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記事 4件
  • 「『武士の情け』という日本人の倫理観」小林よしのりライジング Vol.198

    2016-10-26 16:20  
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     蓮舫の二重国籍問題が、まだくすぶっている。
     二重国籍は、法的には何の問題もないということはライジングVol.193で詳述したとおりだ。(http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1107347)
     ただし法的には問題ないといっても政治家が、しかも閣僚を経験し、現在は野党第一党の代表で、首相を目指すという人物が二重国籍では問題だというのは、一応正論と言えば正論ではある。
     しかし、すでに蓮舫が国籍を日本一国に決定して、手続きを済ませたのなら、この問題にいつまでもこだわって延々と責め続けているネット内の言論は、異常としか言いようがない。
     特にこの問題の火付け役となったウェブサイト「アゴラ」の池田信夫と八幡和郎はほとんどストーカー状態で、しつこく女一人に粘着しまくっている。
     この異様な執念はどこから来るのかといえば、基本的に民進党が大嫌いで、党首を潰してやりたいという負の欲望からでしかないだろう。実はわしはもっと意地悪く見ていて、彼らの顔が悪すぎて、モテなかったためにストーカーになったのだろうと思ってたりする。
     彼らは、ひたすら自民党の味方、権力の味方なのだ。もともと「強きを助け、弱きをくじく」という性質の連中であり、特に今は安倍政権が強いから、なおのこと強力な権力にすり寄って媚びていたいのだろう。
    「違う、ただ正論を述べているだけ」と言い張ったところで、結果として安倍政権という権力に得になる効果だけを発揮しているのは間違いない。
      わしは、権力が肥大しすぎることには警戒感を持つ。
     民主制の危うさを回避するために、権力が独裁に向かうことを回避するために、バランスを保たないといけないという警戒心は、持っていようとわしは思っている。
      実際、庶民もそう思っており、だからこそ世論調査では蓮舫代表に「期待する」と答える人が50%を超えているのだろう。
     自民党の独裁に任せておいても怖い、民進党に対抗勢力になってもらった方がいい、それなら民進党の中に他にもう人材がいないから、蓮舫の新鮮さに期待しておこうと考え、二重国籍問題を大ごととは捉えていない。
     この一般的感覚がある限り、二重国籍問題でこれ以上蓮舫がダメージを受けることはないだろう。
     これは 「武士の情け」 というものだ。
     本来、日本には日本独自の倫理観、道徳律のようなものがあったはずで、その中には「武士の情け」というものがあった。
     圧倒的に弱い側に不利なことが出てきた時には、「武士の情け」で見逃そうという感覚が働くのだ。これは極めて状況に依るものであって、権力の側、強者の側の不正には適応されない。
     あくまでも「情け」だから、弱い方に適用しなければならないルール感覚である。だから歴史感覚を有する庶民は、蓮舫に「武士の情け」というルールを適用して、片目を瞑っているのだろうと考えられる。
      世の中には「近代的な法」のルールだけで、正しいか、正しくないかを判断できない例がある。
     その一例としてわしが蓮舫の件から連想したのが、わし自身の小学生の時のエピソードだ。
     知らない人もいるだろうから、ここに掲載しておこう。
  • 「竹田恒泰氏の黒い噂、竹田研究財団ナンバー2逮捕」小林よしのりライジング Vol.197

    2016-10-18 22:50  
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     すでにゴー宣道場ブログ(その1・その2・その3)で報じたが、 竹田恒泰氏が代表を務める団体「竹田研究会」の幹事長で、「一般財団法人竹田研究財団」の常務理事でもある 前山亜杜武(まえやまあとむ) という人物が、平成28年9月27日、国の助成金4700万円を詐取した容疑で東京地検特捜部に逮捕された。 脱税の疑いがあり、国税局もマークしていたようだ。
     特捜が動くには規模の小さな事件だが、前山容疑者は政財界を含む多数の著名人、グレーゾーンすれすれのビジネスを生業とする人物らとの交流があり、また、反社会的勢力と認定される団体との関係も囁かれている。
     友人に誘われ前山容疑者主催のパーティーに参加したというAさんに話を聞くと、 「有名人が普通にいて驚いた。ただ、パーティーで知り合った人から、後日、胡散臭い情報商材を販売する人物を紹介された。自分のセミナーを受講すれば確実に儲かると言われた」 。また、前山の周辺を知るBさんからは、 「前山は全身“絵入り”。竹田研究会で伊勢神宮へ行き、全員が川で禊をするときも、彼だけは服を脱がずに見ているだけ」 という話も寄せられた。

