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  • 「民主主義批判は実はタブーである」小林よしのりライジング Vol.181

    2016-06-21 20:35  
    150pt
     結局は、愚かな民が愚かな政治家を担いでいただけ、民主主義がいかに愚劣なものかということをいやというほど見せつけたのが、「舛添都知事への集団リンチ、舛添おろし」である。
     わしが描いた『民主主義という病い』(幻冬舎)が発売された直後に、本の内容とリンクする現実が、勃発してしまったのだから面白い。
      民衆は自分たちが主権者だと思っているから、「なめていい権力者」だと思ったら情け容赦ない。
     舛添の公私混同の無駄づかいが、民衆の家計の範囲で分かるセコイ金額だったから、「これなら糾弾できる」と自信を持ってしまったのだ。まったくどうしようもない矮小な民衆だ。
     朝日新聞が「メディアタイムズ」という記事で報告しているが、舛添バッシングは各テレビ局でも異例の高視聴率を記録したらしい。辞任を決意するまで日に日に数字が上がったらしく、関東以外の系列局でも視聴率が上がり、まさにキラーコンテンツだったそうだ。
      視聴率はスポンサーがCMを出稿する際の目安になり、CM契約料に直結するから、他局が流しているとやめられなくなるという。
      マスコミが火をつけ、民衆が熱望し、マスコミが民衆の期待に応え、さらに民衆が熱狂して、ポピュリズムの政治家も民衆に抗えず、暴走は止まらない、これが『民主主義という病い』である。
     舛添要一は一時期、世論調査で「首相にしたい政治家」第1位だった。
     2年前の都知事選で候補者選びに難航した自民・公明は、その人気を当て込んで、これなら勝てそうだということで推薦したのだ。
     そもそも舛添は参議院議員時代、自民党が野党に転落して最も苦しかった時期に「自民党の歴史的使命は終わった」と捨て台詞を吐いて離党した人間であり、その際、 自民党は舛添を「 除名処分 」にしている。
     政党の除名処分とは、一般企業でいえば「懲戒解雇」に当たる。それを再び迎え入れて担ぐというのは非常識としか言いようがなく、自民党内には「舛添だけは推すわけにはいかない」と反発する声があった。
      それでも舛添をゴリ押しして、人気があるからと便乗しておいて、今度は参院選に都合が悪いからとポイ捨てだ。こんな卑怯な政党があるだろうか?
     もっとも舛添だって都合が悪いからと自民党をポイ捨てし、風向きが変わったらヌケヌケと組んだ人間だったのだから、どっちもどっちだが。
     しかも舛添は、認知症になった母親を死ぬまで介護したということで好感度を上げ、それで参議院議員に当選して厚生労働大臣にまでなったのに、実は母の介護など 全然しておらず 、たまにやってきては車椅子を押す様子を写真に撮らせて帰っていただけだと親族に暴露されているし、他にも元妻・片山さつきへの DV だの、重度の障害を抱えた婚外子の養育費の減額を要求しただの、デタラメな話が枚挙に暇がない人間ではある。
     舛添がろくでもない奴であることはわかっていたが、お金の収支で言うのなら、やっぱり『レ・ミゼラブル』のエピソードに倣ってコソ泥には銀の食器を与えよ、という方が合理的である。
     ああいうプライドだけ高い小悪党は、容赦してやれば反省して死にもの狂いで働くものだ。実際、舛添は給与を全額返上するから働かせてくれと哀願していたではないか。
      舛添がちょろまかした金額など、これから都知事選で費やされることになる50億円に比べれば、微々たるものだ。
     猪瀬直樹の辞任で行われた選挙からたった2年半。その前の石原慎太郎も任期途中で、政治生活の最後に国政に復帰したいという全く私的な理由で都知事職を投げ出しているから、 この4年間で3度目の無駄な都知事選だ。費用はトータル140億円。巨額の損失じゃないか。
     そもそも、舛添を叩きまくった民衆は、石原慎太郎にはなぜ何も言わなかったのか?
     石原が都知事時代にやらかした公私混同の贅沢三昧など、舛添がやったこととは比べ物にならない。