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記事 3件
  • 「ゴジラの日本的価値観とは?」小林よしのりライジング Vol.97

    2014-08-19 11:00  
    150pt

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     現在公開中のハリウッド版 『ゴジラ』 は、快挙である!
     ハリウッドでゴジラ映画が製作されたのは2回目だが、前作1998年のローランド・エメリッヒ監督作品はゴジラとは名ばかりの「巨大イグアナ」の群れが暴れ回り、倒されるという映画で、大不評に終わった。
     この時は、やはり日本ならではのゴジラの概念は、アメリカ人には理解できないのかと思ったものである。
     ところが今回のギャレス・エドワーズ監督は、日本のゴジラの概念を完全に理解し、オリジナルの作品に十分なオマージュを捧げた上で新たな作品を作り上げ、これが全米で受け入れられて大ヒットしたのだ。
     こ れは、日本人の「ゴジラ」に込めた文化概念がアメリカ人の感性を侵略したことに他ならず、日本のアメリカへの文化侵略がまた一つ達成された瞬間を我々は目撃したことになる。
     ところが、日本にはこのハリウッド版『ゴジラ』を酷評する者がいる。例えば東京新聞8月13日付のコラム「大波小波」は、「 実際に見て驚いた。悪い冗談としか思えない 」とまで書いている。このコラムはこう言う。
    本来の日本の『ゴジラ』は、南方で死んだ兵士を悼み、核兵器の脅威を訴えるメッセージを持っていた。日本の映画人よ、一刻も早く本道に戻り、3・11以降の日本人の魂を鎮めてくれる『ゴジラ』を撮りあげてほしい。
     本来のゴジラは南方で死んだ兵士を悼んでいた???
     ゴジラ映画はわしも小学生の頃から見てきたが、そんなふうに思ったことは一度もない。
     今回のライジングは我がスタッフである「怪獣オタク」の時浦の知識を得て、執筆している。
     ゴジラが南方で死んだ兵士を悼んでいるというのは、実は評論家の川本三郎が言い始めた意見だそうだ。
     川本は『ゴジラはなぜ「暗い」のか』と題したエッセイでこう書いた。
    戦争で死んでいった者たちがいままだ海の底で日本天皇制の呪縛のなかにいる……。ゴジラはついに皇居だけは破壊できない。これをゴジラの思想的不徹底と批判する者は、天皇制の「暗い」呪縛力を知らぬ者でしかないだろう。
     わしにはイデオロギーの色眼鏡を通した無理すぎる深読みとしか思えないが、この説は民俗学者の赤坂憲雄が『ゴジラは、なぜ皇居を踏めないか?』という論考でさらに発展させ、怪獣マニアの一部に強い影響を与えた。
     実際、2001年の金子修介監督作品『 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 』ではゴジラを「戦争で亡くなった人々の怨念の集合体」として描いている。ただしそれはこの一作のみの設定で、これは決して「本来のゴジラ」ではなく、むしろ例外的なものである。
     第一作 『ゴジラ』 の製作者たちの話を見ても、ゴジラを戦没者の魂を悼む存在とする意図など全く出てこない。
      だが一方で、反核のメッセージは明確に語っている。 何しろ映画の企画が始まったのが 第五福竜丸事件 の直後だったこともあるし、監督の本多猪四郎は個人の体験からこのようなことをよく語っていた。
    原爆……僕が帰ってくる時にね、丁度、いよいよ負けて軍隊引き揚げて帰ってくる時に、広島を通ったんですよね。その時にね、70年間は絶対に此処には草1本生えないということを言われたでしょ。そういうものがやっぱり、気持ちの中にあるんですよね。原爆という物に関する憎しみみたいなものって言うか、こういう物作って、こんな物を次から次にやってたら、えらいことじゃないかという、そういう気持ちが、演出家としてね、あの『ゴジラ』を動かすのに……一つの迷いも出て来なかったわけですよ。  海底で眠っていたジュラ紀の生物・ゴジラが水爆実験によって目を覚ます。完成した映画ではどこの国の水爆実験かは明確にされていないが、香山滋の原作ではゴジラは明確にビキニ環礁からやってきたことになっている。
      だが、アメリカの核兵器への怒り、憎しみを表すのなら、なぜゴジラはアメリカを襲わず、よりによって唯一の被爆国である日本を襲うのだろうか? 