    公式サイトに掲載されていたプロフィール。グループ10社で42億円(平成26年度)を売り上げていた。
     摘発されたのは、「AT&BROTHERS GROUP」傘下の「日本スマートハウジング(旧日本電機サービス)」で、家庭用太陽光発電システムやメガソーラーを販売・施工する会社だ。
     ちなみにこの会社、2012年に エネルギー学者の飯田哲也氏と顧問契約 を結び、 「自然エネルギーの第一人者、飯田哲也先生からお墨付きを得ました♥」 と言わんばかりのプレスリリースを発表している。この頃の飯田氏は、《原発ゼロ》を掲げた維新・橋下徹氏のブレーンだった。ところが橋下氏は、なぜか《原発推進》の石原慎太郎氏と結託。なんだこりゃと眺めているうちに、たちまち公約を撤回し、詐欺師のように手のひらを返して飯田氏を批判しはじめたのだった……。
     橋下氏に裏切られた飯田氏は、今度は詐欺師・前山の企業顧問に。どんな役割を担っていたのかはわからないが、およそ一年後、ツイッターにこんな発言を投稿している。

      また顧問かい! しかもまた詐欺だよ! 
     うーむ。しかし、よく連続で騙されまくる人だなあ。 「先生、顧問になって下さいよぉ」 って持ち上げられて喜ぶんだろうな。橋下氏に騙され、前山に騙され、竹田恒泰氏の「宮さま詐欺」に騙され、とうとう竹田研究会にご入信……。 《脱・原・発》の文字 しか見ていないから、こうなる。
     今思えば、竹田氏が《脱原発》を主張していたのは、前山が太陽光発電システムの販売をしていたからだろう。もし前山の会社が原子力関連だったら、原発推進の“トップ論客”だったはずだ。
    ◆「竹田研究会」とは?
     そもそも、「竹田研究会」とはなんなのか?
     公式サイトによると、 《「日本を楽しく学ぶ場所」を提供することを趣旨とし、竹田恒泰を講師として、国で定期的な連続講座を開催》 とある。国史や時事問題、日本の伝統、皇室にかかわる講義を行っているらしい。1回3~4時間程度、料金は会員2000円、非会員3000円、学生無料。逮捕された前山幹事長の手腕は相当凄かったようで、数年で急成長して全国17か所に支部、会員は2万8000人という話もある。会員登録は無料だからだと思うが。

