• このエントリーをはてなブックマークに追加

今なら、継続入会で月額会員費が1ヶ月分無料!

記事 3件
  • 「『バーチャル予約客』『お客様は神様だろ』…飲食店を追い詰める困った人達」小林よしのりライジング Vol.168

    2016-03-01 21:55  
    100pt

    電子書籍の機能を使用するには、記事を購入してください

    泉美木蘭のトンデモ見聞録 第1回「『バーチャル予約客』『お客様は神様だろ』…飲食店を追い詰める困った人達」 「なんだよお前、俺は客だぞ? 無視するなよ!」
     夜7時30分。表通りはまだまだ人影まばら。音楽バーの開店当番だった私は、開店前の掃除中に強引に入って来て、テキーラのショット一杯で1時間近く居座っている下品な一見客にうんざり来ていた。
    「なあ、初体験はいつ? 19か? ハタチぐらい? どんな体位だった?」
     初対面でいきなり延々とセクハラ質問を吐いて私の反応を眺めている男は、見たところ40代半ば。ドラマ『踊る大捜査線』の劇中で織田裕二が着ていたモスグリーンの“青島コート”を着込んでカウンターに肘をつき、背中を丸めて小さなショットグラスをちびちび舐めている。
    「うちはそういう店じゃないんです」――いくら丁重に促しても聞く耳を持たない。いい加減頭に来ていた私は、対応するのをやめて露骨に無視、箒を持って店内を歩きまわり、その客のそばを執拗に掃いて『帰れコール』を発していた。
    「姉さんはどんな体位が好きなんだ? 経験は何人? 3人? 5人? 50人か? 店終わったらどうしてる? なあ、今夜は俺の相手しろよ。3000円ぐらいならホテル代出してやるぞ。……おい、お前、相手しろよ。店員だろ? 俺は客だぞ? おい、聞けよ! お客様は神様だろうが!」
      ぶちり。
     完全にキレた。挑発してんのかもしれないが、どっちでもいい。箒を床に投げつけた。一歩前に出て、右手をブンと振りかぶり、私は男の股間をギュッと鷲掴んだ。
    「あら。ずいぶん大したことない神様ね」
     本当に大したことなかった。男は、後ずさって店を飛び出していった。
    ◇ ◇ ◇
    「ウハハハ! 掴んじゃったんだ。まあ、飲み屋は大変ですよねえ」
    「今度から、あーいうのが来たらすぐに物差し渡して『何センチですか』って聞いてやろうと思って。まったく、びっくりするよーなとんでもない人、いますよね」
    「ウン。全体的に『どこまで常識ないの?』っていう人は増えたように思いますね。うちも『外国人観光客お断り』にして少し落ち着いたんですけど、日本人もねえ……大概、困ったのがいますよ」
     新宿の片隅、カウンター8席だけの小料理店。50歳になったばかりの店主が、仕入れから仕込み、料理、接客までひとりでこなして7年目になる。
     昨年は、 急増した外国人観光客の困ったふるまいに悩まされ、このままでは店が潰れてしまうというレベルに至り、 『外国人観光客お断り』を宣言 (※) 。店の扉には、英語と中国語の張り紙が貼られている。
    (※ブログ『張り紙「外国人観光客お断り」のいきさつ。』を参照のこと)
    「うちも、新規のお客はどんどん入れようと思ってはいるんだけどね。
     たまたまネットの飲食店情報サイトの営業マンが来て 『ネットを制する者が商売を制する時代ですから』 ってしつこいもんだから、一度登録してみたんですよ。そうしたら、もう、そこから来るのが、困った人ばっかり……」
     ネットで飲食店を検索すると、店舗が運営するホームページのほか、 『食べログ』『ぐるなび』『ホットペッパー』『一休.com』など、利用者の口コミ情報やネット予約の仕組みを提供する情報サイト が必ず出てくる。
     ほとんどは、片っ端から飲食店を無料登録して巨大な情報サイトを作り、営業マンを派遣して店主を口説き落とし、有料の予約システムや広告の出稿を申し込ませることで利益を出しているようだ。
     月額料金を支払うことで、同ジャンルの多店舗より出現率をアップさせ、集客につなげるというサービスもあるらしい。
     たしかに、客にとっては、便利なサイトでもある。
  • 「中国人の爆買いに媚びを売る自虐的『おもてなし』を止めろ!」小林よしのりライジング号外

