者である。
     例えば八木秀次は「有識者会議」のヒアリングで、天皇の自由意思による退位を容認すれば「皇位の安定性を一気に揺るがす」と強調し、一代限りの特措法すらも認めず、天皇の退位を完全に否定した。
     天皇陛下のご意思に、真っ向から刃向かったのである!
    そもそも八木は、自分がどれだけ不敬なことを言ったか、わかっているのだろうか?
     八木は、天皇陛下のご意思どおりに譲位を認めたら「皇位の安定性を一気に揺るがす」と言ったのだ。
      つまり八木は、天皇は「皇位の安定性を一気に揺るがす」間違った発言をしたと断言し、 「皇位の安定性」については、天皇よりも自分の考えの方が正しいと言ってのけたのだ!
     よくここまで思い上がることができるものだ。 
     なぜこんなことを平気で言えるのかというと、「皇位の安定性を一気に揺るがす」云々というのは、単なる建前に過ぎないからだ。一切本気ではない発言だから、それが何を意味することになるのか深く考えてもおらず、不敬だということにすら気づいていない。
     八木が譲位に反対している本当の理由は別にある。他の自称保守派も様々な論点があるかのように言い募っているが、それらも同様に全部カムフラージュであり、真の理由はたった一つだ。
      連中の本音は、「女性・女系天皇に道を開くことになるからイヤ!」という、これだけに尽きる。
  • 「タネと畑というトンデモ説の正体」小林よしのりライジング Vol.196

    2016-10-11 21:05  
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     先週は「女性の活躍で圧勝した『朝ナマ』の議論」と題して、9月30日深夜の「朝まで生テレビ! 激論!象徴天皇と日本の未来」における、弁護士の萩谷麻衣子さんと、国際政治学者の三浦瑠麗さんの発言を中心にまとめた。
     だがその議論にはもう一人「女性」が参加していた。皇位の男系継承固執を主張した、「次世代の党」前衆議院議員、杉田水脈(みお)氏である。
     今回は、その杉田氏の意見を検証してみよう。
    杉田「男系継承っていうものは、今までずっと続いてきたもので、これは、私はちゃんと尊重すべきだと思っておりまして、このまま続けていくべきだと思っています。
    その理由といたしまして、この男系継承というのは、実は、よく女性差別だと、この間も国連の女性差別撤廃委員会でそういうことを触れられたというような問題もあるんですけれども、女性差別だと言われるんですが、実はこれは男性を排除してきたのであって、女性差別ではない」
     さっそく竹田恒泰のコピペである。
     最も尊い「天皇」になれるのは男性だけ、女性はダメ、女系はもっとダメと言ってるのだから、女性差別に決まっているではないか。 
    杉田「結局、日本女性は、誰でもプリンセスにはなれるんですよ。だけれども、男性は、皇室に入ることは出来ないわけですね、男系でつないで…」
     プリンセスという言い方は美しいが、実態は「産む機械」に過ぎない。しかも「男子を産む機械」ではないか。
     男性は「産む機械」の役割りが果たせないから、必要ではないというだけのことだ。
    杉田「それで、これは何かというとやはり私は、男性の野心、本能的野心を食い止める歯止めだったんじゃないかと思ってます。というのは、結局、男性はね、よく聞くのは本能的に、自分のタネを子々孫々残したいという方はたくさんいらっしゃいますけど、女性でそういうことを言う方いらっしゃらないですよね」
     男性は野心がある、つまり主体性を持っている。
     女性は安心、野心がない、主体性がないという考え方を無意識に信じているが、これも男尊女卑である。
    杉田「そこは、私は男性と女性の違いだと思っています。これはほんとに本能的な違いだと思ってまして、渡部昇一先生なんかは、男性はタネで女は、あの、女性は畑だとおっしゃるんですけれども、」
     おっと、今度は渡部昇一のコピペである。
     わしはここで、思わず「それアホだよ! アホ!」と馬鹿にしてしまった。
    杉田「でもそれは渡部昇一先生だけがおっしゃっているわけではなくて、江戸時代なんかの子供向けの図鑑なんかに、そういう人体とかをちゃんと男性と女性の違いというのを図解した中にも、そういった記載がちゃんとあるんですね」
     あまりにもバカバカしい。わしはここで、稲の種子は、種子の中に雄しべと雌しべが入っていて自家受粉される、畑は関係ない、理科で習うことだと、手っ取り早い説明で言ってしまったが、実は正確ではない。
     あとで正確な知識を書こう。
  • 「女性の活躍で圧勝した『朝ナマ』の議論」小林よしのりライジング Vol.195