     これでは加害者を明確にしない広島平和祈念公園の「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の碑文と同じ「自虐史観」ではないのか?という疑問も湧く。
     しかし考えてみれば、ゴジラにとっては、自分を起こした水爆実験をやったのがアメリカ人か日本人かなんてことは、わかるはずがないのだ。
     自然界から見れば、環境を破壊しまくる核実験を繰り返す「人間」の存在そのものに怒りが湧くはずで、そこにアメリカ人だの日本人だのという区別はないだろう。
     そう、既に多くの人が指摘していることであるが、 ゴジラの本質とは、荒ぶる自然の神の象徴なのだ。
     自然災害は相手を選ばずに襲い来る、理不尽なものである。そう思えば、核兵器に対する怒りを表しながら、被爆国・日本が破壊されるという理不尽にも説明がつくわけで、一作目の『ゴジラ』はかなり優れた文明批評を含んだ映画だったのである。
      日本人にとって自然は畏怖すべきものであるが、欧米人にとって自然は征服すべきものである。 エメリッヒ監督版では欧米人の自然観を捨てられなかったためにゴジラが「巨大イグアナ」になり、人間に退治されてしまった。
     だが今回、イギリス人のエドワーズ監督は、はっきりこう語っている。
  • 「ハリウッド版ゴジラ公開記念!『ウル茶魔マンVSフクロコジラ』」小林よしのりライジングVol.96

    2014-08-12 22:50  
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    「小林よしのりライジング」
    『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
    毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
    【今週のお知らせ】
    ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!何にエロを見出すのかは後天的なもの?笹井教授が自殺…STAP細胞は本当に実現出来る?嫁いびりは必要?清潔感あふれる大人になる秘訣は?大島優子の写真集「脱ぎやがれ!」はもう入手した?国連で日本が常任理事国入りするにはどうすべき?印象に残ったホラー映画は?最近のディカプリオの演技をどう思う?出版予定だった「恋愛論」はどうなった?…等々、よしりんの回答や如何に!?
    ※ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今回は、先月のウィキペディアページにしつこく現われていた「寄付くれ攻撃」を添削!さらにウィキペディアが公開している決算情報を添削したところ、驚くべき事実が判明!寄付を受ける資格はあるのか!?
    ※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」あぎゃ~~~~~~~~~~~おっ!ハリウッド版ゴジラ公開記念お題でしゅ!「ウル茶魔マンvsフクロコジラ」のMVPは誰でしゅか!?
    【今週の目次】
    1. しゃべらせてクリ!・第56回「決戦!ウル茶魔マンVSフクロコジラの巻〈後編〉」
    2. よしりんウィキ直し!・第25回「ゴーマニズム宣言⑭:『天皇論追撃篇』(新天皇論)⑪」
    3. Q&Aコーナー
    4. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
    5. 読者から寄せられた感想・ご要望など
    6. 編集後記
    第56回「決戦!ウル茶魔マンVSフクロコジラの巻〈後編〉」   ♪帰ってきたぞ、帰ってきたぞ、ウル茶魔マ~~~ン!
      ウルトラマンと帰ってきたウルトラマンは、なじぇ別人かというと、もともとは本当に最初のウルトラマンが帰って来る話にするはずだったのに企画が変わって、タイトルだけ残っちゃったからでしゅ。
     こりが運命の分かれ目、それからウルトラマンはボコボコ増えていっちゃって、いま一体何十人?何百人?
     ウル茶魔マンは、断じて一人ぶぁ~い!
      そんでは後編スタートでしゅ!