    竹田恒泰氏による講義が、全国各地で毎月5~6回のペースで開催されている。
    ●お笑いライブのような講演で魅了
     そして、この竹田氏の講義の評判が、すこぶる良いのである。『AERA』が慶應義塾大学で行われた講義の様子を取り上げているので紹介しておく。
     一貫して《尊皇》をテーマにしており、 「天皇は神の子孫です。私たちはみんな、神の子孫なんです」「日本の特徴は、君民一体という点にあるんです」 などと語るが、厳かさはなく、巧みな話術で約250人の満員の会場は絶えず笑いが起こり、雰囲気はお笑い芸人のライブに近いという。
    「日本人ってすごい、という気持ちになるんです」
     慶應大での研究会で時折、iPadを指で叩いてメモを取っていた都内の女性会社員Aさん(33)は、竹田研究会についてそう話す。きっかけは昨年末、「面白い会に行ってきた」と言って、知人が見せてくれたメモだった。
    《「あけましておめでとうございます」は、何かがめでたいからではなく、ハレの状態をつくるために言う》《日の出に起きて、日の入りに床につくのが日本の伝統的な生活。大晦日も、日が沈んだときが新年と考えられていた。だから、暗くなったら「おめでとうございます」と言っていい》
      誰からも聞いたことがなかった話に、知的好奇心が刺激された。ふだん自分が何げなくしてきたことの「意味」を教えられた気がした。 実際に足を運んだ研究会は「期待以上でした」。君主と臣民が争った歴史をもつ国が多い中、日本では2600年近く天皇と国民が戦ったことがないと聞き、 日本人の精神性の高さを誇りに感じた。 天皇はいつの時代も大変な努力をして国民の幸せを祈っていると言われ、 自分が大事にされている感覚に包まれた。
    「 竹田先生のお話を聞くと、自己肯定感を覚える。 同時に自分の姿勢が正されるような気がします」
    『AERA』2013年10月7日号「お笑いライブ感覚? 尊皇を説く竹田研究会が人気」より
     たった3時間程度の講義で、言葉巧みに「日本人の素晴らしさ」を説き、知的好奇心を刺激し、自己肯定感を与えてしまう。ただ日本人というだけで、自分に誇りを持つような精神状態に仕上げてしまう。会場でお土産販売している竹田氏の書籍やDVDなどはポンポン売れるそうだ。ある編集者は、同じ本の6冊パックが 「飛ぶように売れて、感激の瞬間!」 と言っていた。

    同じ本を6冊包んで藁で縛り、サインを入れたセット。1円も割引はないが、売れる。
     もちろんこの講義では、すっかり竹田氏に魅了され、自己肯定感を得た参加者たちの脳髄に、 『男系継承絶対』の理屈や、『旧宮家の皇籍復帰説』 なども吹き込まれていく。
    「旧皇族」という肩書が詐称であることも知らずに――。
    ●早朝5時にふんどし締めて川に浸かる
  • 「タネと畑というトンデモ説の正体」小林よしのりライジング Vol.196

    2016-10-11 21:05  
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     先週は「女性の活躍で圧勝した『朝ナマ』の議論」と題して、9月30日深夜の「朝まで生テレビ! 激論!象徴天皇と日本の未来」における、弁護士の萩谷麻衣子さんと、国際政治学者の三浦瑠麗さんの発言を中心にまとめた。
     だがその議論にはもう一人「女性」が参加していた。皇位の男系継承固執を主張した、「次世代の党」前衆議院議員、杉田水脈(みお)氏である。
     今回は、その杉田氏の意見を検証してみよう。
    杉田「男系継承っていうものは、今までずっと続いてきたもので、これは、私はちゃんと尊重すべきだと思っておりまして、このまま続けていくべきだと思っています。
    その理由といたしまして、この男系継承というのは、実は、よく女性差別だと、この間も国連の女性差別撤廃委員会でそういうことを触れられたというような問題もあるんですけれども、女性差別だと言われるんですが、実はこれは男性を排除してきたのであって、女性差別ではない」
     さっそく竹田恒泰のコピペである。
     最も尊い「天皇」になれるのは男性だけ、女性はダメ、女系はもっとダメと言ってるのだから、女性差別に決まっているではないか。 
    杉田「結局、日本女性は、誰でもプリンセスにはなれるんですよ。だけれども、男性は、皇室に入ることは出来ないわけですね、男系でつないで…」
     プリンセスという言い方は美しいが、実態は「産む機械」に過ぎない。しかも「男子を産む機械」ではないか。
     男性は「産む機械」の役割りが果たせないから、必要ではないというだけのことだ。
    杉田「それで、これは何かというとやはり私は、男性の野心、本能的野心を食い止める歯止めだったんじゃないかと思ってます。というのは、結局、男性はね、よく聞くのは本能的に、自分のタネを子々孫々残したいという方はたくさんいらっしゃいますけど、女性でそういうことを言う方いらっしゃらないですよね」
     男性は野心がある、つまり主体性を持っている。
     女性は安心、野心がない、主体性がないという考え方を無意識に信じているが、これも男尊女卑である。
    杉田「そこは、私は男性と女性の違いだと思っています。これはほんとに本能的な違いだと思ってまして、渡部昇一先生なんかは、男性はタネで女は、あの、女性は畑だとおっしゃるんですけれども、」
     おっと、今度は渡部昇一のコピペである。
     わしはここで、思わず「それアホだよ! アホ!」と馬鹿にしてしまった。
    杉田「でもそれは渡部昇一先生だけがおっしゃっているわけではなくて、江戸時代なんかの子供向けの図鑑なんかに、そういう人体とかをちゃんと男性と女性の違いというのを図解した中にも、そういった記載がちゃんとあるんですね」
     あまりにもバカバカしい。わしはここで、稲の種子は、種子の中に雄しべと雌しべが入っていて自家受粉される、畑は関係ない、理科で習うことだと、手っ取り早い説明で言ってしまったが、実は正確ではない。
     あとで正確な知識を書こう。
  • 「女性の活躍で圧勝した『朝ナマ』の議論」小林よしのりライジング Vol.195