    2016-10-04 19:45  
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     9月30日深夜、「激論!象徴天皇と日本の未来」をテーマに行われた『朝まで生テレビ!』に出演した。
     先月に引き続き2か月連続の天皇をめぐる討論になるが、今回は向かい側に「Y染色体カルト」のツートップ、八木秀次と竹田恒泰がそろい踏みである。
     どうなることかと思ったが、相変わらず竹田が天皇陛下の生前退位を一代限りの特措法で「一発でバシッと解決」などと乱暴な主張を繰り返すのに対して、冒頭で八木が特措法にはっきり反対したので驚いた。
     八木はさすがに憲法学者の矜持は残っていたのか、「特措法では裏口入学と裏口即位になる」ということまで認めたので、竹田はすっかり機先を制せられた形となり、議論が進んでいった。
     今回の「朝ナマ」で特に活躍したのは、先月に引き続き登場した弁護士の萩谷麻衣子さんと、国際政治学者の三浦瑠麗さんである。今回はこの女性二人の発言を中心に、議論をまとめておこう。
     萩谷氏は、皇室典範の改正をせずに、特措法で譲位を実現してしまった場合に生じる問題点を列挙した。
     まず皇室典範第8条には 「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という」 という規定しかなく、 皇太子殿下が即位した場合には、秋篠宮殿下は「皇太子」にも「皇太弟」でもなく、単に「秋篠宮家の当主」という扱いにしかならない。
     
     そうなると、第11条2項に 「親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」 とあり、 秋篠宮殿下も悠仁さまもこの対象となるから、皇室を離れることが可能となってしまう。
     
      さらには皇室経済法の内廷費の問題がある。皇室典範を変えなければ秋篠宮家に「内廷費」は出ない。
     これらの点について、皇室典範に付則をつけて皇太子を皇太弟に読み替えるというようなやり方では済まず、 皇室関連法の整合性を取るには皇太子の定義そのものを皇室典範で変えなければ駄目だと説明した。
     
     萩谷麻衣子さん、まったく凄い!
     秋篠宮殿下を「皇太弟」にするなら、典範改正しかなく、特に「内廷費」の問題は大きく、現在、皇太子一家が住む「東宮御所」には秋篠宮家とは比較にならない額の「内廷費」が出ている。
     典範改正をしないまま、秋篠宮殿下を「皇太弟」と見做し、皇太弟としての公務をお願いしておきながら、今のまま「皇族費」でやり繰りして頂くなど、秋篠宮殿下に対しても失礼である。
     さらに、皇太子殿下が即位して天皇になり、愛子さまが皇太子になれないとなると、東宮に勤めていた膨大な職員が首になってしまうのだが、果たしてそんなことが出来るのか?
     愛子さまが皇太子殿下になれば、東宮職が今まで通り必要になるわけだ。
  • 「『医療の発達』に男系男子の出生を期待する愚」小林よしのりライジング Vol.193