  • 「【佐世保女子殺害事件】必要なのは“エクソシスト”だ!」小林よしのりライジング Vol.95

    2014-08-05 20:45  
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     長崎県佐世保市で高校1年生・16歳の少女が同級生を殺害し、死体の頭部や手首を切断し、腹部を切り裂くという、何とも猟奇的な事件が起きた。
     佐世保市では10年前にも、当時小学6年生の女児が同級生の女児の首をカッターナイフで切りつけて殺害する事件が起き、それ以来、市は「 命を大切にする教育 」を徹底してきたそうだが、それでも再びこのような事件が起き、教育関係者たちは大きな衝撃を受けているらしい。
     だが、「命を大切にする教育」なんて全く無意味であることなど、最初からわかりきっていた話ではないか。
     佐世保市ではこの10年間、すべての小中学校を対象に、毎年6月を「 いのちを見つめる強調月間 」と定め、1ヶ月間もの長期にわたって「 命を大切にする教育 」を重点的に行なってきたという。
     初日は全校で校長が生徒に向けて、命の大切さに関する講話を行い、校内を1週間開放して、道徳の授業を保護者や地域住民にも見てもらえるように公開。
     さらに学校ごとに「 命を大切にする教育 」の活動が行われており、比較的多いのは長崎平和公園や原爆資料館の見学や、佐世保空襲の体験者からその様子を聞いて生命の尊さや戦争の悲惨さを学ぼうという企画だそうだ。
     他にも命を題材にした本の朗読会とか、思春期の心の健康に関する講演会とか、あるいは地域や保護者との親睦を図るための球技大会、「健康な体作りを目指す」歯みがき指導というものもあるのだとか。
     佐世保市の教育委員会は「10年間の取り組みは無駄ではなかったと思いたい。各校は真剣に取り組んできました」と語っている。だが、いくら真剣に取り組もうが、無駄なものは無駄なのだ。
     今回の殺人女子高生は、「 人を殺して解剖してみたかった 」と供述している。中 学生の頃に猫を殺して解剖し、人間でもやってみたいと思っていた のだという。
     これで連想するのが、平成9年(1997)に神戸市須磨区で「 酒鬼薔薇聖斗 」を名乗る当時14歳の少年が起こした連続幼児殺害事件である。
     あの頃、マスコミ・識者はこの事件の「本当の原因」を探るとして、様々な説をばらまいた。「教育」の責任だという声も大きく、当時の文部大臣は「 心の教育の重要性を痛感している 」と異例の談話を発表した。
     無責任な珍説も数多く、社会システムの問題であり、専業主婦を廃止すべきだという意味不明な説を言い出す知識人やら、事件が起きた神戸市須磨区を詣でて、そこが人工的なニュータウンだったことがいけないなどと言い出す者やらが続出。
     この言論の紊乱状態は看過し難いものがあり、わしは『新ゴーマニズム宣言5巻』の描き下ろし特別編で言論総チェックをやった。今となってはこれも貴重な時代の記録である。
      結局、神戸の少年Aの犯行の動機は「性的サディズム」であり、少年は殺人の瞬間、射精していたという身も蓋もない事実が明らかになった。 教育も社会システムも、もちろんニュータウンも何も関係なかったのだ。
     さすがに神戸少年A事件の教訓からか、今回は佐世保の街に原因があるなどと言い出す者はなく、これは「 快楽殺人 」であり、教育ではなく精神医学の領域だということは、ある程度了解事項となっているようだ。
     ここで問題となるのは、「親の責任」をどう考えるかということである。
     週刊文春は、少女は母親が病死して間もないうちに父親が再婚したことを、どうしても許せなかったようだと書き、この家庭環境が凶行の引き金であったかのように示唆した。
     だがこれに対して少女の弁護人は「事実と異なる」との見解を発表。接見で少女は「 父の再婚には賛成だった 」「 父を尊敬している 」「 母が亡くなって寂しく、新しい母親が来てうれしかった 」「 すぐに慣れ、仲良くしていた 」と話したという。
     そもそも少女の問題行動は、昨年10月に前の母親が死亡するよりずっと以前から始まっている。 少女の異常性は先天性のものであった可能性が高く、もしそうだとすれば、親が原因とも言えない。この少女が全く個人的に脳内に抱えてしまった病気が原因と言うしかなくなってくる。
     この種の異常者は、環境にも時代にも関係なく、ある程度の確率で出てきてしまうものだということは認識しておかなければならない。例えば「少年犯罪データベース」には、こんな事件が記録されている。