    2016-10-04 19:45  
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     9月30日深夜、「激論!象徴天皇と日本の未来」をテーマに行われた『朝まで生テレビ!』に出演した。
     先月に引き続き2か月連続の天皇をめぐる討論になるが、今回は向かい側に「Y染色体カルト」のツートップ、八木秀次と竹田恒泰がそろい踏みである。
     どうなることかと思ったが、相変わらず竹田が天皇陛下の生前退位を一代限りの特措法で「一発でバシッと解決」などと乱暴な主張を繰り返すのに対して、冒頭で八木が特措法にはっきり反対したので驚いた。
     八木はさすがに憲法学者の矜持は残っていたのか、「特措法では裏口入学と裏口即位になる」ということまで認めたので、竹田はすっかり機先を制せられた形となり、議論が進んでいった。
     今回の「朝ナマ」で特に活躍したのは、先月に引き続き登場した弁護士の萩谷麻衣子さんと、国際政治学者の三浦瑠麗さんである。今回はこの女性二人の発言を中心に、議論をまとめておこう。
     萩谷氏は、皇室典範の改正をせずに、特措法で譲位を実現してしまった場合に生じる問題点を列挙した。
     まず皇室典範第8条には 「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という」 という規定しかなく、 皇太子殿下が即位した場合には、秋篠宮殿下は「皇太子」にも「皇太弟」でもなく、単に「秋篠宮家の当主」という扱いにしかならない。
     
     そうなると、第11条2項に 「親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」 とあり、 秋篠宮殿下も悠仁さまもこの対象となるから、皇室を離れることが可能となってしまう。
     
      さらには皇室経済法の内廷費の問題がある。皇室典範を変えなければ秋篠宮家に「内廷費」は出ない。
     これらの点について、皇室典範に付則をつけて皇太子を皇太弟に読み替えるというようなやり方では済まず、 皇室関連法の整合性を取るには皇太子の定義そのものを皇室典範で変えなければ駄目だと説明した。
     
     萩谷麻衣子さん、まったく凄い!
     秋篠宮殿下を「皇太弟」にするなら、典範改正しかなく、特に「内廷費」の問題は大きく、現在、皇太子一家が住む「東宮御所」には秋篠宮家とは比較にならない額の「内廷費」が出ている。
     典範改正をしないまま、秋篠宮殿下を「皇太弟」と見做し、皇太弟としての公務をお願いしておきながら、今のまま「皇族費」でやり繰りして頂くなど、秋篠宮殿下に対しても失礼である。
     さらに、皇太子殿下が即位して天皇になり、愛子さまが皇太子になれないとなると、東宮に勤めていた膨大な職員が首になってしまうのだが、果たしてそんなことが出来るのか?
     愛子さまが皇太子殿下になれば、東宮職が今まで通り必要になるわけだ。