    2016-09-20 22:45  
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    「我皇統ノ天壌ト極リナク、綿々継承スル所ノモノハ、妾ノアルヲ以テナラズヤ」
     これは、明治13年の元老院会議録に記載されている義官の発言である。旧皇室典範制定に関する議論のひとつに「天皇の侍妃制」があった。冒頭の言葉のとおり、 「天皇の親族に妾(側室)を加えるべき」 という考え方に収まっていった。
     実際に、側室がなければ成り立たなかった。明治天皇は皇后との間に子がなく、5人の側室との間に10女5男をもうけたが、内10人が乳幼児のうちに脳膜炎で亡くなり、生き残った男子は大正天皇ただひとりだった。
     皇室に限らず、 明治から大正にかけては《出生率》も《乳幼児死亡率》も高い「多産多死」の時代。 旧皇室典範制定に関する皇位継承論争も、あくまで「側室ありき」で、 一般社会にも「お妾」は公然と存在 していた。
      世は昭和から平成と移り、《乳幼児死亡率》は劇的に低くなった。しかし、だからと言ってぽんぽん産んでどんどん育てまくっているというわけではない。同時に《出生率》も下がって「少産少死」の時代 となったのだ。国民のほとんどは、「夫婦と子」の核家族。
     そのうえ、 落語家から歌舞伎役者まで、女遊びを非難されるような国民感情が席巻 している。
     中村橋之助と芸妓の仲まで「不倫」とされたのには、かなり仰天した(三田寛子のよどみない完全無欠のしゃべりっぷりにも仰天したけど)。歌舞伎役者の女遊びがそんなに問題だと思うなら、小林麻央の闘病ブログを「感動ポルノ」として骨の髄までしゃぶりつくすゲスさに乗じて、あらためて市川海老蔵に婚外子がいることを掘り起こして問題視したらどうかと言いたい!
     あきれるところもあるが、これが現代の国民感情なのだから、国民同様に核家族でいらっしゃる現代の皇室においても、もし側室が置かれるなどということになれば、奇異の目で眺める国民が大多数となるだろう。
      皇室に対して「まったく別世界の変わった世界の人々」「大奥みたいなところ」という現実生活と乖離した感覚が持たれるようになり、今上陛下が人生をかけて築き上げられた「象徴天皇像」そのものも崩壊する恐れがある。
    ◆一人の女性から人権をはく奪して「産めるだけ産め、男子を」と言えるのか?
     なによりも大事なのは、 いずれの皇族方も、それぞれ「たまたま女子」「たまたま男子」としてお生まれになった 、ということだ。天皇陛下も、皇太子殿下も、秋篠宮殿下も、悠仁親王殿下も、みなさま「たまたま男子」なのである。
     現状の男系男子限定のまま、 安定的な皇位継承 を実現しようとするなら、いずれ悠仁さまとそのお妃さまに 「皇位継承者はもちろん、新宮も増やしたいので、産めるだけ産んでほしい。男子を」 などと無理な要求を突き付けることになる。やはり、 常識的には、男系男子限定は側室とセットでしか成立させられない、という結論が現実 なのでは?
     しかし、男系男子限定派は 『側室』 という単語が飛び出すなり、即座にこう主張する。
    日本大学法学部教授・百地章氏
    「側室の問題ですが、昔は生まれてすぐに亡くなったと言いますが、医学が進歩すれば立派に生まれる時代なんですから、その問題はありません」
    明治天皇の女系の玄孫で父親の代から生まれも育ちも皇族だったことは一度もない、せいぜい「旧宮家系」ぐらいとしか言えない完全なる一般国民・竹田恒泰氏
    「かつて医学が未発達の時代、出産は危険なものでした。無事に出産を終えたとしても、幼児の死亡率は極めて高く、生まれた子供が成人することは難しいものでした。 そのため、天皇は多くの女性との間にたくさんの子供を儲けることが求められたのです。 その点、現在では医療が発達し、出産の危険性と幼児の死亡率は極端に低くなりましたので、庶系に皇位継承権を与えなくても、皇位継承は可能であると考えられます」
     男系男子限定派なら、誰でも『側室』ボタンを押せばこういうセリフが自動再生される仕組みになっていると思う。
     不気味なのが、両氏とも、 明治の多産多死時代を振り返って、《乳幼児死亡率》は下がったということしか言っておらず、「安定的に男子が生まれる」という根拠はなんら提示していない。
  • 「天皇は『Y染色体を入れる器』か?」小林よしのりライジング Vol.192