    2016-02-29 14:55  
    100pt

    電子書籍の機能を使用するには、記事を購入してください

    ゴーマニズム宣言 「中国人の爆買いに媚びを売る自虐的『おもてなし』を止めろ!」  爆買い目当てにやってくる中国人なんかを有難がる連中の気が知れない。
     先日、わしは銀座で映画を見たあとに目薬を買おうと薬局に入ったら、店内はものすごい数の中国人がたかっていてワーワー大声で話しており、商品を見ることもできない状態だった。
     この混雑が引いたら選ぼうと思ったのだが、いつになるやら全くわからず、呆然とするしかなかった。
     たまたまその時は、店員が気づいて何が必要ですかと声をかけてきて選んでくれたが、もう銀座では中国人爆買い客のせいで、目薬ひとつ自分では選ぶことができないのだ。
     京都では、祇園の道端に座り込んでいたり、舞妓さんの通り道をわざとふさいで写メ撮ったり、舞妓さんに直接触ってきたり、傍若無人の振る舞いをしている。
     清水寺の参道なんかは原宿の竹下通りのように人波に埋め尽くされている。しかもカワイイ女の子の竹下通りではなくて、中国人のダサイ恰好をした集団が、一切マナーも守らずにうじゃうじゃ食い歩きをしているのだから、雰囲気がぶち壊しである。
     こんなことがいつまで続くのか知らないが、京都では増加した観光客のためにホテルが足りないからと、建築物の高さの規制緩和まで検討している。
     中国人を特別待遇するために、せかっくの京都の観光資源をぶち壊しにしようというのだから、がっかりだ。
     
     そんなわけでわしは2月20日に 『外国人観光客は目障りだ』 と題したブログを書いた。
    http://yoshinori-kobayashi.com/9602/
     そうしたら、案の定たちまち「炎上」となって、ありとあらゆる罵詈雑言が飛んできた。
     あのブログは偽善者をあぶり出すための「引っ掛け」である。
     ちゃんと「 誰もが排外主義だと思われたくなくて、ヒューマニストを気取り、爆買いが嬉しいなあと、商売人でもないくせに歓迎するふりをしているが、本気なのか? 」という問いも入れておいたのだが、それでも予想通り「入れ食い」でホイホイと釣れたわけだ。
     まとめサイトも複数作られているが、わしの読者が批判に的確に反論しているサイトがなかなかおもしろい。
    http://togetter.com/li/941516
     この炎上の分析は、その中で読者の人たちがやってくれているので紹介しておこう。
    炎上しているようで、ざっと大別すると
    「差別だ!差別的だ!差別扇情的だ!」
    「景観など知らん!目先の金だ!」
    「よしりんのバカ!もう知らない!」
    の三種類しかないな。中でも三つ目が一番多い。(シャキヌさん)
    小林よしのりの外国人観光客への(真っ当な)批判に対し、主にリベラルから「差別だ!彼らはお金を落とす大事なお客様だ!」と反応が出ているようだ。アホかと。風情を守るという観念がないリベラルに、安倍が進めるグローバル経済を批判する資格は無い。(尻毛屋さん)
    小林先生の「目障り」発言に反発してる人たちは絶対に外国旅行に行って欲しくないですね。どんなマナー悪かろうが景観壊れようが、俺たち日本人は金を落とすのだからいいじゃないか、目障りなどと言うな、それは排外主義だ!という、一番手のつけられないタイプですよ。(海風さん)
    たぶん観光客の件でよしりんに反発した左翼は、ほぼ間違いなく移民政策にも賛成するんだろうな。
    それが新自由主義の政策だと頭で解っていても、賛成する自分を止められないのが左翼。
    反国家で地球市民的なイメージに逆らえない体質じゃ反対しようがない。(海風さん)
     そもそも、「爆買い客」目当ての日本人の対応は異様だと感じている人は、わしだけではない。
  • 「土下座、おもてなし、へりくだりを考える」小林よしのりライジング Vol.58