    2016-09-13 22:40  
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     9月11日、「天皇陛下のお気持ちをなぜ叶えないのか?」と題して第58回「ゴー宣道場」を開催した。
     当初の予定にはなかった緊急開催で、先月の関西道場に引き続き天皇陛下の生前退位がテーマである。
     安定的な皇位継承が実現するよう支援することを最重要のテーマとして掲げてきたゴー宣道場としては、事態が切迫しているいまこの問題を出来る限り議論していく以外にない。
     それにしても日本の歴史上、一般国民がこれほどまでに天皇陛下に堂々と盾突くことのできる時代などあっただろうか!?
     天皇陛下の「玉音放送」である8月8日のビデオメッセージで、陛下はお言葉の最後に 「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話ししました」 とおっしゃり、 「国民の理解を得られることを、切に願っています」 と締めくくっておられる。
     あのお言葉は、自らの高齢化による譲位が入り口であり、その出口は皇位の安定的継承を願い、それを国民に託すというものになっている。
     本当なら、これを聞いてすぐにご真意を拝察し、皇室典範を改正して譲位の制度化に向かう以外にないのである。
     ところがこのお言葉を受けても、政府は制度化ではなく「一代限り」の生前退位を、しかも特措法で実現してしまおうとしており、皇室典範には手を付けずに済まそうと目論んでいる。
     そして「保守」を騙る者たちがこれを支持しており、それどころか中には生前退位そのものにも反対し、天皇陛下が間違っていると公然と主張する者までいるのである。
     わしはこういう者たちを「逆賊」と呼ぶ。そもそも彼らはこんなことを天皇陛下に面と向かって言えるのだろうか? そこまでの諫言をするのなら、作法として切腹しなければいけないくらいの大ごとであるのに、彼らは何の覚悟もなく、平気で言ってのけるのだ。
     自称保守派は、天皇は祭祀と国事行為さえしておけばいいと主張し、今上陛下が最も重視してこられた被災地ご訪問などの公務は、もともと必要ないとまで言っている。
      公務は天皇と国民が直接対話していくことであり、昔の天皇でいえば「国見」にあたる。
     古代国家の建設期、天皇は積極的に地方へ行幸(天皇の外出を「行幸」、複数個所を回ることを「巡幸」という)して「国見」をした。
     天皇は国見をしてよい言霊を放つことでよい国になるように祈り、その際に詠んだ国褒めの歌がいくつも残されている。そして、天皇は国見によって支配下の国の様子を知り、在地の主張と服属儀礼を結んだのである。
     近代国家の形成期にも、明治天皇が全国を巡幸し、人々に新たな時代の到来を実感させると共に、地方の民衆を統合して近代国家建設のために効果を上げた。
     そして明治天皇が崩御し、明治神宮が建設される際には、生前の天皇のご厚情に報いようと全国から10万本もの献木が寄付され、15万人ものボランティアが手銭手弁当で上京し、広大な鎮守の森を人手によって造り上げたのである。
     戦後の混乱期にも、昭和天皇が自らのご意思で、国民を慰め、励まし、復興に立ち上がるための勇気を与えるために全国をくまなく巡幸している。この時の天皇と国民の触れ合いは『昭和天皇論』に描いた。
      今上陛下は歴代の天皇の国見に学び、象徴天皇として国民と共にあるという姿を作るためには公務が絶対に必要だとお考えになり、地方巡幸などの公務を増やしてこられたのだ。
     だが自称保守派は天皇が公務として全国に出かけ、国民と触れ合うこと自体に反対している。なぜなら自称保守派の連中は、いつでも自分たちに都合よく天皇を政治利用できるようにしておきたいというのが本音であり、そのために、天皇と国民の間を分断させておきたいのだ。
     だから自称保守派は、天皇が勝手に公務を増やしてしまったのであり、高齢なら減らせばいい、天皇は祭祀と国事行為だけやっておけばいいのだと言うのだ。 
      だがこれは、今上陛下が長年にわたって全身全霊をかけて築いてこられた象徴天皇像を根本から叩き壊そうとしているに等しい。今上陛下の人生を全否定しているに等しいのである!
  • 「障害者は感動的な人ではないから恐れるな」小林よしのりライジング Vol.191