    2013-10-15 16:15  
    154pt

    電子書籍の機能を使用するには、記事を購入してください

    「土下座、おもてなし、へりくだりを考えよう」  「土下座ブーム」だそうだ。
     ドラマ『半沢直樹』の最終回のクライマックス、「100倍返し」達成の土下座シーンは香川照之の演技過剰がほとんどギャグの域に達していたが、46.2%という驚異的な視聴率を記録したという。
     もともと土下座は身分の高い人に対する儀礼であり、謝罪という意味合いはなかったらしい。
    古くは『魏志倭人伝』にまでさかのぼり、「 あるいは蹲(うずくま)り,あるいは跪(ひざまず)き,両手地により恭敬をなす 」と記されているんだそうだ。
     江戸時代の大名行列で平民が土下座していたのも、同じ意味である。もっとも実際には時代劇のように道端に人々が深々と土下座しているということはなく、しゃがむ程度だったらしいが。
     土下座に「謝罪」という意味合いが強くなったのは戦後のことで、NHK『クローズアップ現代』(10月8日)の調べでは、辞書の「土下座」の項に「謝罪」の意味が記されたのは、確認できた限りでは昭和49年(1974)が最初であり、NHKのカメラが土下座による謝罪を写したのは平成8年(1996)、薬害エイズ事件で製薬会社「ミドリ十字」の幹部が被害原告団に対して行なったものが最初だったという。
     奇妙な因縁である。当時わしは「薬害エイズ訴訟を支える会」の代表をやっていて、この時は訴訟の和解を成立させるために製薬会社に「加害責任」を認めさせるべく、大阪のミドリ十字本社前まで行っている。
     ただし人集めに利用されただけで本社の中にも入れなかったので、土下座までさせたというのは後で知り、何とも後味の悪い思いをしたものだ。
     製薬会社にしてみれば、加害責任を認めたという時点で完全に罪を認めたに等しく、その責任は和解条件の中で果たさなければならず、それだけでも十分重いのに、さらにそのうえ土下座を強要され、 その無様な姿を日本中にさらし、家族や社員にも目撃され、ほとんど人間としての尊厳を踏みにじられ、それでも許してもらえずに、その後歴代社長3人が逮捕され、刑事責任を追及されたのである。
     わしはこのことを踏まえて『ゴー宣』で「 心からの謝罪など無意味! 」と描いたこともある。
     ところが21世紀に入ると、何か不祥事があると土下座というシーンを頻繁に見るようになり、「土下座」の価値はどんどん安くなっていった。
     そして今や「 土下座のデフレ・スパイラル 」とでもいうような有様で、必要がなくても客に要求されれば土下座するという事態まで起きている。
      先日は、店員の土下座写真をツイッターに投稿した43歳の女が、強要容疑で逮捕されたという事件があった。
      女は衣料品店で購入した980円のタオルケットに穴が開いていたと抗議に訪れ、返金を求めて受け取った。さらに交通費を要求して拒否され、激怒して店員に土下座を強要したようだ。
     女は勝利宣言のつもりなのか、その写真をわざわざ自分でツイッターに上げ、店員の容姿や名前まで書いたらしい。さらに店員を自宅に呼びつけて、謝罪の念書も書かせている。
     しかしこのツイッターが「炎上」し、この女の氏名や年齢、住所、職業、家族構成、顔写真等々、あらゆる個人情報が調べ上げられてネットにさらされ、ついに逮捕に至ったというわけだ。
     なお「強要罪」とは、相手を脅して義務のないことを無理やりやらせることで、3年以下の懲役になるという。
     この事件がきっかけで、現在の日本社会では「土下座」が日常化しているという実態が各メディアで報じられた。
     テレビの街頭インタビューでは、「土下座を強要された」という体験談が意外なほど多く出てくる。
     「 領収書の宛名の書く位置を間違えたら、お金を投げつけられ『土下座しろ』といわれた 」
     「 職場の管理者をやっていますが、部下の言葉遣いが悪かったということで、客から土下座を強いられた 」
     「 デパートへ勤めていたことがあるので、土下座したことはよくあります。取りあえず謝ろうと 」
      デパートに勤めていれば、土下座はよくあるというのが普通の感覚になっているのが驚きだが、店の側も、謝るのがサービスの一つという風潮があるらしく、これにつけ込んで、クレーマーみたいな人がどんどん増えているようだ。   客という立場を利用して居丈高に無理な要求を押し付け、断られたら罵詈雑言を吐いてもいいというような状況がいま、作られつつある。
     中には土下座を強要された屈辱に耐えきれずに仕事を辞める者や、精神に傷を負う人も出てきている。「人間としての尊厳のある仕事がしたい」という悲痛な声もある。それでもサービス業では「お客様は神様」だと耐え忍んでいるケースが多いようだ。
     「 お客さまは神様です 」
     …というのは歌手の三波春夫が流行らせたフレーズだが、本人がこのフレーズに込めた真意は「 自分は神前で祈るときのように雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な芸が見せられないから、お客様を神様とみて、歌を唄う 」というものだったそうで、三波春夫といえどもマナーの悪い客まで認めていたわけではない。
     それが「クレーマー容認」の言葉のようになっているのは不本意だということで、三波春夫オフィシャルサイトでは本来の意味を説明している。
     http://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html
      しかし実際のところ、「お客様の意向は絶対であり、店の側は客の言うなりにならなければならない」という意味での「お客様は神様」の感覚が日本に蔓延してしまっているのは事実である。
      『AKB48論』 の第7章に 「 消費者は権力者ではない 」 という話を描いている。あれはAKB48の握手会に特有の問題ではなく、この消費社会そのものの問題点だ。
     「 モンスター・ペアレント 」という言葉も流行ったが、 この消費社会そのものが、消費するだけで個人の人格が完成していると思い込む馬鹿を育ててしまった。