    2016-09-06 22:35  
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    「Vogue」という女性誌がパラリンピックのPRのために、健常者の腕と脚をPhotoshopで消した写真を掲載した。これが批判されているようだ。

      (当該のインスタグラム画像)
     なぜ障害者のモデルを使わなかったのか、ということだろうが、多分、健常者のモデルの方がカッコ良かったからだろう。
      モデルはひたすら美形が求められる。 人格なんて関係ないし、日本の雑誌でも外人ばっかり使っていたときがあっただろう。日本人よりも外人の方が美形だったからである。
     最近は日本にもハーフが多くなってきて、美形が多くなってきたから、雑誌もモデルを見つけやすかろう。そもそも栄養状態が良くなってきて、椅子の生活になったから、足が長くてスタイルのいい若者も多い。
    「Vogue」の意図がどこにあるか知らないが、そんなことはどうでもいい。美醜にこだわる媒体は、障害者の選手の中にたまたま美形がいなかったら、健常者をCG加工で障害者に偽装させたりもするのだ。これは悪い行為なのだろうか?
     日本人のモデルの代わりに外人を使うのはよくて、障害者のモデルの代わりに健常者を使うのは悪いことなのだろうか?どうにも解せない。
  • 「花形満の時代、星飛雄馬も左門豊作もいない」小林よしのりライジング Vol.190

    2016-08-30 21:10  
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     先週に引き続き、リオ・オリンピックのメダルラッシュから考察を進めてみたい。
     先週、今回のメダリストたちにはナショナリズムの感覚が希薄だと指摘したが、もう一つ彼ら・彼女らに希薄…というより、もはや皆無だと感じたものがある。
     それは 「ハングリー精神」 である。
     読者の中に知っている人がどれだけいるか分からないが、60年代後半から70年代の初頭にかけて、『巨人の星』という漫画が大ヒットした。
     スポーツ根性漫画の最高峰で、梶原一騎原作、川崎のぼる作画、アニメも大人気だった。
     この作品の主人公・星飛雄馬は、父親が元プロ野球選手で今は日雇い人夫の貧乏家庭に育ち、そこから「ハングリー精神」でのし上がっていった。
     なにしろ父親が何かというと癇癪起こしてちゃぶ台返しをするシーンが有名になり、息子・飛雄馬に大リーグ養成ギプスをつけて生活をさせるという、今なら児童虐待で放送できないスパルタ教育をしていたものだ。
     また、そのライバルには両親を早く亡くし、5人の弟妹を自分一人で養うために、泥まみれで這い上がろうとする貧乏人の左門豊作というキャラもいた。
    『巨人の星』が大ヒットした60年代後半は、そういう貧乏から「ハングリー精神」でのし上がっていこうという時代だったのだ。
     しかし、今のスポーツ選手は貧乏からの脱出のために能力を磨いた者たちではない。逆に豊かだからこそ、恵まれた家庭環境で好きな競技の練習に没頭し、才能を伸ばすことができた者たちである。
     金メダルを取るには露骨なまでにカネが要る。まず中流以上の家庭で英才教育を受け、才能を開花させて、優秀なコーチやトレーナーに託された選手が、オリンピックに出場できるまでに育つのである。
     実は過去のデータから、オリンピックの金メダルの数はその国のGDP総額でだいたい決まるということは確認されているのだ。
  • 「オリンピックに見る女性の時代とボコハラム」小林よしのりライジング Vol.189

    2016-08-23 20:55  
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     わしはナショナリストだが、オリンピックに関心が強い方ではない。
     テレビで中継を見始めてしまうと仕事にならなくなるから、あえて関心を持つまいとしてきたということもある。
     わしは女子マラソンのファンだったので、オリンピックでもそれだけは見ていたのだが、最近では日本人の有力選手がいなくなってしまったので、関心を失ってしまったというのも大きい。
     ところが今回のリオ・オリンピックでは、女子選手の活躍につい興奮し、感動までしてしまった。
     特に卓球の福原愛、石川佳純、伊藤美誠の活躍とその背景を見ていると、昔の日本人とはずいぶん違ってしまったなあと感慨深い。
     昔の根性論は、例えば『巨人の星』のように、親父が息子をスパルタ教育するものだった。それは戦時中に軍隊教育を受けた親父が多かったからという事情もある。
     わしの父も、戦時中は徴兵にとられて軍事教練を受けていたし、わしが小学生の頃は、学校の先生も戦時中の体験があるから、スパルタ教師が多かったものだ。
     戦中派の教師が定年退職し、戦後派の教師と入れ替わるころには、『巨人の星』のような父と息子の根性論はやがてパロディのネタにされ、反戦平和教育の中で、スパルタ教師なんていなくなってしまっていた。
      だが今は、母が娘を根性論でスパルタ式に英才教育している。
     福原愛が母親の特訓を受ける姿は、幼児の頃からメディアに出ていたのでよく知られているが、石川佳純や、今回脚光を浴びた15歳の伊藤美誠も同様で、二人とも卓球選手だった母親から英才教育を受けている。
     伊藤が卓球を始めたのは2歳の時。母は伊藤が幼稚園の頃から毎日7時間程度の練習をさせ、どうしてもできない技術があったときは、夜遅くまで練習させることもあったという。
     石川が卓球を始めたのは6歳で、トップ選手になるためには早期教育が特に重要とされる卓球においてはやや遅いスタートだったが、それをカバーするために、母は自宅に卓球場を建てて練習させた。
     そして、伊藤も石川も過酷な練習を強いられているのに、母と仲が良く、母娘密着がものすごく強い。娘は母が自分のためを思って泣く泣くスパルタ教育をしているということを知っていて、それで母に感謝しているのである。
     レスリングでは伊調馨が、女子ではオリンピック全競技を通じて史上初となる個人種目4連覇を達成したが、伊調の場合も母の影響が強いという。
     伊調の家は父と兄姉がレスリング選手だったが、勝負に対する厳しさはむしろレスリング経験のない母から教わったものらしい。何しろ教育方針が 「勝負事には死んでも勝て」 だったというのだから、すごい母親だ。
     伊調の母は一昨年亡くなったが、伊調はその遺訓を噛みしめながら戦い、土壇場の大逆転でオリンピック4連覇を達成。「最後はお母さんが助けてくれた…」と泣いていた。
      いまは母が娘にスパルタ教育をしている。
      不思議なことに、いまはむしろ父がスパルタ教育をできなくなっているのだ。 伊藤美誠、石川佳純は父も卓球経験者らしいが、なぜかその存在はほとんど見えない。
     男がスパルタ教育をやると何か毛嫌いされてしまうし、父と息子がものすごく強く結びついていたら気色悪いという感覚になってしまう。今となっては『巨人の星』の世界などちょっとヘンタイかと思われそうなのだが、母と娘だったら、それが許容されてしまうのだ。
     リオ・オリンピックを見ていてさらにもう一つ、変わってきたと思うことがある。